JPH04107221U - 光学フイルタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 〔目的〕本考案の目的は、光学フィルタ装置のフィルタ
にコーティングガラスを使用して分光透過特性を調整可
能にし、分光透過特性のバラツキによる複写画像の不具
合の問題を解消することにある。 〔構成〕本考案の光学フィルタ装置は、露光の分光分布
を規制するコーティングを施した透明ガラス板のフィル
タ２と、このフィルタ２を露光スリットの長手方向を軸
として回動させ光透過面の角度を変えられるようにする
手段とを備えたことを特徴とする。 〔効果〕本考案の光学フィルタ装置では、結像光束に対
してフィルタ面を傾けて光の透過角度を変えられるよう
になっているため、分光透過特性を調整することが可能
となり、光学フィルタの分光透過特性のバラツキによ
る、複写画像の不具合の問題を解消することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電子写真方式の複写機において露光の分光分布を規制する光学フィ ルタ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、電子写真方式の複写機において露光の分光分布を規制する光学フィルタ としては、光学レンズやミラーまたは光学系に現像部から飛散したトナーが入 り込まないように光路中に設けた防塵ガラスの表面にコーティングを施してフィ ルタとしたものがある。また、露光の分光分布を規制するフィルタとしては、 その他に樹脂製のフィルム状のフィルタや色ガラスフィルタが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前記従来技術のの場合、ガラスの表面に真空蒸着により多層膜処理を施すわ けであるが、加工ロット間でコーティングによる分光透過特性のバラツキが出や すく、また、コーティング面のサイズが大きくなると、１部品の面内での特性バ ラツキも出やすくなる。その結果、複写機で使用すると、光量の機械間バラツキ や、光量のムラによる画像濃度ムラが発生しやすくなる。また、色原稿の再現性 にバラツキが出やすく、例えば印鑑の朱肉の色が出ない、文字を朱記訂正したが その朱記部分がでない、あるいは、用紙の罫線が出ない、また逆に出過ぎてこま る等の種々の問題が発生する。 また、従来技術のの場合、分光透過特性のバラツキは比較的小さいが、この 特性を出すために熱処理をする過程において、内部に歪が生じやすく、結像性能 を上げることが難しく高価なものとなっている。特にフィルム状のフィルタの場 合、複写機内でフィルタ面がゆがんだりしないように、支持部材や張力付加手段 等の部品が必要であり、コストアップ、組立性の低下の原因となり問題である。 本考案は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、光学フィルタ 装置のフィルタにコーティングガラスを使用して分光透過特性を調整可能にし、 狙いの特性を出すことができるようにし、前述の主に画像の不具合の問題を解消 することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、電子写真方式の複写機の結像レンズから 感光体面に至る結像光路の途中に配設される光学フィルタ装置であって、露光の 分光分布を規制するコーティングを施した透明ガラス板のフィルタと、このフィ ルタを露光スリットの長手方向を軸として回動させ光透過面の角度を変えられる ようにする手段とを備えたことを特徴とする。

【０００５】

【作用】

ガラス面に露光の分光分布を規制するコーティングを施して干渉膜を形成させ た場合、ガラス面への光の入射角度によって分光透過特性が変わり、角度が大き くなると、短波長側にシフトすることが理論的に知られている。 従って、本考案の光学フィルタ装置においては、結像光束に対してフィルタ面 を傾けて光の透過角度を変えられるようになっているため、分光透過特性を調整 することが可能となる。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。 図１は本考案の光学フィルタ装置を備えたスリット露光方式の複写機の一例を 示す概略構成図である。図１において、符号21は露光光源、20は第１ミラー、22 は第２ミラー、23は第３ミラー、24は結像レンズ、25は第４ミラー、26は第５ミ ラー、27は第６ミラーであり、複写機の露光光学系を構成しており、図示の例で は、光学フィルタ装置１は結像レンズ24から感光体28面に至る結像光路中の第５ ミラー26と第６ミラー27の間に配設されている。 また、図１において、感光体28の周囲には、帯電器29、現像装置30、転写チャ ージャ31、分離チャージャ32、クリーニング装置33、除電器35等が配置されてお り、公知の電子写真方式の画像形成が行なわれる。すなわち、感光体28は帯電器 28により一様に帯電された後、上述の露光光学系により原稿像をスリット露光さ れ、感光体28上に静電潜像が形成される。感光体28上の静電潜像は現像装置30の トナーによって現像され顕像化される。この感光体28上のトナー像は、給紙カセ ット36から搬送されてきた転写紙に転写され、トナー像転写後の転写紙は定着ロ ーラ34に送られ、トナー像が転写紙に定着される。そして定着後の転写紙は排紙 トレイ等に排紙される。また、トナー像転写後の感光体28はクリーニング装置33 によってクリーニングされ、除電器35によって除電され、初期状態に戻る。

【０００７】 次に、図２は本考案の光学フィルタ装置１の一実施例を示す斜視図、図３は同 上光学フィルタ装置１の要部平面図である。 図２、図３において、この光学フィルタ装置１のフィルタ２は、透明な板ガラ スの一面に長波長域カットのコーティングと短波長域カットのコーティングを施 したものである。尚、コーティングは板ガラスの表裏に分けて行なっても良い。 このフィルタ２の両端は夫々ホルダー３とホルダー４とで保持されている。両 ホルダー３，４には夫々フィルタを回転させるための軸９，９’が一体的に形成 されており、一方側のホルダー３の軸９は複写機の光学シールド板に取り付けら れた支持板８に回転自在に支持されている。また、他方側のホルダー４の軸９’ は複写機の光学系の側板よりも外側に延出されており、レバー５により側板に軸 支されている。このレバー５はホルダー４の軸部９’と嵌合されてフィルタ２と の位置関係を正確に出してある。また、レバー５の先端には雌ねじが形成されて おり、この雌ねじにねじこまれたツマミネジ７を締めることにより、側板に固定 されたガイド板６にレバー５を固定することができる。また、ツマミネジ７を緩 めることにより、レバー５をガイド板６のガイド用長穴６’の範囲で揺動するこ とができ、フィルタ２の角度を変えることができるようになっている。したがっ て、レバー５のガイド板６に対する固定位置を変えてフィルタ２の角度を調整す ることにより、分光透過率を調整することができ、所望の分光透過率となるよう にフィルタ２の角度を調整した後、ツマミネジ７を締め付けてレバー５をガイド 板６に固定すれば、フィルタ２がその角度で固定される。

【０００８】 次に、図４乃至図６は板ガラスへのコーティングの仕様の一例であって、図４ は長波長域カットのコーティングを施した場合の波長λと透過率Ｔの関係を示す 図、図５は短波長域カットのコーティングを施した場合の波長λと透過率Ｔの関 係を示す図、図６は短波長域カットと長波長域カットのコーティングを合成した ときの波長λと透過率Ｔの関係を示す図である。尚、各図ともフィルタのコーテ ィング面へ光束が垂直に入射する場合（入射角０°）を示している。 さて、図４乃至図６より明らかなように、コーティングは各図の斜線の範囲内 でバラツキが発生すると考えて良い。 次に、図７は光線がフィルタのコーティング面を垂直に透過したときと、20° 傾斜して透過したときの分光透過特性を示すデータであり、20°傾斜して透過さ せた場合には約20nｍ 短波長側にシフトしていることを示す図である。 したがって、図７から明らかなように、フィルタの透過光線に対する傾斜角を 調整することにより、分光透過率の調整が可能となり、図４乃至図６に示したコ ーティングによるバラツキを補正することが可能となる。

【０００９】 さて、図２及び図３に示した本考案の光学フィルタ装置においては、フィルタ ２の角度がレバー５の操作により容易に調整可能であるため、フィルタの透過光 線に対する傾斜角を調整することにより、分光透過率の調整が可能となり、コー ティングによる分光透過特性のバラツキを補正することが可能となる。 尚、フィルタ２の角度を調整する手段としては、図２、図３に示す構成に限ら ず、他の構成でも実施することができる。また、レバー５の代わりに軸部９’を ギヤ等を介してステップモータ等と連結し、電動化することもできる。

【００１０】

【考案の効果】

以上、実施例に基づいて説明したように、本考案の光学フィルタ装置において は、結像光束に対してフィルタ面を傾けて光の透過角度を変えられるようになっ ているため、フィルタの透過角度の調整により容易に分光透過特性を調整するこ とができ、分光透過特性のコーティングによるバラツキの問題をなくすことがで きる。したがって、本考案によれば、光学フィルタの分光透過特性のバラツキに よる、複写画像の不具合の問題を解消することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の光学フィルタ装置を備えたスリット露
光方式の複写機の一例を示す概略構成図である。

【図２】本考案の光学フィルタ装置の一実施例を示す斜
視図である。

【図３】同上光学フィルタ装置の要部平面図である。

【図４】板ガラスに長波長域カットのコーティングを施
した場合の波長λと透過率Ｔの関係を示す図である。

【図５】板ガラスに短長波長域カットのコーティングを
施した場合の波長λと透過率Ｔの関係を示す図である。

【図６】短波長域カットと長波長域カットのコーティン
グを合成したときの波長λと透過率Ｔの関係を示す図で
ある。

【図７】光線がフィルタのコーティング面を垂直に透過
したときと、20°傾斜して透過したときの分光透過特性
を示す図である。

【符号の説明】

１ 光学フィルタ装置 ２ フィルタ ３，４ ホルダー ５ レバー ６ ガイド板 ７ ツマミネジ ８ 支持板 ９，９’ 軸 21 露光光源 20,22,23,25,26,27 ミラー 24 結像レンズ 28 感光体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】電子写真方式の複写機の結像レンズから感
   光体面に至る結像光路の途中に配設される光学フィルタ
   装置であって、露光の分光分布を規制するコーティング
   を施した透明ガラス板のフィルタと、このフィルタを露
   光スリットの長手方向を軸として回動させ光透過面の角
   度を変えられるようにする手段とを備えたことを特徴と
   する光学フィルタ装置。