JP5157921B2 - ブレーキダストカバー - Google Patents
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Description
特許文献2には、ディスクブレーキの車両の幅方向の外側と内側とにそれぞれ設けられたブレーキダストカバーが記載されている。ディスクブレーキの外側のブレーキダストカバーは、ディスクホイールのディスク部の裏面に取り付けられ、内側のブレーキダストカバーは、車軸に固定される。
特許文献1,2に記載のように、ディスクホイールのディスク部の裏面にブレーキダストカバーを取り付ければ、ブレーキの作動において、ディスクロータと摩擦パッドとの摩耗により生じるブレーキダストが、ディスク部の裏面に付着したり、ディスク部から外側に飛散したりすることを防止することができる。
ブレーキダストカバーは、ブレーキに泥水、小石、埃等が入ることを防止するためのものであり、車両の非回転体であるナックルやアクスルハウジングに取り付けられる。
ブレーキダストカバーは、それの円板状部において非回転体に取り付けられる。筒状部は、円板状部から車両の幅方向の外側に延び出し、風返し部が、筒状部の外側の端部から外周側に延び出す姿勢とされる。
円板状部において、中心部に貫通穴が形成され、外周部にキャリパを配設するための切欠が形成されるのが普通である。
筒状部において、それの断面形状は、円環状とすることができるが、円環の円弧の一部が外周側に突出した形状とすることができる。例えば、円板状部に設けられた切欠に対応する部分を他の部分より外周側に突出させることができる。また、筒状部は、円板状部の全周に渡って連続して設けることが望ましいが、不可欠ではない。例えば、1つ以上の円弧状の部分から成るものとすることができる。
風返し部は、筒状部の円板状部とは反対側から外周側に延び出したものである。風返し部は、筒状部の全体に渡って連続して設けることが望ましいが、部分的に設けてもよい。例えば、1つ以上の部分から成るものとすることができる。また、筒状部の断面形状が円環状でない場合には、それに対応して、半径方向の寸法が大きい部分と小さい部分とを有する形状とすることができる。
このように風返し部を設ければ、車両の幅方向の内側から外側に向かう風が、風返し部より外側へ吹き抜け難くすることができ、ディスクホイールのディスク部の裏面(車両の幅方向の内側面)に当たり難くすることができる。それによって、ブレーキ作動時、すなわち、ブレーキ回転体と摩擦部材との摺動により生じるブレーキダスト(以下、単に、ダストと略称する)が、風返し部より車両の幅方向の外側へ向かって流れ難くすることができ、ディスクホイールのディスク部の裏面に付着したり、ディスク部から外側に飛散したりすることを防止することができる。
円板状部と、
中空の筒状部と、
その筒状部の、前記円板状部とは反対側から外周側に延び出した風返し部と
を含むブレーキダストカバー。
ブレーキダストカバーは、円板状部、筒状部、風返し部が一体に形成されたものであっても、複数の部分から構成されたものであってもよい。
(2)前記筒状部に、貫通穴が複数、互いに間隔を隔てて形成された(1)項に記載のブレーキダストカバー。
ブレーキダストカバーが車両の非回転体に取り付けられた状態において、筒状部は、ディスクブレーキのベンチレーティッド型のディスクロータの外周面の外周側に位置する。筒状部には複数の貫通穴が設けられているため、筒状部がディスクロータの外周面の外周側に位置しても、ディスクロータの通風口を塞ぐことがない。したがって、ディスクロータの通風口から外周側に向かう風を、筒状部の外周側に流れさせることができる。ディスクロータの通風口は、互いに隣接するフィンによって規定される。
貫通穴の大きさ、位置は、車両の走行中に遠心力によりディスクロータの通風口から外周側に吹き出す風を、筒状部の外周側に良好に流れさせ得るように決定される。ディスクロータとブレーキダストカバーとがどのような相対位相にあっても、貫通穴と通風口との少なくとも一部同士が必ず重なるようにすることが望ましい。
例えば、貫通穴の大きさ、位置を、貫通穴と通風口との重なり部分の面積が、貫通穴の面積の、少なくとも1/3以上、1/2以上、2/3以上、3/4以上となるように決めることができる。
また、貫通穴の大きさは、筒状部の外周面全体の面積に対する貫通穴の開口面積の比率が、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上となるようにすることが望ましい。
なお、貫通穴の円周方向の端部にリブを設けることができる。それによって、筒状部の強度の低下を抑制しつつ貫通穴の開口面積を大きくすることができる。
(3)前記筒状部の軸方向の寸法が、前記ディスクロータの外周面の軸方向の寸法より大きくされた(1)項または(2)項に記載のブレーキダストカバー。
例えば、筒状部の軸方向の寸法を、ディスクロータの外周面の軸方向の寸法より大きくして、風返し部が延び出す側の端部を設定値だけ内周側に突出させれば、ディスクロータの通風口から外周側へ吹き出す風が、車両の幅方向の外側に向かうことを防止することができ、ダストがブレーキダストカバーより外側に向かうことを防止することができる。
(4)前記風返し部が、前記筒状部に沿って、前記円板状部が設けられた側に向くにつれて外周側に位置する向きに傾斜する形状を成した(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキダストカバー。
ブレーキダストカバーが非回転体に取り付けられた状態において、風返し部は、車両の幅方向の内側に向くにつれて外周側に位置する向きに傾斜する姿勢とされる。風返し部は、曲面によって形成されるものであっても、平面によって形成されるものであってもよい。
風返し部の、ブレーキダストカバーの軸線(筒状部の軸線であり、以下、単に軸線と略称する)に対する傾斜角度は、45°以上、55°以上、60°以上、65°以上、70°以上とすることが望ましい。傾斜角度が小さいと、筒状部の貫通穴から外周側に向かう風を車両の内側に流れさせ難くなり、望ましくないからである。
風返し部が、平面によって形成される場合には、平面を規定する軸線方向の線と軸線との成す角度が傾斜角度とされ、曲面によって形成される場合には、その曲面の接平面を規定する軸線方向の線と軸線との成す角度が傾斜角度とされる。
(5)前記風返し部が、前記筒状部に隣接する第1傾斜部と、第1傾斜部の外周側に設けられた第2傾斜部とを含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレーキダストカバー。
第1傾斜部、第2傾斜部は、上述のように、それぞれ、平面であっても、曲面であってもよい。また、第2傾斜部の軸線に対する傾斜角度は、第1傾斜部の軸線に対する傾斜角度より小さくすることが望ましい。それによって、筒状部の貫通穴から外周側に向かう風を、車両の幅方向の内側に向けて流れさせることが可能となる。
(6)前記風返し部の半径方向の寸法が、前記円板状部の半径の0.05倍以上0.4倍以下とされた(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のブレーキダストカバー。
風返し部の半径方向の寸法が大きい場合は小さい場合より、より良好に、風を車両の内側に向かって流れさせることができる。
(7)前記風返し部の軸方向の寸法が、前記筒状部の軸方向の寸法以上とされた(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のブレーキダストカバー。
風返し部の軸方向寸法は、筒状部の軸方向の寸法の1.0倍以上1.5倍以下とすることが望ましい。
(8)前記風返し部の形状が、それの外周縁が前記円板状部の中心を中心とする同一円周上に位置するものとされる(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のブレーキダストカバー。
ブレーキダストカバーは、概して円形を成したものとされる。ブレーキダストカバーはディスクホイールの内周側に設けられるため、ブレーキダストカバーの外周縁、すなわち、風返し部の外周縁は同一円周上に位置するものとすることが望ましい。
(9)当該ブレーキダストカバーがディスクホイールの内周側に配設され、前記風返し部の外周縁と前記ディスクホイールの内周面との間の隙間が10mm以下とされた(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のブレーキダストカバー。
風返し部の外周縁とディスクホイールの内周面との間の隙間が小さい場合は大きい場合より、ダストを風返し部より外側へ流れさせ難くすることができる。この意味において、隙間は小さいほどよく、10mm以下、7mm以下、5mm以下とすることが望ましい。
(10)当該ブレーキダストカバーが、前記筒状部が、ディスクブレーキのベンチレーティッド型のディスクロータの外周面の外周側に位置する姿勢で、前記非回転体に取り付けられた(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のブレーキダストカバー。
ディスクロータ22は、概して円板状を為したものであり、ベンチレーティッド式のものである。円板部の軸線方向(車輪の回転軸線方向)Lの両端面が摺動面30,32とされ、内部には、複数のフィンが設けられる。フィンにより、ディスクロータ22の内周側から外周側に貫通する複数の通風路が形成され、通風路の開口が開口34(図2参照)とされる。
ディスクロータ22、ディスクホイール20は、アクスルハブ36に固定され、アクスルハブ36が、保持部37に一対のベアリング38,39を介して相対回転可能に保持される。
キャリパ26は、ディスクロータ22を外周側から跨ぐ状態で、図示しない非回転体に取り付けられる。キャリパ26には、ブレーキシリンダ24に加えて、一対の摩擦パッド40,42が、ディスクロータ22の摩擦面30,32に対向して、軸線方向Lに相対移動可能に保持される。
ディスクホイール20はリム部62とディスク部64とを備えたものであり、リム部62に図示しないタイヤが保持され、ディスク部64において、上述のように、アクスルハブ32に相対回転不能に固定される。ディスクブレーキ16およびダストカバー10は、リム部62の内周側に、かつ、ディスク部64の車両の幅方向の内側に配設される。
ダストカバー10は、円板状部70において非回転体12に取り付けられる。その状態で、筒状部72が軸線方向Lと平行に車両の幅方向の外側に向かって延び、風返し部74が筒状部72の外側の端部から外周側に向かって延びた姿勢とされる。
円板状部70は、中心に貫通穴75が形成され、外周部の一部が切り欠かれた形状をなす。この切欠部78は、概して扇形を成す。なお、円板状部70の端面に凹凸が設けられるのは、強度を大きくしたり、他の部材との干渉を避けたりするためである。
筒状部72には、複数の半径方向の貫通穴82が設けられる。貫通穴82のうち小径部81に設けられた貫通穴82Aについて、ディスクロータ22の回転に伴って貫通穴82と開口34との重なりの程度が変化するが、貫通穴82Aは、開口34と貫通穴82Aとの重なり部が、貫通穴82Aの1/2より小さくならない大きさ、位置に設けられる。開口34と貫通穴82Aとの重なり部の面積は大きいほど望ましい。
同様に、大径部80に形成された貫通穴82Bは、キャリパ26の外周側に設けられた貫通穴84と重なる大きさ、位置に設けられる。また、キャリパ26の貫通穴84の内側において、ディスクロータ22の開口34と貫通穴82Bとの重なり部が貫通穴82Bの1/2以上となるように設けられる。
貫通穴82Aと貫通穴82Bとにおいて、大きさは、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
また、筒状部72の大径部80,小径部81の軸線方向Lの寸法は、ディスクロータ22の厚み(摺動面30,32間の厚み)より長くされており、さらに、筒状部72の小径部81(ディスクロータ22に対向する部分)の風返し部74が設けられた側(円板状部70が設けられた側とは反対側)の端部は、僅かに内周側に曲げられて内周側突部90とされる。
風返し部74のロータ対応部94,キャリパ対応部92は、いずれも、円板状部70に近づくにつれて外周側に近づく向きに傾斜し、それぞれ、傾斜角度が異なる2つの傾斜部96A,B,98A,Bを有する。傾斜部96A,Bは、それぞれ、筒状部72の小径部81,大径部80に連続する内周側の部分であり、傾斜部98A,Bは、それぞれ、傾斜部96A,Bに連続する外周側の部分である。本実施例において、2つの傾斜部96A,B,98A,Bは、概して平面状を成し、外周側傾斜部98A,Bの軸線Lに対する傾斜角度は、内周側傾斜部96A,Bの傾斜角度より小さくされている。傾斜角度は、傾斜部96A,B,98A,Bを規定する線(軸線方向Lに延びた線)と軸線Lとの成す角度である。
ロータ対向部94(内周側傾斜部96Aと外周側傾斜部98Aとを含む)において、内周側傾斜部96Aの軸線Lに対する傾斜角度はほぼ60°とされ、外周側傾斜部98Aの傾斜角度はそれより小さくされる。また、図1に示すように、ロータ対向部94の半径方向の寸法L1は、円板状部70の半径L0の約0.25倍とされる。
キャリパ対向部92(内周側傾斜部96Bと外周側傾斜部98Bとを含む)の内周側傾斜部96Bの軸線Lに対する傾斜角度は、ロータ対向部94の内周側傾斜部96Aの軸線Lに対する傾斜角度より小さくされている。これは、ディスクホイール20の大きさの制約を受けるからである。キャリパ26の外周面とディスクホイール20のリム部62の内周面との間の隙間において、許容される範囲内で、内周側傾斜部96Bと外周側傾斜部98Bとの傾斜角度が決められる。
なお、外周側傾斜部98A,Bの外周縁100は、円板状部70の中心を中心とする同一円周上に位置し、外周縁100とリム部62の内周面との間の隙間Hは、ディスクホイール20とダストカバー10との相対回転を許容する範囲で、できる限り小さくすることが望ましい。例えば、10mm以下、5mm以下等とすることができる。
また、図1に示すように、風返し部74の軸方向Lの寸法が、筒状部72の寸法より大きくされており、長さMが、筒状部72の軸方向の寸法の約0.20倍とされる。外周縁100は、円板状部70の端面Fより長さMだけ、車両の幅方向の内側に延び出すことになる。
走行中、車両には、幅方向の内側から外側に向かって風が流れるようにされている。また、車輪の回転による遠心力により、風は、ディスクロータ22の内周側から外周側に向かって流れ、開口34から吹き出す。その風により、ディスクブレーキ16の作動(ディスクロータ22の摺動面30,32と摩擦パッド40,42との摺動)により生じたブレーキダスト(以下、ダストと略称する)も外周側に吹き出す。
また、風返し部74が設けられるため、ダストが生じ、外周側に向かって吹き出しても、車両の外側へ向かって流れることを防止することができる。ダストがディスク部64の裏面102に付着したり、外側へ飛散したりすることを防止し、ディスクホイール20が汚れ難くすることができる。
さらに、風返し部74が、傾斜角度が大きい内周側傾斜部96と、それより傾斜角度が小さい外周側傾斜部98とを有するため、より、一層、ダストを車両の内側に向けて流れさせることができる。また、内周側突部90が設けられているため、ダストがディスクロータ22の外側へ飛散することを防止することができる。
それに対して、本実施例におけるダストカバー10は、たいていの車両に取り付けられるものである。そのため、部品点数を増やしたり、組付工数を増やしたりすることなく、良好にディスク部64の汚れを防止することが可能となる。
また、特許文献2に記載のように、ディスクロータ22の両側にダストカバーを配設する場合に比較して、軽量化を図ることができる。
キャリパ固定部152、円板状部固定部154は、それぞれ、筒状部の一部を成す第1筒状分割部156,第2筒状分割部158と、風返し部の一部を成す第1風返し分割部160,第2風返し分割部162とを含む。キャリパ固定部152においては、第1筒状分割部156において、図しないボルト等によりキャリパ26に固定される。第1筒状分割部156、第2筒状分割部158には、それぞれ、上記実施例における場合と同様に、貫通穴164A,Bが形成される。
また、本実施例においては、第1風返し分割部160の軸方向の寸法が、第2風返し分割部162の軸方向の寸法より大きくされている。すなわち、第1風返し分割部160の外周縁170と第2風返し分割部162の外周縁172との半径は同じである(円板状部70の中心からの距離は同じである)が、外周縁170の方が軸線方向Lの内側まで延び出している。図4において、外周縁170の円板状部70の端面Fからの長さNが、外周縁172の端面Fからの長さN′より大きくされているのである。その結果、キャリパ26の外周面の貫通穴84から外周側に吹き出すダストを、より確実に車両の内側へ流れさせることが可能となる。
なお、キャリパ固定部152において、第1筒状分割部156は不可欠ではない。キャリパ26に直接第1風返し分割部160を取り付けることもできる。
さらに、筒状部、風返し部をディスクロータ22,キャリパ26の外周面すべてに対応して連続して設けることは不可欠ではない。例えば、キャリパ26に対応する部分にのみ設けても風返し部が設けられない場合に比較して、ダストが車両の外側に流れ難くすることができ、ディスク部64が汚れ難くすることができる。
また、ダストカバーは樹脂材料で製造されたものとすることができる。
さらに、上記実施例においては、ダストカバーがディスクブレーキ装置に用いられる場合について説明したが、ドラムブレーキ装置に適用することもできる。
以上、複数の実施例を記載したが、本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
Claims (4)
- 車両の非回転体に取り付けられたブレーキダストカバーであって、
円板状部と、
中空の筒状部と、
その筒状部の、前記円板状部とは反対側から外周側に延び出した風返し部と
を含み、かつ、前記筒状部に、貫通穴が複数、互いに間隔を隔てて形成されたことを特徴とするブレーキダストカバー。 - 車両の非回転体に取り付けられたブレーキダストカバーであって、
円板状部と、
中空の筒状部と、
その筒状部の、前記円板状部とは反対側から外周側に延び出した風返し部と
を含むとともに、その風返し部が、前記筒状部に沿って、前記円板状部が設けられた側に向くにつれて外周側に位置する向きに傾斜する形状を成し、かつ、前記風返し部の半径方向の寸法が、前記円板状部の半径の0.05倍以上0.4倍以下とされたことを特徴とするブレーキダストカバー。 - 当該ブレーキダストカバーがディスクホイールの内周側に配設され、前記風返し部の外周縁と前記ディスクホイールの内周面との間の隙間が10mm以下とされた請求項1または2に記載のブレーキダストカバー。
- 当該ブレーキダストカバーが、前記筒状部がディスクブレーキのベンチレーティッド型のディスクロータの外周面の外周側に位置する姿勢で、前記非回転体に取り付けられた請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキダストカバー。
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