JPH0411880Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用ステツプ装置に関し、特に車
体側面に形成された乗降口を開閉するスライドド
アを備えた自動車において、そのスライドドアの
開閉に連動してステツプ板が出退するようにした
ステツプ装置に関するものである。

（従来の技術） 従来から、スライドドアを備えた自動車の乗降
口にステツプを固定して設けたものはあるが、外
部に突出して設けた場合は危険であり、内部に設
けると車室の床面に大きな段差ができることにな
る。そのため、スライドドアの開閉に連動してス
テツプ板を出退させるようにしたものが種々提案
されている。例えば、ステツプ板を平行リンクや
摺動軸にて出退自在に支持し、カム機構によりス
ライドドアの開閉に連動して出退するようにした
ものや、ステツプ板を水平に突出した姿勢と垂直
に折り畳んだ姿勢との間で水平軸心回りに回動自
在に支持し、このステツプ板をスライドドアに形
成したカム面によりスライドドアの開閉に連動し
て上下回動させるようにしたもの等、種々の方式
のものが提案されている。又、実開昭56−95945
号公報には、各種車両用のステツプ装置として、
垂直軸心回りに旋回可能なステツプ板を設け、ド
アの開閉に連動して出退するようにしたものが開
示されている。その具体構成は、リンク装置を構
成する駆動アームと案内アームにてドアを開閉駆
動可能に支持するとともに、その案内アームにス
テツプ板を一体的に取付けて構成されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上記のようにステツプ板とスライド
ドアとの間に設けたカム機構によつてステツプ板
を出退させるようにしたものにおいては、スライ
ドドアにその移動方向と直交する方向に大きな力
が作用してスライドドアの円滑な開閉が阻害され
たり、ステツプ板の円滑な出退動作が得にくい等
の問題がある。また、上記公報に開示された構成
のものでは、ドアを開く際にこのドアが車体の側
方に大きく突出するという問題があり、またガイ
ドレールにて開閉自在に支持されている通常の自
動車用のスライドドアにはそのままでは適用する
ことができないという問題があり、さらに例えば
旋回可能なステツプ板とスライドドアとをリンク
で連結した場合には、スライドドアの円滑な開閉
が確保し難いという問題がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記従来の問題点を解消するため、車
体側面に形成された乗降口を開閉するスライドド
アを備えた自動車において、乗降口の下部側方に
突出した突出姿勢と乗降口下部に退入した退入姿
勢との間で垂直軸心回りに旋回可能で、かつ常時
突出姿勢に向かつて付勢されるとともにスライド
ドアが閉じる時にスライドドアに設けた押圧具に
当接して退入姿勢に旋回されるステツプ板を設け
たものであつて、車体側にストツパ片を固定する
一方、ステツプ板が突出位置に旋回すると前記ス
トツパ片に係合してステツプ板を突出姿勢に係止
する係止部材をステツプ板の下面に枢支し、この
係止部材をストツパ片に係合する方向に付勢する
一方、この係止部材に連結杆を介して連結され前
記係止部材を非係止位置に移動させる係止解除手
段をステツプ板の下面の前記押圧具に当接可能な
位置に配設し、スライドドアが閉じる時において
前記押圧具が前記係止解除手段に当接することに
より、係止解除手段の動作が連結杆を介して係止
部材に伝わり、係止部材を回動させてストツパ片
との係合を解除してステツプ板の回動を可能に
し、その後のスライドドアの閉動作に伴う押圧具
の移動に従つて、ステツプ板が退入位置に回動す
るように構成したことを特徴とするものである。

（作用） このような構成によると、スライドドアを開く
と、ステツプ板は退入姿勢から突出姿勢に向かつ
て旋回し、突出姿勢になると係止部材にてストツ
パ片に係止固定される。したがつて、突出姿勢で
固定されたステツプ板を利用して楽にかつ安全に
乗降することができる。また、スライドドアを閉
じると、スライドドアに設けた押圧具が係止解除
手段に当接することによつて、係止解除手段の動
作が連結杆を介して係止部材に伝わり、係止部材
を回動させてストツパ片との係止が解除され、そ
の後ステツプ板はスライドドアとの係合によりそ
の閉動作に連動して退入姿勢に向かつて旋回し、
スライドドアが閉じると退入姿勢となるのであ
る。さらに、前記係止部材及び係止解除手段がス
テツプ板の下面に設けられているため、ステツプ
板のステツプ面にこれら係止部材及び係止解除手
段が突出することがない。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

ステツプ装置の配置状態を示す第２図におい
て、１は自動車の車体で、その側面に形成された
乗降口２がスライドドア３にて開閉可能に構成さ
れている。このスライドドア３は、図示していな
い周知の案内機構によつて移動自在に支持されて
いる。車室の床面４の乗降口２部分には室内ステ
ツプ５が設けられ、その下部にステツプ装置６が
配設されている。

このステツプ装置６の詳細を第１図と第３図及
び第４図により説明する。前記室内ステツプ５の
内側位置における床面４の下部に、支持ブラケツ
ト７がボルト８ａ，８ｂにて取付けられている。
この支持ブラケツト７の水平板部７ａを貫通して
中空の支持軸９が固着されている。この支持軸９
の下部の小径軸部９ａに、一対のラジアル軸受１
０を介してステツプ板１１の基部に固着されたボ
ス部１２が外嵌されている。また、このボス部１
２の下面にはスラスト軸受１３を介してスラスト
受板１４が対向配置され、前記支持軸９の中空部
を貫通するボルト１５にて支持されている。こう
して、前記ステツプ板１１は、第２図及び第４図
に実線で示すように、乗降口２の下部側方に突出
した突出姿勢と第４図に仮想線で示すように、乗
降口２の下部に退入した退入姿勢との間で旋回可
能に構成されている。また、ステツプ板１１は、
そのボス部１２及び支持軸９下部の外周に巻回さ
れるとともに、一端が前記支持ブラケツト７に、
他端がステツプ板１１にそれぞれ係合されたトー
シヨンバネ１６にて常時前記突出姿勢に向かつて
付勢されている。

ステツプ板１１のボス部１２から適当間隔離れ
た位置の下面には第１の枢支ブラケツト１７にて
係止部材１８が回動自在に枢支されており、前記
ステツプ板１１の側部を通つて上方に延出された
その一端部にはＵ字溝状の係止部１９が形成され
ている。前記支持ブラケツト７の平面板部７ａの
下面に取付けられた取付ブラケツト２０の先端部
には、前記ステツプ板１１が突出姿勢となつてい
るときに、前記係止部１９に係合し得るようにス
トツパ片２１が垂設されている。また、前記係止
部材１８はトーシヨンバネ２２にて常時係止部１
９がストツパ片２１に係合するように回動付勢さ
れている。

前記ステツプ板１１の先端部における一側部下
面には、第２の枢支ブラケツト２３にて作用部材
２４が回動自在に枢支されている。この作用部材
２４のステツプ板一側縁側の端部には、前記スラ
イドドア３の前端下部に取付けられた押圧ローラ
２６が当接して押圧される受圧面２５が形成さ
れ、この受圧面２５が押圧されると作用部材２４
が回動するように構成されている。そして、この
作用部材２４の受圧面２５とは反対側の端部と、
前記係止部材１８の係止部１９とは反対側の端部
とが、連結杆２７にて連結されている。

尚、第１図及び第４図において、２８は支持ブ
ラケツト７の水平板部７ａから垂下されたストツ
パで、ステツプ板１１の上面に取付けられた第１
の位置決めクツシヨン２９と係合してステツプ板
１１の突出姿勢を位置規制し、また第１の位置決
めクツシヨン２９の側部に取付けられた第２の位
置決めクツシヨン３０が前記ストツパ片２１に係
合してステツプ板１１の退入姿勢を位置規制する
ように構成されている。

以上の構成において、第２図に示すように、ス
ライドドア３が乗降口２を開いている状態では、
第１図〜第４図に実線で示すように、ステツプ板
１１がトーシヨンバネ１６にて付勢されて突出姿
勢となつており。かつ係止部材１８の係止部１９
がストツパ片２１に係合してステツプ板１１はそ
の突出姿勢で係合固定されている。かくして、こ
のステツプ板１１を利用して安全かつ容易に乗降
することができる。

この状態から、第２図の矢印Ａの如くスライド
ドア３を閉じると、その押圧ローラ２６が第４図
に示すようにステツプ板１１の先端部の一側縁に
向かつて接近移動し、この押圧ローラ２６が作用
部材２４の受圧面２５に当接して押圧すると、仮
想線で示すように作用部材２４が回動し、それに
伴つて連結杆２７を介して係止部材１８が回動
し、その係止部１９とストツパ片２１との係合が
解除される。こうして、ステツプ板１１が回動可
能な状態となつた後、押圧ローラ２６にてさらに
押圧されることによつて、ステツプ板１１は第２
図及び第４図に矢印Ｂで示す如く、トーシヨンバ
ネ１６の付勢力に抗して退入姿勢に向かつて旋回
する。さらに、スライドドア３は完全に閉じる直
前に前方に移動しながら内側に移動するので、前
記押圧ローラ２６で受圧面２５を押圧してステツ
プ板１１を退入姿勢まで旋回させることができ、
スライドドア３が閉じるとステツプ板１１は退入
姿勢となる。

また、スライドドア３を開くと、ステツプ板１
１はトーシヨンバネ１６の付勢力により突出姿勢
に向かつて旋回し、突出姿勢に近付くと係止部材
１８がストツパ片２１に係合することによつてト
ーシヨンバネ２２の付勢力に抗して一旦回動せし
められた後、ストツパ片２１が係止部１９に嵌入
することによつて復帰回動し、上記の如くストツ
パ片２１と係止部１９が係合してステツプ板１１
が係合固定されるのである。

本考案は上記実施例に限定されるものではな
く、ステツプ板１１の支持構造や係止解除手段等
の具体構成は種々に設計変更して実施することが
できる。

（考案の効果） 本考案の自動車用ステツプ装置によれば、以上
のように、スライドドアを開くとステツプ板が突
出姿勢に向かつて旋回し、突出姿勢でストツパ片
と係止部材が係合してステツプ板が固定されるの
で、このステツプ板を利用して容易かつ安全に乗
降することができ、またスライドドアを閉じると
係止解除手段にて自動的に上記係合が解除された
後、ステツプ板はスライドドアとの係合により退
入姿勢に向かつて旋回されるのである。従つて、
スライドドアにおいても、垂直軸心回りに旋回す
るステツプ板を用いたステツプ装置を実用化でき
るとともに、スライドドアとステツプ板を連結し
ていないので、スライドドアの円滑な開閉が阻害
される虞れもないという効果がある。さらに前記
係止部材及び係止解除手段がステツプ板の下面に
設けられているため、ステツプ板のステツプ面に
これら係止部材及び係止解除手段が突出すること
がないので、安全に乗降することができ、また外
観を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示し、第
１図は一部を破断して示した斜視図、第２図は車
体の乗降口部分の斜視図、第３図は第２図の−
線断面図、第４図は一部を破断して示した平面
図である。 １……車体、２……乗降口、３……スライドド
ア、６……ステツプ装置、１１……ステツプ板、
１８……係止部材、２１……ストツパ片、２４…
…作用部材（係止解除手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体側面に形成された乗降口を開閉するスライ
   ドドアを備えた自動車において、乗降口の下部側
   方に突出した突出姿勢と乗降口下部に退入した退
   入姿勢との間で垂直軸心回りに旋回可能で、かつ
   常時突出姿勢に向かつて付勢されるとともにスラ
   イドドアが閉じる時にスライドドアに設けた押圧
   具に当接して退入姿勢に旋回されるステツプ板を
   設けたものであつて、車体側にストツパ片を固定
   する一方、ステツプ板が突出位置に旋回すると前
   記ストツパ片に係合してステツプ板を突出姿勢に
   係止する係止部材をステツプ板の下面に枢支し、
   この係止部材をストツパ片に係合する方向に付勢
   する一方、この係止部材に連結杆を介して連結さ
   れ前記係止部材を非係止位置に移動させる係止解
   除手段をステツプ板の下面の前記押圧具に当接可
   能な位置に配設し、スライドドアが閉じる時にお
   いて前記押圧具が前記係止解除手段に当接するこ
   とにより、係止解除手段の動作が連結杆を介して
   係止部材に伝わり、係止部材を回動させてストツ
   パ片との係合を解除してステツプ板の回動を可能
   にし、その後のスライドドアの閉動作に伴う押圧
   具の移動に従つて、ステツプ板が退入位置に回動
   するように構成したことを特徴とする自動車用ス
   テツプ装置。