JPH0510821Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、血液、血漿代用液等、静脈注射用の
輸液を充填する輸液用プラスチツク容器に関する
ものである。

従来の技術 従来、輸液用容器としては、落としても割れな
いことや、軽量である等の利点から、プラスチツ
ク製のものが広く用いられている。

そして、第６図に示すように、プラスチツク製
の容器ａの口部ｂの開口端にフランジｃを形成
し、下栓ｄ、ゴム栓ｅおよび上栓ｆからなるキヤ
ツプｇを上記口部ｂに被せて、キヤツプｇの下端
周縁をフランジｃに溶着して容器を密封するよう
にした構成のものは、実開昭59−169835号公報に
記載されている。

考案が解決しようとする問題点 ところで、上記従来の輸液用容器にあつては、
第６図に示すように、口部ｂの開口端にごく近い
フランジｃにキヤツプｇを溶着するので、容器ａ
に輸液を充填し、キヤツプｇを溶着して密封する
際に容器ａ内に溶着くず等が混入して輸液を汚染
する虞れがある。

本考案は、かかる従来のものの問題点に鑑み、
口部の開口端に口部の外径よりも大きい外径を有
する拡径部を一体に形成し、口部の開口端を封止
する下栓の周側壁を立上らせて拡径部の周壁上端
縁に溶着することにより、口部を密封するための
溶着位置を口部の開口端の延長空間外で、しかも
開口端から大きく離し、もつて、容器に輸液を充
填して口部を密封する際の溶着工程において、輸
液に溶着くず等が混入する虞れがなく、衛生的に
輸液の充填密封を行うことができる輸液用プラス
チツク容器を提供することを目的とするものであ
る。

問題点を解決するための手段 本考案は、その目的を達成するため、次のよう
に構成した。

すなわち、その構成は、容器本体の上端に口部
を有するプラスチツク製の輸液用容器であつて、
口部の開口端に口部の外径よりも大きい外径を有
する拡径部を一体に形成し、拡径部内の口部開口
端には、拡径部の内面に密着する立上り周側部を
一体に形成してなる下栓を嵌込み、上記下栓内に
は下栓を押えるゴム栓を嵌入し、ゴム栓の上面に
そのゴム栓を押える上栓を被せて拡径部の周壁上
端縁と下栓の立上り周側壁の上端周縁を上栓の周
端縁とをともに溶着してなることを特徴とする輸
液用プラスチツク容器としたものである。

作 用 本考案に係る輸液用プラスチツク容器は、前記
のように構成されているので、容器本体の口部は
拡径部内に嵌合された下栓、その上に嵌入された
ゴム栓およびその上を押える上栓によつて密封さ
れる。そして、下栓の立上り周側壁の上端周縁と
上栓の周端縁と拡径部の周壁上端縁とはともに溶
着されるが、その溶着位置は口部の開口端の延長
空間を外れており、しかも大きく離れているの
で、口部から容器本体内に溶着くず等が混入する
虞れがなく、充填した輸液は衛生的に保たれる。

実施例 本考案の実施例を図面について説明する。

第１図ないし第４図において、１は輸液用プラ
スチツク容器の本体であつて、この容器本体１の
上部には小口径の口部２が形成されており、口部
２の開口端には口部２の外径よりも大きい外径を
有する拡径部３が一体に形成され、この拡径部３
に施した栓構造４によつて容器本体１に輸液を充
填した後はそれを密封するものである。

上記拡径部３内には、口部２の開口端を覆うよ
うに下栓５が嵌込まれ、この下栓５は中央部が薄
肉部６となつており、薄肉部６の周囲は厚肉部７
となつていて、さらに下栓５は拡径部３の内面に
密着するカツプ状の立上り周側壁８を一体に形成
してなるものである。９はゴム栓であつて、この
ゴム栓９は下栓５内に密に嵌込まれるものであ
り、その外径は下栓５の内径と同じかやや大で、
しかも下栓５の深さと同じ厚みを有するものであ
る。このゴム栓９の下面には下栓５が密に嵌まる
凹部１０が形成され、かつその上面にも凹部１１
が形成されている。１２は上栓であつて、この上
栓１２は拡径部３の上面開口を覆う円形のもの
で、上栓１２の中央部にはゴム栓９の凹部１１に
密嵌合する凸部１３が形成されている。そして、
上記拡径部３の周壁上端縁３ａと下栓５の立上り
周側壁８の上端周縁８ａと上栓１２の周端縁１２
ａとを溶着すれば、上栓１２の凸部１３がゴム栓
９の凹部１１に密に嵌合し、ゴム栓９は凹部１１
とその周囲に形成された厚肉部１４が上栓１２に
噛み合うように係着され、かつ、下栓５はゴム栓
９の凹部１０およびその周囲に形成された厚肉部
１４′よつて押圧されて口部２の開口端が封止さ
れる構成をなしている。したがつて、瓶針の挿脱
時にゴム栓９が脱落することがない。上栓１２の
中央部には開口部１５が形成されており、上栓１
２の上面は易開封性フイルム１６によつて覆われ
ている。

第５図には前記の実施例に対する他例が示され
ている。すなわち、この他例のものは、密封フイ
ルム１７によつて拡径部３の底面全面からその周
壁の内面を覆うように、密封フイルム１７をカツ
プ状とし、このカツプ状の密封フイルム１７の上
端周縁と上栓１２の周端縁と拡径部３の周壁上端
縁とを溶着した構成となつている。

以上のように構成された各実施例のものにおい
て、容器本体１にその口部２から輸液を充填した
後に、容器本体１の口部２は拡径部３内に嵌合さ
れた下栓５または密閉フイルム１７と、その上に
嵌入されたゴム栓９およびその上を押える上栓１
２によつて密封される。そして、下栓５の立上り
周側壁８または密封フイルム１７の上端周縁と上
栓１２の周端縁と拡径部３の周壁上端縁はともに
溶着されるが、その溶着位置は口部２の開口端の
延長空間を外れており、しかも大きく離れている
ので、口部２から容器本体１内に溶着くず等が混
入する虞れがなく、充填した輸液は衛生的に保た
れる。なお、口部２は下栓４または密封フイルム
１７によつて封止され、かつゴム栓９はそれらに
よつて完全に覆われるので、ゴム栓９は容器本体
１内の輸液に全く触れることがなく、きわめて衛
生的である。

考案の効果 本考案は、容器本体の上端に口部を有するプラ
スチツク製の輸液用容器であつて、口部の開口端
に口部の外径よりも大きい外径を有する拡径部を
一体に形成し、拡径部内の口部開口端には、拡径
部の内面に密着する立上り周側部を一体に形成し
てなる下栓を嵌込み、上記下栓内には下栓を押え
るゴム栓を嵌入し、ゴム栓の上面にそのゴム栓を
押える上栓を被せて拡径部の周壁上端縁と下栓の
立上り周側壁の上端周縁と上栓の周端縁とをとも
に溶着してなるものであるから、口部を密封する
ための溶着位置を口部の開口端の延長空間外で、
しかも開口端から大きく離すことができ、容器本
体に輸液を充填して口部を密封する際の溶着工程
において、輸液に溶着くず等が混入する虞れがな
く、衛生的に輸液の充填密封を行うことができる
輸液用プラスチツク容器が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す輸液用プラス
チツク容器の全体斜視図、第２図はその要部の縦
断正面図、第３図は要部の構成を示す展開断面
図、第４図はその部分の上栓を外した状態の断面
図、第５図は他の実施例を示す要部の縦断正面
図、第６図は従来例を示す一部の縦断正面図であ
る。 １……容器本体、２……口部、３……拡径部、
３ａ……周壁上端縁、５……下栓、６……薄肉
部、７……厚肉部、８……立上り周側壁、８ａ…
…上端周縁、９……ゴム栓、１０……凹部、１１
……凹部、１２……上栓、１２ａ……周端縁、１
３……凸部、１４……厚肉部、１６……易開封性
フイルム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器本体の上端に口部を有するプラスチツク製
   の輸液用容器であつて、口部の開口端に口部の外
   径よりも大きい外径を有する拡径部を一体に形成
   し、拡径部内の口部開口端には、拡径部の内面に
   密着する立上り周側部を一体に形成してなる下栓
   を嵌込み、上記下栓内には下栓を押えるゴム栓を
   嵌入し、ゴム栓の上面にそのゴム栓を押える上栓
   を被せて拡径部の周壁上端縁と下栓の立上り周側
   壁の上端周縁と上栓の周端縁とをともに溶着して
   なることを特徴とする輸液用プラスチツク容器。