JPH0357473Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、複数の印刷機を一直線上に配置した
印刷ラインにおけるシートの移送装置に関する。

例えば、シート供給装置からキツカーでもつて
横重ねたシートを順次個別に送り出し、送り出さ
れたシートを順次複数の印刷機に通し、各印刷機
においてそれぞれ異色の印刷（多色刷り）を行な
い。続いて罫線加工、スロツト加工を施すように
なした製函機が提案されているが、その印刷ライ
ンにおいては、各印刷機の回転誤差は殆んどな
く、印刷ずれの原因となることはないが、印刷機
間の中間移送部におけるスリツプセシートの反り
によつて印刷ミスが発生することがある。この様
な問題を解決するため本出願人は先に、各印刷機
等の間のシート移送通路の上下に上方コンベアベ
ルトと下方コンベアベルトを配設し、これら上下
のコンベアベルトを印刷シリンダの周速と等しい
速度で回動させ、シートを上下から挾持しながら
移送する様にしたシート移送装置を提案した。こ
れを第１図及び第２図により説明すると、１は往
復動するキツカー１ａを備えたシート供給装置、
２Ａ，２Ｂ，２Ｃ，２Ｄはそれぞれ等径の印刷シ
リンダ３を備えた印刷機、４は後続の罫線加工や
スロツト加工を行うシート加工装置であつて、シ
ート５はキツカー１ａの往復動によつて突き出さ
れ、一対のフイードローラ１ｂに挾持されて供給
装置１から送り出され、この送り出されたシート
５を挾持する下方コンベアベルト７と上方コンベ
アベルト８とを備えた移送装置６にて第１の印刷
機２Ａに移送され。第１色目の印刷が施され、次
いで同じく移送装置６にて第２の印刷機２Ｂに移
送されて第２色目の印刷が施され、次いで同様に
して第３、第４の印刷機２Ｃ，２Ｄ……にてシー
ト５表面に多色の所定印刷が行なわれた後シート
加工装置４に送り込まれる様になつている。な
お、各印刷機２において９は印刷シリンダ３の直
下に配設された圧ロール、10は印刷シリンダ３に
対するインキングローラである。

ところで、この様な構成において一部の印刷機
２による印刷を休止し、他の印刷機２だけで印刷
を行う場合がしばしばあり、その際休止中の印刷
機についてインキの色替えや印刷シリンダへの印
版の貼替え等のために、第２図の印刷状態から第
３図に示す様に印刷シリンダ３及びそれに付帯す
るインキングローラ１０を第３図に示す様に上方
に約100〜150mm程度上昇せしめることがある。

その際、印刷シリンダ３のシート移送方向前方
側の上方コンベアベルト８の端部と後方側の上方
コンベアベルト８の端部との距離Ｌよりも短いシ
ートを印刷しようとすると第２図における様に印
刷シリンダ２と圧ロール９間でシート５を挾持し
て移送できないため、印刷相互間にずれ等が発生
することになる。これを防止するためには、その
印刷には必要でない印刷機２でも、その印刷シリ
ンダ３及びインキングローラ１０を運転中の位置
に下降させておかねばならず、この印刷機２は本
来休止中であるにもかかわらずインキ替えや印版
替えの作業ができず、これらの作業を行うには印
刷ライン全体を休止させねばならず、生産能率を
低下させるという問題があつた。

本考案は、従来のかかる問題点に鑑み、印刷を
休止中の印刷機の印刷シリンダを上昇させた状態
で短いシートを印刷する場合でもシートを確実に
挾持して移送できる印刷ラインのシート移送装置
を提供することを目的とする。

本考案はこのため、印刷シリンダを昇降可能に
構成している印刷機間にシートを挾持して移送す
る下部送りベルト装置と上部送りベルト装置とを
配設し、前記上部送りベルト装置はシート移送方
向前方側と後方側の一対のコンベアベルトを備
え、かつこれらの前方側及び後方側のコンベアベ
ルトはそれぞれ前方側及び後方側に位置する印刷
機の印刷シリンダ側に進出した位置に移動可能に
構成し、印刷シリンダを上昇させたときコンベア
ベルトを進出せしめてそれらの端部間の距離を短
かくし、短いシートの場合でも確実にシートを挾
持して移送できる様にした印刷ラインのシート移
送装置を提供する。

以下、本考案の一実施例を第４図乃至第６図に
基づいて説明する。ここで、第１図乃至第３図の
従来例で説明したものと実質的に同一の構成要素
については同じ参照番号を付して説明を省略す
る。また、全体配置構成も第１図とはほゞ同様で
あり、説明は省略する。なお、第４図乃至第６図
における印刷機２の参照番号に関しては、相対的
にシート移送方向前方側に位置するものを２ａと
し、後方側に位置するものを２ｂとする。印刷機
２ａ，２ｂ間のシート５の移送装置６は下部送り
ベルト装置１１と上部送りベルト装置１３とから
成り、これらの間でシート５を挾持して移送す
る。下部送りベルト装置１１は、シート移送方向
前方側のコンベアベルト１２ａと後方側のコンベ
アベルト１２ｂとで構成されており、それぞれの
前端部及び後端部は各々印刷機２ａ，２ｂの圧ロ
ーラ９の近傍まで延びている。また上部送りベル
ト装置１８は、シート移送方向前方側のコンベア
ベルト１４ａと後方側のコンベアベルト１４ｂと
で構成され、第４図に示す様にそれぞれの後端部
と前端部が互いに近接し、それぞれの前端部と後
端部が各々印刷機２ａ，２ｂの印刷シリンダ３に
可及的に接近した印刷運転時の標準位置と、第５
図に前方側の印刷機２ａの両側のコンベアベルト
１４ｂ，１４ａについて示した様に印刷シリンダ
３側に進出した位置との間で矢印イ，イ′の如く
移動可能に構成されており、進出位置にあるコン
ベアベルト１４ａ，１４ｂの印刷シリンダ３両側
の端部間距離は、最短長のシート５の長さより
も短く設定されている。

前記コンベアベルト１４ａ，１４ｂの移動構成
を第６図により詳細に説明すると、これらコンベ
アベルト１４ａ，１４ｂの支持フレーム１５に、
中間位置を回動自在に支持した互いに平行な一対
の揺動アーム１６ａ，１６ｂの上端を枢支するこ
とにより、この支持フレーム１５が水平姿勢を維
持しつつシート５移送方向に揺動自在に支持され
ており、これら揺動アーム１６ａ，１６ｂの下端
を連結するリンク１７から下方に突設したドツグ
１９にシリンダ装置１８のピストンロツドを連結
して、このシリンダ装置１８のピストンロツドを
矢印方向に往復動させることにより、コンベアフ
レーム１５、すなわちコンベアベルト１４ａ，１
４ｂを前後に揺動移動させる様に構成されてい
る。また、このコンベアフレーム１５の側面には
ストツパブロツク２０が突設され、このストツパ
ブロツク２０の下面に当接して前記コンベアフレ
ーム１５の上下方向の位置及びそれに伴なつて前
後の移動端位置を規制する位置決め杆２１が、下
端を揺動自在に支持された一対の平行なリンク２
２ａ，２２ｂの上端に連結されて支持されてい
る。これらリンク２２ａ，２２ｂの一方の下端か
らくの字状に操作腕２３が延出され、適宜位置に
配設された回転操作可能なクランク２５とこの操
作腕２３の遊端とが連結リンク２４にて連結され
ており、クランク２５の回転操作によりリンク２
２ａ，２２ｂを揺動させて位置決め杆２１の高さ
位置を調整し得る様に構成されている。なお、前
記コンベアベルト１２ａ，１２ｂ，１４ａ，１４
ｂには、内周面に歯形を形成したタイミングベル
トタイプのものを用いてすべりを完全に無くして
いる。

以上の構成において、前方側及び後方側の印刷
機２ａ，２ｂを印刷運転している状態では、第４
図に示す様に上部送りベルト装置１３の各コンベ
アベルト１４ａ，１４ｂは矢印イの如く移動して
標準位置に位置すると共に印刷シリンダ３が矢印
ロの如く下降しており、シート５は印刷機２ａ，
２ｂの位置では印刷シリンダ３と圧ローラ９間に
挾持されて印刷移送され、移送装置６では下部送
りベルト装置１１と上部送りベルト装置１８間で
挾持されて移送される。この状態は第６図に実線
で示されている。次いで、例えば第５図に示す様
に、前方側の印刷機２ａの印刷運転を休止してそ
の印刷シリンダ３及びインキングローラ１０を矢
印ロ′の如く上昇させる時には、シリンダ装着１
８のピストンロツドを第６図の右方向に移動させ
る。すると、連結リンク１７、揺動リンク１６
ａ，１６ｂ、支持フレーム１５を介してコンベア
ベルト１４ａが第５図の矢印イ′の如く印刷シリ
ンダ３側に進出した位置に向かつて移動し、第５
図に示しまた第６図に仮想線で示した状態とな
る。勿論このとき印刷機２ａの前方の移送装置６
においては、上部送りベルト装置１８の後方側の
コンベアベルト１４ｂが矢印イ′の如く印刷シリ
ンダ３側に進出せしめられ、こうして上昇した印
刷シリンダ３の両側のコンベアベルト１４ｂ，１
４ａの端部間距離はとなり、シート５は休止中
の印刷機２ａの部分でもその前後の移送装置６に
て確実に挾持されて移送される。

また、シート５の厚みが変わつた場合（２〜８
mm程度の範囲）には、クランク２５を回転操作し
て上記の如く位置決め杆２１の高さ位置を調整す
れば、その上面に当接するストツパブロツク２
０、支持フレーム１５を介して上部送りベルト装
置１３の各コンベアベルト１４ａ，１４ｂの位置
が規制され、下部送りベルト装置１１と上部送り
ベルト装置１３の隙間を調整することができ、し
かもこの隙間の調整動作と各コンベアベルト１４
ａ，１４ｂの移動駆動とは互いに干渉しない。

なお、上記実施例ではコンベアベルト１４ａ，
１４ｂの移動駆動にシリンダ装置１８とリンク機
構を用いたが適宜他の機構を採用することも可能
である。

本考案の印刷ラインのシート移送装置によれ
ば、以上の説明から明らかな様に、印刷シリンダ
を上昇させたときに上部送りベルト装置のコンベ
アベルトを印刷シリンダ側に進出した位置に移動
可能に構成しているので、印刷を休止している印
刷機の印刷シリンダを上昇させた状態で短いシー
トを印刷する場合でもシートを確実に挾持して移
送でき、この休止中の印刷機のインキ替えや印版
替えの作業を一方で印刷を行いながら行うことが
でき、生産能率を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来例を示し、第１図は全
体正面図、第２図は要部の正面図、第３図は印刷
シリンダが上昇した状態における要部の正面図、
第４図乃至第６図は本考案の一実施例を示し、第
４図は既略構成を示す部分正面図、第５図は印刷
シリンダが上昇した状態における第４図と同様の
正面図、第６図は詳細構成を示す要部の正面図で
ある。 ２は印刷機、３は印刷シリンダ、５はシート、
６は移速装置、１１は下部送りベルト装置、１３
は上部送りベルト装置、１４ａ，１４ｂはコンベ
アベルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 印刷シリンダを昇降可能に構成している複数の
   印刷機を一直線上に配置し、各印刷機間にシート
   を挾持して移送する下部送りベルト装置と上部送
   りベルト装置とを配設し、前記上部送りベルト装
   置はシート移送方向前方側と後方側の一対のコン
   ベアベルトを備え、かつこれら前方側及び後方側
   のコンベアベルトはそれぞれ前方側及び後方側に
   位置する印刷機の印刷シリンダ側に進出した位置
   に移動可能に構成したことを特徴とする印刷ライ
   ンのシート移送装置。