JPH04109451U - 内燃機関のピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 重量増大を招くことなく、ピストン全体の剛
性を強化することにより、ピンボス部の内側の摩耗及び
焼付防止等を図ることを目的とする。 【構成】 ピストンのピンボス部１の両端のスカート部
を削除して、該ピンボス部１の両端をリングベルト部よ
りもピストンの中心寄りに後退させると共に、ピンボス
部１とピストンスカート部３とを連接させる支持部２１
を一体成形する。支持部２１には夫々空孔部５を開設す
る。そして、この支持部２１を、内・外面が曲面に形成
され、かつスカート部３からピストンの略中心に向かっ
てピストン外周方向に凸に湾曲しつつ延びてボス部１に
繋がる形状に形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関のピストンに関し、特に、軽量化を図ったピストンの耐久 性を向上する技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種ピストンとしては、「月刊内燃機関ｖｏｌ．２６，Ｎｏ．３３２ 及びｖｏｌ．２８，Ｎｏ．３５５」並びに実開昭６３−１１５５６２号公報等に よって開示されたものがあり、図４はこのようなピストンの一例を示す。 この図のピストンは、上部のピストンリングが嵌合するリングベルト部１５と 、下部のピストンスカート部３とで構成される一体構造のピストンであって、ピ ンボス部１の両端のスカート部を削除して、該ピンボス部１の両端をリングベル ト部１５よりもピストンの中心寄りに後退させると共に、ピンボス部１とピスト ンスカート部３とを連接させる支持部１１を一体成形して備え、該支持部１１に は夫々空孔部５を開設することによって、軽量化を図ったものである。

【０００３】 このような軽量化ピストンは、機関の燃費向上の要求の高まりと共にその重要 性が増してきている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながらこのような従来のピストンにあっては、次のような問題点があっ た。 即ち、上述した空孔部５を設けたことによって、スカート部３は支持部１１の みによってボス部１に結合される構成であるため、ピストン全体の剛性が低下す る。

【０００５】 この結果、図５に示すように、ピストンの冠面９への燃焼圧力Ｐｇ作用時に、 スカート部３はピストン中心に向けて下方に撓む一方（図５Ａ）、ピンボス部１ は、シリンダボア１６に向けて上方に撓み（図５Ｂ）、ピストンピン８の撓み方 向と異なる（ピン８はＰｇ作用時はコンロッド７に嵌合しているため、下方に撓 む。）従って、ピン８はピンボス部１の内側１４と局部的に当たるようになり、 ピンボス部１の内側１４の摩耗及び焼付が発生し、ピストンの耐久性が損なわれ るという問題点があった。

【０００６】 そこで、本考案は以上のような従来の問題点に鑑み、重量増大を招くことなく 、ピストン全体の剛性を強化することにより、ピンボス部の内側の摩耗及び焼付 防止等を図ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案の内燃機関のピストンは、ピストンピンを支持するピンボス 部とピストンスカート部とを連接させる支持部に空孔部を開設してなる内燃機関 のピストンにおいて、前記支持部を、内・外面が曲面に形成され、かつ前記スカ ート部からピストンの略中心に向かってピストン外周方向に凸に湾曲しつつ延び て前記ボス部に繋がる形状に形成した構成とする。

【０００８】

【作用】

かかる構成において、エンジンの運転条件下において、ピストン冠面には燃焼 圧力が作用する。このとき、ピストンピンはコンロッドに嵌合しているため、そ の中心からシリンダボアに向かって下方に撓み、略くの字形の変形が起こる。 これに対して、ピンボス部は、従来では、シリンダボアに向けて上方に撓むが 、本構成においては、スカート部のピストン中心軸に向いた下向きの変形に追従 して、ピンボス部がシリンダボアに向けて下方に撓む。

【０００９】 このようにピンとピンボス部とが同じ方向に撓むことによって、ピンとピンボ ス部の内側とが局部的に当たるようなことがなくなり、ピンボス部の内側の摩耗 及び焼付の発生を防止でき、ピストンの耐久性を向上することが可能となる。

【００１０】

【実施例】

以下、添付された図面を参照して本考案を詳述する。 図１において、ピストンは、上部のリングベルト部１５と、下部のピストンス カート部３とで構成される一体構造であって、ピンボス部１の両端のスカート部 を削除して、該ピンボス部１の両端をリングベルト部１５よりもピストンの中心 寄りに後退させると共に、ピンボス部１とピストンスカート部３とを連接させる 支持部２１を一体成形して備え、該支持部２１には夫々空孔部５を開設してなる 構成は従来と同様である。

【００１１】 従来と異なるのは、前記支持部２１を、内・外面が曲面に形成され、かつ前記 スカート部３からピストンの略中心に向かってピストン外周方向に凸に湾曲しつ つ延びて前記ボス部１に繋がる形状に形成した点にある。 以上のように支持部２１を独特の形状にした構成により、次のような作用・効 果を奏する。

【００１２】 即ち、エンジンの運転条件下において、図３に示すように、ピストン冠面９に は燃焼圧力Ｐｇが作用する。このとき、図に示すように、ピストンピン８はコン ロッド７に嵌合しているため、その中心からシリンダボア１６に向かって下方に 撓み、略くの字形の変形が起こる。 これに対して、ピンボス部１は、従来では、シリンダボア１６に向けて上方に 撓むが、本構成においては、支持部２１を、スカート部３からピストンの略中心 に向かってピストン外周方向に凸に湾曲しつつ延びてボス部１に繋がる形状に形 成した結果、スカート部３のピストン中心軸に向いた下向きの変形（図５Ａ参照 ）に追従して、図３に示すように、ピンボス部１がシリンダボア１６に向けて下 方に撓む。

【００１３】 このようにピン８とピンボス部１とが同じ方向に撓むことによって、ピン８と ピンボス部１の内側１４とが局部的に当たるようなことがなくなり、ピンボス部 １の内側１４の摩耗及び焼付の発生を防止でき、ピストンの耐久性を向上するこ とが可能となる。 この場合、支持部２１の形状を変更するだけであるから、ピストン自体の重量 は殆ど変わらず、軽量の状態を維持することができる。

【００１４】 尚、以上のように、特定の実施例を参照して本考案を説明したが、本考案はこ れに限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本考案に 添付された実用新案登録請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正 が可能であるとの点に留意すべきである。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、ピストンピンを支持するピンボス部と ピストンスカート部とを連接させる支持部を、内・外面が曲面に形成され、かつ スカート部からピストンの略中心に向かってピストン外周方向に凸に湾曲しつつ 延びてボス部に繋がる形状に形成したから、重量増大を招くことなく、ピストン 全体の剛性を強化することができ、ピンボス部の内側の摩耗及び焼付防止等を図 ることができる実用的効果大なるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る内燃機関のピストンの一実施例
の正面断面図

【図２】 図１におけるＡ矢視図

【図３】 同上実施例の作用を説明する正面断面図

【図４】 Ａは従来のピストンの正面断面図（Ｂ中Ａ−
Ａ矢視断面図）、Ｂは側面断面図（Ａ中Ｂ−Ｂ矢視断面
図）、Ｃは底面図

【図５】 従来のピストンの問題点を説明する断面図

【符号の説明】

１ ピンボス部 ３ ピストンスカート部 ５ 空孔部 １５ リングベルト部 ２１ 支持部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ピストンピンを支持するピンボス部とピス
   トンスカート部とを連接させる支持部に空孔部を開設し
   てなる内燃機関のピストンにおいて、前記支持部を、内
   ・外面が曲面に形成され、かつ前記スカート部からピス
   トンの略中心に向かってピストン外周方向に凸に湾曲し
   つつ延びて前記ボス部に繋がる形状に形成したことを特
   徴とする内燃機関のピストン。