JPH0379708B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子写真複写機、同フアクシミリ、
同プリンター等、電子写真プロセスを利用した機
器に使用する定着装置に関するものである。

〔従来技術〕

従来、電子写真プロセスを利用した複写機等に
おいては、記録シートとしての用紙上に形成され
た未定着トナー像を定着して永久画像にする必要
があり、その定着法として溶剤定着法、圧力定着
法及び加熱定着法等が知られている。

しかし上記溶剤定着法は、溶剤蒸気が飛散して
臭気や衛生上の問題が多い欠点を有しており、又
圧力定着法も他の定着法と較べ定着性が悪く、か
つ圧力感応性トナーが高価である欠点を有してお
り、共に広く実用化されていないのが実状であ
る。

従つて未定着トナー像の定着には、一般に加熱
によつてトナーを溶融させ、用紙上に付着させる
加熱定着法が広く採用されている。

この加熱定着法としては、少なくとも一方を加
熱した一対のロール（定着ロール及び加圧ロー
ル）間に、一定圧力を加え、未定着トナー像を有
する用紙を挿通させて定着を行うヒートロール方
式が従来より知られており、これは他の加熱定着
装置と較べ低電力、かつ定着部での紙づまりによ
る火災の危険性の少ないこと等の利点があること
から最も広く利用されている。

そしてこの定着ロール１としては、第１図に示
すように円筒状芯金２の表面にポリテトラフルオ
ロエチレン（PTFE）等の耐熱性樹脂を被覆した
ものや、HTVシリコーンゴム（High
Temperature Vulcanization Silicone
Rubber）、RTVシリコーンゴム（Room
Temperature Vulcanization Silicone Rubber）
等の耐熱弾性体を被覆したものが使われ、一方の
加圧ロール３としては、上記定着ロール１と加圧
接触した場合、ある接触幅（ニツプ幅）を持たせ
るために円筒状芯金４の表面にシリコーンゴム、
フツ素ゴム又はフロロシリコーンゴム等の耐熱弾
性体を被覆したものが使用されている。

しかしこのヒートロール方式の最大の欠点は、
用紙５のトナー面が直接上記定着ロール１表面と
接触するため、用紙５上の未定着トナーの一部が
定着ロール１側に転写され、そのトナーが用紙５
の後端あるいは次に通過する用紙に再転写されて
その用紙を汚してしまう、いわゆるオフセツト現
象が起こることである。

そこでこれを防ぐために、一般にはシリコーン
オイル等を離型剤として定着ロール１表面に塗布
しており、第１図においてオイルタンク６内に貯
溜されたシリコーンオイル７は毛細管現象により
定着ロール１表面に接触するフエルト８に浸透
し、流量制御ブレード９により制御されながら、
上記定着ロール１表面に塗布されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら上記のように離型剤を供給するに
は定着ロール１の周囲に上記した塗布装置を必要
とするため定着装置の大型化、複雑化を招き、か
つコストが割高となつてしまう欠点があり、また
シリコーンオイル７等の離型剤が過剰に供給され
たり、あるいは機械の移動等により離型剤がこぼ
れたりした場合、定着装置を通過する用紙５がこ
の離型剤により汚損されてしまうことがあつた。
しかも離型剤の塗布量が不充分であると、上記定
着ロール１表面の損耗度が大きくなるため離型剤
の補給やフエルト８の交換を定期的に行なわなけ
ればならず保守点検が煩雑であるという欠点があ
つた。

そのため最近は第２図に示すように、外周面に
複数の小孔を開設した芯金１０と、この芯金１０
を被覆する耐熱性発泡体１１とで形成し、この芯
金１０内部に離型剤を封入させた供給ロール１２
を上記定着ロール１等の外周面に圧接させて離型
剤を塗布する方法が採られている。

この方法によれば、離型剤を芯金１０内部に封
入させているため外部にこぼれることがなく、か
つ定着装置の大型化、複雑化も防止できる長所を
有しているが、その反面上記芯金１０内部の離型
剤がすぐに枯渇してしまうため定着ロール１等へ
の離型剤の塗布量が一定しないという欠点があつ
た。

すなわち上記供給ロールにおいては、離型剤が
耐熱性発泡体１１内に含浸保持され、定着ロール
１等に圧接されたときにそのニツプ圧により上記
耐熱性発泡体１１から無制限に浸出して定着ロー
ル１等表面へ付与されるようになつている。

従つて上記供給ロール１２の初期供給量は、第
３図に示すように用紙１枚当り約15μと供給過
剰となつているのに対し、定着枚数が２万枚を越
える当りからは、供給ロール１２内の離型剤が枯
渇するためその供給量が用紙１枚当り1μ以下
となつて供給不充分となり、上記オフセツト現象
等が生じてしまう欠点があつた。そのため上記供
給ロール１２を定期的に交換する必要があり、前
記の塗布装置と同様、保守点検が煩雑なものであ
つた。

本発明は、上記した従来技術の欠点を除去、改
良したもので、定着ロールと加圧ロールとから成
る定着装置において、上記各ロールの少なくとも
いずれか一方の表面に、一定量の離型剤を長期に
互つて安定して供給できる供給ロールを配設する
ことにより、上記離型剤による用紙の汚れや、ト
ナーオフセツト現象等の起こらない、小型でかつ
保守点検の容易な定着装置を提供することを目的
とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

すなわち、本発明は、互いに圧接しながら回転
する定着ロールと加圧ロールとを備え、これらの
ロール間に未定着トナー像の形成された記録シー
トを挿通させて未定着トナー像の定着を行う定着
装置を前提とし、少なくとも上記定着ロール又は
加圧ロールのいずれか一方にはその表面に圧接し
て回転する供給ロールを配設し、外周面に複数の
小孔を有する筒状体と、この筒状体の外周面を被
覆する多孔質の耐熱弾性体と、この耐熱弾性体の
外周面を被覆するシリコーン系ワニス薄膜とで上
記供給ロールを構成し、かつ、上記筒状体内部に
は液体状の離型剤を保持させたことを特徴とする
ものである。

〔作 用〕

上述したような技術的手段によれば、液体状の
離型剤は筒状体の小孔を通過して多孔質の耐熱弾
性体内に含浸保持される。

このとき、多孔質の耐熱弾性体の表面を被覆す
るシリコーン系ワニス薄膜は、離型剤の浸出量を
適量に制限する作用をするので、多孔質の耐熱弾
性体内に含浸保持された離型剤はシリコーン系ワ
ニス薄膜を介して徐々に浸出し、定着ロールある
いは加圧ロール表面に一定量塗布される。

〔実施例〕

以下本発明の実施例について図面を参照して説
明する。尚第４図は、本発明の定着装置を電子写
真複写機に組み込んだものの概略側断面図、第５
図は供給ロールの一部切欠き斜視図、又第６図は
その長さ方向面図をそれぞれ示している。

すなわち本発明の定着装置は、第４図に示すよ
うに、定着ロール１３、加圧ロール１４及び供給
ロール１５とから構成されるものである。

まず上記定着ロール１３は、矢印Ａ方向に回動
可能に軸受され、直径40mm、長さ340mmのアルミ
ニウム製の円筒状芯金１６と、この芯金１６表面
を厚さ500μmで被覆するRTVシリコーンゴムの
耐熱弾性体層１７とから成り、上記芯金１６内に
は定着ロール１３を加熱するための800wのハロ
ゲンランプ１８が配設されている。

一方加圧ロール１４は、上記定着ロール１３の
下方位置に設けられ、定着ロール１３同様直径30
mm、長さ340mmの鉄製の円筒状芯金１９と、この
芯金１９表面を厚さ６mmで被覆するRTVシリコ
ーンゴムの耐熱弾性体層２０とから成り、上記芯
金１９は、上記定着ロール１３の回転に伴つて矢
印Ｂ方向に回動可能に軸受されており、かつ定着
ロール１３と加圧ロール１４間には図示されてい
ない機構によつて適当な圧力が印加されており、
これによつて両ロール１３，１４間にニツプ幅が
形成されている。

そして上記定着ロール１３には、その表面に圧
接し、この定着ロール１３の回転に伴い矢印Ｃ方
向に回転し、かつ内部に離型剤を封入した円筒状
の供給ロール１５が配設されており、この供給ロ
ール１５の周壁より離型剤を浸出させて定着ロー
ル１３表面に付与し、上記したオフセツト現象等
を防止する構成となつている。

ここで上記供給ロール１５は第５図及び第６図
に示すように適宜金属にて形成され、外周面に直
径３mmの小孔２１が16個開設された内径20mm（直
径）、長さ300mmの円筒状芯金２２と、この芯金２
２を厚さ４mmで被覆する硬度20度のシリコーンス
ポンジ２３と、このシリコーンスポンジ２３表面
を厚さ20μmで被覆し、ジメチルジクロルシラン
とモノメチルトリクロルシランの共加水分解重合
物として得られた耐熱性樹脂のシリコーン系ワニ
ス２４と、及び上記芯金２２の両端開口部を閉塞
する円形状の蓋体２５とから構成され、かつ上記
蓋体２５外側中央部には、この供給ロール１５の
回転軸となる突起部２６，２６が付設されている
と共に、上記芯金２２の内部には、離型剤２７と
して粘度1000csのシリコーンオイル（信越化学社
製商品名KF−96）が100c.c.封入されており、この
シリコーンオイルが芯金２２の上記小孔２１を通
過してシリコーンスポンジ２３内に含浸保持され
ており、かつ上記シリコーン系ワニス２４の薄膜
の作用により、シリコーンスポンジ２３からの無
制限の浸出を防止できる構成となつている。

尚上記供給ロール１５は、円筒状芯金２２の表
面に接着剤を介して予め中空に成形されたシリコ
ーンスポンジ２３を被覆し、かつこのシリコーン
スポンジ２３表面を外径出しのため研摩した後、
その表面にシリコーン系ワニス２４を塗布してそ
の薄膜を形成し、次いで上記円筒状芯金２２の両
端開口部を上記蓋去体２５にて閉塞すると共に、
離型剤２７を封入して製造するものである。

そしてこの供給ロール１５は上記定着ロール１
３表面に２Kgの荷重でもつて圧接されて定着ロー
ル１３との間に３mmのニツプ幅が形成されてお
り、このニツプ域で上記シリコーンスポンジ２３
が圧縮されてその内部に含浸しているシリコーン
オイルを、上記シリコーン系ワニス２４の薄膜層
を透過、浸出させ、定着ロール１３表面に一定量
のシリコーンオイルを塗布する構成となつてい
る。

尚シリコーンオイルは、上記シリコーン系ワニ
ス２４の薄膜層の作用により、シリコーンスポン
ジ２３から無制限に浸出しないため、オイルの持
ちが良く、かつ消費されたシリコーンオイルは、
上記芯金２２内部より供給され、常に一定量のシ
リコーンオイルがシリコーンスポンジ１８内部に
含浸保持されており、それによつて定着ロール１
３表面に必要量のシリコーンオイルを長期に互つ
て安定して付与できる構成となつている。

そして本発明の定着装置を使用してトナー定着
を行うには、第４図に示すように未定着トナー像
を有するコピー用紙２８を搬送して定着ロール１
３及び加圧ロール１４間に挿通させ、定着ロール
１３からの伝熱でトナーを溶融させてコピー用紙
２８の繊維内に流し込み、冷却させて定着させる
ものである。

このとき、上記定着ロール１３表面には供給ロ
ール１５よりシリコーンオイルが付与されるた
め、コピー用紙２８上の未定着トナーが上記表面
に付着することがなく、上記したトナーのオフセ
ツト現象等を防止することができる。

尚第４図中、２９は上記定着ロール１３に設け
られたコピー用紙分離爪を、又３０はコピー用紙
ガイドを示している。

ここでこの実施例の定着装置を使用し、連続ラ
ンニングテストを行つたところ、シリコーンオイ
ルの供給量は、コピー用紙１枚当り0.5〜3μで、
この値はコピー枚数７万枚までほぼ一定であり、
その間はトナーのオフセツト現象やコピー用紙の
定着ロール等への巻き付き等、離型性に関するト
ラブルは皆無であつた。しかし７万枚を過ぎる頃
からシリコーンオイルの供給量が急速に低下し、
オフセツト現象等が除々に発生するようになつ
た。

第７図は、このランニングテストにおけるコピ
ー枚数と離型剤供給量との関係を示すものである
が、このグラフ図によると離型剤の供給量が途中
から次第に増加しているが、これは長期使用によ
り供給ロール表面のシリコーン系ワニスの薄膜が
摩耗して、離型剤の過剰流出を防止する機能が弱
まるためと思われる。

尚上記実施例においては、供給ロールを定着ロ
ールに付設する構成となつているが、上記供給ロ
ールを加圧ロールに付設して、この加圧ロールを
介して定着ロールに離型剤を付与する構成にして
も良く、また場合によつては、定着ロール及び加
圧ロールの両方にそれぞれ付設する構成にしても
良い。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、離型剤
の供給ロールの構成を工夫し、内部に離型剤が保
持された小孔を有する筒状体の外表面を耐熱弾性
体で被覆すると共に、この耐熱弾性体をシリコー
ン系ワニス薄膜で被覆するようにしたもので、耐
熱弾性体層に含浸保持された離型剤の無制限の浸
出をシリコーン系ワニス薄膜にて防止することが
できる。

従つて、本発明における供給ロールは従来のも
のと較べ離型剤を長期に互つて保持することがで
き、かつ常に必要量の離型剤を上記定着ロール等
表面に付与することができるのでトナーオフセツ
ト現象を長期間防止できると共に、離型剤による
用紙汚損も起こらないためその保守点検作業が著
しく軽減される等、本発明の実用上の効果は多大
である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の定着装置の概略側断
面図、第３図は従来の供給ロールにおける定着装
置を挿通させた用紙枚数と離型剤供給量との関係
を示すグラフ図を示し、又第４図〜第６図は本発
明の実施例を示すもので、第４図は本発明の定着
装置の概略側断面図、第５図はその供給ロールの
一部切欠き斜視図、第６図はその長さ方向断面図
をそれぞれ示し、又第７図は本発明の定着装置に
おけるコピー枚数と離型剤供給量との関係を示す
グラフ図である。 符号説明、１３……定着ロール、１４……加圧
ロール、１５……供給ロール、１６，１９，２２
……芯金、１７，２０……耐熱弾性体層、１８…
…ランプ、２１……小孔、２３……シリコーンス
ポンジ、２４……シリコーン系ワニス、２５……
蓋体、２６……突起部、２７……離型剤、２８…
…コピー用紙、２９……コピー用紙分離爪、３０
……コピー用紙ガイド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 互いに圧接しながら回転する定着ロールと加
   圧ロールとを備え、これらのロール間に未定着ト
   ナー像の形成された記録シートを挿通させて未定
   着トナー像の定着を行う定着装置において、 少なくとも上記定着ロール又は加圧ロールのい
   ずれか一方にはその表面に圧接して回転する供給
   ロールを配設し、 外周面に複数の小孔を有する筒状体と、この筒
   状体の外周面を被覆する多孔質の耐熱弾性体と、
   この耐熱弾性体の外周面を被覆するシリコーン系
   ワニス薄膜とで上記供給ロールを構成し、かつ、
   上記筒状体内部には液体状の離型剤を保持させた
   ことを特徴とする定着装置。