JP4245328B2 - 内燃機関用ピストン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に係り、更に詳細には内燃機関用ピストンに係る。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関用ピストンは、一般に、ヘッド部と、該ヘッド部と一体に形成され互いに径方向に隔置された断面円弧状の一対のスカート部と、ヘッド部と一体に形成され一対のスカート部の両端を一体に接続しそれぞれピンボス部を郭定する一対のサイドウォール部とを有し、軽量化の目的でアルミニウム合金の如き軽合金にて形成されている。
【0003】
内燃機関用ピストンに於いて、ピストンとシリンダボアとの間の摩擦を低減すべく、下記の特許文献1に記載された発明の如く、スカート部の外表面に陽極酸化皮膜が形成された後、該皮膜の微細孔内に熱硬化性樹脂が含浸されたり、下記の特許文献2に記載された発明の如く、スカート部に潤滑剤を被覆する技術が開発されている。
【特許文献1】
特開2001−279495号公報
【特許文献2】
特開2001−280496号公報
【特許文献3】
実開平7−8541号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
内燃機関用ピストンに於いては、スカート部の剛性がその上端より下端へ向かうにつれて低くなり、また図4に示されている如く、ピストン100がシリンダボア102内を往復動する際にスカート部104にスラスト力F(径方向内方への力)が作用するので、スカート部の幅方向中央部の下端(インロー部)が他の部位に比して大きく径方向内方へ変形する。そのためスカート部104の幅方向両端部、即ちサイドウォール部106の両端に対応する部分とシリンダボア102との接触圧力が高くなり、そのためこの部分の摩耗量が増大したり、この部分に於いて焼き付きが生じたりし易いという問題があり、上記特許文献1及び2に記載された技術によってもこの問題を効果的に解消することはできない。
【0005】
またピストンのスカート部とシリンダボアとの間の接触圧力を低減すべく、上記特許文献3に記載された発明の如く、サイドウォール部がスカート部に対するスラスト力により変形し易い形状に設定されたピストンも既に提案されているが、サイドウォール部のピンボス部には燃焼室内の爆発による荷重が作用し、スカート部にはシリンダボアよりのスラスト力が作用し、これらの力がサイドウォール部を介して相互に影響し合うため、サイドウォール部の形状設定により上述の問題を効果的に解消することは困難である。
【0006】
本発明は、従来の内燃機関用ピストンに於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、スカート部の幅方向両端部又はサイドウォール部の両端部の圧縮弾性変形能を他の部位に比して高くすることにより、シリンダボアに対するスカート部の幅方向両端部の接触圧力を低減し、これにより従来に比して該部分の摩耗量及び焼き付きの虞れを低減することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、ヘッド部と、該ヘッド部と一体に形成され互いに径方向に隔置された断面円弧状の一対のスカート部と、前記ヘッド部と一体に形成され前記一対のスカート部の幅方向両端を一体に接続しそれぞれピンボス部を郭定する一対のサイドウォール部とを有する内燃機関用ピストンに於いて、前記一対のスカート部の幅方向の両端部は少なくとも下端部に於いて前記ピストンを構成する金属材料よりも圧縮弾性変形能が高い材料にて形成されていることを特徴とする内燃機関用ピストン(請求項1の構成)、又はヘッド部と、該ヘッド部と一体に形成され互いに径方向に隔置された断面円弧状の一対のスカート部と、前記ヘッド部と一体に形成され前記一対のスカート部の幅方向両端を一体に接続しそれぞれピンボス部を郭定する一対のサイドウォール部とを有する内燃機関用ピストンに於いて、前記一対のサイドウォール部の幅方向の両端部は少なくとも下端部に於いて前記ピストンを構成する金属材料よりも圧縮弾性変形能が高い材料にて形成されていることを特徴とする内燃機関用ピストン(請求項2の構成)によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記一対のスカート部の径方向内方への弾性変形のし易さは前記一対のスカート部の下端へ向かうほど大きいよう構成される(請求項3の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れか一つの構成に於いて、前記圧縮弾性変形能が高い材料の横方向の幅は下端へ向かうほど大きいよう構成される(請求項4の構成)。
【0008】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1の構成によれば、一対のスカート部の幅方向の両端部が少なくとも下端部に於いてピストンを構成する金属材料よりも圧縮弾性変形能が高い材料にて形成されており、また上記請求項2の構成によれば、一対のサイドウォール部の幅方向の両端部が少なくとも下端部に於いてピストンを構成する金属材料よりも圧縮弾性変形能が高い材料にて形成されている。よって従来の一般的なピストンや上記特許文献1乃至3に記載されたピストンの場合に比して、一対のスカート部の幅方向両端部が容易に径方向内方へ弾性変形することができ、従ってスカート部の幅方向両端部とシリンダボアとの間の接触圧力を低下させることができ、これにより上記部分の摩耗量を効果的に低減すると共に焼き付きの虞れを確実に低減することができ、更には内燃機関の燃費及び出力を向上させ、振動や騒音を低減することができる。
また上記請求項1及び2の構成によれば、一対のスカート部又は一対のサイドウォール部の幅方向の両端部が少なくとも下端部に於いてピストンを構成する金属材料よりも圧縮弾性変形能が高い材料にて形成される。よってスカート部及びサイドウォール部の全体がピストンを構成する金属材料よりも圧縮弾性変形能の高い材料にて形成される場合に比して、スカート部の耐摩耗性やピストン全体の剛性を低下させることなく、一対のスカート部が容易に径方向内方へ弾性変形し得るようにすることができことができる。
【0009】
また例えば一対のスカート部やサイドウォール部の幅方向両端の少なくとも下端部を他の部分よりも薄くしたりすることにより弾性変形し易くすると、該部分の弾性変形によりスカート部やサイドウォール部の他の部分が変位し、ピストンピンとピンボス部との間等に於ける摩擦や応力が増大してしまうが、上記請求項1及び2の構成によれば、実質的に圧縮弾性変形能が高い材料のみが弾性変形するので、ピストンの他の部分に与える悪影響を効果的に低減することができる。
【0010】
特に上記請求項2の構成によれば、圧縮弾性変形能が高い材料がシリンダボアと摺接することがないので、圧縮弾性変形能が高い材料は耐摩耗性の低い材料であってよく、また圧縮弾性変形能が高い材料が耐摩耗性の低い材料であっても、上記請求項1の構成の場合に比して一対のスカート部の幅方向両端部の摩耗を確実に低減することができる。
また上記請求項3の構成によれば、一対のスカート部の径方向内方への弾性変形のし易さは一対のスカート部の下端へ向かうほど大きい。よってスカート部の下端ほど高いスラスト力を好ましく低減すると共に、スカート部の上端ほど剛性を高くしてシリンダボア内を往復動する際のピストンの姿勢を良好にし、これによりスカート部の摩耗を好ましく低減すると共に、内燃機関運転時の振動及び騒音を低減することができる。
また上記請求項4の構成によれば、圧縮弾性変形能が高い材料の横方向の幅は下端へ向かうほど大きい。よって一対のスカート部の径方向内方への弾性変形のし易さを確実に一対のスカート部の下端へ向かうほど大きくすることができる。
【0011】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、圧縮弾性変形能が高い材料は耐熱樹脂、ゴム、ばね材、マグネ鋼よりなる群より選択された材料であるよう構成される(好ましい態様1)。
【0012】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、圧縮弾性変形能が高い材料は鋳包みにより組み込まれるよう構成される(好ましい態様2)。
【0013】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は3又は4の構成に於いて、圧縮弾性変形能が高い材料はスカート部に形成された凹部に接合により固定されるよう構成される(好ましい態様3)。
【0014】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至4の何れか一つの構成に於いて、圧縮弾性変形能が高い材料はサイドウォール部に形成された凹部に接合により固定されるよう構成される(好ましい態様4)。
【0015】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、圧縮弾性変形能が高い材料は機械的手段により固定されるよう構成される(好ましい態様5)。
【0017】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、圧縮弾性変形能が高い材料の少なくとも一部の厚さはその周囲のスカート部の厚さとは異なるよう構成される(好ましい態様6)。
【0018】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至4の何れか一つの構成に於いて、圧縮弾性変形能が高い材料の少なくとも一部の厚さはその周囲のサイドウォール部の厚さとは異なるよう構成される(好ましい態様7)。
【0019】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は3又は4の構成に於いて、ピストンの軸線に沿う方向のスカート部の長さはサイドウォール部の長さよりも大きく、圧縮弾性変形能が高い材料の下端は実質的にサイドウォール部の下端に整合しているよう構成される(好ましい態様8)。
【0020】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2乃至4の何れか一つの構成に於いて、圧縮弾性変形能が高い材料の下端はサイドウォール部の下端の一部を郭定するよう構成される(好ましい態様9)。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0022】
第一の実施形態
図1は本発明による内燃機関用ピストンの第一の実施形態を示す正面図(A)及び底面図(B)である。
【0023】
図1に於いて、ピストン10はアルミニウム合金の如き軽合金にて形成されており、実質的に円板状をなすヘッド部12と、ヘッド部12と一体に形成され互いに径方向に隔置された断面円弧状の一対のスカート部14と、ヘッド部12と一体に形成され一対のスカート部14の幅方向両端を一体に接続する一対のサイドウォール部16とを有している。ヘッド部12は二つのコンプレッションリング溝18及び20と一つのオイルリング溝22とを有し、スカート部14及びサイドウォール部16は軸線24に沿って延在している。
【0024】
図1(B)に示されている如く、ピストン10の下方より軸線24に沿って見て、一対のスカート部14及び一対のサイドウォール部16は互いに共働して実質的に長円形をなし、軸線24に沿う方向のスカート部14の長さはサイドウォール部16の長さよりも僅かに大きく設定されている。各サイドウォール部16は軸線18に垂直な軸線26に沿うピストンピン孔28を郭定するピンボス部30を有し、ピンボス部30はピストンピン孔28にて図には示されていないピストンピンを支持するようになっている。
【0025】
第一の実施形態に於いては、一対のスカート部14の幅方向両端の下端部はピストン10を構成する軽合金よりも弾性(圧縮弾性変形能)が高いダンパー材32にて形成されており、ダンパー材32は一定の上下方向幅にて円弧状に延在している。またダンパー材32の下端はサイドウォール部16の下端に整合している。従ってスカート部14、特にその下端部は、スカート部14全体がピストン10の他の部分と同一の軽合金にて形成されている場合に比して、スカート部14にスラスト力が作用した際に容易に径方向内方へ弾性変形する。
【0026】
第二の実施形態
図2は本発明による内燃機関用ピストンの第二の実施形態を示す正面図(A)及び底面図(B)である。尚図2に於いて図1に示された部分と同一の部分には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0027】
この第二の実施形態に於いては、一対のサイドウォール部16の幅方向両端部はその上端近傍より下端までピストンを構成する軽合金よりも圧縮弾性変形能が高いダンパー材32にて形成されており、ダンパー材32は一定の横方向の幅にて軸線24に沿って上下方向に延在している。従ってサイドウォール部16全体がピストン10の他の部分と同一の軽合金にて形成されている場合に比して、スカート部14にスラスト力が作用した際にスカート部14、特にその下端部が径方向内方へ弾性変形し易い。
【0028】
第三の実施形態
図3は本発明による内燃機関用ピストンの第三の実施形態を示す正面図(A)及び底面図(B)である。尚図3に於いて図1に示された部分と同一の部分には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
【0029】
この第三の実施形態に於いては、上記第二の実施形態の場合と同様、一対のサイドウォール部16の幅方向両端部はその上端近傍より下端までピストンを構成する軽合金よりも圧縮弾性変形能が高いダンパー材32にて形成されているが、ダンパー材32の横方向の幅は下端より上端へ向かうにつれて漸次小さくなるよう設定されている。
【0030】
従ってサイドウォール部16全体がピストン10の他の部分と同一の軽合金にて形成されている場合に比して、スカート部14にスラスト力が作用した際にスカート部14、特にその下端部が径方向内方へ弾性変形し易く、特に径方向内方への弾性変形のし易さはスカート部14の下端ほど大きい。
【0031】
尚上述の各実施形態に於けるダンパー材32はピストン10を構成する軽合金よりも圧縮弾性変形能が高く耐熱性に優れた材料である限り任意の材料であってよく、例えば耐熱樹脂、ゴム、ばね材、マグネ鋼などであってよい。またダンパー材32はスカート部14又はサイドウォール部16に鋳包みにより組み込まれてよく、またスカート部14又はサイドウォール部16に形成された凹部に接着、溶接などにより接合されてよく、更にはビス止めなどの機械的手段により固定されてもよい。
【0032】
かくして上述の各実施形態によれば、従来の一般的なピストンや上記特許文献1乃至3に記載されたピストンの場合に比して、スカート部14の幅方向両端部と図1には示されていないシリンダボアとの間の接触圧力を低下させ、これにより上記部分の摩耗量を効果的に低減すると共に、焼き付きの虞れを確実に低減することができる。
【0033】
また例えば一対のスカート部14やサイドウォール部16の幅方向両端の少なくとも下端部を他の部分よりも薄くしたりすることにより弾性変形し易くすると、該部分の弾性変形によりスカート部14やサイドウォール部16の他の部分が変位し、ピストンピンとピンボス部30との間等に於ける摩擦や応力が増大してしまうが、上述の各実施形態によれば、ダンパー材32のみが弾性変形するので、ピストン10の他の部分に与える悪影響を効果的に低減することができる。
【0034】
特に図示の第一の実施形態によれば、ダンパー材32の下端はサイドウォール部16の下端に整合しているので、ダンパー材32がスカート部14の下端まで延在している場合に比して、ダンパー材32に起因するスカート部14の強度や剛性の低下を低減することができ、これによりピストン10の良好な耐久性を確保することができる。
【0035】
尚図示の第一の実施形態に於いては、ダンパー材32はスカート部14の外面の一部を郭定しており、従ってピストン10の往復動に伴いシリンダボアに摺接するので、ダンパー材32は圧縮弾性変形能が高く耐熱性に優れているだけでなく、耐摩耗性にも優れていることが好ましい。
【0036】
また図示の第二の実施形態によれば、スカート部14とピンボス部30とを連結するサイドウォール部16にダンパー材32が存在するので、ヘッド部12にて受ける爆発圧力によるピンボス部30の変形をダンパー材32により遮断し、これによりスカート部14ヘの影響を低減することができ、また逆にスカート部14に作用するスラスト力をダンパー材32により遮断し、これによりピンボス部30の変形を低減することができる。
【0037】
また図示の第二の実施形態によれば、上述の如くスカート部14とサイドウォール部16との間に相互に作用する力の影響を低減することができるので、ピストンピン孔28の摩耗や焼き付きの虞れを低減すると共に、ピンボス部30に要求される強度を低下させることができ、これによりピストンピンを小径化しピンボス部30を小型化できることにより、ピストン10を軽量化し内燃機関の性能を向上させることができる。
【0038】
更に図示の第二の実施形態によれば、スカート部14のプロフィールの適合を容易に行うことができ、またスカート部14の外面の面積を小さくすることができるので、スカート部14とシリンダボアとの間のフリクションを低減し、このことによっても内燃機関の性能を向上させることができる。
【0039】
また図示の第三実施形態によれば、ダンパー材32の幅は下端より上端へ向かうにつれて漸次小さくなるよう設定されているので、スカート部14に対するダンパー機能をスカート部14の下端ほど大きくし、スカート部14の下端ほど高いスラスト力を好ましく低減すると共に、スカート部14の上端ほど剛性を高くしてシリンダボア内を往復動する際のピストン10の姿勢を良好にし、これによりスカート部14の摩耗を好ましく低減すると共に、内燃機関運転時の振動及び騒音を低減することができる。
【0040】
また一般に、ピストン10は内燃機関の運転時にヘッド部12に於いて燃焼熱を受けるので、スカート部14及びサイドウォール部16はそれらの上端ほど温度及び熱負荷が高く、従ってスカート部14及びサイドウォール部16は上端ほどシリンダボアへの伝熱性や放熱性に優れていると共に、熱変形に対する強度が高いことが好ましい。
【0041】
図示の第三の実施形態によれば、ダンパー材32の横方向の幅は下端より上端へ向かうにつれて漸次小さくなるよう設定されているので、スカート部14及びサイドウォール部16の上端ほどシリンダボアへの伝熱性や放熱性及び熱変形に対する強度を高くすることができ、これによりスカート部14全体の強度バランスの適正化、温度分布の制御、ピンボス部30周辺の応力分布に対する強度の適正化を上記第二の実施形態の場合に比して好ましく達成することができ、その結果としてピストン10全体の軽量化及び高剛性化、内燃機関運転時のピストンの温度低下などを一層効果的に達成することができる。
【0042】
また図示の第二及び第三の実施形態によれば、ダンパー材32はサイドウォール部16の下端まで延在しているので、ダンパー材32がサイドウォール部16の下端まで延在していない構成の場合に比して、スカート部14の幅方向両端部とシリンダボアとの間の接触圧力を効果的に低下させることができる。
【0043】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0044】
例えばダンパー材32は上述の第一の実施形態に於いてはスカート部14の幅方向両端の下端部にのみ設けられ、第二の実施形態に於いてはサイドウォール部16の幅方向両端にのみ設けられているが、例えば第一の実施形態と第二又は第三の実施形態との組合せの如く、ダンパー材32はスカート部14の幅方向両端及びサイドウォール部16の幅方向両端の両者に設けられてもよい。
【0045】
また上述の第一の実施形態に於いては、ダンパー材32は一定の上下幅にて円弧状に延在しているが、例えば図1に於いて仮想線にて示されている如く、スカート部14に設けられるダンパー材32も上述の第三の実施形態の場合と同様、横方向の幅が上端へ向かうにつれて漸次減少するよう修正されてもよい。
【0046】
またダンパー材32の厚さ(径方向の寸法)は上述の第一の実施形態に於いてはスカート部14の厚さと同一の一定の厚さであり、第二の実施形態に於いてはサイドウォール部16の厚さと同一の一定の厚さであるが、ダンパー材32の厚さはスカート部14やサイドウォール部16の厚さと異なっていてもよく、またダンパー材32の厚さはその部位によって他の部位とは異なっていてもよい。
【0047】
また上述の第一の実施形態に於いては、ダンパー材32はスカート部14の下端まで延在しておらず、第二及び第三の実施形態に於いてはサイドウォール部16の下端まで延在しているが、スカート部14に設けられるダンパー材32はスカート部14の下端まで延在しその下端を郭定していてもよく、またサイドウォール部16に設けられるダンパー材32はサイドウォール部16の下端まで延在していなくてもよい。
【0048】
更に上述の各実施形態に於いては、ダンパー材32の角部に丸みが設けられていないが、ダンパー材32を受けるスカート部14やサイドウォール部16の隅部の切欠き効果による悪影響が低減されるよう、ダンパー材32の角部に丸みが設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による内燃機関用ピストンの第一の実施形態を示す正面図(A)及び底面図(B)である。
【図2】本発明による内燃機関用ピストンの第二の実施形態を示す正面図(A)及び底面図(B)である。
【図3】本発明による内燃機関用ピストンの第三の実施形態を示す正面図(A)及び底面図(B)である。
【図4】従来の内燃機関用ピストンに於けるスカート部の変形を拡大して示すピストンの部分底面図である。
【符号の説明】
10…ピストン
12…ヘッド部
14…スカート部
16…サイドウォール部
30…ピンボス部
32…ダンパー材
Claims (4)
- ヘッド部と、該ヘッド部と一体に形成され互いに径方向に隔置された断面円弧状の一対のスカート部と、前記ヘッド部と一体に形成され前記一対のスカート部の幅方向両端を一体に接続しそれぞれピンボス部を郭定する一対のサイドウォール部とを有する内燃機関用ピストンに於いて、前記一対のスカート部の幅方向の両端部は少なくとも下端部に於いて前記ピストンを構成する金属材料よりも圧縮弾性変形能が高い材料にて形成されていることを特徴とする内燃機関用ピストン。
- ヘッド部と、該ヘッド部と一体に形成され互いに径方向に隔置された断面円弧状の一対のスカート部と、前記ヘッド部と一体に形成され前記一対のスカート部の幅方向両端を一体に接続しそれぞれピンボス部を郭定する一対のサイドウォール部とを有する内燃機関用ピストンに於いて、前記一対のサイドウォール部の幅方向の両端部は少なくとも下端部に於いて前記ピストンを構成する金属材料よりも圧縮弾性変形能が高い材料にて形成されていることを特徴とする内燃機関用ピストン。
- 前記一対のスカート部の径方向内方への弾性変形のし易さは前記一対のスカート部の下端へ向かうほど大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストン。
- 前記圧縮弾性変形能が高い材料の横方向の幅は下端へ向かうほど大きいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の内燃機関用ピストン。
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