JPH0353067Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はデイスクブレーキ用ダストカバーに関
し、特に、エアスクープを備えたダストカバーに
関するものである。

従来技術 デイスクブレーキにおいては、一般に、デイス
クロータを一面側から覆うダストカバーが設けら
れている。かかるダストカバーにおいては、通
常、その外周部に貫通穴を設けるとともにダスト
カバーのデイスクロータ側と反対側の面において
その貫通穴近傍の金属製のエアスクープを固着す
ることにより、車両走行時においてそのエアスク
ープにより外気を前記貫通穴からデイスクロータ
に向かつて導入して制動に伴つて発熱したデイス
クロータ等を冷却するようになつている。上記エ
アスクープには、通常、金属製のものが使用され
ているが、重量低減等を目的として樹脂またはゴ
ム製のものを使用することが考えられる。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、樹脂またはゴム製のエアスクー
プを使用する場合においてそのエアスクープをダ
ストカバーに直接固定した場合には、制動に伴つ
て高温となるダストカバーによりエアスクープが
劣化させられる虞があるため、ダストカバーの前
記貫通穴の近傍にデイスクロータから離隔する方
向へ傾斜しつつ所定距離突き出し且つ突出方向と
直角な方向の断面形状が略Ｕ字状を成す突出部を
一体的に設ける一方、エアスクープを前記突出部
の底壁および側壁の外面とそれぞれ略当接させら
れる底壁および側壁を有して構成し、そのエアス
クープの底壁をリベツト等の固定部材により突出
部の底壁に固定することが考えられる。しかし、
この場合においても未だ解決すべき問題を有して
いる。すなわち、かかるエアスクープにそれをダ
ストカバーと接近させる方向の比較的大きな外力
が加えられた場合には、エアスクープ側壁の前記
突出部突出端面と近接する部分が底壁から離隔す
る方向へ開かれることに起因して、エアスクープ
がダストカバーと接近する方向へ比較的大きく変
形させられる場合があるとともに、エアスクープ
にそれをダストカバーから離隔する方向の比較的
大きな外力が加えられた場合には、エアスクープ
側壁が底壁側基部であつてその底壁の固定部材に
よる固定部分と対応する位置を回動中心として側
壁壁面に沿つて回動させられることに起因して、
エアスクープがダストカバーから離隔する方向に
おいて比較的大きく変形させられる場合があり、
このような場合には、エアスクープの外気導入機
能が損なわれる虞があるのである。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であつて、その目的とするところは、前記突出部
の底壁外面に固定部材により固定された樹脂また
はゴム製のエアスクープが外力によりダストカバ
ーと接近離隔する方向へ変形させられるのを抑制
する技術を提供することにある。かかる目的を達
成するために、本考案は、デイスクロータを一面
側から覆う状態で配設される一方、外周部に設け
られた貫通穴と、その貫通穴の近傍においてデイ
スクロータから離隔する方向へ傾斜しつつ所定距
離突き出した状態で一体的に設けられ、突出方向
と直角な方向の断面形状が略Ｕ字状を成す突出部
と、その突出部の底壁および側壁の外面とそれぞ
れ略当接させられる底壁および側壁を有し、その
底壁において突出部の底壁に固定部材により固定
された樹脂またはゴム製のエアスクープとを備
え、そのエアスクープにより外気を前記貫通穴か
ら前記デイスクロータに向かつて導入する形式の
円板状のデイスクブレーキ用ダストカバーにおい
て、前記突出部の側壁に係合穴を設ける一方、前
記エアスクープの内面であつて前記突出部の突出
端面と近接する部分に、そのエアスクープの前記
底壁および側壁を互いに連結し、エアスクープに
それを前記ダストカバーと接近させる方向の外力
が加えられたとき、その側壁が底壁から離隔する
方向へ開くのを阻止する連結部を一体に設けると
ともに、そのエアスクープの側壁の内面に、エア
スクープにそれを前記ダストカバーから離隔させ
る方向の外力が加えられたとき、その側壁の底壁
側基部であつてその底壁の固定部材による固定部
分と対応する位置を回動中心とする側壁の壁面に
沿つた回動を前記突出部の係合穴との係合に基づ
いて阻止する係合突起を一体に設けたことを特徴
とする。

作用および考案の効果 このようにすれば、エアスクープにそれをダス
トカバーと接近させる方向の比較的大きな外力が
加えられたとしても、エアスクープの内面であつ
て突出部の突出端面と近接する部分においてエア
スクープの底壁および側壁を互いに連結する状態
で設けられた連結部により、エアスクープ側壁の
前記突出部突出端面と近接する部分が底壁から離
隔する方向へ開かれることが阻止されるので、エ
アスクープがダストカバーと接近する方向におい
て変形させられるのを効果的に抑制し得る一方、
エアスクープにそれをダストカバーから離隔させ
る方向の比較的大きな外力が加えられたとして
も、エアスクープの側壁に設けられた係合突起と
前記突出部の側壁に設けられた係合穴との係合に
基づいて、エアスクープ側壁の底壁側基部であつ
てその底壁の固定部分と対応する位置を回動中心
とする側壁の壁面に沿つた回動が阻止されるの
で、エアスクープがダストカバーから離隔する方
向において変形させられるのを効果的に抑制し得
る。これにより、エアスクープの姿勢、ひいては
外気導入機能を好適に維持し得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第３図は本考案が適用されたデイスクブレーキ
用ダストカバーを示す図である。ダストカバー１
０は全体として円板状を成し、その内周側におい
て図示しない非回転部材に固定されることによ
り、その非回転部材に回転可能に設けられたデイ
スクロータ１２を一面側から覆つてデイスクロー
タ１２等に泥水等が付着するのを防止する。ダス
トカバー１０の外周側にはデイスクロータ１２の
外周部に跨設された図示しないキヤリパとの干渉
を避けるために切欠１４が設けられている。

ダストカバー１０の外周部であつて切欠１４の
車両前進時におけるデイスクロータ１２回転方向
（第３図中Ａ方向）下流側に位置する部分には、
長穴状の貫通穴１６が複数個互いに隣接して設け
られており、この貫通穴１６の近傍であつてダス
トカバー１０のデイスクロータ１２側と反対側の
面には、取付部材１８が一体的に設けられてい
る。取付部材１８は、第１図乃至第３図に示すよ
うに、ダストカバー１０にスポツト溶接等により
固着された平板状部２０と、その平板状部２０の
一端から所定角度傾斜しつつ一体に延びてデイス
クロータ１２から離隔する方向へ所定距離突き出
し、突出方向と直角な方向の断面形状が略Ｕ字状
を成す突出部２２とから成る。この突出部２２の
先端側の部分には、断面形状が突出部２２と略同
様のＵ字状を成し、突出部２２の底壁２４および
両側壁２６，２８の各外面とそれぞれ略当接させ
られた底壁３０おび側壁３２，３４を有する樹脂
製のエアスクープ３６が、その底壁３０の基部側
において一対のリベツト３８により突出部２２の
底壁２４に一体的に取り付けられている。このリ
ベツト３８が本実施例の固定部材を構成する。そ
して、エアスクープ３６により車両の前進走行時
に外気が貫通穴１６からデイスクロータ１２に向
かつて好適に導入されることとなる。

エアスクープ３６の内面であつて底壁３０と側
壁３２および側壁３４との間には、第１図および
第２図に示すように、それら底壁３０と側壁３２
および側壁３４とを互いに連結する三角形状の連
結部４０，４２がそれぞれ一体に設けられてお
り、両連結部４０，４２の相対向する各一端部は
互いに繋がつているとともに、これら連結部４
０，４２は、エアスクープ３６が突出部２２に固
定された状態において突出部２２の突出端面と略
当接する位置に位置させられている。また、エア
スクープ３６の側壁３４の内面であつて底壁３０
から離隔した端部側には、第１図および第２図に
示すように、側壁３２側に向かつて突き出す三角
形状の係合突起４４が一体に設けられている一
方、前記突出部２２の側壁２８の前記係合突起４
４と対応する位置には、底壁２４から離隔した端
部において開口し、係合突起４４の厚さより僅か
に大きい幅寸法を有する切欠４６が設けられてお
り、係合突起４４が切欠４６内に嵌め入れられた
状態で係合させられている。したがつて、本実施
例においては、上記切欠４６が係合穴に相当して
いる。

ここで、第４図および第５図は、エアスクープ
３６に前述のような連結部４０，４２および係合
突起４４が設けられておらず且つ突出部２２に係
合突起４４と係合させられる前述のような切欠４
６が設けられていない場合において、エアスクー
プ３６にそれをダストカバー１０に対して接近離
隔させる方向の外力が加えられた場合におけるエ
アスクープ３６の変形状態の一例を示している。
図において、エアスクープ３６にそれをダストカ
バー１０と接近させる方向において比較的大きな
外力が加えられた場合には、第５図中一点鎖線で
示すように、エアスクープ３６の両側壁３２，３
４の突出部２２突出端面と近接する部分が底壁３
０と離隔する方向へ比較的大きく開かれることに
起因して、エアスクープ３６は、第４図中一点鎖
線で示すように、ダストカバー１０と接近する方
向へ比較的大きく変形させられている。一方、エ
アスクープ３６にそれをダストカバー１０から離
隔させる方向において比較的大きな外力が加えら
れた場合には、第５図中二点鎖線で示すように、
エアスクープ３６の両側壁３２，３４の突出部２
２突出端面と近接する部分が上述の場合とは逆に
底壁３０と接近する方向へ僅かに閉じられつつ、
側壁３２，３４の底壁３０側基部であつて一対の
リベツト３８を結ぶ直線上に略位置する部分を回
動中心として、たとえば第４図において矢印で示
すように、側壁３２，３４がそれらの壁面に沿つ
て図中右まわりに所定量回動させられることに起
因して、エアスクープ３６は、第４図中二点鎖線
で示すように、ダストカバー１０から離隔する方
向へ比較的大きく変形させられている。

これに対し、本実施例によれば、エアスクープ
３６にそれをダストカバー１０と接近させる方向
の比較的大きな外力が加えられたとしても、エア
スクープ３６の側壁３２，３４の前記突出部２２
突出端面と近接する部分が互いに離隔する方向へ
開かれることが連結部４０，４２の存在によつて
好適に防止されるとともに、連結部４０，４２と
突出部２２突出端面とが互いに当接させられるこ
とに基づいて、エアスクープ３６のダストカバー
１０と接近する方向の変形が効果的に抑制され
る。一方、エアスクープ３６にそれをダストカバ
ー１０から離隔させる方向の比較的大きな外力が
加えられたとしても、エアスクープ３６の側壁３
４の壁面に沿つた前記右まわり方向の回動が係合
突起４４と切欠４６との係合に基づいて好適に防
止されることに基づいて、エアスクープ３６のダ
ストカバー１０と離隔する方向の変形が効果的に
抑制される。係合突起４４および切欠４６のリベ
ツト３８に対する相対位置等が予めそのように決
定されているのである。これにより、エアスクー
プ３６に前記比較的大きな外力が加えられても、
エアスクープ３６の姿勢、ひいては外気導入機能
が好適に維持されることとなる。

また、本実施例によれば、係合突起４４と切欠
４６との係合、および連結部４０，４２と突出部
２２突出端面との当接に基づいて、エアスクープ
３６をリベツト３８により突出部２２に固定する
に際してエアスクープ３６の突出部２２に対する
位置決めを容易に為し得る利点がある。

また、本実施例によれば、エアスクープ３６の
側壁３４はエアスクープ３６を成形するための成
形型の型割り方向（第２図において上下方向）に
対して側壁３２から離隔する方向へ所定角度を成
して傾斜する状態で設けられており、係合突起４
４の側壁３２と対向する側の側端面は、側壁３４
の内面中間部から先端部に向かつて延びて前記型
割り方向と平行に位置するように設けられている
ので、前記成形型の構造が簡単となつて成形型が
安価に提供される等の利点がある。なお、係合突
起４４の前記側端面が、前記先端部に向かう程側
壁３２から離隔するように前記型割り方向に対し
て所定角度を成して傾斜させられている場合にお
いても、同様の効果が得られる。

また、本実施例によれば、連結部４０，４２は
三角形状に形成されているので、連結部４０，４
２を設けたことによつてエアスクープ３６の外気
導入機能に支障を来す虞は殆どないのである。

また、本実施例によれば、エアスクープ３６を
ダストカバー１０と接近させる方向の外力が加え
られた場合において、たとえ側壁３４がその壁面
に沿つて左まわり方向に回動させられることがあ
つたとしても、前記係合突起４４と切欠４６との
係合に基づいてその回動を阻止し得て、その回動
によるエアスクープ３６のダストカバー１０と接
近する方向の変形を抑制し得る一方、エアスクー
プ３６をダストカバー１０から離隔させる方向の
外力が加えられた場合においては、連結部４０，
４２の存在により側壁３２，３４が閉じられるこ
とが防止されることによつても、エアスクープ３
６のダストカバー１０から離隔する方向の変形を
ある程度抑制し得る。

また、本実施例によれば、エアスクープ３６は
ダストカバー１０から所定距離突き出した突出部
２２の先端側に固定されているため、ダストカバ
ー１０が比較的高温となつてもエアスクープ３６
が劣化させられるのを効果的に防止し得る。

また、本実施例によれば、エアスクープ３６は
樹脂にて成形されているので、金属製のものに比
べて軽量となり且つそれに伴つてダストカバー１
０の振動強度を向上させ得る一方、金属製のもの
に比べて比較的弾性を有するため、車両の組付け
ライン等においてエアスクープ３６が他の部品や
作業者等と接触した場合においてもエアスクープ
３６やダストカバー１０の変形（永久変形）を効
果的に防止し得るとともに作業者がけがをさせら
れるのを効果的に防止し得る。

なお、前述の実施例において突出部２２は取付
部材１８に設けられているが、必ずしもその必要
はなく、たとえば、ダストカバーの一部を切り起
こすことにより突出方向と直角な方向の断面形状
が略Ｕ字状を成す突出部をダストカバーと一体に
設けても良い。この場合においては部品点数が低
減されるとともに取付部材１８をダストカバー１
０に固定するための工程が不要となる利点があ
る。

また、前述の実施例において、係合突起４４は
側壁３４にのみ設けられているが、必ずしもその
必要はなく、たとえば、側壁３２を側壁３４と同
様に傾斜させてその側壁３２の内面にも同様の係
合突起を設けるようにしても良い。このようにす
れば、両側壁３２，３４の各壁面に沿つた前記右
まわり方向の回動が共に阻止されるので、エアス
クープ３６のダストカバー１０から離隔する方向
の変形を一層効果的に抑制し得る。

また、前述の実施例において、係合突起４４は
三角形状にて形成されているが、三角形以外の他
の形状とすることも可能である。

また、前述の実施例において、係合穴は切欠４
６にて構成されているが、必ずしもその必要はな
く、たとえば、長穴等であつても良い。

また、前述の実施例において、連結部４０，４
２はそれぞれ三角形状に形成されているが、必ず
しもその必要はなく、たとえば、側壁３２、底壁
３０、側壁３４を全体として連結する矩形状の連
結部としても良い。この場合においては、連結部
とダストカバーとの成す角を、外気に好適に導入
し得る角度とすることが望ましい。

また、前述の実施例において、連結部４０，４
２は突出部２２突出端面と略当接させられている
が、必ずしもその必要はなく、突出部２２突出端
面と近接する位置において所定距離離隔した状態
で設けられている場合においても、本考案の一応
の効果が得られる。

また、前述の実施例においては、係合突起４４
が切欠４６内に嵌め入れられた状態で係合させら
れているが、必ずしもその必要はなく、係合突起
および切欠はエアスクープ側壁の少なくとも前記
右まわり方向の回動を阻止し得る状態で係合させ
られておれば良いのである。

また、前述の実施例において、エアスクープ３
６は突出方向と直角な方向の断面形状が略Ｕ字状
に形成されており、一対の側壁３２，３４を有し
て構成されているが、必ずしもその必要はなく、
前記断面形状が略Ｌ字状を成し、突出部の両側壁
の何れか一方と略当接させられる一個の側壁を有
するものであつても良い。

また、前述の実施例においては、固定部材とし
てリベツト３８が使用されているが、ビス等であ
つても良い。

また、前述の実施例においてエアスクープ３６
は樹脂にて成形されているが、ゴム製のものであ
つても良い。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第３図におけるＢ矢視図の拡大図であ
つて、一部を切り欠いて示す図である。第２図は
第１図の−視断面を拡大して示す図である。
第３図は本考案が適用されたダストカバーの正面
図である。第４図はエアスクープに本考案の連結
部および係合突起が設けられておらず且つ突出部
に前記係合突起と係合する係合穴が設けられてい
ない場合におけるエアスクープのダストカバーと
接近離隔する方向の変形状態の一例を示す図であ
つて、第１図に対応する図である。第５図は第４
図の−視断面図の要部を示す図である。 １０……ダストカバー、１２……デイスクロー
タ、１６……貫通穴、２２……突出部、２４……
底壁、２６，２８……側壁、３０……底壁、３
２，３４……側壁、３６……エアスクープ、３８
……リベツト（固定部材）、４０，４２……連結
部、４４……係合突起、４６……切欠（係合穴）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 デイスクロータを一面側から覆う状態で配設さ
   れる一方、外周部に設けられた貫通穴と、該貫通
   穴の近傍において該デイスクロータから離隔する
   方向へ傾斜しつつ所定距離突き出した状態で一体
   的に設けられ、突出方向と直角な方向の断面形状
   が略Ｕ字状を成す突出部と、該突出部の底壁およ
   び側壁の外面とそれぞれ略当接させられる底壁お
   よび側壁を有し、該底壁において該突出部の底壁
   に固定部材により固定された樹脂またはゴム製の
   エアスクープとを備え、該エアスクープにより外
   気を前記貫通穴から前記デイスクロータに向かつ
   て導入する形式の円板状のデイスクブレーキ用ダ
   ストカバーにおいて、 前記突出部の側壁に係合穴を設ける一方、前記
   エアスクープの内面であつて前記突出部の突出端
   面と近接する部分に、該エアスクープの前記底壁
   および側壁を互いに連結し、該エアスクープにそ
   れを前記ダストカバーと接近させる方向の外力が
   加えられたとき、該側壁が該底壁から離隔する方
   向へ開くのを阻止する連結部を一体に設けるとと
   もに、該エアスクープの側壁の内面に、該エアス
   クープにそれを前記ダストカバーから離隔させる
   方向の外力が加えられたとき、該側壁の底壁側基
   部であつて該底壁の固定部材による固定部分と対
   応する位置を回動中心とする該側壁の壁面に沿つ
   た回動を前記突出部の係合穴との係合に基づいて
   阻止する係合突起を一体に設けたことを特徴とす
   るデイスクブレーキ用ダストカバー。