JPH0373786B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、LSIの製造や超精密機械部品の製
造、あるいは、薬品の製造等、種々の清浄雰囲気
作業に用いるクリーンルームに関し、詳しくは、
LSI等の清浄維持必要物を位置させる室内高度清
浄域に対し、その全域にわたつて清浄気体をほぼ
鉛直下方向きで層流状に吹出す第１吹出口、及
び、高度清浄域に隣り合う作業者用域としての室
内低度清浄域に対し清浄気体を吹出し供給する第
２吹出口を設けたクリーンルームに関する。

〔従来の技術〕 従来、上記の如きクリーンルームにおいては、
第４図及び第５図に示すように、低度清浄域Ｂに
対応位置する室内天井部に対して、第２吹出口４
を局所的に、あるいは、その複数個を分散配置
し、第２吹出口４から低度清浄域Ｂに対して清浄
気体を拡散的に吹出し供給するように構成してお
り、それによつて、低度清浄域Ｂに対応位置する
室内天井部のほぼ全面を第２吹出口として、その
第２吹出口から低度清浄域の全域にわたつて清浄
気体を層流状に吹出し供給するように構成するに
比して、低度清浄域Ｂに対する清浄気体供給設備
の簡略化及びコンパクト化を図り、全体設備コス
トを低減するようにしていた。

しかし、上述の如く天井部の第２吹出口４から
清浄気体を単に拡散的に吹出すように構成する
と、高度清浄域Ａでの層流状清浄気体流動と低度
清浄域Ｂでの清浄気体流動との風向及び風速が互
いに異なるために両域Ａ，Ｂの境界部で渦流が生
じ、その渦流に起因した低度清浄域Ｂから高度清
浄域Ａへの塵埃侵入のため高度清浄域Ａが汚染さ
れてしまう。

そこで、渦流による高度清浄域Ａの汚染を防止
するための対策として、第４図に示すように、両
域Ａ，Ｂの間に垂壁１９を設けたり、又、第５図
に示すように、両域Ａ，Ｂの境界部に高速気流カ
ーテンＦを形成する第３の清浄気体吹出口１６を
付設する等していた。

尚、第４図及び第５図において、２，５及び１
７は第１、第２、及び第３吹出口１，４，１６に
装備した高性能フイルター、７は各吹出口１，
４，１６に対する空調器からの給気ダクト、９は
高度清浄域Ａに接する室壁８の下端部に設けた第
１排気口、１０は低度清浄域Ｂに対応位置する床
部に設けた第２排気口、１３は第１排気口９から
の排気気体を第１吹出口１に循環供給するフア
ン、１４は第２排気口１０からの排気気体を空調
器に還気ないし系外に排出する還気・排気ダク
ト、又、１５は高度清浄域Ａに設置した作業台で
ある（文献を示すことができない）。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、単に垂壁を設けるだけでは高度清浄域
と低度清浄域との境界部での渦流発生を十分に抑
制できず、渦流に起因した高度清浄域への塵埃侵
入を十分に回避できないのが実情であり、殊に、
低度清浄域に位置する作業者が高度清浄域に近接
すると、その作業者の存在により高度清浄域と低
度清浄域との境界部で激しい渦流が生じ、又、作
業者から多量の塵埃が発生するために、高度清浄
域の清浄度が大幅に低下してしまう。

一方、高度清浄域と低度清浄域との境界部に高
速気流をカーテンを形成するものにあつては、そ
の気流カーテンを形成する高速気体流動により、
高度清浄域のうち気流カーテンに臨む側の部分に
おける清浄気体層流流動状態が乱されるために、
清浄気体層流状流動による域内塵埃排除機能が損
なわれて高度清浄域の清浄度が低下したり、高度
清浄域のうち層流流動状態が安定した有効スペー
スが狭くなつてしまう問題が発生し、又、作業者
が高度清浄域に近接した場合には、気流カーテン
を形成する高速気体と近接作業者との衝突により
極めて激しい渦流が生じるために、近接作業者に
起因した高度清浄域の清浄度低下が、前述の垂壁
付設の場合よりも一層ひどくなることもあつた。

しかも、第４図及び第５図に示す如き構成の場
合、低度清浄域Ｂにおいて、室内天井と垂壁１９
（ないし、第３吹出口１６を形成する垂壁状構成）
とのコーナ部Ｄで、第２吹出口４からの拡散的吹
出しに起因した大きな渦流が発生し、それに起因
して、低度清浄域Ｂの清浄度も低下し、そのこと
が高度清浄域Ａの汚染を促進することにもなつて
いた。

本発明の目的は、清浄気体吹出構成を合理的に
改良することにより、低度清浄域に対する清浄気
体吹出し設備を極力簡略かつコンパクトにしなが
ら、高度清浄域の清浄度を高く維持できるように
し、しかも、高度清浄域において清浄気体層流流
動状態が安定した有効スペースを広く確保できる
ように、更には、低度清浄域の清浄域も合わせて
向上できるようにする点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明によるクリーンルームの特徴構成は、第
１吹出口からほぼ鉛直下方向きで層流状に清浄気
体の吹出供給を受ける高度清浄域と、第２吹出口
から清浄気体の吹出供給を受ける低度清浄域との
境界域に対して、その境界域での気流状態を前記
高度清浄域での気流状態とほぼ同速かつほぼ同流
れ方向の気流状態とするように、清浄気体を下方
向きに吹出す第３吹出口を設け、前記第２吹出口
を、前記第３吹出口の近くで、かつ、清浄気体吹
出流線が下方側ほど前記境界域から離れる斜め下
方向きとなるように配置してあることにあり、そ
の作用・効果は次の通りである。

〔作用〕

つまり、第２図に示すように、第３吹出口１６
からの清浄気体吹出しにより生じる境界域Ｃでの
清浄気体流動が、高度清浄域Ａと低度清浄域Ｂと
に対して隔壁作用するから、作業者が位置する低
度清浄域Ｂから高度清浄域Ａへの塵埃侵入は極め
て効果的に回避される。

又、境界域Ｃでの清浄気体流動を両清浄域Ａ，
Ｂに対して単に隔壁作用させるだけであれば、第
５図に示した如く高速気流カーテンＦを形成する
従来構成と機能的に何ら変わりが無いが、境界域
Ｃでの気流状態を、高度清浄域Ａでの気流状態と
ほぼ同速かつほぼ同流れ方向の気流状態とするか
ら、高度清浄域Ａのうち境界域Ｃに臨む側の部分
における清浄気体層流流動が境界域Ｃでの清浄気
体流動によつて乱されるといつたことも無く、そ
れによつて、高度清浄域Ａでの清浄気体層流流動
による域内塵埃排除機能は良好に維持され、ま
た、層流流動状態が安定した有効スペース高度清
浄域Ａのほぼ全域にわたつて広く確保できる。

しかも、低度清浄域Ｂに対して清浄気体を吹出
し供給する第２吹出口４を、第３吹出口１６の近
くで、かつ、清浄気体吹出し流線が下方側ほど境
界域Ｃから離れる斜め下方向きとなるように配置
するから、第２吹出口４からの吹出し清浄気体が
境界域Ｃでの清浄気体流動を乱すようなことが無
く、それによつて、境界域Ｃでの清浄気体流動に
よる前述隔壁作用、並びに、境界域Ｃにおいて第
３吹出口１６からの清浄気体が高度清浄域Ａでの
気流状態とほぼ同速かつほぼ同流れ方向で流動す
る状態の夫々を継続して良好に維持でき、又、高
度清浄域と低度清浄域との間に垂壁構成が存在す
る場合でも、低度清浄域側室内天井部と垂壁構成
とのコーナ部で渦流が発生することが無く、それ
によつて、低度清浄域における塵埃排除機能をも
合わせ向上でき、ひいては、そのことが高度清浄
域の清浄度維持に寄与する。

その上、作業者が高度清浄域Ａに対して近接し
たとしても、境界域Ｃにおける気流速度が従前の
高速気流カーテンの気流速度に比してかなり小さ
いことから、高速気流カーテンを形成する高速気
体と近接作業者との衝突によつて起こるような極
めて激しい渦流の発生は無く、又、たとえ近接作
業者の存在によつて多少の渦点が生じたとして
も、下方側ほど境界域Ｃから離れるような低度清
浄域Ｂでの清浄気体流動作用により、高度清浄域
Ａへの塵埃侵入は効果的に防止される。

更には、上述の如く第２吹出口４を第３吹出口
１６近くに局所配置するから、低度清浄域Ｂに対
する清浄気体供給設備を、第４図及び第５図に示
した従来構成とほぼ同等程度に簡略化及びコンパ
クト化できて、全体設備費を、高速気流カーテン
形成吹出口を設けた第５図に示す従来構成のもの
とほぼ同等に維持できる。

〔発明の効果〕

上述の結果、高度清浄域の清浄度を極めて高く
維持できることから、LSIや超精密機械部品等の
製品品質を向上できると共に、不良製造品の発生
を大幅に軽減でき、更には、清浄維持必要物を位
置させる高度清浄域の有効スペースを広く確保で
きることから、作業性を向上できると共に、クリ
ーンルーム全体構成のコンパクト化が可能となつ
てクリーンルームの設置性を向上でき、しかも、
設備費面でも従来構成とほぼ同等程度ですむ、全
体として、実用上極めて有利なクリーンルームに
できた。

〔実施例〕 次に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図及び第２図は、LSIや超精密機械部品等
の製造ラインを形成する所謂クリーントンネルを
示し、トンネル形状の室内において、製造品を位
置させる高度清浄域Ａをトンネル巾方向の両端側
に、かつ、作業者用通路域としての低度清浄域Ｂ
をトンネル巾方向の中央部に夫々配置し、それら
両域Ａ，Ｂをトンネル長手方向に延設してある。

高度清浄域Ａの全域にわたつて清浄空気をほぼ
鉛直下方向きで層流状に吹出す第１吹出口１を高
性能フイルター２の吐出側開口をもつて構成し、
その第１吹出口１、及び、それに対する第１給気
チヤンバー３を、トンネル状室内において高度清
浄域Ａの上方でトンネル長手方向に延設すると共
に、低度清浄域Ｂに対して清浄空気を拡散的に吹
出す第２吹出口４、及び、第２吹出口４に対する
高性能フイルター５内装型の第２給気チヤンバー
６を、トンネル状室内天井部において同じくトン
ネル長手方向に延設し、第１及び第２給気チヤン
バー３，６の夫々に対して空調器からの給気ダク
ト７を接続してある。

そして、高度清浄域Ａと接する両室壁８の下端
部に第１排気口９を、かつ、低度清浄域Ｂに対応
位置する室内床部に格子状の第２排気口１０を、
夫々トンネル長手方向に延設する状態に設け、第
１排気口９からの排気空気、及び、第２排気口１
０から床部排気チヤンバー１１に回収された排気
空気の一部を二重壁構成の循環風路１２を介して
第１給気チヤンバー３に循環供給するフアン１３
を設けると共に、床部排気チヤンバー１１に回収
された排気空気の残部を空調器に還気、ないし、
系外に排出する還気・排気ダクト１４を床部排気
チヤンバー１１に接続してある。

つまり、高度清浄域Ａの全域にわたつて第１吹
出口１から清浄空気を鉛直下方向き層流状に吹出
し供給することにより高度清浄域Ａの清浄度を高
く維持し、その第１吹出口１からの供給清浄空気
の一部を第１排気口９から、かつ、残部を低度清
浄域Ｂへの供給清浄空気と共に第２排気口１０か
ら排気するように構成してある。

又、第１排気口９からの排気空気、及び、第２
排気口１０からの排気空気の一部を第１吹出口１
から高度清浄域Ａに循環供給するようにしたこと
で、空調器側における処理風量を極力軽減して設
備構成のコンパクト化を図りながら、高度清浄域
Ａの清浄度維持のために大風量の清浄空気を高度
清浄域Ａに供給できるように構成してある。

図中１５は、LSIや超精密機械部品の製造のた
めに高度清浄域Ａに設置した作業台である。

高度清浄域Ａと低度清浄域Ｂとの境界域Ｃに対
して清浄空気を鉛直下方向き吹出す第３吹出口１
６を、それに対する給気チヤンバーとして前記の
第２給気チヤンバー６を兼用利用してトンネル長
手方向に延設すると共に、その第３吹出口１６か
ら鉛直下方向きに吹出した清浄空気の境界域Ｃで
の流速が、高度清浄域Ａのうち境界域Ｃ側に位置
する部分での清浄空気流速とほぼ同等となるよう
に、第３吹出口１６からの吹出し流速をダンパー
１８調整等により設定しておき、もつて、第３吹
出口１６から下方向きに吐出されて境界域Ｃを流
動する清浄空気の隔壁作用により、作業者が位置
する低度清浄域Ｂから高度清浄域Ａへの塵埃侵入
を防止するようにしてある。

又、第３吹出口１６からの鉛直下方向き吹出
し、及び、その吹出し流速を上述の如く設定する
ことで、境界域Ｃでの清浄空気流動状態を、高度
清浄域Ａでの清浄空気流動状態、特に、高度清浄
域Ａのうち境界域Ｃ側に位置する部分での清浄空
気流動状態と風向及び風速の夫々がほぼ同等な流
動状態とし、それによつて、高度清浄域Ａでの清
浄空気流動状態を、第３吹出口１６からの清浄空
気吹出しによつて乱すこと無く安定的な層流状流
動状に維持して、清浄空気層流状流動による高度
清浄域Ａでの域内塵埃排除機能を高く維持すると
共に、清浄空気層流状流動状態が安定した有効ス
ペースを高度清浄域Ａの全域にわたつて広く確保
できるようにしてある。

図中１７は第３吹出口１６に対する高性能フイ
ルターである。

低度清浄域Ｂに対する第２吹出口４を配設する
に、トンネル長手方向視において低度清浄域Ｂに
対応位置する室内天井部のうちトンネル巾方向に
おける両端部、すなわち、第３吹出口１６に近接
する位置に第２吹出口４を局所配置すると共に、
その配置位置から清浄空気を低度清浄域Ｂのトン
ネル巾方向中央部側に向けて斜め下方向きで拡散
的に吹出すように第２吹出口４を構成してある。

つまり、第２吹出口４を上述の如く局所配置す
ることにより、低度清浄域Ｂに対する清浄空気供
給設備の簡略化を図ると共に作業者通路域として
の低度清浄域Ｂの天井高さを高く確保できるよう
に、又、第２吹出口４からの清浄空気吹出しを拡
散的に行わせることにより、第２吹出口４を局所
配置しながらも低度清浄域Ｂの全域に清浄空気を
均等供給できるようにしてある。

更に、第２吹出口４からの清浄空気吹出し向き
を低度清浄域Ｂのトンネル巾方向中央部側に向う
斜め下方向きとしたことにより、境界域Ｃでの清
浄空気流動状態が第２吹出口４からの清浄空気吹
出しによつて乱されないようにして、境界域Ｃで
の清浄空気流動による前述の如き隔壁作用、並び
に、高度清浄域Ａでの層流状態維持作用を良好に
維持できるように、又、低度清浄域Ｂに位置する
作業者が高度清浄域Ａに近接したとしても、下方
側ほど境界域Ｃから離れるような低度清浄域Ｂで
の清浄空気流動作用により、近接作業者に起因し
た高度清浄域Ａへの塵埃侵入を効果的に防止でき
るようにしてある。

〔別実施例〕

次に本発明の別実施例を説明する。

第１ないし第３吹出口１，４，１６の具体的構
造は種々の改良が可能であり、例えば第３図に示
すように、第２吹出口４と第３吹出口１６とを、
それらの吹出面が連続し、かつ、兼用のフイルタ
ー５を備えた１つの吹出ユニツトで構成しても良
い。

本発明は高度清浄域Ａの周部のうち二側方以上
が低度清浄域Ｂと隣り合う場合にも適用でき、
又、クリーンルームの全体形状、並びに、クリー
ンルームの具体的用途は不問である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の実施例を示し、第
１図は破断斜視図、第２図は要部の拡大断面図で
ある。第３図は本発明の別実施例を示す拡大断面
図である。第４図及び第５図は夫々従来例を示す
拡大断面図である。 Ａ……高度清浄域、Ｂ……低度清浄域、Ｃ……
境界域、１……第１吹出口、４……第２吹出口、
１６……第３吹出口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 室内における高度清浄域Ａに対し、その全域
   にわたつて清浄気体をほぼ鉛直下方向きで層流状
   に吹出す第１吹出口１、及び、前記高度清浄域Ａ
   に隣り合う室内低度清浄域Ｂに対し清浄気体を吹
   出し供給する第２吹出口４を設けたクリーンルー
   ムであつて、前記高度清浄域Ａと前記低度清浄域
   Ｂとの境界域Ｃに対して、その境界域Ｃでの気流
   状態を前記高度清浄域Ａでの気流状態とほぼ同速
   かつほぼ同流れ方向の気流状態とするように、清
   浄気体を下方向きに吹出す第３吹出口１６を設
   け、前記第２吹出口４を、前記第３吹出口１６の
   近くで、かつ、清浄気体吹出し流線が下方側ほど
   前記境界域Ｃから離れる斜め下方向きとなるよう
   に配置してあるクリーンルーム。