JPH0357863B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は印刷機側壁部分に保持された軸を中心
として、インキ出しローラに対して旋回可能に前
記軸に支承されてたインキ壺であつて、調節可能
なインキ調量部材を備えている形式のものに関す
る。

従来技術 インキ壺もしくはインキ調量部材、例えばイン
キ出し調節板又はインキ出し調節スライダ等を正
確に調節するためには種々の異なる装置が公知で
ある。インキ出しローラに対する前記調節が正確
であればある程、所望されるインキ膜厚さはより
正確に得られる。これは印刷過程にとつてきわめ
て重要である。

西ドイツ国特許出願公告第1942732号明細書に
開示された印刷機のインキ壺はインキ出しローラ
に対して平行に配置された可撓性のインキ出し調
節板と、該インキ出し調節板をインキ出しローラ
の長さ方向で多数の区域に分けてインキ膜調節レ
バーを介して調節するゾーン調節ねじとを有して
いる。このインキ壺は、印刷機側壁部分に保持さ
れた軸を中心としてインキ出しローラに対して調
節できるように、該軸に旋回可能に支承されてい
る。この場合インキ壺の重心は印刷機の機械フレ
ームに設けられたストツパにインキ壺が当接する
ように選択されている。

前述の如く構成することにより、インキ出し調
節板とインキ膜調節レバーとの間の支持線を変え
ないでインキプロフイール、インキギヤツプ、イ
ンキ壺取付け角が調節できることになる。

しかしながら印刷作業においては前述の調節が
正確であればある程、印刷機の運転時間帯に応じ
て印刷機において温度の変化が生じると、インキ
出しローラの上のインキ膜の厚さにも変動が生じ
ることが確認されている。

発明が解決するための課題 本発明が解決しようとする課題は、冒頭に述べ
た形式のインキ壺において、印刷機の温度が大き
く変化した場合でも、インキ出しローラのインキ
膜厚さができるだけ変化しないようにすることで
ある。

問題を解決するための手段 本発明が解決しようとする課題は冒頭に述べた
形式の印刷機のインキ壺において、インキ壺に調
節可能に案内された複数の間隔補償部材がインキ
壺に固定されており、該間隔補償部材が、熱膨張
によつてインキ出しローラとインキ調量部材との
間のインキギヤツプに影響を及ぼす構成部材より
も大きい膨張係数を有しており、該間隔補償部材
が印刷機側壁部分に支えられた、皿ばねで負荷さ
れた引張り棒によつて、一定の力でインキ出しロ
ーラの側方の端部範囲における円筒状の表面に圧
着可能であり、前記引張り棒が前記皿ばねの範囲
でねじ山付きピンによつてロツク可能であること
により解決された。

発明の作用及び効果 本発明の場合、熱膨張によつてインキ出しロー
ラとインキ調量部材との間のインキギヤツプに影
響を及ぼす構成部材とは、熱膨張によつてインキ
ギヤツプを減少させるように寄与する構成部材で
あつて、例えばインキ調量部材自体及びインキ調
量部材を支持するインキ壺である。これに対して
インキ壺に調節可能に固定されかつ一定の力でイ
ンキ出しローラの側方の端部範囲における円筒状
の表面に圧着された間隔補償部材は、熱膨張によ
つてインキギヤツプを増大させるように寄与す
る。また間隔補償部材は、皿ばねに基づく一定の
力で常に圧縮されているので、無荷重時の本来の
熱膨張係数と比べて見かけの熱膨張係数が減少し
ている。

したがつて熱膨張によつてインキギヤツプに影
響を及ぼす構成部材よりも大きな熱膨張係数を有
する材料を間隔補償部材に使用することにより、
間隔補償部材の見かけの熱膨張係数をインキギヤ
ツプに影響を及ぼす構成部材の熱膨張係数とほぼ
等しくすることができる。それゆえ両部材の熱膨
張に基づくインキギヤツプへの影響をほぼ相殺さ
せることができるので、インキギヤツプが印刷機
の温度変化に際してもほぼ一定に維持される。こ
うして一度調節されたインキ調量部材は、より長
い運転時間に亙つて、ほぼ一定の距離をインキ出
しローラに対して維持することができるようにな
る。

間隔補償部材の膨張係数は印刷機における温度
の変動に合わせて選択される。

印刷機において、インキ調量部材とインキ出し
ローラとの間のインキギヤツプに熱膨張が影響を
及ぼす構成部材、例えばインキ出しローラ、イン
キ出しローラの軸受、機械フレーム部分、インキ
壺、インキ壺の支承部、インキ調量部材及びこれ
らの構成部材を結合するすべての構成部材が種々
異なる材料から成り、しかもその材料温度が種々
異なる場合にも、インキ調量部材とインキ出しロ
ーラとの間のインキギヤツプをほぼ一定に保つた
めには、間隔補償部材の材料としては黄銅又はア
ルミニユームが適している。

間隔補償部材はインキ壺に支承された、ばねで
負荷された、印刷機側壁部分に支えられた引張り
棒により、一定の力でインキ出しローラの側方端
部範囲における円筒状の表面に圧着可能である。
皿ばねはトルクレンチを用いて星型ノブを介し
て、組立又は修理時にあらかじめ定められた値に
調節される。ばね力のプレロードを正確に調節し
たあとで、機械的なストツパとしてのねじ山付き
ピンが調整される。

間隔補償部材がインキ調量部材の両側にこれに
対して小さな間隔をおいて設けられていればいる
程、インキ出しローラのたわみは小さくなる。し
かしながらこの場合にはインキ出しローラにおい
て、プレロード力を支えるローラを設けておく必
要がある。

本発明の有利な１実施態様によればインキ壺側
壁自体を間隔補償部材として使用することができ
る。又、インキ壺側壁にインキ壺側壁とほぼ同じ
大きさのプレートを間隔補償部材として固定して
おくことも可能である。

さらに本発明の別の１実施態様によれば、間隔
補償部材が、インキ出しローラの円筒状の軸受ブ
ツシユに支えられるようにして間隔補償部材にお
ける摩滅を回避することもできる。

又、引張り棒が皿ばねの範囲で、ねじ山付きピ
ンでロツク可能であることにより、トルクレンチ
で調節されたプレロードは間隔補償部材でほぼ一
定に保たれる。

又、間隔補償部材には、インキ出しローラを覆
う範囲に、シール作用及び温度補償作用を有する
フエルト挿入体を固定しておくことができる。

印刷機の温度変化はインキ出しローラの長さに
亙つてすら生じることが実施において確認されて
いる。これを回避するため又は補償するために
は、間隔補償部材がインキ出しローラに支えられ
る構造では、特に簡単な形式でフエルト挿入体を
設けることができる。このフエルト挿入体は温度
均一化作用の他に、インキ出しローラに対するシ
ール作用を有している。

次に図面について本発明を説明する： 第１図には印刷機１の１部、つまりインキ壺２
と該インキ壺２の上にあるインキ調量部材３と
が、インキ出しローラ４の範囲で側面図により示
されている。インキ壺２は軸５に旋回可能に支承
されている。インキ調量部材３の移動平面３．１
には棒１７により構成されかつガイド１８内で調
節可能である間隔補償部材９が配置されている。
このガイド１８はねじ９．２，９．３を用いて保
持部材２．１を介してインキ壺２に固定されてい
る。この保持部材２．１はインキ壺２の側部にイ
ンキ壺２と同様に軸５を中心として旋回可能に配
置されている。

棒１７はガイド１８内でわずかに回動させるこ
とにより最小の差値だけ調節することができる。
この調節によりインキ壺２は全体として軸５を中
心として旋回させられ、インキ出しローラ４とイ
ンキ調量部材３との間のすき間が変化させられ
る。

調節過程のあとで棒１７はねじ９．１を用いて
ガイド１８内に固定される。

インキ壺２には軸５からわずかな距離をおいて
引張り棒１０が作用している。この引張り棒１０
は支え面１０．１を介して図示されていない印刷
機側壁部分６に皿ばね１３を介して支えられてい
る。皿ばね１３はばね保持体２０内で案内されて
いる。引張り棒１０の自由端部においては星形ノ
ブ１０．３が皿ばね１３の範囲に配置されてい
る。この星形ノブ１０．３は皿ばね１３のばね力
を調節する場合に引張り棒１０の終端ストツパと
して働くねじ山付きピン１４を有している。

棒１７を介して軸受ブツシユ４．１に作用する
プレロードをトクルレンチで調節した後でねじ山
付きピン１４で引張り棒１０がロツクされる。

第２図では第１図に示された印刷機１の部分が
平面図で示されている。

インキ出しローラ４の軸受ブツシユ４．１は支
え面１０．１と同様に印刷機側壁部分６に保持さ
れている。間隔補償部材９がこの実施例の如く構
成されている場合には平面図からは、引張り棒１
０の作用方向が間隔補償部材９の作用方向に対し
て僅かにしかずらされていないことが特に明らか
である。したがつて棒１７にプレロードをかける
場合に大きなモーメントは発生しない。さらに棒
１７と軸受けブツシユ４．１の表面１２との間に
は、前記表面１２が静止面であるため、摩擦力が
発生しないので、プレロードをかけるために大き
な力を伝達することができる。

支え面１０．１の範囲における皿ばね１３はト
クルレンチで一度調節され後で棒１７に上記プレ
ロードを生ぜしめる。

第３図は第１図の間隔補償部材とは異なる構成
の間隔補償部材７を有する第２実施例の側面図で
ある。この間隔補償部材７はインキ壺２の側部に
配置されたインキ壺側壁１５である。インキ出し
ローラ４に側方で接触させるためにはインキ壺側
壁１５に２つのストツパローラ１６が取付けられ
ている。

引張り棒１０は両方のストツパローラ１６の中
央に、インキ壺側壁１５を押圧する方向に配置さ
れている。この場合には支え面１０．２はインキ
壺２にねじで固定されている。引張り棒１０を介
して伝達されるプレロードは第１実施例の場合と
同様にばね保持体２０内の皿ばね１３で一定に保
たれ、引張り棒１０も同様にねじ山付きピン１４
でロツクされる。インキ出しローラ４とインキ壺
側壁１５との間の接触範囲にはシールを目的とし
てフエルト挿入体１９が固定されている。

第４図は第３実施例の平面図である。この場合
にもインキ壺２は印刷機側壁部分６に固定された
軸５の上に支承されている。

支え面はインキ壺２にねじで固定されている。
引張り棒１０の端部は印刷機側壁部分６に支承さ
れている。したがつて引張り棒１０は第１図及び
第２図に示された実施例と同様にインキ出しロー
ラ４に対するすき間を調節することができる。

この実施例では間隔補償部材８は黄銅またはア
ルミニウム材料から製作された板でありかつイン
キ壺側壁１５に対して平行にインキ壺側壁１５に
ねじで固定されている。この場合には間隔補償部
材８にストツパローラが固定される。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の複数の実施例を示すものであつ
て、第１図はインキ調量部材の移動平面内でイン
キ壺に配置された間隔補償部材を有する実施例の
側面図、第２図は第１図の平面図、第３図はイン
キ壺側壁として構成された間隔補償部材を有する
実施例の側面図、第４図は間隔補償部材が黄銅板
として構成されかつインキ壺側壁に固定されてい
る実施例の平面図である。 １……印刷機、２……インキ壺、２．１……保
持部材、３……インキ調量部材、３．１……移動
平面、４……インキ出しローラ、４．１……軸受
ブツシユ、５……軸、６……印刷機側壁部分、
７，８，９……間隔補償部材、９．１，９．２，
９．３……ねじ、１０……引張り棒、１０．１，
１０．２……支え面、１０．３……星形ノブ、１
１，１２……表面、１３……皿ばね、１４……ね
じ山付きピン、１５……インキ壺側壁、１６……
ストツパローラ、１７……棒、１８……ガイド、
１９……フエルト挿入体、２０……ばね保持体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 印刷機側壁部分に保持された軸を中心とし
   て、インキ出しローラに対して旋回可能に前記軸
   に支承されていたインキ壺であつて、調節可能な
   インキ調量部材を備えている形式のものにおい
   て、インキ壺２に調節可能に案内された複数の間
   隔補償部材７，８，９がインキ壺２に固定されて
   おり、該間隔補償部材７，８，９が、熱膨張によ
   つてインキ出しローラ４とインキ調量部材との間
   のインキギヤツプに影響を及ぼす構成部材よりも
   大きい膨張係数を有しており、該間隔補償部材
   ７，８，９が、印刷機側壁部分６に支えられた、
   皿ばね１３で負荷された引張り棒１０によつて、
   一定の力でインキ出しローラ４の側方の端部範囲
   における円筒状の表面１１，１２に圧着可能であ
   り、前記引張り棒１０が前記皿ばね１３の範囲で
   ねじ山付きピン１４によつてロツク可能であるこ
   とを特徴とする、印刷機のインキ壺。 ２ 前記間隔補償部材７，８，９が前記表面１
   １，１２に対して垂直にかつ互いに平行に配置さ
   れている、特許請求の範囲第１項記載のインキ
   壺。 ３ 前記間隔補償部材７がインキ壺側壁１５であ
   つて、このインキ壺側壁１５にストツパローラ１
   ６が固定されており、このストツパローラ１６が
   インキ出しローラ４の表面１１に当付けられてい
   る、特許請求の範囲第１項または第２項記載のイ
   ンキ壺。 ４ 間隔補償部材８がストツパローラ１６を備え
   た黄銅板であり、インキ壺側壁１５に平行に外側
   からインキ壺側壁１５にねじで固定されている、
   特許請求の範囲第１項記載のインキ壺。 ５ 前記間隔補償部材７，８の、インキ出しロー
   ラ４を覆う範囲にシール作用と温度補償作用とを
   有するフエルト挿入体１９が固定されている、特
   許請求の範囲第１項から第４項までのいずれか１
   項記載のインキ壺。 ６ 前記間隔補償部材９が調節可能な棒１７であ
   つて、この棒１７が移動平面３．１において、前
   記軸５の上方にあるガイド１８内で案内されてお
   り、インキ出しローラ４の表面１２に圧着させら
   れる、特許請求の範囲第１項又は第２項記載のイ
   ンキ壺。 ７ 前記皿ばね１３がばね保持体２０内に設けら
   れている、特許請求の範囲第１項又は第２項記載
   のインキ壺。 ８ 前記ねじ山付きピン１４が引張り棒１０の中
   心線上に設けられてる、特許請求の範囲第７項か
   ら第１項までのいずれか１項記載のインキ壺。