JPH04117958U - 金属積層形シリンダヘツドガスケツト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリンダヘッドは、締め付けにより中央部が
反る撓みが起き、更に、オープンデッキ型エンジンで
は、外郭が振動し易いので、シール性能が低下する。こ
のシール性の低下を抑制したシリンダヘッドガスケット
を提供する。 【構成】 オープンデッキ型エンジン用の金属積層形シ
リンダヘッドガスケット18において、冷却水通路８の外
郭４に対応するガスケット外周部に、全周にわたり金属
薄板24し、外郭側の圧縮力をバランスよく高めるように
した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、オープンデッキ型エンジンに用いるに適した金属積層形シリンダヘ ッドガスケットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近時、エンジンを軽量化するためにアルミニウムダイカスト成形物によるシリ ンダブロックは、型抜きを容易にするためにいわゆるオープンデッキ型としてい ることは周知である。 このオープンデッキ型シリンダブロックの概要を図４〜図５によって説明する 。図においてエンジンブロック１は、アルミダイカストによる一体成形体であり 、シリンダ壁２と外郭４とは底部６で互いに一体をなし、その間に冷却水通路８ が形成され、シリンダ壁２は互いに連通部10によって一体的に形成されている。 したがってシリンダ壁２の周囲に堀状に冷却水路８が取り巻いた構造をしている 。なお図の11はシリンダボア、12はヘッドボルトを取付けるねじ穴、14は潤滑油 を図示しないシリンダヘッドに潤滑油を送るオイル穴である。

【０００３】 前記説明のオープンデッキ型のエンジンに取付ける金属積層形シリンダヘッド ガスケットについて図６〜図７によって説明する。図のシリンダヘッドガスケッ ト18は、表面板20、ビード板22、中間板24によって構成されている。表面板20は 、シリンダ穴11′の周囲で裏側に折り返した折返し部26を形成し、ガスケット内 部に燃焼ガスが侵入することを防止すると共に、ビード28の面圧調整を行ってい る。

【０００４】 また、シリンダヘッドガスケット18は、冷却水路８と図示しないシリンダヘッ ドの冷却水路とを連通する水穴８′を設けており、この水穴８′をシールするビ ード30は、中間板24に設けている。このようにシリンダ穴11′をシールするビー ド28と水穴８′をシールするビード30とを別々の金属板に設けることにより、そ れぞれに適合したシール力を得ることができる。

【０００５】 その外、シリンダヘッドガスケット18には、図７に示すようにボルト取付け穴 12（図４）に対応する位置にボルト穴12′を設けており、またオイル穴14に対応 するオイル穴14′には、中間板24に図示しないビードを設けて潤滑油の漏出を防 止している。なお、図６の35はシリンダライナである。 前記金属積層形ガスケットは、従来から、表面板に、接合面のツールマークな どの細かな傷をシールする樹脂などによるコーティイングを行い、また、積層板 の間からの流体洩れを防止するために、中間板の表面全面に樹脂などをコーティ ングすることが行われている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、一般に直列多気筒エンジンのシリンダヘッドは、シリンダヘッドガ スケットのビード、特にシリンダ穴の周囲に設けたビードにより、中央部分が持 ち上がるように反り返る傾向がある。その上にオープンデッキ型シリンダブロッ クは、シリンダ壁がヘッドボルトで固定された外郭から切り離されているので、 シリンダ壁が振動し易くなる。そのためにシリンダヘッドガスケットは、シリン ダヘッドが反り返る中間部や、締め付けボルトの中間部で、エンジンの振動によ りシール性能が低下し易いという問題がある。

【０００７】 しかしながら、前記のとおり多気筒エンジンのオープンデッキ型シリンダブロ ックの場合は、エンジンの高出力化などと相まってシリンダヘッドとシリンダブ ロックとを締め付ける荷重が増加すると、シリンダヘッドの撓み量も増加するの で、前記コーティングしたものも積層板間からの冷却水の漏洩を十分に防止する ことが困難となるという問題がある。

【０００８】 本考案は、以上の問題に着目して成されたものであり、オープンデッキ型エン ジンに使用しても積層板間からのシール流体が漏洩する危険のない金属積層形シ リンダヘッドガスケットを提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

以上の目的を達成するための本考案の金属積層形シリンダヘッドガスケットの 構成は、エンジンのオープンデッキ型シリンダブロックに取付ける金属積層形シ リンダヘッドガスケットにおいて、シリンダブロックの気筒周囲に設ける冷却水 路の外郭に対応するガスケット外周部に、全周にわたり配置され、且つ、その内 周縁が、シリンダ側デッキに達しない金属薄板を積層したものである 前記ガスケット外周部に配置する金属薄板は、いずれの積層板間に設けてもよ い。また、その厚さは、特に限定はないが、一般には0.０２〜0.１５mm程度の厚 さとすればよい。更に、材質にも特に限定はなく、通常の金属積層形ガスケット に使用する軟鋼、ステンレス鋼などを適宜使用することができ、該金属薄板にシ ール材を被覆して使用することがもできる。但し、該金属薄板の内周側が、冷却 水通路に露出する場合には、該内周部分は、シール材が冷却水に直接接するので 、温水によって膨潤・剥離する危険がある。したがって、冷却水通路を詰まらせ る危険があるので、この部分には、シール材で被覆することを避けるべきである 。

【００１０】 前記ガスケット外周部に配置する金属薄板は、冷却水路の外郭側デッキの圧縮 力を、シリンダ側デッキの圧縮力より高くし、且つ、そのバランスの調節を容易 にし、シリンダ穴と外郭の周囲との両方のシールを両立させることを容易にする 。

【００１１】

【実施例】

以下添付の図面を対照して一実施例により本考案を具体的に説明する。 図１に示す本実施例のガスケット18は、金属積層形ガスケットの構造が図６と 同様に形成しているので、同様の部材には同じ記号を付して説明を省略する。そ して、エンジンブロック１の外郭４に対応する部分に配置する本実施例の外郭４ に対応する外周部に配置する金属薄板（以下外周板という）36は、図２に示すよ うに、中間板24の上に配置し、その上を表面板20で覆うように配置している。外 側板36の表面には、シール材を塗布することもできる。本実施例のシリンダヘッ ドガスケット18を適用したシリンダブロック１は、図４に説明したものと同様の ものである。なお、外周板36は、シリンダ２の頂面側より外郭４側の押圧力を高 めるためのものであるから、外周板36の内周縁38は、冷却水路８内にはみ出して もよいが、シリンダ２の頂面（デッキ面）に達するように設けてはならない。

【００１２】 本実施例のシリンダヘッドガスケット18を、オープンデッキ型シリンダブロッ ク１を用いた1.５リッターの４気筒エンジンに適用し、シリンダ内に窒素ガスを 圧入する静圧試験、及び実際に運転した実働試験に対し十分使用可能の試験結果 を得た。 図３はシリンダ壁が薄いエンジンに適用した場合のシリンダヘッドガスケット 18のビード構成を示す斜視図である。即ち、水穴８′のビード30′は、各気筒ご との複数の水穴８′全体を囲むように形成し、内側は、シリンダ穴11′をシール するビード28が兼ねるように構成している。このようなシリンダヘッドガスケッ ト18の外郭４の上面に当たる部分に外周板36を配置した。このシリンダヘッドガ スケット18も、前記実施例と同様に水洩れを効果的に防止することができた。な お、図３において、中間板24を、ビード30′の突出方向と反対側（図の下側）の 外周板36に積層すると、ビード30′の圧縮力を高めることができる。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように構成した本考案の金属積層形シリンダヘッドガスケットは 、オープンデッキ形エンジンブロックの冷却水通路の外郭に対応させて、ガスケ ットの外周部に配置する金属薄板（外側板）を積層したために、バランスを保ち ながら、シリンダ側デッキの圧縮力より前記外周部側の圧縮力を高くすることが 容易となり、振動、特にシリンダの振動や、熱負荷変動によるシール性能の低下 による水洩れ、特に、金属板を積層した間からの水洩れを効果的に防止すること ができ、オープンデッキ型シリンダブロックを使用したエンジンの信頼性を向上 させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例によるシリンダヘッドガスケッ
トを一部破断して示した斜視図である。

【図２】外側被覆層を設けた図１のシリンダヘッドガス
ケットの金属板の平面図である。

【図３】別の実施例による本考案のシリンダヘッドガス
ケットの使用状態を示す要部斜視図である。

【図４】従来のオープンデッキ型シリンダブロックを一
部破断して示した斜視図である。

【図５】図４の上面図である。

【図６】従来のシリンダヘッドガスケットを図４のシリ
ンダブロックに配置した場合について一部破断して示し
た斜視図である。

【図７】図６に示す従来のシリンダヘッドガスケットの
上面図である。

【符号の説明】

１ シリンダブロック ２ シリンダ壁 ４ 外郭、 ８ 冷却水路 ８′水穴 18 シリンダヘッ
ドガスケット 20 表面板 22 ビード板 24 中間板 28 ビード 30 ビード 30′ビード 34 被覆層を設けた金属板 36 外周板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンのオープンデッキ型シリンダブ
   ロックに取付ける金属積層形シリンダヘッドガスケット
   において、シリンダブロックの気筒周囲に設ける冷却水
   路の外郭に対応するガスケット外周部に、全周にわたり
   配置され、且つ、その内周縁が、シリンダ側デッキに達
   しない金属薄板を積層した金属積層形シリンダヘッドガ
   スケット。