JPH0360741B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は容器蓋に関し、さらに詳しくは金属シ
エルの透孔を形成された天部に、プラスチツクよ
りなる天蓋が取外し可能に嵌着された、口部がゴ
ム栓で密閉された薬液用びん等の容器を封緘する
ための容器蓋に関する。

注射用薬液や点滴用薬液透の薬液を収納するた
めの容器の密封構造として、容器口部を密閉する
ゴム栓（本明細書においては弾性を有するプラス
チツクを含めてゴムとよぶ）と、容器口部の外側
ビード部に巻締められた、金属シエルの透孔を形
成された天部に、プラスチツク天蓋が取外し可能
に嵌着された容器蓋よりなるものが実公昭54−
14618号公報等によつて知られている。

この種の密封構造においては、天蓋を取外し
て、ゴム栓の頂面の中央部を露出させた後、ゴム
栓を貫通して注射針や輸液用針を刺込んで、薬液
を流出させる。しかしながら従来のこの種の密封
構造の場合は、巻締封緘後のレトルト滅菌処理の
さいに蒸気が、また滅菌処理後の冷却時に冷却水
が、および保管中に外気、埃、雑菌等が、天部と
天蓋の間、あるいは容器蓋の巻締部と容器口部の
外側ビード部の間を通つて、ゴム栓の頂面に侵入
し、頂面が汚染されるので、使用にさいし、頂面
をアルコール等で、滅菌、消毒しなければならな
いという問題を有する。

本発明は以上に述べた従来技術の問題点の解消
を図ることを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明は天部に環状
天部を残して透孔が形成された金属シエルの該環
状天部に、プラスチツクよりなる天蓋が取外し可
能に嵌着された、口部がゴム栓で密閉された容器
を封緘するための容器蓋において、該環状天部
は、内側に凸の環状ビード部と、半径方向内側斜
下方に向つて形成された透孔周縁部を備えてお
り、上記嵌着前の該天蓋は、該透孔に嵌挿可能な
環状の短円筒状突起部と、該短円筒状突起部に接
近して内面に設けられた環状突出部を備えてい
て、該短円筒状突起部を該透孔に嵌挿後、半径方
向外方に拡開して該透孔周縁部と全周にわたつて
係合する係合部を形成することによつて、該天蓋
は該金属シエルに嵌着されており、該口部に封緘
された状態において、該環状ビード部、該係合部
および該環状突出部が該ゴム栓に圧接して、シー
ル部を形成することを特徴とする容器蓋を提供す
るものである。

以下実施例である図面を参照しながら本発明に
ついて説明する。

第１図に示す容器蓋１は、天部に環状天部３を
残して、円形の透孔４が形成された金属シエル２
（第２図、第３図）の環状天部３に、プラスチツ
ク（例えばポリプロピレン等のポリオレフイン）
よりなる天蓋５が取外し可能に嵌着されることに
よつて形成されたものである。

金属シエル２は第２図、第３図に示すように、
円筒状のスカート部６を有しており、アルミニウ
ム合金板等よりなる円形の金属板ブランクを、カ
ツプ状に絞り成形した後、天部に環状天部３を残
して、透孔４を打抜き形成することによつて得ら
れる。そして絞り成形のさい、環状天部３となる
べき部分に、内側に凸の環状ビート部３ａが形成
され、また透孔周縁部３ｂが半径方向内側斜下方
に向うように形成される。

第４図、第５図、第６図は、金属シエル２に嵌
着前の天蓋５を示したものであるが、天蓋５は、
本体５ａの周辺部下面より垂下する、透孔４に嵌
挿可能の外径を有する環状の短円筒状突起部５
ｂ、および短円筒状突起部５ｂに接近して下面に
設けられた断面逆３角形状の環状突出部５ｃを備
えている。さらに本体５ａを包囲して、掴みリン
グ５ｄが形成されており、掴みリング５ｄは、ヒ
ンジ部５ｅおよび複数（図では３個）のブリツジ
部５ｆを介して本体５ａと接続する。なお掴みリ
ング５ｄのヒンジ部５ｅに対して中心対称の位置
には、掴み部５ｇが設けられている。

本体５ａの環状突出部５ｃ内側には、補強用の
円形突出部５ｈが形成されており、円形突出部５
ｈは複数（図では６個）の補強用隆起ブリツジ部
５ｉを介して、環状突出部５ｃに接続している。
円形突出部５ｈおよび隆起ブリツジ部５ｉの夫々
の底面は、環状突出部５ｃの下端５c₁のレベルよ
りも若干上方に位置して、後述の環状突出部５ｃ
によるシール効果を妨げないように構成されてい
る。

短円筒状突起部５ｂの下端部５b₁は、下端部５
b₁の円周方向に沿い複数（図では７個）の切欠部
５ｊが設けられていて、後述の短円筒状突起部５
ｂの半径方向外方への拡開が、容易に行えるよう
になつている。

容器蓋１は、天蓋５の短円筒状突起部５ｂを金
属シエル２の透孔４に嵌挿した後、図示されない
保持体により天蓋５の上面を保持した状態で、金
属シエル２の内側より、当該プラスチツクの軟化
温度以上に加熱された押圧具（図示されない）に
よつて、短円筒状突起部５ｂを押圧して、半径方
向外方に拡開し、第１図に示すように、環状天部
３の透孔周縁部３ｂと全周にわたつて係合して、
透孔周縁部３ｂの下方に沿い延びる係合部５ｋを
形成することによつて得られる。上記押圧のさい
環状天部３、および天蓋５の短円筒状突起部５ｂ
近傍の部分は若干変形する。

第７図は、容器蓋１を、元々全体的に平坦な、
頂面８ａに、輸液用針等を刺込む凹部８a₁を形成
されたゴム栓８で密閉された容器口部９の外側ビ
ード部９ａに巻締めて、巻締部６ａを形成し、図
示されない薬液を充填された容器を封緘し、次い
でレトルト滅菌処理（例えば110℃×40分）した
後、室温まで水冷された後の状態を示す。

レトルト滅菌処理のさいの内圧により、ゴム栓
８は上方に膨出し、そのため透孔周縁部３ｂは、
下面が係合部５ｋと密接した状態で弾性的に若干
上昇している。そして元々半径方向内側斜下方に
延びていた透孔周縁部３ｂは、ほぼ半径方向に延
びるまで弾性的に傾きが変つている。そのためレ
トルト滅菌処理のさいは勿論、その後の冷却、保
管中にも、透孔周縁部３ｂと、ゴム栓８の間には
係合部５ｋを介して大きな圧力が作用して、タイ
トな中間シール部１１が形成されている。従つて
透孔周縁部３ｂと天蓋５間の隙間１０から蒸気や
冷却水、外気、雑菌等が、ゴム栓８の頂面８ａ特
に係合部５ｋと環状突出部５ｃの間の頂面８ａの
部分８a₂に侵入して、該部分を汚染するおそれが
ない。

また金属シエル２の環状ビード部３ａは、ゴム
栓８の口部端面９ｂに対向する頂面８ａの部分に
喰込んでこの部分の圧縮力を高めて外側シール部
１２を形成している。従つてスカート部の巻締部
６ａと口部の外側ビード部９ａの間から蒸気等
が、ゴム栓の頂面８ａに侵入して、頂面８ａ、特
に外側シール部１２と中間シール部１１との間の
頂面８ａの部分８a₃を汚染するのが防止される。

さらに環状突出部５ｃはゴム栓の対接する頂面
８ａの部分に喰込んで内側シール部１３を形成し
ている。そのため万一シール部１１，１２を通つ
て蒸気、雑菌等が侵入したとしても、これらの異
物は、内側シール部１３によつて喰止められて、
内側シール部１３内の頂面８ａの部分８a₄、特に
凹部８a₁を汚染するおそれがない。

なお、天蓋５の、環状突出部５ｃの内側に設け
られた円形突出部５ｈおよび隆起ブリツジ部５ｉ
は、内側シール部１３の形成を妨げない範囲で、
補強用の厚肉部を形成しているので、レトルト滅
菌処理のさいのゴム栓８の膨出によつて、天蓋５
の本体５ａが上方に脹んで、各シール部１１，１
２ １３のシール性が低下したり、あるいは係合
部５ｋの係合が緩んで天蓋５がシエル２から外れ
る等のトラブルが発生するのが防止される。

使用のさいは、掴み部５ｇおよびその近傍の掴
みリング５ｄの部分を手指で掴んで引上げると、
ブリツジ部５ｆが破断して、掴みリング５ｄはヒ
ンジ部５ｅを支点として上方に回動するので、掴
みリング５ｄの中に手指を挿入して引張り上げる
と、係合部５ｋと透孔周縁部３ｂの係合が解け
て、天蓋５は金属シエル２から取外される。その
後ゴム栓８の凹部８a₁より、滅菌処理された輸液
用針等をゴム栓８に刺込む。上記取外し直後のゴ
ム栓８の頂面８ａは、細菌等を含む水分等によつ
て汚染されていないので、上記取外し後瓶が傾い
たりした時などに、上記水分等が凹部８a₁に流入
したりして、凹部８a₁を汚染することがないの
で、上記刺込みのさい薬液中に雑菌等の異物が侵
入するおそれがない。

本発明は以上の実施例によつて制約されるもの
でなく、例えば天蓋は、掴みリング５ｄを設けら
れることなく、代りに本体５ａに連接して金属シ
エルのスカート部６の外面を覆う側壁部を形成さ
れたカツプ状のものであつて、この側壁部を押上
げることによつて、天蓋を金属シエルから取外す
タイプのものであつてもよい。また補強用厚肉部
もその効果を達成する範囲内で適宜の形態をとる
ことができる。

本発明の容器蓋は、封緘した状態（レトルト滅
菌処理時を含む）において、内側に凸の環状ビー
ド部３ａ、半径方向内側斜下方に向うように形成
された透孔周縁部３ｂと全周にわたつて係合する
係合部５ｋ、および環状突出部５ｃにより、３重
の環状シール部をゴム栓との間に形成するので、
蒸気や雑菌等を異物が環状天部と天蓋の間、ある
いは容器蓋の巻締部と容器口部の外側ビード部の
間を通つて、ゴム栓の頂面に侵入して、ゴム栓の
頂面が汚染されることなく、衛生的であるという
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例である容器蓋の縦断
面図、第２図は第１図の容器蓋に用いられる金属
シエルの平面図、第３図は第２図の−線に沿
う縦断面図、第４図および第５図は夫々、第１図
の容器蓋に用いられる天蓋の平面図および底面
図、第６図は第４図の−線に沿う縦断面図、
第７図は第１図の容器蓋を容器口部に封緘して、
レトルト滅菌処理、冷却した後の状態を示す縦断
面図である。 １……容器蓋、２……金属シエル、３……環状
天部、３ａ……環状ビード部、３ｂ……透孔周縁
部、４……透孔、５……天蓋、５ｂ……短円筒状
突起部、５ｃ……環状突出部、５c₁……下端、５
ｈ……円形突出部（補強用厚肉部）、５ｉ……隆
起ブリツジ部（補強用厚肉部）、５ｋ……係合部、
８……ゴム栓、９……口部、１１……中間シール
部、１２……外側シール部、１３……内側シール
部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 天部に環状天部を残して透孔が形成された金
   属シエルの該環状天部に、プラスチツクよりなる
   天蓋が取外し可能に嵌着された、口部がゴム栓で
   密封された容器を封緘するための容器蓋におい
   て、該環状天部は、内側に凸の環状ビード部と、
   半径方向内側斜下方に向うよう形成された透孔周
   縁部を備えており、上記嵌着前の該天蓋は、該透
   孔に嵌挿可能な環状の短円筒状突起部と、該短円
   筒状突起部に接近して内面に設けられた環状突出
   部を備えていて、該短円筒状突起部を該透孔に嵌
   挿後、半径方向外方に拡開して該透孔周縁部と全
   周にわたつて係合する係合部を形成することによ
   つて、該天蓋は該金属シエルに嵌着されており、
   該口部に封緘された状態において、該環状ビード
   部、該係合部および該環状突出部が該ゴム栓に圧
   接して、シール部を形成することを特徴とする容
   器蓋。