JPH0372319B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の技術分野〕 本発明は、ミシン、特にジツパ縫付け専用ミシ
ンにおける縫製品の表地と裏地の位置出しおよび
セツト装置に関するものである。

〔従来の技術〕

例えば、スカート等の縫製品にジツパ（フアス
ナ）を縫付けるには、あらかじめジツパを縫付け
た裏地を表地に縫合する工程をとつている。この
工程中、表地と裏地との位置出しや合わせセツト
は最終的な縫製品質に影響するため、特に熟練と
工数とを要し、これを補うため、種々のスカート
ジツパ付け自動機が提案されている。第１４図お
よび第１５図に、この従来提案例のスカートジツ
パ縫付け作業要領の一例を示す。両図において、
ａはミシン、ｋはあらかじめジツパｌを縫付けた
スカート裏地、ｊはスカート表地で、j₁は地縫い
済み部を示す。３０はカセツトセツト装置であ
る。

まず、カセツトセツト装置３０をセツト台ｍ上
に載置し、ジツパｌ付きの裏地ｋと表地ｊとをカ
セツトセツト装置３０の上に手操作でセツトし、
カセツトセツト装置３０で挟み込んでミシンａ上
の送り台ｇにセツトする。送り台ｇには空圧シリ
ンダｂが配設され、そのプランジヤｃ側に空気圧
を導入することによつてプランジヤｃは引込み、
軸ｋ、レバーｄ、一対の押えレバーｅ等を介し
て、一対のり押え足ｉがカセツトセツト装置３０
を押え込む。この状態でミシンａが不図示のＸ−
Ｙ駆動装置によりＸおよびＹ方向に駆動して、表
地ｊと裏地ｋとを縫合するよう構成されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、以上のような従来法にあつて
は、表地ｊと裏地ｋとを目視により手でセツトす
るため、正確な位置を決めることが困難であり、
多くの時間を要するのみならず、第１６ａ図に示
すようにジツパｌの中心線に対して左右の寸法
ｐ，ｑが均等とならず、甚だしい場合にはジツパ
ｌのストツパl₁が縫針と干渉して針折れを発生す
る可能性もあつた。

また、第１６ｂ図に示すように、地縫い部Sr
と横縫目Stとの位置が合わないと、図示Ｚ部にめ
くれを生ずるという諸問題があつた。

本発明は、以上のような問題点にかんがみてな
されたもので、前記セツトを容易かつ能率的に行
うことができ、ジツパ縫い位置に対するワーク表
地、裏地の位置を正確に規制し得る布セツト装置
の提供を目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

このため、本発明においては、それぞれ一端部
を枢着した一対の平行に配設したセツト板の各他
端を上昇／下降および互いにＶ字形および内すぼ
み的に閉鎖／開放の３次元的運動を可能とするよ
う構成することにより上記目的を達成しようとす
るものである。

〔実施例〕

以下に本発明を実施例に基づいて説明する。第
１図は本発明の一実施例の布セツト装置の要部の
斜視図（一部断面図）、第１ａ図はそのペダルス
イツチの斜視図である。

まず、構成を説明する。本装置は、不図示のベ
ース部より直立する支柱２２上の取付台２０にカ
セツト収納台２１が固定され、また取付台２０の
相対する側面には一対のセツト装置とヒンジ１８
が各軸１９により枢動可能に取付けられ、またセ
ツト装置ヒンジ１８の他端には、セツト取付台１
が固設されている。セツト取付台１上には中心線
対称に一対の折込みレバーＡ７Ａ，７ｂが各ピン
６ａ，６ｂにより枢着され、各レバーＡ７ａ，７
ｂの各内側端はそれぞれピン５ａ，５ｂにより空
圧シリンダ３ａ，３ｂのプランジヤ４ａ，４ｂに
軸５ａ，５ｂで枢着され、また各外側端は、軸８
ａ，８ｂにより一対の折込みレバーＢ９ａ，９ｂ
の一端の長穴に枢着されている。前記シリンダ３
ａ，３ｂは、セツト装置取付台１の一端に固設さ
れたシリンダ取付板２に取付けてある。各折込み
レバーＢ９ａ，９ｂ上には各セツト板１５ａ，１
５ｂが、ねじ１６によりほぼ水平に互いに平行に
固定され、また、各レバーＢ９ａ，９ｂの前記他
端は各軸１７ａ，１７ｂにより一対のセツトレバ
ー１３ａ，１３ｂの一端に枢着され、各他端は各
軸１２によりセツト用シリンダ１０ｂ（１０ａは
不図示）のプランジヤ１１ｂ（１１ａ不図示）に
枢着されている。各セツトレバー１３ａ，１３ｂ
は、その各中間部で各軸１４ａ，１４ｂによりセ
ツト装置取付台１の両側にそれぞれ枢着されてい
る。

一方、カセツト収納台２１には、カセツトセツ
ト装置３０を収納するみぞ２１ａを有し、収納台
２１の下面には、ヒンジ２９の軸受２７が固設さ
れ、裏地押えレバー２８が枢着され、その一端は
裏地押えシリンダ２９ｂのプランジヤ２９ａに連
結されている。

また、カセツト収納台２１の基部上面にはマー
クライト支柱２４が立設され、水平に曲げられた
支柱２４の先端には取付台２５によりマークライ
ト２６が取付けられ、カセツト収納台２１上にマ
ーク２６ａを投影している。

さらに、カセツトセツト装置３０は、布押え板
３１が一対の布押えレバー（右）、（左）、３２ａ，
３２ｂに各軸３３ａ，３３ｂにより支持され、各
レバー３２ａ，３２ｂの下端は、カセツト下板３
７の一端上に各レバー軸（右）、（左）、３４ａ，
３４ｂにより枢着されている。また、３５ａ，３
５ｂはそれぞれ、各レバー取付板３６ａ，３６ｂ
の半円形みぞに引掛けて表地ｊを押える（後述）
のためのばね（右）、（左）、または３８はジツパ
ｌのスライドの穴を差込んで拘束するためのピン
を示す。第１ａ図は、本装置操作用のペダルスイ
ツチ４０を示し、それぞれ前進スイツチ４１と後
進スイツチ４２を備えている。

第２図は、第１図の空圧回路図である。５０は
コントローラで、ペダルスイツチ４０の各スイツ
チ４１，４２の指令により、それぞれ押えシリン
ダ２３、裏地押え用シリンダ２９ｂ、セツト用シ
リンダ１０ａ，１０ｂ、折込み用シリンダ３ａ，
３ｂ用の各電磁弁６１，６２，６３，６４と各速
度制御弁６５を有する電磁弁ユニツト６０を介し
て制御する。

第３図は、上記コントローラ５０の概念的制御
ブロツク図である。ＣはCPU、Ｒはシーケンス
プログラム用のROM、Ｉはペダルスイツチ４０
のそれぞれ前進／後進送りスイツチ４１／４２、
不図示のセツト装置選択スイツチ、各電磁弁６１
〜６４、速度制御弁６５等用の入／出力ポートを
示す。

第４図は、本実施例における動作シーケンスの
フローチヤートで、つぎにその各動作を第５図な
いし第１３図に基づいて詳細に説明する。各工程
におけるワークの前進および後退は、第１ａ図な
いし第３図におけるペダルスイツチ４０によつて
行われ、前進スイツチ４１を一度踏み込むと一行
程前進し、また後進スイツチ４２を一度踏み込む
と一行程前の状態に戻るように構成されている。

まず、始動に際し、第５図に示すように、セツ
ト装置のカセツト収納台２１のみぞ２１ａに、カ
セツトセツト装置３０を、布押え板３１を開放し
たまま挿入する。ついで本装置の動作は、つぎの
６工程の順に行われる； (1) 第１工程（第６図、第６ａ図）……第１ａ図
のペダルスイツチ４０の前進スイツチ４１を一
度踏むと、押えシリンダ２３のロツド側に空気
圧が供給されてロツドが引込み、セツト装置取
付台１がセツト装置ヒンジ１８を介して軸１９
まわりに図示矢印Ｐ方向に移動し、一対のセツ
ト板１５ａ，１５ｂは上昇して第６図の状態と
なる。このとき、カセツト収納台２１の下面を
示す側面図第６ａ図において、裏地押えシリン
ダ２９ｂのプランジヤ２９ａ側に空気圧が供給
されていて、プランジヤ２９ａは引込んでお
り、裏押えレバー２８は軸２９まわりに矢印Ｑ
方向に寄せられている。

(2) 第２工程（第７図、第７ａ，ｂ図）……裏地
ｋにあらかじめ縫付けられたジツパｌのスライ
ダの穴（第６図l₁）を、ピン３８に挿入し、マ
ークライト２６によるマーク２６ａの位置に中
心が合うよう、裏地ｋを手操作でカセツト収納
台２１を巻込み、ペダルスイツチ４０（第１ａ
図）の前進スイツチ４１を踏み込むと、裏押え
シリンダ２９ｂのプランジヤ２９ａと反対側に
空気圧が供給され、プランジヤ２９ａは伸長し
て、裏地押えレバー２８は軸２９まわりに矢印
Ｒ方向に回動し、カセツト収納台２１の下面と
の間に裏地ｋを挟み込んで位置を決定する。

(3) 第３工程（第８図，第９図）……さらに前記
前進スイツチペダル４１を踏むと、セツト用シ
リンダ１０のプランジヤと反対側に空気圧が供
給されてプランジヤは伸長し、セツトレバー１
３ｂは軸１４ｂまわりに矢印Ｓ方向に回動し
（不図示の１３ｂも同様）、軸１７ａ，１７ｂを
介して折込みレバーＢ９ａ，９ｂ、すなわちセ
ツト板１５ａ，１５ｂを矢印Ｓ方向にＶ字形位
置に移動させて固定する。つぎに第９図に示す
ようにこのＶ字形にセツトされたセツト板１５
ａ，１５ｂに、表地ｊを入れ込み、地縫いの点
j₂をマークライト２６ａに合わせる。

(4) 第４工程（第１０図）……さらに前進スイツ
チペダル４１を踏むと、折り込み用シリンダ３
ａ，３ｂのプランジヤ側に空気圧が供給され
て、プランジヤ４ａ，４ｂは引込み、折込みレ
バーＡ７ａ，７ｂは軸５ａ，５ｂ；８ａ，８ｂ
を介して折込みレバーＢ９ａ，９ｂすなわちセ
ツト板１５ａ，１５ｂを矢印Ｔ方向に回動させ
て、前記Ｖ字形形態のＶ字角度を挟めるように
移動する。

(5) 第５工程（第１１図）……さらに前進スイツ
チペダル４１を一度踏むと、押えシリンダ２３
のプランジヤと反対側に空気圧が供給されてプ
ランジヤは伸長し、セツト装置ヒンジ１８を介
してセツト装置取付台１は軸１９まわりにＵ方
向に回動し、表地ｊは、セツト板１５ａ，１５
ｂにより裏地ｋへ圧接される。

(6) 第６工程（第１２図、第１３図）……次に、
カセツト装置３０の布押え板３１を倒して、ば
ね３５ａ，３５ｂを各レバー取付板３６ａ，３
６ｂの半円みぞに引掛けて表地ｊを押える。

さらに前進スイツチぺダル４１を一度踏むと、
第６図に示したセツト装置の状態に戻り（ただ
し、カセツト装置の布押え板３１は、表地ｊを押
えた状態のまま）、表地ｊと裏地ｋとは正確な位
置に保持されたままカセツト装置をカセツト収納
台２１のみぞ２１ａに沿つて図の矢印Ｈ方向に抜
き出し、ミシンの所定場所にセツトして正規の縫
付けを行えば、極めて能率的に、正確な位置にジ
ツパの縫付けが可能となる。

本実施例では、セツト板１５ａ，１５ｂの所要
運動を前記４節リンク機構により行い、それぞれ
空気シリンダで駆動するようにしたが、これらの
機構および駆動源はそれのみに限定されるもので
なく、種々の変形を利用することができる。

なお、第１図における布押え板３１の表地押え
面にずれ止め用の小針を設けることにより位置決
めを確実にすることができる。

また、前記実施例は、セツト板１５ａ，１５ｂ
の移動パターンを左右同一／対称にとつている
が、空圧回路の電磁弁の数を増加して、左右別々
の動作を行うよう制御すれば、より複雑な形状の
縫製品のセツトにも対応することができる。

また、この発明は、第１７図に示すような表地
のバイアス裁断BIに対しても適用することがで
きる。

さらにまた、前記実施例のカセツトセツト装置
３０の布押えレバー３２ａ，３２ｂを第１８図に
示すようなＬ形形状として、前記バネ３５ａ，３
５ｂを押え方向に偏倚するように固定的にセツト
し、セツト装置３０に開放シリンダCYを配設し
てペダルにより開放を行うように構成することに
より、手作業工程をさらに軽減することができ
る。

なお、前記実施例においては、スカートのジツ
パ縫付けについて説明したが、本発明はスカート
のみに限定されるものでなく、同様の条件を有す
る類似の縫製品のジツパ縫付けににも適用できる
ことはもちろんである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例の布セツト装置要
部斜視図、第１ａ図は、そのペダルスイツチの斜
視図、第２図は第１図の空圧回路図、第３図は、
コントローラの概念的制御ブロツク図、第４図
は、本実施例の動作シーケンスフローチヤート、
第５図ないし第１３図は、本実施例の動作説明
図、第１４図および第１５図は、従来例の作業要
領説明図、第１６ａ，ｂ図は、従来例の問題点説
明図、第１７図は、本発明の適用可能対象スカー
トの一例図、第１８図は、前記実施例におけるカ
セツトセツト装置の変形例を示す。 １……セツト装置取付台、３ａ，３ｂ；１０
ａ，１０ｂ；２３……シリンダ、６ａ，６ｂ；１
４ａ，１４ｂ；１９……軸、７ａ，７ｂ……折込
みレバーＡ、９ａ，９ｂ……折込みレバーＢ、１
３ａ，１３ｂ……セツトレバー、１５ａ，１５ｂ
……セツト板、２０……取付台、２１……カセツ
ト収納台、３０……カセツトセツト装置、３１…
…布押え板、４０……ペダルスイツチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上下開閉式布押え板を有するカセツトセツト
   装置を収納するよう取付台に固定されたカセツト
   収納台と、 カセツト収納台にマークを投影するマークライ
   トと、前記取付台上に枢動機構により水平軸心ま
   わりに上下に枢動可能に取付けられたセツト装置
   取付台と、該セツト装置取付台上に支持されてほ
   ぼ水平に平行した各セツト板を有する一対のセツ
   トレバーと、該一対のセツト板の各一端を互いに
   Ｖ字形を形成するよう移動させるための運動機構
   と、前記により形成されたＶ字形のＶ字角度を減
   少させるよう前記セツト板を移動させるための運
   動機構と、前記枢動機構および２つの運動機構を
   それぞれ駆動するための各駆動手段とを備えたこ
   とを特徴とするミシンの布セツト装置。