JPH0410228Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はジエツトルームに関し、特に反緯入れ
側の織端近傍において緯糸に張力を付与する装置
に関するものである。

［従来の技術］ ジエツトルームにおいては、緯入れされた筬打
ち前の緯糸に一定以上の張力を付与しておく必要
があり、さもないと反緯入れ側の糸端が緩み、そ
の結果、経糸までも緩んで、開口不良となつて緯
入れミスの発生を誘つたり、布組織が崩れたりす
る不具合が生ずるため、反緯入れ側で糸端を捕捉
し吸引パイプ内に90°屈曲して導入することによ
り緯糸に張力を付与する様々な対策が講じられて
いる。

例えば、実開昭60−63580号公報記載の緯糸緊
張装置においては、反緯入れ側にエアカーテンを
形成して緯糸を遮蔽し、吸引パイプ内への確実な
導入を図つているが、これを狙い通り確実なもの
とするためには、空気流を強くしなければなら
ず、空気消費量の増大とそれに付随するコスト上
の問題を招くことになる。さもなければ、緯糸が
エアカーテンを突き抜けたり、外方にそれてしま
い、その場合には緯糸を吸引パイプ内に導入する
ことができない。また、緯糸緊張装置は、エアカ
ーテン流形成のために構造が非常に複雑となり、
従つて、重量も増加し、織機の高速化が阻害され
る結果になつている。

また、特開昭57−61745号公報に開示された発
明は、緯入れ側のメインノズルに向けて開口した
箱体内に、上下方向の空気流を噴射するためのノ
ズルを開口しておき、箱体内に入つた緯糸をノズ
ルからの噴射により吸引パイプに導入せんとする
ものであるが、構造が簡単とは言いがたく、ま
た、メインノズルからの緯糸搬送流体が箱体内に
充満してしまつた場合には、糸端が円滑に吸引パ
イプ内へ移行しないばかりか、箱体内に確実に入
る保証もない。

［考案が解決しようとする問題点］ 従つて、従来の技術には、構造が簡単ではない
にも拘わらず、糸端捕捉の点で必ずしも十分な信
頼性が得られないという問題点があつた。本考案
はこのような問題点を速やかに解決することを目
的とするものである。

［問題点を解決するための手段］ この目的から、本考案は、メインノズルによつ
て緯糸を、筬に沿つて設けられた緯糸搬送案内通
路を飛走させ緯入れするジエツトルームにおい
て、遮蔽面を有し、該遮蔽面を前記メインノズル
に対向させて反緯入れ側の織布外方に配設された
遮蔽板と、該遮蔽板の近傍で該遮蔽板より織布側
において前記緯糸搬送案内通路をジエツトルーム
の前後方向から挾むように配設された、織前側の
流体噴射ノズルと該流体噴射ノズルに対峙する噴
射流体の案内パイプとを備えることを特徴とする
ものである。

［作用］ メインノズルから噴射された緯糸は、緯糸搬送
案内通路を飛走して、反緯入れ側に配設された遮
蔽板の遮蔽面に衝突して確実に捕捉される。ま
た、遮蔽面に当たつて遮蔽板から外れても、緯糸
の一部は遮蔽板に案内されているため、流体噴射
ノズルから噴射される流体流により案内パイプ内
に導入される。そのため、捕捉され速度を失つた
緯糸に対して織前側の流体噴射ノズルから噴射さ
れる流体流が確実に且つ有効に作用し、緯糸を案
内パイプ内に誘導する。かくして、機台回転の各
ピツク毎に緯糸に対して張力が確実に付与され、
いわゆる張力付与ミスのない理想的な製織が行な
われる。

［実施例］ 次に、本考案の好適な実施例について添付図面
を参照して詳細に説明するが、図中、同一符号は
同一又は対応部分を示すものとする。

第１図は本考案による張力付与装置１を備えた
無杼織機、例えばエアジエツトルームを斜視図で
示し、第２図はこの無杼織機に設けられた張力付
与装置１を緯入れ側、即ちメインノズル２側から
見た側面図である。第１図及び第２図において、
筬３は並設された多数の筬羽４から構成されてお
り、筬３は、各筬羽４に凹部５が形成されたいわ
ゆる変形筬となつている。直線状に整列するこれ
等の凹部５がメインノズル１から噴射される緯糸
６の飛走を案内する緯糸搬送案内通路７を形成し
ている。

張力付与装置１は、遮蔽面８を前記メインノズ
ル１に直角に対向させて、即ち緯糸飛走方向に対
してほぼ直角に指向して反緯入れ側に配設された
遮蔽板９と、該遮蔽板９の近傍において前記緯糸
搬送案内通路７を機台の前後方向から挾むように
配設された、織前側の空気噴射ノズル（流体噴射
ノズル）１０と該空気噴射ノズル１０に対峙する
噴射空気の案内パイプ１１とを備えている。

案内パイプ１１は、筬３のリードキヤツプ３ａ
に沿つて可動に取り付けられた固定ブラケツト１
２から垂下する支持板１３に支持されており、空
気噴射ノズル１０はスレー１４に沿つて可動に設
けられた固定ブロツク１５に装着されている。空
気噴射ノズル１０の先端部には案内パイプ１１に
指向する方向に空気を噴射するよう開口１０ａが
形成されている。

遮蔽板９は緯入れ方向に関して空気噴射ノズル
１０及び案内パイプ１１よりも下流側にあり、そ
の遮蔽面８の大きさは少なくとも緯糸搬送案内通
路７を遮蔽する程度とする。遮蔽板９は案内パイ
プ１１に固定されて筬羽４間の空間部に挿入され
るようになつており、その板厚は0.1〜0.3mm程度
とするのが好適である。

実施例では、遮蔽板９が案内パイプ１１に設け
られているが、空気噴射ノズル１０に固定しても
よく、固定手段はろう付け、はんだ付け、或は接
着等とすることができる。また、遮蔽板９は、所
望位置の筬羽４を該遮蔽板９を設けるべき部分で
カツトし、その部分に遮蔽板９を反緯入れ側で取
り付けてもよい。

また、実施例では、遮蔽面８、空気噴射ノズル
１０からの噴射空気及び案内パイプ１１がいずれ
も緯糸飛走方向に対して直角であるが、必要なこ
とは、緯糸６が遮蔽面８で確実に捕捉され、捕捉
された緯糸６が案内パイプ１１内に各ピツク毎に
確実に誘導されて、効果的に緯糸６に張力が付与
されることであるから、この必要性が満たされる
限りにおいて、遮蔽面８、空気噴射ノズル１０か
らの噴射空気及び案内パイプ１１は緯糸飛走方向
に対して若干傾斜していてもよい。

［考案の効果］ 以上のように本考案によれば、緯糸張力付与装
置は、遮蔽面をメインノズルに対向させて反緯入
れ側に遮蔽板を筬羽間に安定状態で配設するもの
であるため、極めて簡単軽量な構造であり、織機
の高速化を阻害することなく、緯糸への張力付与
を各ピツク毎に確実に行ない織布の品質を高める
ことができる。また、緯糸端部に筬の進行方向と
は反対方向へ張力を付与しうる構成のため、筬の
進行による張力と流体噴射による張力との両方が
作用し、流体の消費量を低減しつつ適宜な張力を
付与することができる。例えば、遮蔽板がない場
合と比較して、張力付与用の空気消費量を約20％
減少させても、毎回確実に緯糸に張力が付与され
ることが確認され、空気消費量野低減（省エネル
ギ）に寄与することができる。更に、緯糸に張力
が毎回確実に付与される結果、経糸の緩みも減少
して経糸の開口運動も理想的に行なわれ、経糸の
緩みによる開口不良が原因の緯糸飛走ミスも減少
して、機械の稼動率が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による張力付与装置を備えた無
杼織機、例えばエアジエツトルームを示す斜視
図、第２図は第１図の無杼織機に設けられた張力
付与装置を緯入れ側、即ちメインノズル側から見
た側面図である。 １……緯糸張力付与装置、２……メインノズ
ル、３……筬、４……筬羽、６……緯糸、７……
緯糸搬送案内通路、８……遮蔽面、９……遮蔽
板、１０……空気噴射ノズル（流体噴射ノズル）、
１１……案内パイプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. メインノズルによつて緯糸を、筬に沿つて設け
   られた緯糸搬送案内通路を飛走させ緯入れするジ
   エツトルームにおいて、遮蔽面を有し、該遮蔽面
   を前記メインノズルに対向させて反緯入れ側の織
   布外方に配設された遮蔽板と、該遮蔽板の近傍で
   該遮蔽板より織布側において前記緯糸搬送案内通
   路をジエツトルームの前後方向から挾むように配
   設された、織前側の流体噴射ノズルと該流体噴射
   ノズルに対峙する噴射流体の案内パイプとを備え
   ることを特徴とする、ジエツトルームにおける緯
   糸張力付与装置。