JPH0374191B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はドツト式ワイヤプリンタに使用する印
字ヘツド、特に多数配列された印字用ワイヤを使
用し、漢字のような文字の印字を高速かつ高精度
で印字し得るように構成したドツトプリンタの印
字ヘツド可動装置に関するものである。

従来例の構成とその問題点 近年、コンピユータ及び周辺技術の進展により
コンピユータによる情服処理が進み、オフイス・
オートメーシヨンの分野では読みやすく、理解し
やすい日本語の特徴を生かした漢字情報処理への
ニーズが増大している。それにともない各種プリ
ンタの開発も進んでいるが、これらプリンタとし
ては各種用紙に印字可能で、かつコストの安いワ
イヤドツトプリンタが急速に発展しつつある。そ
こで、ドツトプリンタ用印字ヘツドとして印字ワ
イヤ及び駆動エレメントを複数配置したワイヤド
ツト方式による漢字プリンタ用の印字ヘツドが開
発されており、高速化、小形化、低騒音化等の対
策が望まれている。

以下に従来のドツトプリンタの印字ヘツド可動
装置について説明する。

第１図は従来の印字ヘツド可動装置の形状を示
した構造図である。

第１図において、１は可動用のバネ部材であ
り、その下面にアマチユア２を取り付け、また上
面には背骨３が取り付けられている。そして可動
用バネ部材１の先端に印字ワイヤ４が取り付けら
れ、反対側のバネ部材１ａの部分が固定された形
状となつている。このように構成された従来の印
字ワイヤ可動部はバネチヤージ式の印字ワイヤ駆
動方式を採用したものであり、永久磁石を用いて
構成された磁気回路部の磁気ギヤツプ中にアマチ
ユア２が設置され、アマチユア２は通常永久磁石
の磁界によつて磁気回路を構成するコア吸引面に
吸引されている。この状態において駆動用バネ部
材１はたわんだ状態にあり、弾性エネルギーを蓄
積している。そして、印字信号に応じて磁気回路
を構成するコア部外周に巻かれた消磁コイルに、
磁界を打ち消す方向に電流を流すことにより永久
磁石の吸引力が打ち消され、駆動用バネ部材１の
弾性エネルギーが開放され、印字ワイヤ４はガイ
ド面から突出する。このとき、インクリボンのイ
ンクが印字ワイヤの衝撃により印字用紙に転写さ
れ、点状に発色する。次に消磁コイルの電流を切
ると再び永久磁石の吸引力によりアマチユア２が
吸引され、印字ワイヤ４が復帰する。以上の動作
で１ドツト周期が完了する。

以上は従来のドツトプリンタ印字ヘツド用可動
部の構成及び動作原理について述べたが、次に上
記のような印字ヘツド用可動部の場合の利点及び
欠点について以下に述べる。

利点としては、印字エネルギーとして駆動用板
バネ１の弾性エネルギーを用いたことにより、印
字エネルギーを機械的に設定可能で制御しやす
い。また、印字ワイヤ４が動き始めるとき、バネ
１のたわみが最大になつているので、最大の加速
力が得られる。さらにアマチユア２の吸引に永久
磁石を用いていることから、印字ワイヤ４の復帰
時に永久磁石によりアマチユア２が吸引されるた
め、いわゆるチヤタリング（アマチユアのバウン
ド現象による２度打ち）が少ないといつた利点が
ある。このことから高印字品質、高速印字が可能
であり、現在ドツトプリンタ用印字ヘツドとして
上記のバネチヤージ式の印字ワイワ駆動方式がひ
んぱんに用いられている。

しかし、前記方式を用いてさらに印字ヘツドの
高速化を図ろうとした場合、永久磁石、ヨーク、
消磁コイルより成る磁気回路部の力を大きくし、
吸引力の増大化によつて印字速度の高速化を図る
必要があるが、ここで問題となるのが紙及びイン
クリボンの破断応力であり、先端が細くて堅い印
字ワイヤで叩くため、印字エネルギー（1/2
mu²：ｍは印字ワイヤ可動部の質量、ｕは印字ワ
イヤーがインクリボン及び紙を叩く速度）を紙及
びインクリボンの破断応力以下に抑え、紙及びイ
ンクリボンの損傷を防ぐ必要がある。このことか
ら印字速度の高速化を図るには、速度ｕを大きく
すると同時に印字ワイヤ可動部（アマチユア、駆
動板バネ、印字ワイヤ等）の質量ｍを軽量化する
ことが基本的な必要条件となる。

従来の第１図に示すような駆動用バネ形状を単
に用いたのでは、第２図に図すように、ワイヤ先
端部４ａに働く印字エネルギーは、アマチユア重
量Ｗが大きく作用することになる。そのため、ア
マチユア取り付け位置までの長さl₂をワイヤ取り
付け位置までの長さl₁に比べ極力小さくなる必要
がある。

しかしながら、現状のアマチユア及び印字ワイ
ヤ、さらには駆動用板バネといつた各部品の軽量
化をさらに進めていくには限界があり、また、ア
マチユアの軽量化を単に進めた場合にはアマチユ
アの磁気抵抗が増大するため、磁気回路部の力を
大きくした場合においても吸引力が減少するとい
つた問題点が発生し、印字速度の高速化を図るこ
とが困難になるという問題を有していた。また従
来のバネ形状の場合、第３図及び第４図に示すよ
うに、ワイヤ取り付け位置近くがＸ方向に振動す
るとか、アマチユア吸着面の部分がＹ方向に動く
ように働き、アマチユアが研磨されるように変形
するといつた問題があるほか、ｂ点が印字ワイヤ
が数憶ドツトの印字を行なうと折れやすいといつ
た問題があつた。

そこで、上記問題を解決するバネ形状として第
５図に示すように、駆動用バネ部材２に対して直
交するようにバネ部材５をアマチユア２に取り付
け、印字時に発生するアマチユア背面Ｃ点の駆動
用水平バネの変形を抑え、信頼性の向上を図つた
可動部も考えられているが、アマチユア２の動く
方向Ｙは改善されず、また小形化しにくいといつ
た問題を有していた。

発明の目的 本発明は前記従来の問題を解消するもので、駆
動用バネ部材をアマチユアに対して垂直方向に取
り付けたバネチヤージ式の印字ワイヤ駆動用可動
装置であり、これにより文字の印字を高速かつ高
精度で行ない、しかも、可動部を数憶ドツトの印
字にも耐え得る形状としたことにより信頼性の向
上をも図つたドツトプリンタ印字ヘツド用可動装
置を提供することを目的としたものである。

発明の構成 本発明は上記目的を達成するため、駆動用バネ
部材の一端を固定部材に取り付け、他端を印字ワ
イヤ可動部を取り付けたアマチユアに対して駆動
用バネ部材を垂直方向に取り付け、上記アマチユ
アの可動方向に対して前記垂直バネ部材のたわみ
方向が略直角になるように配設したものであり、
さらにアマチユアに取り付けた駆動用垂直バネ部
材の回転中心の位置をバネ部材にアマチユアを取
り付けた位置から回転中心までのバネ部材の長さ
と、バネホルダーにバネ部材を取り付けた位置か
ら回転中心までのバネ部材の長さの比を２：１の
割合とし、印字ヘツドを構成する磁気回路コア部
のアマチユア吸引面の直線上に前記垂直バネ部材
の回転中心がくる構造としたものである。この場
合、印字ワイヤ可動部の回転中心を垂直バネ部材
上に設けることができ、すなわち、バネ部材固定
部上に回転中心を設けることが出来るため、見掛
け上の印字ワイヤ先端重量が小さくなり、それに
よつて印字速度の高速化が図れるものである。さ
れに、駆動用バネ部材をアマチユア可動方向に対
して、略直角になるように取り付けたことによ
り、アマチユア駆動時に生じるバネ部材の変形を
垂直バネ部材の長さ方向で受け止めることが可能
となり、これによつて信頼性が大幅に向上するも
のである。また、バネ部材の回転中心とアマチユ
ア吸引面とを直線上に設定することによつて、ア
マチユアが吸引面に吸着される瞬間の動作方向を
上下方向とすることができるため、アマチユア面
の耐磨耗についても改善することができるといつ
たすぐれた利点を有するものである。

実施例の説明 第６図は本発明の一実施例を示した構造図であ
る。第６図において、６は駆動用垂直バネ部材で
あり、一端をバネホルダー７に取り付け、他端を
印字ワイヤ可動部（印字ワイヤ４、背骨３）を取
り付けたアマチユア８に取り付け、アマチユアの
可動方向に対して前記駆動用垂直バネ部材６のた
わみ方向が略直角になるように配設したものであ
る。また、９は垂直バネ部材６と同一のバネホル
ダー７に前記垂直バネ部材６に対して略直角とな
るように取り付けた水平方向のバネ部材であり、
駆動力を得ることを目的としたものではなく、垂
直バネ部材のバネ定数に比べてはるかに小さいバ
ネ定数とすることによつて第７図に示すようなア
マチユアに発生する前後（ｚ方向）、左右（ｘ方
向）の振動を駆動力をさまたげることなく抑える
ことを目的としたものである。

なお、水平方向のバネ部材９の取り付け位置は
第８図に示すように垂直バネ部材６の回転中心Ｄ
が（回転中心Ｄはバネ部材にアマチユアを取り付
けた位置から回転中心までのバネの長さl₃と、バ
ネホルダーにバネ部材を取り付けた位置から回転
中心までのバネの長さl₄との比を２：１の割合と
する。）磁気回路を構成するコア部１０のアマチ
ユア吸引面１０′の直線上に位置する構造とする
ために、回転中心Ｄより若干上に位置するように
取り付ける。

また、印字ヘツドを構成する磁気回路コア部の
アマチユア吸引面１０′とアマチユア吸着面８′と
が吸着状態において平面で均一に接触するよう
に、アマチユア吸着面８′とコア吸引面１０′とが
なす２つの平面が、開放状態において所定の角度
Ｅ（ストロークの大きさによつてきまる）を持つ
ように構成されている。

さらに、印字ワイヤ４をセツトする印字ワイヤ
可動部は、背骨３と水平方向のバネ部材９とを略
直角となるように取り付けることにより⊥形状に
構成したものである。

このように構成された本発明の可動装置を用い
た場合、第９図に示すように印字ワイヤ駆動部の
回転中心Ｄをバネ取り付け位置上とすることがで
き、アマチユアの重量Ｗはアマチユアを垂直バネ
部材に直接取り付けていることから垂直バネ部材
の近傍に設けることができ、l₁の長さに比べl₅を
極力小さくすることが可能となつたものであり、
インクリボン及び紙等を破ることなく印字速度の
高速化が図れるものである。なお第１０図に本発
明の可動装置を用いて作成したドツトプリンタ用
印字ヘツドの構造断面図を一実施例として示す。

発明の効果 以上説明したように本発明は、垂直バネ部材を
用いたことにより、印字ワイヤ可動部の回転中心
を垂直バネ部材固定部上に設けることが出来るた
め、見掛上の印字ワイヤ先端重量がアマチユア吸
引力を落すことなく小さく出来、それによつて印
字速度の高速化が可能となるものであり、また、
垂直バネ部材をアマチユア可動方向に対して略直
角になるように取り付けたことにより、アマチユ
ア駆動時に生じるバネ部材の変形を垂直バネ部材
の長さ方向で受け止めることが可能であり、これ
によつてバネの折れ等がなくなり、信頼性が大幅
に向上するものである。そして、バネ部材の回転
中心とアマチユア吸引面とを直線上に設定し、さ
らにアマチユア吸着面とアマチユア吸引面とは吸
着状態において平面で均一に接触するように構成
されていることから、アマチユアが吸引面に吸着
される瞬間の動作方向を上下方向とすることがで
き、アマチユア面の耐磨耗性も向上させることが
可能となつたものである。なお、垂直バネ部材に
対して略直角方向にバネ定数の小さい水平バネ部
材を取り付けた場合アマチユアに生じる前後・左
右の振動をも抑えることができるほか、印字ワイ
ヤ可動部を、背骨と水平方向のバネ部材とで略直
角となるように⊥形状に構成したことにより、印
字ワイヤ可動部の強度を向上させることができる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第５図は従来の駆動用バネ形状を示
した構造図、第２図、第３図、第４図は従来のバ
ネ形状の動作原理の説明図、第６図、第７図、第
８図は本発明の実施例を示す可動装置の構造図、
第９図は本発明の動作原理の説明図、第１０図は
本発明の一実施例を示す印字ヘツドの構造断面図
である。 １……バネ部材、２……アマチユア、３……背
骨、４……印字ワイヤ、５……バネ部材、６……
垂直バネ部材、７……バネホルダー、８……アマ
チユア、９……水平バネ部材、１０……コア。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 駆動用バネ部材の他端を固定部材に取付け、
   印字ワイヤ可動部に設けたアマチユアに対して駆
   動用バネ部材を垂直方向に取り付け、アマチユア
   の他面に印字ワイヤを取り付けた可動アームが設
   置され、上記アマチユアの可動方向に対して前記
   垂直バネ部材のたわみ方向が略直角になるように
   配設し、印字ワイヤ可動部の回動中心の近傍に駆
   動用垂直バネ部材を設け、印字ヘツドを構成する
   磁気回路部のアマチユア吸引面の直線上に、アマ
   チユアを取り付けた駆動用垂直バネ部材の回転中
   心がくる構造としたことを特徴とするドツトプリ
   ンタの印字ヘツド可動装置。 ２ アマチユアに取り付けた駆動用垂直バネ部材
   の回転中心の位置をバネ部材にアマチユアを取り
   付けた位置から回転中心までのバネ部材の長さと
   バネホルダーにバネ部材を取り付けた位置から回
   転中心までのバネ部材の長さの比を２：１の割合
   とした事を特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   のドツトプリンタの印字ヘツド可動装置。 ３ 印字ヘツドを構成する磁気回路コア部のアマ
   チユア吸引面とアマチユア吸着面とが、吸着状態
   において平面で均一に接触する様にアマチユア吸
   着面とコア吸引面とがなす２つの平面が開放状態
   において所定の角度を持つように構成したことを
   特徴とする特許請求の範囲第２項記載のドツトプ
   リンタの印字ヘツド可動装置。 ４ アマチユアと印字ワイヤをセツトする可動ア
   ームを駆動用垂直バネ部材に対して略直角となる
   ように取り付けた水平方向のバネ部材で構成し、
   この２つのバネ部材は同一のバネホルダーに取り
   付け、水平方向のバネ部材によつてアマチユアに
   発生する前後・左右の振動を抑えるようにした特
   許請求の範囲第２項記載のドツトプリンタの印字
   ヘツド可動装置。 ５ アマチユアと印字ワイヤをセツトする可動ア
   ームを、水平方向のバネ部材と、水平方向のバネ
   部材に対して略直角となるように取り付けた背骨
   とで⊥形状に構成し、可動アームの強度を向上さ
   せたことを特徴とする特許請求の範囲第４項記載
   のドツトプリンタの印字ヘツド可動装置。