JPH08177932A - 油圧緩衝器 - Google Patents

油圧緩衝器

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Publication number
JPH08177932A
JPH08177932A JP32031594A JP32031594A JPH08177932A JP H08177932 A JPH08177932 A JP H08177932A JP 32031594 A JP32031594 A JP 32031594A JP 32031594 A JP32031594 A JP 32031594A JP H08177932 A JPH08177932 A JP H08177932A
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JP
Japan
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leaf valve
valve
leaf
piston
spring
Prior art date
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Application number
JP32031594A
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English (en)
Inventor
Yasushi Fukui
靖 福井
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チューニングの自由度をより高める。 【構成】 ピストン36の下側のバルブは、伸び側ポー
ト72を閉止するリーフバルブ52と、これよりも所定
の間隔を開けて配置されたリーフバルブ58とを含んで
構成されている。この内、リーフバルブ58には、スプ
リングシート60を介してコンプレッションスプリング
62の付勢力が作用している。このため、リーフバルブ
58には予荷重が付与されており、リーフバルブ52側
へ弾性変形した状態でセットされる。この結果、低速域
ではリーフバルブ52のみが弾性変形し、中速域ではリ
ーフバルブ52が弾性変形すると共にリーフバルブ58
が弾性復元方向へ撓み、更に高速域ではリーフバルブ5
2が弾性変形すると共にリーフバルブ58がスプリング
シート60側へ弾性変形する。従って、減衰力特性が三
段階になり、チューニングの自由度を高めることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のサスペンショ
ン等に用いられ、筒体、隔成部材、リーフバルブを含ん
で構成される油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、油圧緩衝器は種々の装置に用いられているが、一例
として自動車のサスペンションの構成要素であるショッ
クアブソーバとして用いられている。以下、実開平3−
75334号公報に開示されたショックアブソーバを例
にして従来の技術を説明する。
【0003】図10には、この公報に開示された構造の
要部が示されている。この図に示されるように、シリン
ダ100内に配置されたピストンロッド102の先端部
には小径部102Aが形成されている。この小径部10
2Aには断面ハット形状の支持部材104及びピストン
106が挿通されている。ピストン106の上端面には
軸芯部及びその外周に環状溝108、110が形成され
ており、これに対応してピストン106の下端面にも軸
芯部及びその外周に環状溝112、114が形成されて
いる。さらに、ピストン106には、内周側の上下の環
状溝108、112を連通するポート116と外周側の
上下の環状溝110、114を連通するポート118と
が形成されている。また、ピストン106が配置された
ことによって、シリンダ100内の室はピストン上室1
20とピストン下室122とに隔成されている。
【0004】上述したピストン106の上端面と支持部
材104との間には、スプリング124によって押圧付
勢されたノンリターンバルブ126が配設されている。
これにより、通常はピストン106のポート118が閉
止されている。また、ノンリターンバルブ126の軸芯
部には孔128が形成されており、この孔128を介し
てピストン106のポート116とピストン上室120
とが連通されている。さらに、ピストン106の下端面
とナット130に隣接して配置された所定径寸法の支持
部材132との間には、リーフバルブ134が配設され
ている。これにより、通常はピストン106のポート1
16が閉止されている。
【0005】図11には、上述したリーフバルブ134
の詳細が示されている。この図に示されるように、リー
フバルブ134は、二層構造の中高速域用バルブ134
Aと一層構造の低速域用バルブ134Bとを備えてい
る。中高速域用バルブ134Aと低速域用バルブ134
Bとの間にはカンザ136及びフロートバルブ138が
介在されている。上記構成において、低速域用バルブ1
34Bの内周端はカンザ136の外周に片持ち支持され
ており、外周部上面はピストン106の下端面に形成さ
れた環状溝112のランドに当接されている。さらに、
フロートバルブ138はカンザ136よりも薄肉とされ
ており、これにより低速域用バルブ134Bの外周部下
面とフロートバルブ138との間に所定の隙間140が
形成されている。従って、低速域用バルブ134Bは、
その内周側及び外周側がいずれもフリーな状態で支持さ
れている。これに対して、中高速域用バルブ134A
は、その内周側がカンザ136と支持部材132との間
に挟持固定された状態で配置されている。
【0006】上記構成によれば、伸び工程時の低速域で
は、ピストン上室120内のオイルがピストン106の
上端面側の環状溝108、ポート116、及びピストン
106の下端面側の環状溝112を通った後に、低速域
用バルブ134Bを撓ませてピストン下室122内に流
入する。これにより、低速域での減衰力が発生する。な
お、このときの低速域用バルブ134Bの撓み量は、隙
間140の間隙寸法の範囲内である。一方、伸び工程時
の中高速域では、ピストン上室120内のオイルがピス
トン106の上端面側の環状溝108、ポート116、
及びピストン106の下端面側の環状溝112を通った
後に、低速域用バルブ134Bを撓ませると共に中高速
域用バルブ134Aをも撓ませてピストン下室122内
に流入する。これにより、中高速域での減衰力が発生す
る。この結果、伸び工程時における減衰力特性が二段階
になる。なお、縮み工程時にあっては、ピストン下室1
22内のオイルがピストン106の下端面側の環状溝1
14、ポート118、ピストン106の上端面側の環状
溝110を通った後にスプリング124の付勢力に抗し
てノンリターンバルブ126を開放させてピストン上室
120内に流入することで縮み工程時における減衰力が
得られる。
【0007】ところで、一般に減衰力特性、特に伸び工
程時における減衰力特性については、チューニングの自
由度が高い方が好ましい。しかしながら、上記公報に開
示された構造による場合、二段階のチューニングしか行
うことができないため、上記要請に対して十分に応える
ことができない。
【0008】本発明は上記事実を考慮し、チューニング
の自由度をより高めることができる油圧緩衝器を得るこ
とが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、内部に流体が
充填された筒体と、この筒体内の室を隔成する隔成部材
と、この隔成部材によって隔成される各室を相互に連通
する連通路と、この連通路の開放側の端部に設けられる
と共に弾性変形可能とされ、弾性変形することにより連
通路を開放するリーフバルブと、を有する油圧緩衝器で
あって、前記リーフバルブは、前記隔成部材側における
連通路の開放側の端部に配置された第1のリーフバルブ
と、この第1のリーフバルブに対して前記隔成部材と反
対側にかつ前記隔成部材の軸方向に所定の間隔を開けて
配置され、かつ、予荷重を付与されて前記第1のリーフ
バルブ側へ弾性変形した状態で設けられる第2のリーフ
バルブと、を含んで構成される、ことを特徴としてい
る。
【0010】
【作用】上記構成によれば、第1のリーフバルブと第2
のリーフバルブとの間には軸方向に所定の間隔が設けら
れているので、連通路内へ流入する流体の流量が微量で
ある場合には第1のリーフバルブのみが弾性変形して反
対側の室内へ流体を流入させるべく連通路を開放させ
る。これにより、この流量に対応する減衰力が発生す
る。
【0011】一方、連通路を流れる流体の流量が前述し
た場合よりも多くなると、第1のリーフバルブと共に第
2のリーフバルブも弾性変形する。この場合、第2のリ
ーフバルブには予荷重が付与されて第1のリーフバルブ
側へ弾性変形した状態で設けられているので、第2のリ
ーフバルブはまず当該弾性変形状態を復元させる範囲内
で弾性変形する。従って、この場合のバネ定数は小さい
ものとなる。この結果、減衰力は前述した場合よりも大
きくなるが、このバネ定数に応じた減衰力となる。
【0012】さらに、連通路を流れる流体の流量が増加
すると、前述した場合と同様に第1のリーフバルブ及び
第2のリーフバルブの双方が弾性変形する。但し、この
場合の第2のリーフバルブの弾性変形は、予荷重による
弾性変形状態を復元させた後の更なる反対側への弾性変
形である。従って、この場合のバネ定数は前述した場合
よりも大きいものとなる。この結果、減衰力は前述した
場合よりも更に大きくなる。
【0013】この結果、本発明によれば、減衰力特性が
三段階に変化するので、チューニングの自由度が増す。
【0014】
【実施例】以下、図1〜図9を用いて、本発明の一実施
例について説明する。
【0015】図2には、ショックアブソーバ10の全体
構成が示されている。この図に示されるように、ショッ
クアブソーバ10は内筒として機能するシリンダ12及
び外筒として機能するアウタシェル14を備えた所謂複
筒式のショックアブソーバである。
【0016】アウタシェル14の下端部には皿状のロア
キャップ16が嵌着されており、この状態で溶接されて
いる。これにより、アウタシェル14の下端部が閉止さ
れている。
【0017】一方、シリンダ12の下端部には皿状かつ
周縁部にフランジが形成されたベースケース18が嵌合
されている。また、シリンダ12の内方には、ピストン
ロッド20が一部上方へ突出した状態で配置されてい
る。ピストンロッド20の軸方向中間部には断面ハット
形状のリバウンドストッパプレート22が溶接されてお
り、更にその上端部には弾性体であるリバウンドストッ
パ24が配設されている。また、シリンダ12の上端部
には、所定形状のロッドガイド26が配設されている。
ロッドガイド26は円板状の基部26Aとこの基部26
Aの軸芯部から円筒状に突出するボス26Bとから成
り、この内ボス26Bがシリンダ12の上端部内に嵌合
されている。ボス26Bがシリンダ12の上端部に嵌合
された状態では、基部26Aの外周面がアウタシェル1
4の内周面に密着している。なお、ボス26Bの軸芯部
内周面には円筒形のブッシュ28が圧入されており、ピ
ストンロッド20の外周面に相対移動可能に密着してい
る。さらに、基部26Aの外周縁部には環状の溝が形成
されており、この溝内には角形シールリング30が嵌着
されている。角形シールリング30が嵌着された状態で
は、角形シールリング30の内端面及び下端面がロッド
ガイド26に接触し、外端面がアウタシェル14の内周
面に接触し、上端面が後述のリングナット32の下端面
に接触することで三者相互のシール性を確保している。
【0018】また、アウタシェル14の上端部内周面に
は雌ねじが形成されており、この雌ねじにはリングナッ
ト32が螺合されている。なお、リングナット32の軸
芯部にはオイルシール34が配設されており、リングナ
ット32とピストンロッド20との間をシールしてい
る。このリングナット32をシリンダ12の上端部に螺
合させることにより、ロッドガイド26、角形シールリ
ング30、シリンダ12、ベースケース18がアウタシ
ェル14内に固定されるようになっている。なお、この
際、ベースケース18のフランジの一部がロアキャップ
16の傾斜面に当接することにより、アウタシェル14
の軸線に対するシリンダ12の調芯が行われる。
【0019】上述した構成において、シリンダ12の内
部に後述するピストン36が往復運動可能に配置された
ことにより、シリンダ12の内部の室は上室38と下室
40とに隔成されており、又内部にはオイルが充填され
ている。さらに、シリンダ12とアウタシェル14との
間に形成されたリザーバ室42内には、オイルと窒素ガ
ス等の気体とが分離した状態で封入されている。
【0020】次に、ピストンロッド20の先端部に設け
られたピストン部の詳細について説明する。
【0021】図1に拡大して示されるように、ピストン
ロッド20の先端部には小径部20Aが設けられてい
る。この小径部20Aには、ストッパ44、板バネ4
6、リーフシート48、リーフバルブ50、ピストン3
6、リーフバルブ52、リーフシート54及びサブバル
ブ56、リーフバルブ58、スプリングシート60、コ
ンプレッションスプリング62がこの順に装着されてい
る。なお、これらの部品を装着させた後、小径部20A
の先端部にはナット64が締め付けられ、上記の部品が
固定されるようになっている。以下、各部品を具体的に
説明する。
【0022】ピストン36には、軸芯下部に所定形状の
凹部66が形成されている。また、ピストン36の軸芯
部には貫通孔が形成されており、この貫通孔内をピスト
ンロッド20の小径部20Aが貫通している。さらに、
ピストン36の上端面及び凹部の底面には環状の凹溝6
8、70がそれぞれ形成されている。これらの上下の凹
溝68、70は、ピストン36の軸芯部付近に軸線に対
して平行に形成された伸び側ポート72によって連通さ
れている。また、ピストン36の上端面には、前述した
凹溝68の外周となる位置に比較的浅い凹溝74が形成
されている。この凹溝74と凹部66の内方とは、ピス
トン36の外周部付近に軸線に対して平行に形成された
縮み側ポート76によって連通されている。なお、ピス
トン36の外周面にはピストンバンド78が嵌着されて
おり、シリンダ12の内周面とのシール性を確保してい
る。
【0023】次に、上述したピストン36の上端面側の
バルブ機構について説明する。ピストン36の上端面側
には、円板形状のストッパ44が所定の間隔を隔てて配
置されている。このストッパ44の外周部所定位置に
は、複数の貫通孔80が形成されている。このストッパ
44とピストン36の上端面との間に、前述した板バネ
46、リーフシート48、リーフバルブ50が配設され
ている。リーフバルブ50は弾性変形可能な薄肉円板状
部材とされており、ピストン36の上端面側の凹溝6
8、74を閉止可能な径寸法を有している。このリーフ
バルブ50の軸芯部上端面側には、小径のリーフシート
48が配設されている。さらに、リーフシート48とス
トッパ44との間には断面皿状の板バネ46が配設され
ている。この板バネ46及びリーフバルブ50の軸芯部
には、ストッパ44の貫通孔80と伸び側ポート72と
を連通する連通孔(図示省略)が形成されている。さら
に、板バネ46の外周部は、リーフバルブ50側へ屈曲
されてリーフバルブ50の外周部内側に当接している。
従って、リーフバルブ50は板バネ46によって閉止方
向(縮み側ポート76を閉止する方向)へ常時押圧付勢
されている。
【0024】次に、ピストン36の凹部66の底面側の
バルブ機構について説明する。ピストン36の凹部66
の底面には、弾性変形可能な薄肉円板状部材であるリー
フバルブ52が配設されている。このリーフバルブ52
は、凹部66の底面側の凹溝70を閉止可能な径寸法を
有している。また、リーフバルブ52の軸芯部下端面側
には、小径かつ所定の肉厚寸法のリーフシート54が配
設されている。さらに、リーフシート54の下端面側に
は、前述したリーフバルブ52と同一径寸法のリーフバ
ルブ58が配設されている。従って、これらのリーフバ
ルブ52とリーフバルブ58との間には、リーフシート
54の肉厚寸法分の隙間が形成されている。さらに、こ
の隙間、即ちリーフシート54の外周部には、リング状
のサブバルブ56が配設されている。このサブバルブ5
6の外径寸法は前述したリーフバルブ52、58と同一
寸法に設定されており、又その内径寸法は前述したリー
フシート54の外径寸法よりも若干大きく設定されてい
る。さらに、サブバルブ56の肉厚寸法は、リーフシー
ト54の肉厚寸法よりも小さく設定されている。従っ
て、サブバルブ56は、上下のリーフバルブ52、58
の外周部間に配置されたフローティングバルブとして機
能する。
【0025】さらに、上述したリーフバルブ58の下端
面側には、断面ハット形状のスプリングシート60が配
設されている。このスプリングシート60は、円板状の
フランジ部60Aとこのフランジ部60Aの軸芯部から
下方へ膨出された円筒状のボス60Bとから成る。この
内、ボス60Bは、前述したナット64の先端部外周面
にスライド可能に嵌合されている。また、フランジ部6
0Aの下端面とナット64のフランジ64Aとの間には
コンプレッションスプリング62が介在されている。こ
のため、コンプレッションスプリング62は、スプリン
グシート60を常時ピストン36側へ押圧付勢してい
る。そして、図3に拡大して示されるように、このコン
プレッションスプリング62の付勢力によって、上述し
たリーフバルブ58に予荷重が付与されている。このた
め、リーフバルブ58の外周部は、初期状態でリーフバ
ルブ52側へ弾性変形しており、サブバルブ56をリー
フバルブ52側へ押し上げている。従って、リーフバル
ブ58の外周下端面とスプリングシート60の上端面と
の間には、間隙寸法δ1 の隙間84が形成されている。
また、リーフバルブ58がサブバルブ56を押し上げて
はいるものの、サブバルブ56とリーフバルブ52とは
非接触状態になるように設定されている。つまり、リー
フバルブ52のバネ定数の方がコンプレッションスプリ
ング62のバネ定数よりも大きく設定されている(な
お、この為スプリングシート60の移動規制用のストッ
パも設けられていない)。従って、サブバルブ56の上
端面とリーフバルブ52の下端面との間には、間隙寸法
δ0 の隙間82が形成されている。すなわち、本実施例
では、メインバルブであるリーフバルブ52の作用とコ
ンプレッションスプリング62の作用とが、初期状態で
は分離独立されている。
【0026】以下に、本実施例の作用を説明する。初期
状態では、ピストン部のリーフバルブ50、52、58
は図1図示の状態にある。従って、縮み側ポート76は
リーフバルブ50によって閉止されている。また、伸び
側ポート72はリーフバルブ52によって閉止されてい
る。さらに、この状態では、コンプレッションスプリン
グ62の付勢力がスプリングシート60を介してリーフ
バルブ58に作用しており、この為リーフバルブ58に
は予荷重が付与されてサブバルブ56を押し上げてい
る。このとき、サブバルブ56とリーフバルブ52との
間には間隙寸法δ0 の隙間82が形成されており、又サ
ブバルブ56とリーフバルブ58との間には間隙寸法δ
1 の隙間84が形成されている。なお、リーフバルブ5
8に予荷重を付与すべく実際にはスプリングシート60
のフランジ部60Aがナット64の先端面よりも若干上
方に位置しているが、その量は微量であるので、初期状
態を示す図3においてはスプリングシート60のフラン
ジ部60Aの上端面とナット64の先端面とを面一に描
いている(図4においても同じ)。
【0027】この状態から、ピストンロッド20が上方
へ移動されて伸び工程になると、シリンダ12の上室3
8の圧力の方が下室40の圧力よりも高くなる。このた
め、上室38内のオイルはストッパ44の貫通孔80か
ら板バネ46及びリーフバルブ50の軸芯部の連通孔
(図示省略)並びに伸び側ポート72を通って凹部66
の底面の凹溝70内へ流入していく。
【0028】ここで、ピストン速度が低速域の場合に
は、伸び側ポート72を流れるオイルの流量が微量であ
る。このため、図4に示されるように、リーフバルブ5
2のみが弾性変形して凹溝70の外周突起70A(ラン
ド)との間に形成された隙間86からオイルが下室40
内へ流入していく。これにより、低速域の場合の減衰力
が発生する。なお、このときのリーフバルブ52の弾性
変形量は、隙間82の間隙寸法δ0 の範囲内である。す
なわち、この場合には、リーフバルブ52とサブバルブ
56との間に間隙寸法δ0 の隙間82があるため、リー
フバルブ52にはコンプレッションスプリング62の付
勢力は作用していない。すなわち、メインバルブである
リーフバルブ52の作用とコンプレッションスプリング
62の作用とが分離独立した状態にある。従って、この
ときの減衰力は、バネ定数K=K1(リーフバルブ52
のバネ定数)のバネ部材が弾性変形した場合に得られる
減衰力となる。
【0029】また、ピストン速度が中速域の場合には、
伸び側ポート72を流れるオイルの流量が前述した場合
よりも増加する。このため、図5に示されるように、リ
ーフバルブ52の弾性変形量が増加して間隙寸法δ0
越える。従って、リーフバルブ52の外周部によってサ
ブバルブ56が押し下げられ、予荷重が付与されている
リーフバルブ58を下方へと押圧する。これにより、リ
ーフバルブ58は弾性復元方向(即ち、予荷重をキャン
セルする方向)へ弾性変形しながら、スプリングシート
60をコンプレッションスプリング62の付勢力に抗し
て下方へ若干押し下げてこれに密着する。この状態に至
ると、リーフバルブ58の弾性変形量はゼロになり、別
言すればリーフバルブ58の本来の原点位置になる。な
お、このときのリーフバルブ58の弾性変形量は、隙間
84の間隙寸法δ1 の範囲内である。この結果、リーフ
バルブ52と凹溝70の外周突起70Aとの間の隙間8
6が前述した場合よりも広がって、この隙間86からオ
イルが下室40内へ流入していく。これにより、中速域
の場合の減衰力が発生する。
【0030】この場合、リーフバルブ52の外周部がサ
ブバルブ56に当接してこれを押し下げることから、こ
の際リーフバルブ52にはサブバルブ56を介してリー
フバルブ58、コンプレッションスプリング62の付勢
力が作用する。すなわち、バネの系が相互に連結された
状態になり、リーフバルブ52の作用とコンプレッショ
ンスプリング62の作用とが一体化される。従って、こ
のときの減衰力は、バネ定数K=K1 (リーフバルブ5
2のバネ定数)−K2 (リーフバルブ58のバネ定数)
+K3 (コンプレッションスプリング62のバネ定数)
のバネ部材が弾性変形した場合に得られる減衰力とな
る。なお、リーフバルブ58のバネ定数K 2 を減じてい
るのは、図4図示の状態ではコンプレッションスプリン
グ62によってリーフバルブ58に予荷重が付与されて
いるため、リーフバルブ58の付勢力は下方(スプリン
グシート60側)へ作用しているからである。
【0031】さらに、ピストン速度が高速域の場合に
は、伸び側ポート72を流れる流量が更に増加する。こ
のため、図6に示されるように、リーフバルブ52の弾
性変形量が更に増加する。従って、リーフバルブ52の
外周部によるサブバルブ56の押し下げ量も増加するの
で、リーフバルブ52の弾性変形量が更に増加して間隙
寸法δ1 を越える。このため、スプリングシート60が
コンプレッションスプリング62の付勢力に抗して更に
下げられ、リーフバルブ52、58も大きく弾性変形す
る。従って、リーフバルブ52と凹溝70の外周突起7
0Aとの間の隙間86が前述した場合よりも更に広がっ
て、この隙間86からオイルが下室40内へ流入してい
く。これにより、高速域の場合の減衰力が発生する。
【0032】この場合、前述した場合と同様にリーフバ
ルブ52にはサブバルブ56を介してリーフバルブ5
8、コンプレッションスプリング62の付勢力が作用し
ており、バネの系が相互に連結された状態にある。従っ
て、このときの減衰力は、バネ定数K=K1 (リーフバ
ルブ52のバネ定数)+K2 (リーフバルブ58のバネ
定数)+K3 (コンプレッションスプリング62のバネ
定数)のバネ部材が弾性変形した場合に得られる減衰力
となる。なお、リーフバルブ58のバネ定数K2を加え
ているのは、図6図示の状態ではリーフバルブ58はス
プリングシート60側へ弾性変形しているので、リーフ
バルブ58の付勢力は上方(サブバルブ56側)へ作用
しているからである。
【0033】なお、ピストンロッド20が下方へ移動さ
れて縮み工程になると、シリンダ12の下室40の圧力
の方が上室38の圧力よりも高くなる。このため、下室
40内のオイルは縮み側ポート76をピストン36の上
端面側の凹溝74内へ流入していく。これにより、板バ
ネ46の付勢力に抗してリーフバルブ50が弾性変形し
て縮み側ポート76が開放される。この結果、オイルは
上室38内へ流入していき、この際に縮み工程時におけ
る減衰力が発生する。
【0034】以上から、本実施例によれば、リーフバル
ブ52に対向して配置されたリーフバルブ58に予荷重
を付与することにより、これをリーフバルブ52側へ予
め弾性変形させておく構成としたので、減衰力特性を低
速域、中速域、高速域の三段階にすることができる。こ
のため、チューニングの自由度を高めることができる。
【0035】しかも、本実施例では、メインバルブであ
るリーフバルブ52の作用とコンプレッションスプリン
グ62の作用とを初期状態において分離独立させる構成
であるので、リーフバルブ58のバネ定数K2 、コンプ
レッションスプリング62のバネ定数K3 を調整するこ
とにより、種々の減衰力特性を得ることができる。この
ため、チューニングの範囲がより一層拡大し、乗り心地
の向上、バネ下接地性の向上、操縦安定性の向上を図る
ことも容易になる。
【0036】この効果について以下に補足説明する。図
7(A)にはリーフバルブ58のバネ定数K2 >コンプ
レッションスプリング62のバネ定数K3 に設定した場
合の作用荷重に対するリーフバルブ52の撓み量が折れ
線グラフで示されている。ちなみに、原点からA点まで
の区間がピストン速度が低速域の場合であり、A点から
B点までの区間が中速域の場合であり、B点以降が高速
域の場合である。なお、図7において二点鎖線で示され
るのは、本実施例構造ではない一般の構造の場合のグラ
フである。この場合の減衰力特性は図7(B)の如くと
なり、中速域での減衰力を低下させ高速域での減衰力を
増加させることができる。従って、前者に起因して乗り
心地の向上を図ることができ、後者に起因してバネ下接
地性の向上を図ることができる。
【0037】一方、図8(A)にはコンプレッションス
プリング62のバネ定数K3 >リーフバルブ58のバネ
定数K2 とした場合の作用荷重に対するリーフバルブ5
2の撓み量が折れ線グラフで示されている。この場合の
減衰力特性は図8(B)の如くとなり、中・高速域での
減衰力を増加させることができる。従って、操縦安定性
及びバネ下接地性の向上を図ることができる。
【0038】なお、図7及び図8に示される特性は例示
に過ぎず、折れ点(A点、B点)は所望の位置に設定す
ることが可能である。
【0039】上述したことから、本実施例によれば、チ
ューニングの自由度を高めることができ、乗り心地の向
上、バネ下接地性の向上、操縦安定性の向を図ることが
できることが判る。
【0040】さらに、本実施例によれば、メインバルブ
であるリーフバルブ52以外のリーフバルブ58、コン
プレッションスプリング62のバネ定数K2 、K3 を調
整することにより減衰力を調整することができるため、
リーフバルブ52のバネ定数を低下させることができ
る。このため、伸縮工程切換時のリーフバルブ52の追
従性を向上させることができ、これにより伸縮工程切換
時の減衰力の乱れを抑えることが可能となる。従って、
ショックアブソーバ10の異音(コトコト音)の発生を
防止することができると共に、図9に示されるピストン
速度に対する減衰力の立ち遅れを無くすことができる。
【0041】なお、本実施例ではコンプレッションスプ
リング62を用いたが、これに限らず、他のスプリング
を用いてもよく、リーフバルブ58をリーフバルブ52
側へ付勢してリーフバルブ58に予荷重を付与すること
ができる付勢手段であればよい。
【0042】また、本実施例では、ピストン部を対象に
本発明を適用したが、これに限らず、ベース部に本発明
を適用することも可能である。
【0043】さらに、本実施例では、複筒式のショック
アブソーバ10に対して本発明を適用したが、これに限
らず、単筒式のショックアブソーバに対して本発明を適
用することも可能である。
【0044】また、本実施例では、自動車のサスペンシ
ョンの一部を構成するショックアブソーバ10に対して
本発明を適用したが、本発明に係る油圧緩衝器の適用対
象はこれに限らず、種々の装置に適用可能である。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る油圧緩
衝器は、リーフバルブが、隔成部材側における連通路の
開放側の端部に配置された第1のリーフバルブと、この
第1のリーフバルブに対して隔成部材と反対側にかつ隔
成部材の軸方向に所定の間隔を開けて配置され、かつ、
予荷重を付与されて第1のリーフバルブ側へ弾性変形し
た状態で設けられる第2のリーフバルブと、を含んで構
成されるので、チューニングの自由度をより高めること
ができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るショックアブソーバのピストン
部の拡大断面図である。
【図2】本実施例に係るショックアブソーバの全体構成
図である。
【図3】図1に示されるリーフバルブ等の初期状態を拡
大して示す拡大断面図である。
【図4】低速域におけるリーフバルブ等の作動を示す図
3に対応する拡大断面図である。
【図5】中速域におけるリーフバルブ等の作動を示す図
4に対応する拡大断面図である。
【図6】高速域におけるリーフバルブ等の作動を示す図
5に対応する拡大断面図である。
【図7】(A)はK2 >K3 とした場合のリーフバルブ
の撓み特性を示すグラフであり、(B)はその場合の減
衰力特性を示すグラフである。
【図8】(A)はK3 >K2 とした場合のリーフバルブ
の撓み特性を示すグラフであり、(B)はその場合の減
衰力特性を示すグラフである。
【図9】本実施例の他の効果を説明するための概略的な
グラフである。
【図10】従来例に係る油圧緩衝器の要部を示す断面図
である。
【図11】図10に示される油圧緩衝器の要部を示す拡
大断面図である。
【符号の説明】
10 ショックアブソーバ(油圧緩衝器) 12 シリンダ(筒体) 36 ピストン(隔成部材) 38 上室 40 下室 52 リーフバルブ(第1のリーフバルブ) 58 リーフバルブ(第2のリーフバルブ) 62 コンプレッションスプリング 72 伸び側ポート(連通路)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に流体が充填された筒体と、 この筒体内の室を隔成する隔成部材と、 この隔成部材によって隔成される各室を相互に連通する
    連通路と、 この連通路の開放側の端部に設けられると共に弾性変形
    可能とされ、弾性変形することにより連通路を開放する
    リーフバルブと、 を有する油圧緩衝器であって、 前記リーフバルブは、 前記隔成部材側における連通路の開放側の端部に配置さ
    れた第1のリーフバルブと、 この第1のリーフバルブに対して前記隔成部材と反対側
    にかつ前記隔成部材の軸方向に所定の間隔を開けて配置
    され、かつ、予荷重を付与されて前記第1のリーフバル
    ブ側へ弾性変形した状態で設けられる第2のリーフバル
    ブと、 を含んで構成される、 ことを特徴とする油圧緩衝器。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11287281A (ja) * 1998-03-31 1999-10-19 Tokico Ltd 減衰力調整式油圧緩衝器
JP2004116779A (ja) * 2002-09-24 2004-04-15 Suspa Compart Gmbh 長さ調整可能な圧縮バネ
JP2008051256A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Kayaba Ind Co Ltd 緩衝器のバルブ構造
KR100890038B1 (ko) * 2007-08-22 2009-03-25 에스앤티대우(주) 차량용 쇽업소버의 피스톤밸브유닛
JP2018053978A (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 Kyb株式会社 ベースバルブおよび緩衝器
WO2023002735A1 (ja) * 2021-07-20 2023-01-26 Kyb株式会社 バルブおよび緩衝器

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