JP2962973B2 - 溶融亜鉛めっき装置材料 - Google Patents
溶融亜鉛めっき装置材料Info
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Description
る新規な溶融亜鉛めっき装置用材料に関するものであ
る。
来鋼板、鋼線のような各種鋼材の耐食性を向上させるた
めに溶融亜鉛めっきが施されている。このめっきはたと
えば図1に示されるように、亜鉛ポット1に充填され、
約450〜490℃の比較的低い温度に加熱され溶融し
ている亜鉛浴2中にかかる鋼材、たとえば薄鋼板3を連
続的に送り、浸漬して行なわれる。4は焼鈍炉、5は先
端金物を示し、この金物5は浴中に一部浸漬している。
垂直に設けられたロールハンガー6により浴中ロール7
が懸垂されており、薄鋼板3は斜上方に設けられた金物
先端5から溶融亜鉛浴2中に入り、浴中ロール7を経て
垂直方向に巻き上げられる。
その部品、たとえば、上記亜鉛ポット1、先端金物5、
ロールハンガー6又は浴中ロール7等はいずれも溶融亜
鉛と接触しており、溶融亜鉛に対する耐食性が大きい材
料でつくることが必要である。しかし、溶融亜鉛の鉄鋼
に対する侵食性は非常に強く、耐食性の良否が装置寿命
に直接影響を与えるので溶融亜鉛と接触する部分には、
特殊鋼を用いたり、特別に開発された耐亜鉛侵食性材料
が一般的に使用されている。
ばSS400)を用いることが望ましいが耐食性が充分
でなく、これに対してコストは高いがステンレス鋼、た
とえばオーステナイト系ステンレスやフェライト系ステ
ンレスを用いたり、めっき槽にはC、Si含有量の低い
特別に成分調整された亜鉛釜鋼板(例えば化学成分は
C,0.09%以下、Si,微量、Mn,0.20〜
0.40%、P,0.030%以下、S,0.030%
以下)も用いられたりしていた。
−25966号公報に開示されているように、ステンレ
ス鋼の表面に耐食性の優れた酸化物等を溶射したり、特
開昭62−47460号公報に開示されているように、
ステンレス系材料を成分調整することに依り耐食性を高
める材料が開発されている。
る方法、材料を用いても尚満足出来る状況とは云い難い
のが現状である。
融亜鉛に3〜4ケ月浸漬させると穴があくことがあり亜
鉛浴中の強度部材として用いるには決して満足出来るも
のではなく、比較的強度を必要としない亜鉛釜鋼板でも
年間8〜10mm程度侵食され減肉し、3〜4年に一回め
っき槽を更新する必要がある。又溶射による表面改質は
コストが高く、しかも母材と溶射材の熱膨張係数の違い
による割れや歪み等の問題が発生するので母材材質、溶
射仕様、溶融亜鉛の成分温度に様々な制約がありどの部
材にも適用出来るものではない。そして又耐食性を高め
るべく成分調整されたステンレス系材料(例えばC,
0.03%、Si,0.90%、Mn,1.30%、C
u,0.25%、Ni,12.7%、Cr,16.30
%、Mo,2.10%)であっても、従来のステンレス
鋼板に比べ寿命は延長しているが、厚さ25mmの鋼板を
溶融亜鉛に5〜6ケ月間浸漬すると穴があくことがあ
る。
侵食性を著しく高めた溶融亜鉛めっき装置材料を提供す
ることを目的としている。
ンレス鋼の表面にアルミニウム拡散被覆層を含む処理に
より酸化アルミニウムAl2O3被膜が形成されたAl
拡散被覆層を有する材料を用いることにより上記目的を
達成し得ることが見出されたのである。
理を行ない、後高温酸化雰囲気に曝すか、又は溶融亜鉛
に浸漬することによって形成された酸化アルミニウム被
膜を表面に有するアルミニウム拡散被覆層を有するステ
ンレス鋼により構成はされることを特徴とする溶融亜鉛
めっき装置材料を提供するものである。
含まれるAlの優先酸化によって表面に生じた薄いが緻
密なAl2O3被膜が溶融亜鉛と母材との接触を妨げ侵
食を防止し、更に溶融亜鉛が激しく流動する部位で用い
られAl2O3被膜が摩滅した場合でも母材にステンレ
ス鋼を用いているので表面に形成されたNi−Al−F
e、Cr−Al−Fe、Ni−Cr−Al−Fe等から
なる金属間化合物により引き続き優れた耐食性を維持す
ることが出来るのである。
る方法としてその表面にAlを拡散被覆する処理法が実
施されている。この処理法については後で詳述するが、
このように鉄鋼材料をAl拡散被覆処理すると、まずこ
の表面にアルミニウム濃度10〜40%のアルミニウム
拡散被覆層が形成され、次いでその処理鋼を高温酸化性
雰囲気に曝せば表面に形成されたAl濃度が10〜40
重量%のAl拡散被覆層の更に外表面に薄いが緻密なA
l2O3被膜が生成し酸素原子の侵入を阻止して鉄鋼の
酸化を防止するというものである。本発明者等は基礎実
験の結果、このAl拡散被覆処理を施したステンレス鋼
が溶融亜鉛に対して極めて耐食性の優れた材料であるこ
とを知見したのである。
気に曝して形成された上記Al2O3被膜は溶融点が2
050℃と非常に高く且つ溶湯とのなじみ性(濡れ性)
が極めて悪いため、溶湯に接しても溶着することがなく
酸素原子より大きな亜鉛原子の侵入を阻止して、その侵
食作用から母材を効果的に保護する作用を果すことが見
出されたのである。そして更に流動する溶融亜鉛によっ
てAl2O3被膜が摩滅、消失した場合でも、表層のN
i−Al−Fe、Cr−Al−Fe、Ni−Cr−Al
−Fe等からなる金属間化合物が侵食の抵抗となり引き
続き優れた耐食性を維持するのである。
通常Fe−Al合金粉、又はAl粉とアルミナ粉、塩化
アンモニウム粉を混合してなるAl滲透剤と処理される
べき鉄鋼材料を半密閉性容器へ充填し800〜1100
℃の温度で5〜20時間加熱して行なう。この処理によ
って鉄鋼の場合、表面のAl濃度が10〜40重量%、
厚さ200〜800μmのAl拡散被覆層を得ることが
出来る。処理鋼の高温耐酸化性は被覆層のAl濃度が高
い程優れており、10重量%以下、特に7重量%以下の
Al濃度では耐酸化性の改善効果は殆ど期待出来ない。
又層の厚さは大なる程層中の総Al量が多くなるので高
温耐酸化性の効果がより長期間持続される。
曝すにはあらためてかかる工程をとることは必ずしも必
要とせず、得られたAl拡散被覆鋼を溶融亜鉛中へ浸漬
すれば良い。さすれば界面に存在する空気中の酸素と被
覆層中のAlが結合し強固なAl2O3被膜を形成し、
以後優れた耐食性を維持するのである。しかし勿論Al
拡散被覆鋼を空気中で500〜900℃で加熱しその表
面にAl2O3被膜を形成させてもよく、その形成後は
耐溶融亜鉛侵食材料として使用することが出来る。ここ
でAl拡散層のAlが優先酸化して形成されるAl2O
3被膜の厚さは約5〜25μmの範囲が望ましい。
に着目すれば、例えば普通鋼(SS400)にAl拡散
被覆処理を施しても耐食性は向上するが、溶融亜鉛が激
しく流動するロールや支持金具、たとえば図1における
浴中ロール7やロールハンガー6等に用いた場合には形
成したAl2O3被膜が時間の経過と共に減耗してゆ
き、遂にはAl拡散被覆層が露出し、以後溶融亜鉛によ
る侵食を防止することが出来ないので、必然的に用途を
限定せざるを得ない。従って本発明ではステンレス鋼の
表面にAl拡散被覆層を有する材料を用いるのである。
上述のところから明らかなように、Al拡散被覆処理し
ない材料を用いる場合は普通鋼は勿論のことステンレス
鋼でも溶融亜鉛めっき装置に用いるときは短期間に侵食
されて、長い寿命を保持することができず、その都度作
業を停止して交換せねばならずコスト高、非能率を来し
ている。一方普通鋼にAl拡散被膜処理しても表面に生
成したAl2O3被膜が漸次消耗してしまうのでさほど
寿命を延ばすことができない。しかし本発明のようにス
テンレス鋼の表面にAl拡散被覆層を有する材料を用い
るときは、表面にNi−Al−Fe、Cr−Al−F
e、Ni−Cr−Al−Fe等からなる金属間化合物が
生成し、Al2O3被膜が摩耗、消失後も、これら金属
間化合物が溶融亜鉛の侵食によく耐え、例えば下記の実
施例2に示すように未処理品の4倍以上の長寿命を達成
することができるのであり、その効果は顕著ということ
ができる。ここでステンレス鋼としては通常オーステナ
イト系、マルテンサイト系が用いられるが、Cr,Ni
の含有量が多いオーステナイト系の方が耐食性により優
れているので寿命延長の観点からはオーステナイト系の
方が適している。以下に実施例をあげて本発明について
更に詳細に説明する。」
亜鉛浴への浸漬テストを行なった。テストは溶融亜鉛の
流動による影響を確認するために、図1に示す薄鋼板の
連続溶融亜鉛めっき装置の亜鉛浴中のA点及びB点に同
一試験片を30日間浸漬して行なった。A点に於ては試
験片は側壁より約100mm離し、上端が溶湯表面より3
00mmの深さに位置するように吊下げた。A点では溶湯
は殆ど流動しない。B点に於ては試験片はロールハンガ
ー6に固定した取付アーム8に、下端が凡そ浴中ロール
7の下端と同位置となるよう取り付けた。B点では溶湯
は激しく流動する。試験片材質はSUS304(オース
テナイト系ステンレス鋼)、SUS410(マルテンサ
イト系ステンレス鋼)、SS400(普通鋼=比較用)
とし、いずれも生材(未処理品)にAl拡散被覆処理を
施したものを用いた。寸法はいずれも厚さ9mm、幅10
0mm、長さ300mmである。
(Alを45重量%含む)80重量%、アルミナ粉18
重量%、塩化アンモニウム粉2重量%から成るAl滲透
剤と共に、鋼板製半密閉性容器に充填し1000℃で1
0時間加熱して行ない、本発明品であるSUS304の
場合、表面Al濃度36%、Al拡散層厚さ250μ
m、SUS410の場合、表面Al濃度34%、Al拡
散層厚さ285μm、比較材であるSS400の場合、
表面Al濃度33%、Al拡散層厚さ350μmのAl
拡散被覆層を得た。SUS304におけるAl拡散層の
Al、Cr、NiのEPMA分析結果を図2に示し、S
US410におけるAl拡散層のAl、CrのEPMA
分析結果を図3に示し、SS400のAl拡散層のAl
のEPMA分析結果を図4に示す。同様にしてZnも分
析したがSUS304、SUS410、SS400いず
れに於ても検出されなかった。浸漬する亜鉛浴の成分は
Al,0.1〜5%、Fe,0.1%以下、Pb,0.
1%以下、残部Znより成り温度は450〜490℃で
ある。
しておらず、部分的に付着しているものも容易に剥離
し、外観上からも亜鉛によって侵食されていないことが
判断出来た。更にこの鋼板を切断し断面を検鏡した結果
をTP1、2、3、4の順にそれぞれ図5、6、7、8
に示す。
の表面に形成されたAl拡散層10及び16の外表面に
約20μmの緻密なAl2O3被膜9及び15の生成が
確認出来た。TP2及び4については同様なAl2O3
被膜12及び18が表面を完全には被覆しておらず、部
分的にAl拡散被覆層13及び19が露出していること
から一回生成したAl2O3被膜が流動する溶融亜鉛に
よって減耗したものと考えられる。又、SUS403に
よる試料TP1、2の断面のAl濃度の分析結果を図9
に、SUS410による試料TP3、4のAl濃度の分
析結果を図10に示す(A点浸漬材料データを実線、B
点浸漬材料データを点線で示す)が、Al濃度、Al拡
散層の厚さいずれもTP1、2に於ては図2とTP3、
4に於ては図3と殆ど変らず健全な状態が維持されてお
り本発明品が溶融亜鉛により侵食されていないことが確
認出来た。
10、11、12についてはTP11以外はすべて侵食
され減肉しており特にTP10は完全に溶損、消失して
いた。
A点に於ては全く侵食されていないが、B点に浸漬した
TP12は残存肉厚が4〜5mmになるまで減肉してお
り、このまま浸漬を続ければ恐らく30日間以内に全溶
損するものと推定される。 <実施例2>本発明の効果を確認するために、図1に示
す装置の先端金物5及びロールハンガー6にSUS30
4にAl拡散被覆処理を施した材料を用いた。Al拡散
被覆処理は実施例1と同じ条件で実施し、表面に図2と
ほぼ同様なAl拡散被覆層を得た。亜鉛浴の成分、温度
は実施例1と同様である。
合、溶融亜鉛の侵食により減肉し寿命は約6ケ月間であ
ったが、本発明品は使用開始後24ケ月経過して尚使用
中であり大幅な寿命延長が確認出来た。
置材料は、亜鉛ポット、ロールハンガー、浴中ロールな
どに用いても溶湯による侵食がなく寿命を著しく延長さ
せることが出来るので経済的効果は甚だ顕著である。
置の概念図。
た本発明のAl拡散被覆層のテスト前のAl、Cr、N
iのEPMA分析値を示すグラフ。
た本発明のAl拡散被覆層のテスト前のAl、CrのE
PMA分析値を示すグラフ。
理を施した比較材のテスト前のAl拡散層のAl分析値
を示すグラフ。
04のテスト後の断面検鏡図。
04のテスト後の断面検鏡図。
01のテスト後の断面検鏡図。
10のテスト後の断面検鏡図。
US403のテスト後のAlのEPMA分析値を示すグ
ラフ。
SUS410のテスト後のAlのEPMA分析値を示す
グラフ。
Claims (1)
- 【請求項1】アルミニウム拡散被覆処理を行ない、後高
温酸化雰囲気に曝すか、又は溶融亜鉛に浸漬することに
よって形成された酸化アルミニウム被膜を表面に有する
アルミニウム拡散被覆層を有するステンレス鋼により構
成されることを特徴とする溶融亜鉛めっき装置材料。
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JP5197512A Expired - Fee Related JP2962973B2 (ja) | 1993-08-09 | 1993-08-09 | 溶融亜鉛めっき装置材料 |
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- 1993-08-09 JP JP5197512A patent/JP2962973B2/ja not_active Expired - Fee Related
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