JPH04116034U - 緩衝器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】路面上の突起物に乗り上げた時に、サスペンシ
ヨンの減衰力を減少させ、車体への振動を抑えるため
に、サスペンシヨンのシリンダ内の作動油を流出させる
構成において、サスペンシヨンのストロークをかせぎ、
かつ、取り付け後の調整を容易にする。また、連続的な
突起物上でのふらつきを抑える。 【構成】インナシリンダ２の下部に作動油を流出させる
ためのオリフイス８を設け、そのオリフイス８を通常時
には閉塞し、インナシリンダ２の外周を案内として上下
移動可能に慣性体５を嵌挿する。慣性体５の上方移動を
制限するためにインナシリンダ２の外周にストツパ６が
圧入されている。また、一端をベースバルブ３に固定し
て他端により慣性体５を付勢するスプリング７を介装す
る。また、路面の凸凹状況を感知して慣性体５を強制的
にストツプさせるストツパ手段を有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は減衰力制御サスペンシヨンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

本考案に係わる従来技術として、実開昭６２−４３８０５号公報に開示された ものがある。

【０００３】 図４に示すように、円筒形状のインナシリンダ４０の内部空間に摺動可能に配 置されたピストン４１にピストンロツド４２を固定する。ピストン４１によつて 内部空間を上室４３と下室４４に形成し、ピストン４１に設けられた連通孔４５ により上室４３と下室４４とは連通するものとなる。環状室４６はインナシリン ダ４０外周に円筒形状のアウタシリンダ４７を配設してなる空間で、それら各室 を密閉するように、シリンダの上下にエンドキヤツプ４８，４９を設置する。ま た、ピストンロツド４２はエンドキヤツプ４８を貫通するものであり、ピストン ４１と同時に移動する。そして、インナシリンダ４０内には減衰力を制御するた めの通路手段５０を有する。

【０００４】 そこで、通路手段５０は、円筒形状であり通路５１とシリンダ孔５２とを有す るハウジング５３をインナシリンダ４０の突起部５４間に固定し、ハウジング５ ３のシリンダ孔５２の上下にエンドプラグ５５，５６を螺合させて、そのエンド プラグ５５，５６により画成されてなる弁室５７，５８と通路５１を介して下室 ４４と下端室５９とは連通する。また、弁室５７，５８には両エンドプラグ５５ ，５６に固定された一対のスプリング６０，６１により中立位置に上下両側から 付勢された弁要素６２が配置される。弁要素６２は中央に内部通路６３を有し、 さらに、通路５１と共働してオリフイス６４，６５を郭定している。

【０００５】 以上のような従来技術の構成において、車輪が突起物を乗り上げ、シヨツクア ブソーバに下から加速度が加わり急激に移動した時に、弁要素６２は慣性力によ り相対的に移動し、オリフイス６４，６５の実効通路面積は弁要素６２の移動の 変化量が増大するにつれて増大するものである。

【０００６】 加えて、上記状態において作動油は流出させられ、シヨツクアブソーバの減衰 力を低下させるものである。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来技術ものにおいては、以下のような問題点がある。

【０００８】 インナシリンダ４０内に通路手段５０を設けているため、シヨツクアブソーバ のストロークを犠牲にし、作動設定において自由度が少なくなる。さらに、イン ナシリンダ４０内に取り付けることは、取り付け後の調節が困難である。また、 スプリング６０，６１によつて弁要素６２の上下を中立位置に付勢し配設してい るため、弁要素６２は上下にふらつき中立位置の確保が困難である。

【０００９】 また、弁要素６２の作動が連続的に行われると、オリフイス６４、６５が開き 続けるため、車輌のふらつきの原因につながる。

【００１０】 そこで、本考案は、確かな通路手段を設けるとともに、シヨツクアブソーバの ストロークを犠牲にしない緩衝器を提供する。

【００１１】

【考案の構成】

【００１２】

【課題を解決するための手段】

前述した技術的課題を解決するために講じた本考案の技術的手段は、 インナシリンダと、そのインナシリンダの外周に設けたアウタシリンダと、イ ンナシリンダ内で摺動可能なピストンと、インナシリンダの下方に設けたバルブ ベースと、ピストンとバルブベースとの間に配設されたバルブ手段とを有する緩 衝器において、インナシリンダの下部に設け、減衰力を低減する慣性手段と、慣 性手段が路面の状態によつて連続作動した時に作動を止めるストツパ手段とを設 けることを特徴とする緩衝器。

【００１３】

【作用】

前述した技術的手段によれば、路面上の突起物に車輪が乗り上げ、シヨツクア ブソーバの下から上への振動の入力により、インナシリンダとアウタシリンダが 上方向への加速度を受ける。その加速度が設定値以上であれば、慣性体が自己の 慣性力によりインナシリンダの移動に対して相対的に移動し、オリフイスを開き 、インナシリンダ内の作動油をアウタシリンダへ流出する。

【００１４】

【実施例】

本考案の技術的手段を具体化した実施例について、添付した図面に基づいて詳 細に説明する。

【００１５】 図１に示すように、円筒形状のインナシリンダ２の内部空間に摺動可能に配置 されたピストン１１にピストンロツド１２を固定する。ピストン１１によつて内 部空間を上室１３と下室９とに形成し、ピストン１１に設けられた逆止弁１４、 及び、減衰弁１７により上室１３と下室９とは連通するものとなる。逆止弁１４ はロツド１２の進入，退出による体積保償のために設けられて、減衰弁１６はシ ヨツクアブソーバに減衰力を発生させるために設けられている。環状室４はイン ナシリンダ２外周に円筒形状のアウタシリンダ１を配設してなる空間で、インナ シリンダ２下方にはバルブベース３を設置する。また、ピストン１１とバルブベ ース３には減衰力を与えるためのバルブ手段１４が設けられている。

【００１６】 そこで、本考案の第１実施例として、インナシリンダ２の下部に慣性手段２５ を配設する。その慣性手段２５の構成は次のようになる。作動油を流出させるた めのオリフイス８を設け、そのオリフイス８を通常時には閉塞し、インナシリン ダ２の外周を案内として上下移動可能に慣性体５を嵌挿する。慣性体５外周は下 方が絞られるようなテーパ面が形成される。慣性体５の上方移動を制限するため にインナシリンダ２の外周にストツパ６が係止されている。また、一端をベース バルブ３に固定して他端により慣性体５を付勢するスプリング７を介装し、通常 時、慣性体５をオリフイス８を閉塞する位置に設定するように、慣性体５はスプ リング７の復元力によりストツパ６に押し付けれる。

【００１７】 さらに、アウタシリンダ１の外周にはストツパ手段３０が設けられている。保 護カバー１５は、加速度を検出するＧセンサ１０と、シヨツクアブソーバの軸方 中心向へ突出するように配設されたストツパピン１３と、電気的にストツパピン １３を突出させるためのソレノイドアクチユエータ１１とを保護するためにアウ タシリンダ１の外周に固定されている。ＥＣＵ１２はＧセンサ１０からの信号を 入力して、その入力信号に応じた出力信号をソレノイドアクチユエータ１１に送 るために電気的に接続されている。以上のようなストツパ手段３０が構成される 。

【００１８】 そこで、路面上の突起物に車輪が乗り上げ、インナシリンダ２とアウタシリン ダ１が上方向への加速度を受けた時、その加速度が設定値以下であれば、本来の 減衰力を発生するが、加速度が設定値以上であれば、慣性体５が自己の慣性力に よりインナシリンダ２の移動に対して相対的に移動し、オリフイス８を開き、イ ンナシリンダ２内の作動油をアウタシリンダ１へ流出させ、シヨツクアブソーバ の減衰力を低下させる。また、加速度が設定値以下に戻るとスプリング７の復元 力により慣性体５はストツパ６に押し付けられオリフイス８を閉塞し、通常時の シヨツクアブソーバの減衰力発生動作を行う。加えて、加速度の設定値はスプリ ング７と慣性体５とを選択することで、車輌にあつた設定値に自由に設定するこ とができる。

【００１９】 そして、路面の突起物が連続するような悪路において、Ｇセンサ１０が感知し た加速度を信号としてＥＣＵ１２が入力する。その入力信号の回数および入力信 号による加速度の大きさから、ＥＣＵ１２が悪路と判断した時に出力信号をソレ ノイドアクチユエータ１１に送る。ソレノイドアクチユエータ１１に信号が送ら れた時、ストツパピン１３が突出して、慣性体５を強制的にストツパ６まで押し 上げることでオリフイス８を閉塞する。

【００２０】 次に本考案の第２実施例、第３実施例について、図２及び図３に基づいて説明 する。また、第１実施例と同一部材については同符号とし、また、同一の構成に ついては説明は省略する。

【００２１】 図２に示すように、慣性体２０に貫通孔２１を設け、第１実施例よりも下方に オリフイス２２を設ける。さらに、慣性体２０の上方のストツパ２２を設け、そ のストツパ２２にスプリング７の一端を固定し、他端を慣性体２０に固定する。

【００２２】 そして、スプリング７により慣性体２０を釣り下げるように配設する。

【００２３】 また、図３に示すように、慣性体５を強制的に戻す時に、ストツパピン１３の 先端にローラ１６を設ける。

【００２４】

【考案の効果】

本考案によれば、作動油を流出させるための通路手段をインナシリンダ内に設 けない構成のため、取り付け、および、取り付け後の調整が容易になつた。また 、サスペンシヨンのストロークを犠牲にする心配はなくなり、第２実施例，第３ 実施例に示すように、インナシリンダに設けたオリフイスの位置を下げることで 、より多くのストロークを稼ぐことができる。

【００２５】 さらに、慣性体をストツパに押し付けているため、従来にような慣性体のふら つきはなくなつた。

【００２６】 ストツパピン１３の先端にローラ１６を設けることは、慣性体とストツパピン との接触部分の摩耗の低減となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例のシヨツクアブソーバを示
す。

【図２】本考案の第２実施例のシヨツクアブソーバを示
す。

【図３】本考案の第３実施例のシヨツクアブソーバを示
す。

【図４】従来技術のシヨツクアブソーバを示す。

【符号の説明】

１ アウタシリンダ ２ インナシリンダ ３ バルブベース １１ ピストン １５ 減衰弁 ２５ 慣性手段 ３０ ストツパ手段

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 インナシリンダと、該インナシリンダの
   外周に設けたアウタシリンダと、前記インナシリンダ内
   で摺動可能なピストンと、前記インナシリンダの下方に
   設けたバルブベースと、減衰力を発生させるせめの減衰
   弁と、を有する緩衝器において、減衰力を低減する慣性
   手段と、該慣性手段が路面の状態によつて連続作動した
   時に作動を止めるストツパ手段とを設けることを特徴と
   する緩衝器。