JPH04116147A

JPH04116147A - 溶射皮膜つき亜鉛めっき浴用部材の皮膜寿命向上方法

Info

Publication number: JPH04116147A
Application number: JP2232531A
Authority: JP
Inventors: Yoshio Harada; 良夫原田; Kazumi Tani; 和美谷
Original assignee: Tocalo Co Ltd
Current assignee: Tocalo Co Ltd
Priority date: 1990-09-04
Filing date: 1990-09-04
Publication date: 1992-04-16
Anticipated expiration: 2013-05-28
Also published as: JP2758707B2

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、溶射皮膜つき亜鉛めっき浴用部材の皮膜寿命
向上方法に関し、とくに連続溶融亜鉛めっき浴中に浸漬
して用いるロールその他の部材に被成した溶射皮膜の寿
命、すなわち耐溶融亜鉛性能を向上させる方法に関する
ものである。

なお、本発明は、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき浴
中で使用するロール類のみならず、これらの溶融合金と
接触する各種の部材（軸受部材など）へ施工した溶射皮
膜への適用も可能である。

〔従来の技術〕

さて、自動車用鋼板や土木、建築用鋼材、あるいは家電
装置などの耐熱、耐食材として用いられている溶融亜鉛
めっき鋼板などは、大部分、第１図に示すような連続溶
融亜鉛めっき処理によって製造されている。この溶融亜
鉛めっき処理装置には、めっき浴ｌ中に浸漬されるジン
クロール２、めっき浴中の表面近傍に配設されるサポー
トロ−ル３およびこれらのロールを通過した後のめっき
鋼板４を案内するガイドロール５、鋼板に付着した過剰
の亜鉛を窒素ガスで吹き飛ばすための噴射ノズル６など
が配設されている。前記浴用部材というのは、めっき浴
中に浸漬されるか、溶融亜鉛が飛散付着しやすい個所に
設置してあり、また溶融亜鉛が付着した高温の鋼板と接
触するように使われるので、（１）溶融亜鉛による侵食
が起こり難いこと、（２）通板材（鋼板）と接触しても
摩耗しにくいこと、（３）付着した溶融亜鉛の剥離並び
に保守点検が容易なこと、（４）ロールとしての寿命が
長く低コストであること、そして、（５）高温の溶融亜
鉛浴中に浸漬した際の熱衝撃によく耐えること、などの
性能が要求される。

ところで、従来使用されているめっき浴用ロールや軸受
構成部品１例えばブツシュ、ベアリング。

カラー、エンドボールなどの部材としては、（１）表面
にＪＩＳ　Ｈ８３０３（１９７６）制定のＣＯ基自溶合
金を？容射したもの、（２）特開昭６１−１１７２６０号公報に開示のような
、ＺｒＯ□とＡ１□０３からなるセラミックス皮膜を溶
射形成したもの、（３）特公昭５Ｂ−３７３８６号公報に開示のように、
ＷＣ。

Ｃｒ３Ｃ２，Ｔｉｃの１種または２種以上に対し、Ｎｉ
Ｓｉの如き熱間耐食性金属またはこれらの酸化物を共存
させてなる０、１〜２．４ｍｍ厚さの皮膜を主として溶
射法によって形成したもの、などがある。

［発明が解決しようとする課題〕前述の例示から判るように、従来の溶融亜鉛めっき浴用
部材についての研究課題というのは、■耐溶融亜鉛性皮
膜材料の選定、■皮膜の密着性向上、■皮膜の緻密性向
上、■皮膜表面粗さの制御などの皮膜自身の特性が主体
であり、それぞれに改善の効果があった。

しかしながら、本発明者らの研究によれば、皮膜寿命の
改善のためには、単に皮膜材質の選定をするというよう
な上述の点の研究だけでは限界があり、さらには環境側
の溶融亜鉛めっき浴の組成そのものについての吟味も必
要であるとの結論に達した。

そこで、本発明は、このような考え方の下で、溶射皮膜
の特性だけでなく、めっき浴組成についても吟味し、そ
れぞれの好適条件を見出すことによって、上述した欠点
を克服することとし、以下に説明するような技術に想到
した。

〔課題を解決するための手段〕

本発明者らの研究によると、溶融亜鉛めっき浴の形成に
当り、純亜鉛にアルミニウムを所定の割合いで添加し、
−力部材の皮膜を非酸化物系溶射皮膜とすれば、その両
方の作用が相乗的なものとなって、前記溶射皮膜の耐溶
融亜鉛性を桁違いに向上させ得ることが判った。すなわ
ち、溶融亜鉛めっき浴中で使用する部材表面に形成した
溶射皮膜の寿命についての研究によれば、その寿命は皮
膜中へ拡散浸透してくる溶融亜鉛の拡散速度に支配され
ることがわかり、そして、この速度を低下させるには、
溶融亜鉛中にアルミニウムを適量添加すればよいことを
実験的に見出したのである。

しかも、このような方法の採用によって、溶射皮膜の寿
命延長を飛躍的に延長させ得るのはもちろん、このこと
によって、溶融亜鉛めっき製品の品質はいささかも害さ
れないことも判った。

このような新規知見に基づいて開発した本発明は、溶射
皮膜材料としては非酸化物系セラミックスを用いること
とし、一方、浴組成としては溶融亜鉛にアルミニウムを
０．０１〜１０ｗｔ％（以下は単に１％」で略記する）
の範囲内で含有させた溶融亜鉛めっき浴を用いることと
した皮膜寿命の向上方法である。なお、この浴組成のア
ルミニウム含有量は、０．５％を超えるときには、その
効果は一層顕著なものとなる。

このような浴組成の下で部材を使用すると、アルミニウ
ムを含む溶融亜鉛浴中に浸漬されている部材の溶射皮膜
表面には、亜鉛めっき浴中のアルミニウムを選択的に吸
着し、その吸着されたアルミニウムの含有量は浴中の数
倍から数百倍に達するほど濃縮することになる。その結
果、溶射皮膜は、この高濃度アルミニウム合金によって
保護され、それ故に、溶融亜鉛の内部侵入を防ぎ、溶射
皮膜の耐溶融亜鉛性が著しく向上する。以下に本発明の
構成を具体的に説明する。

〔作　用〕

本発明では、適用する溶射皮膜として、非酸化物系セラ
ミックスを主成分とするサーメットまたは非酸化物系セ
ラミックスそのものを用いた。酸化物系セラミックスで
は、本発明の効果が十分でなく、また金属（合金）系の
溶射皮膜ではアルミニウム含有量の少ない溶融亜鉛めっ
き浴中では多少の効果は認められるものの、皮膜の寿命
を大幅に延長させるまでには至らない。

かかる非酸化物系セラミックスとしては、ＣｒｚＣ３，
ＴｉＣ，ＺｒＣ，ＷＣ，ＷＴｉＣ，Ｂ４Ｃ，ＮｂＣの如
き炭化物などにＣｏ、　Ｎｉ、　Ｎｉ−Ｃｒなどを添加
したもの、あるいはＣｒＢ、　ＴｉＣ２，ＺｒＢｚの如
き硼化物が適しており、これらの炭化物サーメツト材も
しくは硼化物セラミックスを単独または混合状態で溶射
皮膜としたものがよい。

このような構成とした溶射皮膜を溶融亜鉛中に浸漬する
と、先ず溶融亜鉛が溶射皮膜と接触し、次いで皮膜の内
面に拡散浸透する。この場合、皮膜に貫通孔が存在する
と、溶融亜鉛は貫通孔を通して侵入し、母材金属を溶出
するため、溶射皮膜は短期間内に剥離する。したがって
、本発明にあっても、溶射皮膜は貫通孔のない緻密な皮
膜であることが前提条件である。緻密な皮膜への亜鉛の
侵入は、皮膜を構成する微小な粒子の粒界を通じて選択
的に進むが、その速度は約４８０°Ｃである溶融亜鉛め
っき浴中では１日当り数ミクロンである。

ところが、かかる溶融亜鉛めっき浴中に、アルミニウム
を重量％で０．０１〜ｌＯ％添加しておくと、亜鉛の皮
膜中への侵入速度は極端りこ遅くなる。

このことを確かめるため、アルミニウム含有めっき浴中
に浸漬された溶射皮膜の表面を詳細に観察したところ、
皮膜表面は非常に多くのアルミニウムを含んだ亜鉛−ア
ルミニウム合金によって被覆された状態となっているこ
とが判明した。この亜鉛−アルミニウム合金中のアルミ
ニウム含有量は、浴中のアルミニウム含有量の数倍から
数百倍に達しており、このような合金に被覆された溶射
皮膜中への亜鉛の侵入速度は、４８０″Ｃで１日当り０
．０１〜１μｍ程度となり、殆ど侵食されなくなること
が判明した。いわゆる、溶射皮膜が亜鉛−アルミニウム
合金によって保護された状態になっているのである。

なお、溶射皮膜表面へのアルミニウムの濃縮機構につい
ては必ずしも明らかでないが、アルミニウムの濃縮によ
って生成する亜鉛−アルミニウム合金被覆は融点が高く
、その分、粘度が上昇するので、この合金被覆層中を拡
散する亜鉛の速度が極端に低下することによるものと考
えられる。

このような亜鉛−アルミニウム合金層の生成によって溶
射皮膜を保護するのに有効な溶融亜鉛めっき浴中のアル
ミニウム含有量は、重量％で０．０１〜１０％の範囲が
適当である。アルミニウム含有量が０．０１％より少な
い場合は、その効果が十分でなく、また１０％以上の場
合は亜鉛浴の融点そのものが上昇する結果、４４０〜５
００″Ｃの操業温度条件ではめっき作業が困難となる。

より好ましくは０．５〜１０％の範囲が好適である。

なお、本発明において、部材表面に溶射皮膜を形成する
方法としては、炭化水素−酸素、水素酸素などの燃焼ガ
ス炎（含爆発溶射法）およびアルゴン、窒素、ヘリウム
、水素などを用いるガスプラズマなどを熱源とする溶射
法などが使用できるが、形成した溶射皮膜に貫通気孔が
ないことが重要である。

以上説明した本発明で形成する溶射皮膜は、炭化物サー
メットおよび硼化物をそれぞれ単独または混合状態で成
膜したものであるが、これらの溶射皮膜材料は、その製
造過程において焼結１反応などの熱履歴を受けており、
また溶射時にも高温環境下におかれるため、炭化物、硼
化物の一部は酸化されて酸化物となったり、また金属成
分と反応して金属間化合物をつくることが予想される。

例えば、札とＣｏの反応では、Ｃｏ３Ｗ、、Ｃ，ＷａＣ
ｚ、ｓｎが生成することが知られているが、本発明の対
象となる溶射皮膜は、成膜材料の製造過程や溶射環境で
反応生成するこれらの金属間化合物類をも含有している
ことはいうまでもない。

（実施例〕実施例１本発明にかかる部材の効果を確認するため、次のような
実験を行った。

（１）亜鉛浴のアルミニウム濃度：　０．０１％、０．
１％。

１％、１０％、１５％（重量％）（２）亜鉛浴の温度・浸漬時間：　　４８０’Ｃ，２４
０時間（３）供試溶射皮膜の種類：　（数字は重量％を
示す）炭化物サーメット； ■ＷＣ−１２ＣＯ，■ＣｒａＣｚ−２０Ｃｒ−７Ｎｉ。

■ＴｉＣ−２ＯＮ＋　＋硼化物セラミックス： ■ＣｒＢ、　　■ＴｉＢ２．　　■ＺｒＢｚ。

■：　〔■の材料５０＋■の材料５０］。

■：　〔■の材料５０＋■の材料５０〕。

■：　〔■の材料５０＋■の材料５０〕なお、上記炭化
物サーメットの■〜■の溶射は、炭化水素（Ｃ３Ｈ８）
−酸素燃焼エネルギーを用いた高速ガス炎溶射法によっ
て行い、その他の皮膜■〜■は減圧プラズマ溶射法によ
って、それぞれ直径１５肛×長さ２００ｍｍのＳＵＳ　
３０４ステンレス鋼製の試験片に２００μｍ厚さになる
ように成膜した。

また、比較例として、純亜鉛浴（ＪＩＳ　Ｈ２１０７普
通亜鉛地金９９．９７％以上）を用い、４８０°Ｃ，２
４０時間の浸漬処理を行った。

試験終了後の溶射皮膜は切断し、その断面を光学顕微鏡
およびＸ線マイクロアナライザーによって亜鉛の皮膜へ
の侵入状況を観察することによって、耐溶融亜鉛性を評
価した。第１表は、その観察結果を示したものである。

すなわち、耐溶融亜鉛性の評価は、純亜鉛浴中における
Ｚｎの皮膜への侵入速度（比較例）を基準値とし、アル
ミニラＪ、添加量を用いたときの亜鉛の侵入速度を対比
したものである。

（備考〕第１表づ ○印は、純亜鉛浴中の亜鉛の侵食速度の１７１０以下◎
印は、純亜鉛浴中の亜鉛の侵食速度の１／１００以下Δ
印は、４８０°Ｃでは溶融亜鉛の粘度が高（、溶融亜鉛
めっきの操業不可能この結果から明らかなように、純亜鉛浴中に０．０１％
のアルミニウムが添加されると、皮膜への侵入速度は純
亜鉛浴中の１７１Ｏ以下となり、さらに０．１−１０％
とアルミニウム添加量が増加すると、亜鉛の侵入速度は
さらに低下する傾向が見られた。

特に■ＷＣ−１２ｃｏ皮膜、■ＣｒＢ、　　■Ｔ＋Ｂｚ
＋　■ＺｒＢｚおよび上記■の材料では、純亜鉛浴中の
１／１００以下となり、顕著な効果が認められた。また
、上記■、■の試験片では、皮膜の一部に多孔質な部分
が存在したため、前記皮膜に比べ耐侵入性に劣る結果と
なったが、それでも１）１０以下の侵入速度となってい
た。

また、アルミニウム含有量１５％の亜鉛浴では、４８０
°Ｃの条件下では粘度が非常に高く、この状態では鋼板
の溶融亜鉛めっき作業そのものが不可能と思われたので
、評価の対象外とした。

実施例２実施例１の試験片を用い、同じ亜鉛浴中で５００”Ｃ，
２４０時間の浸漬試験を行った結果、アルミニウム含有
量０．０１〜１０％の亜鉛浴中の皮膜はすべて純亜鉛浴
中における亜鉛の侵入速度より１／１ｏ以下にとどまっ
ていることが確認された。

実施例３第１図に示す連続溶融亜鉛めっき浴を用いて本発明に係
る方法についての改善効果を調査した。

（１）？−ｄｔロールニシンクロール、サポートロール
（２）溶射皮膜　：ＷＣ−６Ｇｏ、　ＷＣ−１２Ｃｏ　
　ＷＣ−１７Ｃ。

（３）溶射皮膜厚さ：２００μｍ（４）溶融亜鉛浴中のアルミニウム含有量：０％、０．
２％（５）溶融亜鉛浴の温度：４８０°Ｃ上記条件で亜鉛鉄板（ＪＩＳ　Ｇ３３０２５ＰＧＣ）の
生産を行い、溶融亜鉛による皮膜の侵食状況を観察した
。

その結果、純亜鉛浴中では３週間の使用で皮膜の大部分
が亜鉛によって侵食されたが、０．２％のアルミニウム
を含む亜鉛浴中では、亜鉛の皮膜中への侵食は１〜３μ
ｍの範囲にとどまっており、優れた耐溶融亜鉛性が認め
られた。また、製造される亜鉛鉄板には全く異常は認め
られず良好であった。

なお、この実施例において用いた熔融亜鉛は、ＪＩＳ　
１１２１０７普通亜鉛地金であり、不純物としてｐｂｏ
、０２％以下、Ｆｅ０．０１％以下、Ｃｄ　Ｏ，００５
％以下含まれており、また亜鉛浴に添加したアルミニウ
ムはＪＴＳ　Ｈ２１０２１種地金であり、この中にはＳ
ｉ　Ｏ，１５％以下、Ｆｅ　Ｏ，２０％以下、Ｃｕ　Ｏ
，０１％以下、Ｔｉ２．０２％以下、Ｍｎ　Ｏ，０２％
以下などと不純物が含まれている。

したがって、本発明の溶射皮膜が使用される含アルミニ
ウム溶融亜鉛浴中のアルミニウムおよび亜鉛以外の元素
は、上記の如き地金製造時に不可避的に含まれている不
純物元素は存在しているものであり、またこの程度の含
有量であれば本発明の効果は減殺されるものではない。

〔発明の効果〕

以上の説明並びに実施例での験証結果から明らかなよう
に、本発明によれば、溶融亜鉛めっき浴用部材は、その
表面に被覆形成する溶射皮膜を、炭化物、硼化物を主成
分とする非酸化物系の溶射皮膜とするとともに、めっき
浴組成を、アルミニウムを０．０１〜１０％添加したも
のとすることにより、その寿命を飛躍的に向上させるこ
とができる。そのために長期間に亘って安定しためっき
作業を続けることができ、保守点検費の節減、製造コス
トの低減などの面で大きな効果を発揮する。また、少量
のアルミニウムを含む亜鉛浴で製造されるめっき銅板の
品質は、純亜鉛浴で製造される鋼板と同等またはそれよ
り優れており、高品質の溶融亜鉛めっき鋼板の製造も可
能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、鋼板の連続溶融亜鉛めっき装置の概要を示す
路線図である。１・・・溶融亜鉛浴、　　２・・・ジンクロール、３・
・・サポートロール、　４・・・めっき鋼板、５・・・
ガイドロール、　　６・・・噴射ノズル第１図

Claims

【特許請求の範囲】

１．溶射皮膜つき部材を溶融亜鉛めっき浴用として使用
するに当り、そのめっき浴組成を、０．０１〜１０ｗｔ
％のアルミニウムを含む溶融亜鉛浴とすると共に、前記
溶射皮膜を下記の如き非酸化物を主成分とする溶射材料
を被覆したものにて形成することを特徴とする溶射皮膜
つき亜鉛めっき浴用部材の皮膜寿命向上方法。記上記非酸化物を主成分とする溶射皮膜が、Ｃｒ＿２Ｃ＿３，ＴｉＣ，ＺｒＣ，ＷＣ，ＷＴｉＣ，Ｂ
＿４Ｃ，ＮｂＣなどの炭化物に、Ｃｏ，Ｎｉ，Ｎｉ−Ｃ
ｒの金属成分を一種以上含ませたサーメット溶射材料、
もしくはＣｒＢ，ＴｉＢ＿２，ＺｒＢ＿２，などの硼化
物溶射材料である。
２．請求項１記載の方法において、溶融亜鉛浴組成を０
．５〜１０ｗｔ％のアルミニウムを添加したものとする
ことを特徴とする皮膜寿命向上方法。