JPH0412253Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ねじ付スタツドを固着した車体等の
部材に、パネルやパイプ、その他の部材をねじ付
スタツドを介して固定する固定具に関する。

従来の技術 自動車の車体のパネル等を固定するため、従来
は、車体の溶着されたナツトにねじを取付けて固
定していた。しかしながら、この取付け法はねじ
の回動を必要としているため作業性が悪く、ナツ
トやねじによつて重量が増すという欠点がある。
更に、取付板が金属である場合には顕著には現わ
れないが、合成樹脂で成る場合、板が熱膨脹して
もねじの強い締め付け力により逃げ場がないため
板が波打ち変形するという欠点もある。

考案が解決しようとする問題点 従つて、本考案は、取付け作業が容易で且つ熱
膨脹によつても波打ち変形を生じない固定具を提
供するにある。

問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するため、本考案による固定
具は、本体を構成する外壁の内側に軸心方向に延
びるスタツド挿通空間が形成されており、外壁の
内面からは前記スタツド挿通空間に向け且つ上方
に傾斜して延びる係止爪が対を成して形成され、
各係止爪対が軸心方向に複数段設けられ、係止爪
対間にはスタツドをスタツド挿通空間の中央に規
制するように軸心方向に延びる一対のガイドが設
けられ、各係止爪は、平面で見てほぼ矩形の板形
状に形成されかつ前記外壁に連結された辺以外は
自由になつていて十分に撓み得るように形成され
ていることを特徴としている。かかる特徴によ
り、固定具をねじ付きスタツドに押し込むだけで
２つの部材を交互に取付けることができ、その取
付け保持力は過度に強くなく、熱膨脹により波打
ち変形を防止できる。

実施例 以下本考案の実施例について図面を参照しなが
ら説明する。第１図ａ〜ｆは本考案による固定具
の基本構造を示しており、第２図はその固定具を
用いて２つの部材を取付けた様子を示している。

第１図ａ〜ｆにおいて、固定具１はプラスチツ
ク材料の一体成型品であり、本体を構成する外壁
２を備えており、この外壁２の中心の、固定具の
軸心方向にはスタツドが挿通できる空間３が形成
されている。外壁２は、図示の例では角筒に形成
されているが、円筒あるいは六角筒等の他の任意
の形に作ることができる。スタツド挿通空間３に
は、外壁２の内面から中心に向けて係止爪４が設
けられている。各係止爪４は、第１図ｂ及びｆに
図示のように、平面で見て、矩形板の撓み易い形
状に形成されている。また、各係止爪４の根元部
分は、十分な撓みを得るよう、スタツドの外面か
ら半径方向外方に向けて離れている（第２図〜第
５図参照）。この係止爪４は、直径方向に対向し
て対になつて形成されており、また各係止爪４は
外壁２から中心に向けて上方に傾斜して設けら
れ、これによりスタツドへの挿入時に係止爪に対
して弾性を与えてその挿入を容易にするとともに
挿通後の抜け止めの作用を成す。各係止爪対は固
定具の軸心方向（すなわち上下方向）に複数段
（図示の例では４段）設けられ、これにより、各
係止爪の剛性を増すことなく強い固着力を維持で
きる。この段数は２以上であれば任意でよく、挿
入時の容易性と固着力との兼ね合いで適当に選択
できる。

係止爪対４，４が設けられた方向に対して直交
する方向の両側面には窓５が開けられ、係止爪の
型成形を容易にしている。この窓５のほぼ中央に
は上下方向に延びるガイド６が柱状に形成され、
このガイド６はスタツドの側面をスタツド挿通空
間３の中央に規制するよう作用する。

第１図ａ〜ｆの実施例では、固定具１の底面に
大径のフランジ７が形成されており、その中央に
スタツドの挿通のための穴８が形成される。この
穴８の下面は下方に向け拡径しているのが好まし
く、挿通の容易さを図るだけでなく、スタツドの
フイレツト部を逃げることができる。また、固定
具１の上面には穴９が形成されるのが好ましく、
これにより長いスタツドの場合に該穴を通してス
タツドを突出させればよい。

第２図は第１図の固定具１を用いて断熱板１０
を車体１１に取付け保持した様子を示している。
車体１１にはねじ付スタツド１２が固着され、断
熱板１０には該スタツド１２を貫通する穴が設け
られスタツドを通して断熱板１０が車体１１に接
面するよう取付けられる。その後、本考案による
固定具１がフランジ７を先にしてスタツド１２に
挿通される。固定具１をスタツドに押しつけると
該固定具は係止爪４を撓ませながら押し込めら
れ、フランジ７が断熱板１０に接面し押圧した状
態で止まる。こん時各係止爪４はねじ付スタツド
のねじの谷あるいはフランクに係合して固定具１
の抜け外れを防止し、断熱板１０を車体１１に固
定する。この固定力を強めるため固定具１を半回
転程回してもよい。しかし、この固定力は過度に
強くなく、断熱板等が熱膨脹により拡がつてもそ
れを逃がすことができる。また固定具１を取外す
には逆方向に回転させればよい。

第３図は第２の実施例を示す。この例では、固
定具１５の上面に大径のフランジ１６が形成され
ている。他方、底面にはフランジが設けられてい
ない。フランジ１６の上面には補強リブ１７が形
成され、また下面には下方に突出するピン１８が
形成されている。車体１１には第２図のようにね
じ付スタツド１２が固着されており、断熱板１９
にスタツド貫通穴２０が形成されている。従つ
て、固定具１５を用いることにより、第３図図示
のように、断熱板１９を押圧保持できる。

第４図は第３の実施例を示している。この例で
は本考案による固定具２１の外壁２の外面にパイ
プ保持部２２，２２が設けられている。パイプ保
持部２２，２２には自動車の燃料パイプ２３やブ
レーキ油パイプ２４等のパイプあるいは筒状部材
が保持される。車体１１にはねじ付スタツド１２
が固着され、該スタツド１２に固定具２１を押し
込むことによりパイプ等が車体に固定される。

第５図は第４の実施例を示している。この例で
は、本考案による固定具２５の外壁の外側に電線
結束バンド２６が設けられている。このバンド２
６とは反対の側の外壁面には、止め具２７が設け
られ、バンドにより電線の束あるいはハーネス２
８を車体に連結することができる。

第３〜５図の例では固定具の上面にスタツド突
出用の穴が形成されていないが、かかる穴を形成
してもよいことは勿論である。

考案の効果 本考案によれば、固定具のスタツド挿通空間の
係止爪対が多段に形成されているため、各係止爪
の剛性を高めることなく十分な保持力が得られ、
各係止爪の撓みを大きくできるのでその挿入作業
が極めて楽になり、しかも十分な保持力でありな
がら過度の締付けにならないので熱膨脹により板
部材の波打ちもなくなる。更に係止爪の弾性を大
きくできるのでスタツドのねじ面の塗膜を剥がす
ことがなくなり、ねじ部の腐蝕の問題もなくな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はａ〜ｆは本考案の一実施例による固定
具を示しており、同図ａは正面図、同図ｂは平面
図、同図ｃは底面図、同図ｄは右側面図、同図ｅ
は同図ｂのｅ−ｅ線断面図、同図ｆは同図ａのｆ
−ｆ線断面図、第２図は第１図ａ〜ｆの固定具の
使用状態を示す断面図、第３図〜第５図は、本考
案の第２〜第４実施例による固定具の使用状態を
示す断面図である。 １，１５，２１，２５……固定具、２……外
壁、３……スタツド挿通空間、４……係止爪、５
……窓、６……ガイド、７，１６……フランジ、
１０，１９……断熱板、１１……車体、１２……
ねじ付スタツド、２２……パイプ保持部、２３，
２４……パイプ、２６……結束バンド、２７……
止め具。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ねじ付スタツドを固着した部材に該スタツド
   を介して他の部材を固定するのに用いる固定具
   において、本体を構成する外壁の内側に軸心方
   向に延びるスタツド挿通空間が形成されてお
   り、前記外壁の内面からは前記スタツド挿通空
   間に向け且つ上方に傾斜して延びる係止爪が対
   を成して形成され、各係止爪対が軸心方向に複
   数段設けられ、該係止爪対間にはスタツドを前
   記スタツド挿通空間の中央に規制するように軸
   心方向に延びる一対のガイドが設けられ、各係
   止爪は、平面で見てほぼ矩形の板形状に形成さ
   れ且つ前記外壁に連結された辺以外は自由にな
   つていて十分に撓み得るよう形成されているこ
   とを特徴とする固定具。 (2) 固定具の下端に大径のフランジが形成され、
   該フランジにより前記他の部材を押圧支持する
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の固定具。 (3) 固定具の上端に大径のフランジが形成され、
   該フランジにより前記他の部材を押圧支持する
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の固定具。 (4) 外壁の外面にパイプ周面を支持するパイプ保
   持部が形成されていることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の固定具。 (5) 外壁に結束バンドが設けられていることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   固定具。