JP3949780B2 - ブレーキディスク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車等の車両の前輪または後輪に装着されるディスクブレーキ装置のディスクプレート(ブレーキディスク)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の制動装置としてディスクブレーキ装置が広く用いられている。このディスクブレーキ装置は、車両の前輪または後輪のホイールハブにブレーキディスクを装着し、このブレーキディスクの外周部の車体フレーム側にプレーキパッドを内蔵したキャリパを設け、油圧ピストンによりブレーキパッドをブレーキディスクの両側から挟んで摩擦により回転を制動するものである。
【0003】
このようなディスクブレーキ装置は、摩擦熱によりブレーキディスクが高温となりディスクが反る等の熱変形を起こすため、摩擦熱を放散し放熱性をよくしてディスクの反り等の変形を防止する必要がある。
【0004】
このため、従来よりブレーキディスクに多数の孔を開けて放熱を図っているが、さらに放熱性を向上させ、ブレーキディスク等の熱変形を抑制するために、ディスク全周に沿って半径方向直線上で内側のハブ部と外側のリング部が直接に接続されないように間に開口を設け、全周に沿ったどの部分においても半径方向の途中の位置に開口部が形成されたブレーキディスク等の回転部材構造が提案されている(特開平8−210466号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の回転部材構造をブレーキディスクに適用した場合、ホイールハブへのブレーキディスクの取付け孔部分の前後には、ブレーキ作動時に大きな圧縮力および引張り力が作用するため、全周に沿ったどの部分においても半径方向の途中の位置に開口部が形成されていると、放熱性は向上するものの強度的に不十分となるおそれがある。また、各取付け部同士を結ぶ周方向連結部があると制動部とこの周方向連結部との温度差による熱膨張量の違いにより反りが発生する。
【0006】
本発明は上記従来技術を考慮してなされたものであって、充分な放熱性を確保するとともに、充分な強度を備えたブレーキディスクの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、ホイールへの取付け部の円周上に複数の取付け孔を有し、外周部にブレーキパッドが摺接する制動部を有し、各取付け孔の外側で前記制動部の内側に複数の開口部を有するブレーキディスクにおいて、前記各取付け孔の近傍で、ディスク中心と各取付け孔中心とを結ぶ半径方向直線の一方の側にこの半径方向直線に沿って無開口の連続部が形成され、前記半径方向直線の他方の側に前記開口部が形成されたブレーキディスクであって、前記各取付け孔ごとに取付け部と制動部とをつなぐ連結部を形成するとともに、各連結部内に前記開口部を形成し、かつ前記連結部が分離するように各連結部間に空間を形成したことを特徴とするブレーキディスクを提供する。
【0008】
この構成によれば、各取付け孔に対応して設けた開口部により充分な放熱性が得られるとともに、この開口部は各取付け孔の前側または後側の一方の側に設けられ、他方の側には無開口の連続部が形成されるため、この連続部により取付け孔部と制動部の間に作用する引張り力あるいは圧縮力に対し充分な強度を持たせることができる。
【0009】
また、本発明は、前記各取付け孔ごとに取付け部と制動部とをつなぐ連結部を形成するとともに、各連結部内に前記開口部を形成し、かつ前記連結部が分離するように各連結部間に空間を形成したことを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、ホイールハブにボルト等により固定するための各取付け孔に対応してディスク外周部と連続する連結部が内周側に突出して形成され、各取付け部がボルト等の取付け孔の位置ごとに分離して設けられ間に空間が形成されるため、この空間により連結部に形成された開口部とともにさらに放熱性を高めることができ、かつ連結部内で開口部の反対側に形成された連続部により充分な強度が確保される。また、各取付け部同士を結ぶ周方向連結部がないため、これの存在に起因する反りも発生することがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブレーキディスクの一実施の形態を図1ないし図3によって詳細に説明する。
図1は本発明の実施例に係るブレーキディスクの正面図である。このブレーキディスク1は、例えば高周波焼入れしたステンレス鋼からなり、内周側にホイール(図示しない)のハブ部に取付けるための取付け部3を有し、各取付け部3に取付け孔2が形成される。この取付け孔2は、ディスク内周側の円E上に所定間隔で複数個設けられる。ディスク外周側にはブレーキパッド(図示しない)が摺接する制動部4が形成される。この制動部4には放熱性を高めまた軽量化を図るために多数の孔5が形成されている。この外周側の制動部4と内周側の取付け部3の間は各取付け孔2ごとに連結部6で一体に繋がれている。各連結部6に開口部7が形成される。各取付け孔2ごとに設けられた連結部6は制動部4から内周側に突出してそれぞれ分離して形成され、各連結部6間には空間8が形成される。
【0012】
上記構成のブレーキディスク1において、ディスク中心C1と各取付け孔2の中心C2とを結ぶ半径方向の直線L0に関し、連結部6内でこの直線L0の一方の側にディスク半径方向直線に沿っていずれの部分にも開口が形成されない連続部9が形成される。連結部6内の直線L0の他方の側に開口部7が形成される。この連結部6内の直線L0の他方の側(開口部7が形成された側)においては、ディスク中心C1からのいずれの位置の半径方向直線をとってみても(例えばL2)、その直線上に開口部7あるいは各連結部6間の空間8により開口が形成されている。
【0013】
このように各取付け部3をディスク内側に分離して突出する連結部6に設け、各連結部6間に空間8を設けるとともに各連結部6内に開口部7を設け、各連結部6内で開口部7の反対側に連続部9を形成することにより、開口面積を有効に大きくとって、放熱効果を高めるとともに、半径方向直線上に沿って無開口の連続部9によりブレーキ作動時の連結部6に作用する圧縮力および/または引張り力に対し充分な強度が確保される。
【0014】
上記図1に示したブレーキディスクの連結部6の形状では、ブレーキディスク1がその取付け部3とともに、例えば矢印A方向に回転しているときにブレーキを作動させると、制動力は外周部に矢印F方向に作用する。したがって、連結部6の開口部7の両側の枠部6a,6bには引張り力が作用し、回転方向が逆であれば圧縮力が作用する。この連結部6の形状は図示した形状に限らず、開口部7を反対側に形成し、矢印A方向の回転のときに圧縮力が作用するように形成してもよい。
【0015】
図2は連結部6内での開口部7と連続部9の位置を図1の例と逆にした形状を示す。このような形状においても、前述の図1の例と同様の作用効果が得られる。
【0016】
図3は上記ブレーキディスクを、例えば自動二輪車の前輪両側に装着した場合の取付け構造の一例を示す。前輪タイヤ10を装着したホイール11が車軸12に取付けられる。ホイール11のハブ部11aに別体または一体で設けたハブフランジ13に、ボルトまたはリベット14により、前述の取付け孔2を介してブレーキディスク1が固定される。車軸12を保持する左右のフロントフォーク15にキャリパ16が固定される。各キャリパ16は油圧ピストン17を内蔵し、この油圧ピストン17により、ブレーキディスク1の両側のブレーキパッド18で制動部4(図1)を両側から挟んで圧接し、摩擦により回転を制動する。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、ホイールハブに取付けるための各取付け孔に対応して設けた開口部と、連結部間の空間とにより充分な放熱性が得られるとともに、この開口部は各取付け孔の前側または後側の一方の側に設けられ、他方の側には無開口の連続部が形成されるため、この連続部により取付け孔部と制動部の間に作用する引張り力あるいは圧縮力に対し充分な強度を持たせることができる。これにより、放熱性が大きく熱変形を充分抑制するとともに重量を大きくすることなく強度を高め信頼性の高いブレーキ動作が得られ走行の安全性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るブレーキディスクの正面図。
【図2】 本発明の実施例の別の形状例を示す正面図。
【図3】 ブレーキディスク装着構造の一例の断面図。
【符号の説明】
1:ブレーキディスク、2:取付け孔、3:取付け部、4:制動部、5:孔、
6:連結部、7:開口部、8:空間、9:連続部、10:前輪タイヤ、
11:ホイール、12:車軸、13:ハブフランジ、14:リベット、
15:フロントフォーク、16:キャリパ、17:ピストン、
18:ブレーキパッド。

Claims (1)

  1. ホイールへの取付け部の円周上に複数の取付け孔を有し、
    外周部にブレーキパッドが摺接する制動部を有し、
    各取付け孔の外側で前記制動部の内側に複数の開口部を有するブレーキディスクにおいて、
    前記各取付け孔の近傍で、ディスク中心と各取付け孔中心とを結ぶ半径方向直線の一方の側にこの半径方向直線に沿って無開口の連続部が形成され、
    前記半径方向直線の他方の側に前記開口部が形成されたブレーキディスクであって、
    前記各取付け孔ごとに取付け部と制動部とをつなぐ連結部を形成するとともに、各連結部内に前記開口部を形成し、かつ前記連結部が分離するように各連結部間に空間を形成したことを特徴とするブレーキディスク。
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