JPH039183B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH039183B2 JPH039183B2 JP9417684A JP9417684A JPH039183B2 JP H039183 B2 JPH039183 B2 JP H039183B2 JP 9417684 A JP9417684 A JP 9417684A JP 9417684 A JP9417684 A JP 9417684A JP H039183 B2 JPH039183 B2 JP H039183B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- superplastic
- cold working
- aluminum alloy
- producing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 claims description 30
- 229910000838 Al alloy Inorganic materials 0.000 claims description 29
- 238000005482 strain hardening Methods 0.000 claims description 23
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 claims description 22
- 238000001816 cooling Methods 0.000 claims description 19
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 claims description 13
- 239000000956 alloy Substances 0.000 claims description 13
- 238000000137 annealing Methods 0.000 claims description 9
- 238000000265 homogenisation Methods 0.000 claims description 8
- 229910018134 Al-Mg Inorganic materials 0.000 claims description 6
- 229910018467 Al—Mg Inorganic materials 0.000 claims description 6
- 239000012535 impurity Substances 0.000 claims description 4
- 229910052782 aluminium Inorganic materials 0.000 claims 3
- 239000000463 material Substances 0.000 description 17
- 238000005266 casting Methods 0.000 description 7
- 238000000034 method Methods 0.000 description 7
- 229910052804 chromium Inorganic materials 0.000 description 5
- 239000006104 solid solution Substances 0.000 description 4
- 229910052726 zirconium Inorganic materials 0.000 description 4
- 239000013078 crystal Substances 0.000 description 3
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 3
- 229910052748 manganese Inorganic materials 0.000 description 3
- 239000002244 precipitate Substances 0.000 description 3
- 229910016583 MnAl Inorganic materials 0.000 description 2
- 229910007880 ZrAl Inorganic materials 0.000 description 2
- 238000005097 cold rolling Methods 0.000 description 2
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 2
- 239000000835 fiber Substances 0.000 description 2
- 238000005098 hot rolling Methods 0.000 description 2
- 229910052742 iron Inorganic materials 0.000 description 2
- 238000001953 recrystallisation Methods 0.000 description 2
- 229910052719 titanium Inorganic materials 0.000 description 2
- 230000009466 transformation Effects 0.000 description 2
- 230000007704 transition Effects 0.000 description 2
- 229910052720 vanadium Inorganic materials 0.000 description 2
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 1
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 1
- 150000001875 compounds Chemical class 0.000 description 1
- 238000007796 conventional method Methods 0.000 description 1
- 238000009826 distribution Methods 0.000 description 1
- 230000002401 inhibitory effect Effects 0.000 description 1
- 229910000765 intermetallic Inorganic materials 0.000 description 1
- 238000002844 melting Methods 0.000 description 1
- 230000008018 melting Effects 0.000 description 1
- 239000002245 particle Substances 0.000 description 1
- 230000001376 precipitating effect Effects 0.000 description 1
- 238000005096 rolling process Methods 0.000 description 1
- 239000000126 substance Substances 0.000 description 1
Landscapes
- Heat Treatment Of Nonferrous Metals Or Alloys (AREA)
- Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
Description
[産業上の利用分野]
本発明は超塑性アルミニウム合金の製造方法に
関し、さらに詳しくは、Al−Mg系の超塑性アル
ミニウム合金の製造方法に関する。 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法において、超塑性とは、ある外的条件の下で材
料がくびれ(necking)なしに数百%〜千%とい
うような巨大な伸びを生じる現象をいうのであ
り、そして、恒温変態を利用した変態超塑性と微
細結晶粒材料で見られる微細粒超塑性(構造超塑
性)とに大別される。因に、本発明は微細結晶粒
超塑性アルミニウム合金の製造方法である。 [従来技術] 一般に、微細結晶粒超塑性を起させるために
は、その材料の結晶粒径を微細に制御することが
必須である。 また、一般にAl−Mg系アルミニウム合金は、
鋳造後鋳塊を400〜550℃の温度で均質化熱処理を
行ない、次いで、300〜550℃の温度で熱間加工お
よび冷間加工を行なつて、所望の材料を製造する
のであるが、このような通常の工程では結晶粒は
30〜100μmと大きくなつてしまい、高温におい
て変形してもアルミニウム合金には目的とする超
塑性(伸び)を付与することはできない。 [発明が解決しようとする問題点] 本発明は上記に説明したようにAl−Mg系のア
ルミニウム合金は従来超塑性を得ることが困難で
あつたが、本発明者の研究の結果、微細結晶組織
を有する超塑性アルミニウム合金の製造方法を完
成したのである。 [問題点を解決するための手段] 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法は、 (1) Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−
Mg系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化
熱処理を行ない、次いで、300〜550℃の温度で
熱間加工後、350〜550℃の温度に加熱保持し、
100℃/Hr以上の冷却速度で冷却した後、少な
くとも30%以上の冷間加工を行なうことを特徴
とす超塑性アルミニウム合金の製造方法を第1
の発明とし、 (2) Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−
Mg系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化
熱処理を行ない、次いで、300〜550℃の温度で
熱間加工後、350〜550℃の温度に加熱保持し、
100℃/Hr以上の冷却速度で冷却した後、20〜
60%の冷間加工を行ない、続いて300℃以下の
低温軟化焼鈍と冷間加工を1回以上行なうこと
を特徴とする超塑性アルミニウム合金の製造方
法を第2の発明とし、 (3) Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−
Mg系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化
熱処理を行ない、次いで、300〜550℃の温度で
熱間加工後、350〜550℃の温度に加熱保持し、
100℃/Hr以上の冷却速度で冷却した後、少な
くとも30%以上の冷間加工を行なうか、或い
は、20〜60%の冷間加工を行ない、続いて300
℃以下の低温軟化焼鈍と冷間加工を1回以上行
ない、さらに、100℃/Hr以上の加熱速度で
350〜550℃の温度に加熱軟化することを特徴と
する超塑性アルミニウム合金の製造方法を第3
の発明とする3つの発明よりなるものである。 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法について以下詳細に説明する。 先ず、本発明に係る超塑性アルミニウム合金の
製造方法において使用するアルミニウム合金の含
有成分および成分割合について説明する。 Mgは2wt%未満では充分な強度が得られず、
また、7wt%を越えて含有されると熱間加工性が
著しく低下する。よつて、Mg含有量は2〜7wt
%とする。 Mn、Cr、Zr、Vは含有量が0.05wt%未満では
後述するように微細な結晶粒が得られず、また、
Mn1.5wt%、Cr、Zr、V0.5wt%およびTi0.15wt
%を越えて含有されると鋳造時に充分な固溶が得
られず、巨大化合物の発生を招き充分な伸びが得
られない。よつて、Mn含有量は0.05〜1.5wt%、
Cr含有量は0.05〜0.5wt%、Zr0.05〜0.5wt%、
V0.05〜0.5wt%、Ti含有量は0.15wt%以下とす
る。 なお、不純物として含有されるFeおよびSiは
その含有量が0.25wt%を越えると不溶出の晶出物
が生成し、伸びの低下が著しくなるので、Feお
よびSiの含有量は極力抑制する必要がある。 次に、本発明に係る超塑性アルミニウム合金の
製造方法における熱処理法について説明する。 上記に説明した含有成分および成分割合のアル
ミニウム合金を鋳造して得られた鋳塊は、鋳塊内
に不均質に分布する主要元素の均質化および熱間
加工性の向上のために、400〜550℃の温度で充分
な時間均質化熱処理を行ない、続いて、300〜550
℃の温度における熱間加工により所定の板厚まで
加工され、粗い鋳造組織は熱間フアイバー組織と
なると同時に組織内にMg等の析出物およびMn、
Cr、Zr、V、Ti等の遷移元素の一部が部分析出
する。さらに、熱間加工後、好ましくは30%以上
の冷間加工を行なうとさらに微細粒となり超塑性
伸びが大きくなる。次に、この熱間加工後に350
〜550℃の温度で0.5〜20Hr加熱保持してから、
100℃/Hr以上の冷却速度で冷却して固溶元素の
強制固溶を図る。 また、上記の加熱保持を急速冷却、急速加熱が
可能な連続焼鈍炉により、400〜550℃の温度で
10sec〜10min間行なつてもよく、この加熱保持
によりMgは固溶され、一方、遷移元素のMn、
Cr、Zr等はAlと金属間化合物MnAl6、
Cr2Mg3Al18、ZrAl3等を析出して、次の冷間加工
後超塑性温度域への加熱によつて、材料中に生成
される微細粒組織により超塑性が得られ伸びが大
きくなる。また、この加熱保持により熱間フアイ
バー組織を形成していた転位の下部組織は回復、
再結晶により歪エネルギーが低減され、続く冷間
加工により転位が導入され易くなる。この加熱保
持後の冷却速度が100℃/Hr未満では超塑性が得
られず伸びが出にくくなる。 この加熱保持、冷却後の冷間加工は30%以上の
加工率とする必要があり、この冷間加工により組
織が微細粒となつて超塑性が得られ、そして、30
%未満の加工率では充分微細な結晶粒を得ること
ができない。 また、この冷間加工は先ず20〜60%の冷間加工
を行ない、引続き300℃以下の低温軟化焼鈍を1
回以上行なつてもよく、そして、このように冷間
加工後に低温焼鈍を導入することにより結晶粒は
さらに微細化される。 このように、冷間加工された材料には、高い歪
エネルギーを有する転位の下部組織が高密度に形
成されている。 この材料を引き続き通常0.5Tm{Tmは材料の
融点(絶対温度)}以上の超塑性温度域(アルミ
ニウム合金では400℃以上)に加熱すると、高密
度の転位組織を起点として新しい結晶粒が形成さ
れ、従つて、転位組織は高密度である程微細粒組
織が得られ超塑性となり伸びが大きくなる。しか
して、一度再結晶が完了すると結晶粒界のエネル
ギーが減少するため転位が移動して結晶粒が粗大
化し、そして、この粗大化した組織が超塑性変形
を阻害することになる。 従つて、本発明に係る熱処理法においては、熱
間圧延後の加熱保持により形成されたMnAl6、
Cr2Mg3Al18、ZrAl3等の析出物の寸法と分布とを
制御することにより転位の移動を阻止して微細粒
組織を保持しているのである。即ち、析出物寸法
が小さ過ぎたり、析出粒子間隔が大き過ぎると転
位移動阻止効果が得られない。 また、本発明に係る超塑性アルミニウム合金の
製造方法により製造された材料は、冷間加工した
ままの状態で超塑性の加工を行なつてもよいが、
冷間加工後、100℃/Hr以上の加熱速度で加熱
し、350〜550℃の温度で軟化して超塑性加工を行
なつてもよい。 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法により製造された微細粒超塑性材料は、適切な
温度(通常400℃以上)においてくびれ(局所伸
び)が発生することなく、500%以上の超塑性加
工を行なうことができる。 [実施例] 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法の実施例を説明する。 実施例 1 Mg2.5wt%、Cr0.15wt%、Zr0.15wt%、
Ti0.02wt%、残部Al(合金1)、Mg5.6wt%、
Cr0.1wt%、Mn0.5wt%、Ti0.02wt%、残部Al
(合金2)およびMg4.5wt%、Zr0.2wt%、
Mn0.1wt%、V0.05wt%、Ti0.02wt%、残部Al
(合金3)からなる厚さ400mm鋳塊を通常のDC鋳
造法で鋳造後、510℃の温度で12Hrの均質化熱処
理後、450〜300℃の温度における熱間圧延により
4.0mmの板に加工し、450℃で10Hrの加熱保持を
行ない、約100℃/Hrの冷却速度で冷却し、冷間
圧延で厚さ1.5mmの板(冷間加工率63%)の板を
製造し、550℃にて、歪速度2×10-3/secで変形
した。 超塑性変形による伸びについて第1表に示す
が、本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造
方法による材料の方が、通常法による比較材に比
べて、超塑性伸びは2倍以上と格段に優れている
ことがわかる。
関し、さらに詳しくは、Al−Mg系の超塑性アル
ミニウム合金の製造方法に関する。 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法において、超塑性とは、ある外的条件の下で材
料がくびれ(necking)なしに数百%〜千%とい
うような巨大な伸びを生じる現象をいうのであ
り、そして、恒温変態を利用した変態超塑性と微
細結晶粒材料で見られる微細粒超塑性(構造超塑
性)とに大別される。因に、本発明は微細結晶粒
超塑性アルミニウム合金の製造方法である。 [従来技術] 一般に、微細結晶粒超塑性を起させるために
は、その材料の結晶粒径を微細に制御することが
必須である。 また、一般にAl−Mg系アルミニウム合金は、
鋳造後鋳塊を400〜550℃の温度で均質化熱処理を
行ない、次いで、300〜550℃の温度で熱間加工お
よび冷間加工を行なつて、所望の材料を製造する
のであるが、このような通常の工程では結晶粒は
30〜100μmと大きくなつてしまい、高温におい
て変形してもアルミニウム合金には目的とする超
塑性(伸び)を付与することはできない。 [発明が解決しようとする問題点] 本発明は上記に説明したようにAl−Mg系のア
ルミニウム合金は従来超塑性を得ることが困難で
あつたが、本発明者の研究の結果、微細結晶組織
を有する超塑性アルミニウム合金の製造方法を完
成したのである。 [問題点を解決するための手段] 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法は、 (1) Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−
Mg系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化
熱処理を行ない、次いで、300〜550℃の温度で
熱間加工後、350〜550℃の温度に加熱保持し、
100℃/Hr以上の冷却速度で冷却した後、少な
くとも30%以上の冷間加工を行なうことを特徴
とす超塑性アルミニウム合金の製造方法を第1
の発明とし、 (2) Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−
Mg系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化
熱処理を行ない、次いで、300〜550℃の温度で
熱間加工後、350〜550℃の温度に加熱保持し、
100℃/Hr以上の冷却速度で冷却した後、20〜
60%の冷間加工を行ない、続いて300℃以下の
低温軟化焼鈍と冷間加工を1回以上行なうこと
を特徴とする超塑性アルミニウム合金の製造方
法を第2の発明とし、 (3) Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−
Mg系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化
熱処理を行ない、次いで、300〜550℃の温度で
熱間加工後、350〜550℃の温度に加熱保持し、
100℃/Hr以上の冷却速度で冷却した後、少な
くとも30%以上の冷間加工を行なうか、或い
は、20〜60%の冷間加工を行ない、続いて300
℃以下の低温軟化焼鈍と冷間加工を1回以上行
ない、さらに、100℃/Hr以上の加熱速度で
350〜550℃の温度に加熱軟化することを特徴と
する超塑性アルミニウム合金の製造方法を第3
の発明とする3つの発明よりなるものである。 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法について以下詳細に説明する。 先ず、本発明に係る超塑性アルミニウム合金の
製造方法において使用するアルミニウム合金の含
有成分および成分割合について説明する。 Mgは2wt%未満では充分な強度が得られず、
また、7wt%を越えて含有されると熱間加工性が
著しく低下する。よつて、Mg含有量は2〜7wt
%とする。 Mn、Cr、Zr、Vは含有量が0.05wt%未満では
後述するように微細な結晶粒が得られず、また、
Mn1.5wt%、Cr、Zr、V0.5wt%およびTi0.15wt
%を越えて含有されると鋳造時に充分な固溶が得
られず、巨大化合物の発生を招き充分な伸びが得
られない。よつて、Mn含有量は0.05〜1.5wt%、
Cr含有量は0.05〜0.5wt%、Zr0.05〜0.5wt%、
V0.05〜0.5wt%、Ti含有量は0.15wt%以下とす
る。 なお、不純物として含有されるFeおよびSiは
その含有量が0.25wt%を越えると不溶出の晶出物
が生成し、伸びの低下が著しくなるので、Feお
よびSiの含有量は極力抑制する必要がある。 次に、本発明に係る超塑性アルミニウム合金の
製造方法における熱処理法について説明する。 上記に説明した含有成分および成分割合のアル
ミニウム合金を鋳造して得られた鋳塊は、鋳塊内
に不均質に分布する主要元素の均質化および熱間
加工性の向上のために、400〜550℃の温度で充分
な時間均質化熱処理を行ない、続いて、300〜550
℃の温度における熱間加工により所定の板厚まで
加工され、粗い鋳造組織は熱間フアイバー組織と
なると同時に組織内にMg等の析出物およびMn、
Cr、Zr、V、Ti等の遷移元素の一部が部分析出
する。さらに、熱間加工後、好ましくは30%以上
の冷間加工を行なうとさらに微細粒となり超塑性
伸びが大きくなる。次に、この熱間加工後に350
〜550℃の温度で0.5〜20Hr加熱保持してから、
100℃/Hr以上の冷却速度で冷却して固溶元素の
強制固溶を図る。 また、上記の加熱保持を急速冷却、急速加熱が
可能な連続焼鈍炉により、400〜550℃の温度で
10sec〜10min間行なつてもよく、この加熱保持
によりMgは固溶され、一方、遷移元素のMn、
Cr、Zr等はAlと金属間化合物MnAl6、
Cr2Mg3Al18、ZrAl3等を析出して、次の冷間加工
後超塑性温度域への加熱によつて、材料中に生成
される微細粒組織により超塑性が得られ伸びが大
きくなる。また、この加熱保持により熱間フアイ
バー組織を形成していた転位の下部組織は回復、
再結晶により歪エネルギーが低減され、続く冷間
加工により転位が導入され易くなる。この加熱保
持後の冷却速度が100℃/Hr未満では超塑性が得
られず伸びが出にくくなる。 この加熱保持、冷却後の冷間加工は30%以上の
加工率とする必要があり、この冷間加工により組
織が微細粒となつて超塑性が得られ、そして、30
%未満の加工率では充分微細な結晶粒を得ること
ができない。 また、この冷間加工は先ず20〜60%の冷間加工
を行ない、引続き300℃以下の低温軟化焼鈍を1
回以上行なつてもよく、そして、このように冷間
加工後に低温焼鈍を導入することにより結晶粒は
さらに微細化される。 このように、冷間加工された材料には、高い歪
エネルギーを有する転位の下部組織が高密度に形
成されている。 この材料を引き続き通常0.5Tm{Tmは材料の
融点(絶対温度)}以上の超塑性温度域(アルミ
ニウム合金では400℃以上)に加熱すると、高密
度の転位組織を起点として新しい結晶粒が形成さ
れ、従つて、転位組織は高密度である程微細粒組
織が得られ超塑性となり伸びが大きくなる。しか
して、一度再結晶が完了すると結晶粒界のエネル
ギーが減少するため転位が移動して結晶粒が粗大
化し、そして、この粗大化した組織が超塑性変形
を阻害することになる。 従つて、本発明に係る熱処理法においては、熱
間圧延後の加熱保持により形成されたMnAl6、
Cr2Mg3Al18、ZrAl3等の析出物の寸法と分布とを
制御することにより転位の移動を阻止して微細粒
組織を保持しているのである。即ち、析出物寸法
が小さ過ぎたり、析出粒子間隔が大き過ぎると転
位移動阻止効果が得られない。 また、本発明に係る超塑性アルミニウム合金の
製造方法により製造された材料は、冷間加工した
ままの状態で超塑性の加工を行なつてもよいが、
冷間加工後、100℃/Hr以上の加熱速度で加熱
し、350〜550℃の温度で軟化して超塑性加工を行
なつてもよい。 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法により製造された微細粒超塑性材料は、適切な
温度(通常400℃以上)においてくびれ(局所伸
び)が発生することなく、500%以上の超塑性加
工を行なうことができる。 [実施例] 本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造方
法の実施例を説明する。 実施例 1 Mg2.5wt%、Cr0.15wt%、Zr0.15wt%、
Ti0.02wt%、残部Al(合金1)、Mg5.6wt%、
Cr0.1wt%、Mn0.5wt%、Ti0.02wt%、残部Al
(合金2)およびMg4.5wt%、Zr0.2wt%、
Mn0.1wt%、V0.05wt%、Ti0.02wt%、残部Al
(合金3)からなる厚さ400mm鋳塊を通常のDC鋳
造法で鋳造後、510℃の温度で12Hrの均質化熱処
理後、450〜300℃の温度における熱間圧延により
4.0mmの板に加工し、450℃で10Hrの加熱保持を
行ない、約100℃/Hrの冷却速度で冷却し、冷間
圧延で厚さ1.5mmの板(冷間加工率63%)の板を
製造し、550℃にて、歪速度2×10-3/secで変形
した。 超塑性変形による伸びについて第1表に示す
が、本発明に係る超塑性アルミニウム合金の製造
方法による材料の方が、通常法による比較材に比
べて、超塑性伸びは2倍以上と格段に優れている
ことがわかる。
【表】
実施例 2
通常のDC鋳造法で鋳造した実施例1の合金3
(厚さ400mm)を、510℃の温度で12Hrの均質化熱
処理後、450〜300℃の熱間圧延により厚さ7.5mm
の板に加工し、450℃の温度で10Hrの加熱保持を
行ない、約100℃/Hrの冷却速度で冷却し、第2
表に示す冷間圧延および低温軟化焼鈍により厚さ
1.5mmの材料を作製し、550℃に加熱後、歪速度2
×10-4/secで変形した。本発明に係る超塑性ア
ルミニウム合金の製造方法により製造された材料
は超塑性伸びが、低温軟化焼鈍を行なわないもの
に比して格段に優れていることがわかる。
(厚さ400mm)を、510℃の温度で12Hrの均質化熱
処理後、450〜300℃の熱間圧延により厚さ7.5mm
の板に加工し、450℃の温度で10Hrの加熱保持を
行ない、約100℃/Hrの冷却速度で冷却し、第2
表に示す冷間圧延および低温軟化焼鈍により厚さ
1.5mmの材料を作製し、550℃に加熱後、歪速度2
×10-4/secで変形した。本発明に係る超塑性ア
ルミニウム合金の製造方法により製造された材料
は超塑性伸びが、低温軟化焼鈍を行なわないもの
に比して格段に優れていることがわかる。
【表】
実施例 3
通常のDC鋳造法により鋳造した実施例1の合
金3(厚さ400mm)を510℃の温度で12Hrの均質化
処理後、450〜300℃の温度で熱間圧延を行なつて
厚さ4.0mmの板に加工し、450℃の温度で10Hrの
加熱保持を行なつた後、約100℃/Hrの冷却速度
で冷却後、冷間圧延で1.5mm厚の板に加工し、第
3表に示す加熱速度で530℃の温度で加熱軟化処
理を行ない、550℃の温度で歪速度2×10-4/sec
で変形をした。
金3(厚さ400mm)を510℃の温度で12Hrの均質化
処理後、450〜300℃の温度で熱間圧延を行なつて
厚さ4.0mmの板に加工し、450℃の温度で10Hrの
加熱保持を行なつた後、約100℃/Hrの冷却速度
で冷却後、冷間圧延で1.5mm厚の板に加工し、第
3表に示す加熱速度で530℃の温度で加熱軟化処
理を行ない、550℃の温度で歪速度2×10-4/sec
で変形をした。
【表】
本発明における超塑性アルミニウム合金の製造
方法における加熱速度が100℃/Hr以下である合
金3では超塑性伸びが約1/2以下となつている。 [発明の効果] 以上説明したように、本発明に係る超塑性アル
ミニウム合金の製造方法は上記の構成を有してい
るものであるから、適切な温度においてくびれ
(necking)の局所伸び等がない、優れた超塑性
伸びを有する材料が得られるという効果がある。
方法における加熱速度が100℃/Hr以下である合
金3では超塑性伸びが約1/2以下となつている。 [発明の効果] 以上説明したように、本発明に係る超塑性アル
ミニウム合金の製造方法は上記の構成を有してい
るものであるから、適切な温度においてくびれ
(necking)の局所伸び等がない、優れた超塑性
伸びを有する材料が得られるという効果がある。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−Mg
系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化熱処理
を行ない、次いで、300〜550℃の温度で熱間加工
後、350〜550℃の温度に加熱保持し、100℃/Hr
以上の冷却速度で冷却した後、少なくとも30%以
上の冷間加工を行なうことを特徴とする超塑性ア
ルミニウム合金の製造方法。 2 Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−Mg
系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化熱処理
を行ない、次いで、300〜550℃の温度で熱間加工
後、350〜550℃の温度に加熱保持し、100℃/Hr
以上の冷却速度で冷却した後、20〜60%の冷間加
工を行ない、続いて300℃以下の低温軟化焼鈍と
冷間加工を1回以上行なうことを特徴とする超塑
性アルミニウム合金の製造方法。 3 Mg2〜7wt% を含有し、さらに、 Mn0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.5wt%、 Zr0.05〜0.5wt%、V0.05〜0.5wt%、 Ti0.15wt%以下 の中から選んだ1種または2種以上 を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−Mg
系合金鋳塊を、400〜550℃の温度で均質化熱処理
を行ない、次いで、300〜550℃の温度で熱間加工
後、350〜550℃の温度に加熱保持し、100℃/Hr
以上の冷却速度で冷却した後、少なくとも30%以
上の冷間加工を行なうか、或いは、20〜60%の冷
間加工を行ない、続いて300℃以下の低温軟化焼
鈍と冷間加工を1回以上行ない、さらに、100
℃/Hr以上の加熱速度で350〜550℃の温度に加
熱軟化処理することを特徴とする超塑性アルミニ
ウム合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9417684A JPS60238460A (ja) | 1984-05-11 | 1984-05-11 | 超塑性アルミニウム合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9417684A JPS60238460A (ja) | 1984-05-11 | 1984-05-11 | 超塑性アルミニウム合金の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60238460A JPS60238460A (ja) | 1985-11-27 |
JPH039183B2 true JPH039183B2 (ja) | 1991-02-07 |
Family
ID=14103029
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9417684A Granted JPS60238460A (ja) | 1984-05-11 | 1984-05-11 | 超塑性アルミニウム合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60238460A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07145441A (ja) * | 1993-01-27 | 1995-06-06 | Toyota Motor Corp | 超塑性アルミニウム合金およびその製造方法 |
JP2844411B2 (ja) * | 1993-07-12 | 1999-01-06 | スカイアルミニウム株式会社 | 冷間予成形可能な超塑性成形用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2921820B2 (ja) | 1994-05-11 | 1999-07-19 | 本田技研工業株式会社 | 冷間予成形可能な超塑性成形用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
JP4825445B2 (ja) * | 2005-04-28 | 2011-11-30 | 古河スカイ株式会社 | 高温成形用アルミニウム合金押出材 |
CN105200285A (zh) * | 2015-10-26 | 2015-12-30 | 东北轻合金有限责任公司 | 一种具有超塑性的铝合金板材及其制造方法 |
-
1984
- 1984-05-11 JP JP9417684A patent/JPS60238460A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60238460A (ja) | 1985-11-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4618382A (en) | Superplastic aluminium alloy sheets | |
JPS6115148B2 (ja) | ||
JPS623225B2 (ja) | ||
JP3022922B2 (ja) | 冷間圧延特性を改良した板またはストリップ材の製造方法 | |
CN111621680A (zh) | 一种Al-Mg-Mn-Sc-Zr铝合金及制备铝合金板材的方法 | |
JPS623226B2 (ja) | ||
JPH03193850A (ja) | 微細針状組織をなすチタンおよびチタン合金の製造方法 | |
US5092940A (en) | Process for production of titanium and titanium alloy material having fine equiaxial microstructure | |
JPH039183B2 (ja) | ||
CN115011824A (zh) | 一种高强度和高抗蠕变性能镁合金及其制备方法和应用 | |
JPS62225B2 (ja) | ||
JPH07116567B2 (ja) | A1−Cu−Li−Zr系超塑性板の製造方法 | |
JPS6058298B2 (ja) | 均一な成形性を有するAl−Zn−Mg−Cu系合金材の製造法 | |
JPS6157383B2 (ja) | ||
JPS6157384B2 (ja) | ||
JPS63125645A (ja) | 微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料の製造方法 | |
JPH0588302B2 (ja) | ||
JPS6157386B2 (ja) | ||
JPS622024B2 (ja) | ||
JPS62226B2 (ja) | ||
KR910006016B1 (ko) | 구리기초형상기억합금 및 그 제조방법 | |
JP2652016B2 (ja) | 微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料の製造方法 | |
JPH03130351A (ja) | 微細かつ等軸的組識を有するチタン及びチタン合金の製造方法 | |
JPS6286150A (ja) | 超塑性アルミニウム合金の製造方法 | |
JPS6157387B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |