JPH0354754B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、各種コンクリート工事に使用される
型枠の改良に関するものである。

従来の技術 コンクリート工事に使用されている従来の型枠
は、鉄板または木材によりなる堰板と型板とで構
成され、直接コンクリートと接する面は不透水
性、不通気性の板体であつた。

発明が解決しようとする問題点 上記従来の型枠は、通常堰板の外面が垂直か、
あるいは斜面に沿つた逆勾配に配置されて使用さ
れる。他方打設される生コンクリートには型枠内
に隙間なしに充填するのに必要な軟かさを確保す
るために、硬化に要する水量以上の余剰水が含ま
れているのが通常である。

また上記生コンクリートとして硬練りのものを
使用する場合には、打ち込み時に多量の気泡がコ
ンクリート中に混入されやすい。

このような生コンクリートの状態に対し、前述
のように、コンクリートの打設される型枠の堰板
が不透水性、不通気性の板体である従来の型枠を
使用したのでは、余剰水の排出が不十分となり、
ブリーデイングを発生させやすいし、硬化速度を
遅くし、初期強度が十分に発揮されない等の欠点
がある。

また堰板が不通気性の板材であるため、生コン
クリート中の気泡の脱気が不十分となつてコンク
リート表面に気泡痕が生じやすく、特に型枠を逆
勾配として、即ち傾斜させて配置し、コンクリー
トを打設する斜め壁や擁壁などの工事では、その
傾斜が緩るくなるに従つてコンクリート表面に気
泡痕発生の率が大となる欠点もある。

このため本発明では、型枠の堰板外表面を通し
て良好な排水、脱気を図り、コンクリート表層部
の硬化速度を早くし、初期強度を十分に発揮さ
せ、型枠の取り外し時間を早くしてその使用回転
率を向上させ、また気泡痕の発生が無く美麗なコ
ンクリート表面を形成できると共に、打設コンク
リートの初期凍結防止等を図りうる型枠を提供す
ることを目的として発明されたものである。

問題点を解決するための手段 本発明は、特許請求の範囲に記載されるよう
に、コンクリート工事用型枠を、水分や空気は透
過させるもののセメント粒子等の固形分は透過さ
せない密な組織密度の外層組織と、合成樹脂製接
着剤の浸透しやすい粗な組織密度の内層組織との
２重組織よりなるシートが、内層組織の外面から
その厚さの半ばにまで浸透している合成樹脂製接
着剤により、堰板の外表面に接着されていると云
う構成とすることにより、前述の目的を発生しう
るようにしたものである。

作 用 本発明では、堰板の外表面に接着されているシ
ートが、密な組織密度の外層組織と粗な組織密度
の内層組織との２重組織であり、内層組織の外面
からその厚さの半ばにまで浸透している合成樹脂
製接着剤で堰板に接着され、該接着剤は、粗な組
織密度の内層組織の繊維、糸条と十分な結合構造
を構成するので、堰板の外表面とシートとの接着
強度が著しく向上する。

またコンクリートに直接接触するシートの外層
組織は、水分や空気は透過させるもののセメント
粒子等の固形分は透過させない密な組織密度とさ
れているので、コンクリート中の余剰水は、上記
シートの外層組織を通つて流下し、また毛細管現
象で上方へ蒸発し、この作用はシートの外層組織
と内層組織との結合組織によつてより助長され、
型板の堰板に接する部分のコンクリートの水・セ
メント比が低くなり、コンクリートの硬化速度が
早くなつて初期強度が増大する。

またコンクリート中に混入した気泡の空気も水
分と同様にシートの外層組織と前記結合組織とを
通つて上方へ脱気され、コンクリート表面に気泡
痕の発生を防止する。

上述の結果として、型枠の早期脱型が可能とな
り、型枠の使用回転数の増加、施工スピードのア
ツプ等を図ることが可能となる。

また打設されたコンクリートの表面に布帛たる
シートが存在するので、断熱材的作用を生じ、冬
期には保温材となり、夏期には断熱作用を生じて
水分の蒸発を押えて養生硬化をあげるし、山間部
の如く昼夜、晴雨の温度差の激しい地域での打設
コンクリートの表面のクラツク発生を防止できる
と共に、コンクリート表面にシートの組織目が転
写され外観を良好にするものである。

実施例 図面は実施の一例を示しており、第２図に示さ
れる型枠１は、ガラス繊維強化プラスチツクたる
FRP製の堰板２が鉄製の型板３にリベツト４で
固着された構造であり、堰板２の外表面５にシー
ト６が合成樹脂製の接着剤７で一体に接着されて
いる。

第１図は、堰板２のシート６に接着された外表
面５部分の模型的拡大縦断面図であつて、シート
６は、外層組織８と内層組織９との二重組織の織
布とされている。

使用される繊維としては、耐アルカリ性、耐水
性、耐候性い富み、引張り強度の著大な合成繊維
が採用されている。

上述の外層組織８は、水分や空気は透過させる
もののセメント粒子等の固形分は透過させない密
な組織密度とされ、内層組織９は、合成樹脂製の
接着剤７に浸透しやすい粗な組織密度とされてお
り、両組織８，９の間に結合組織１０が形成され
ている。

上述の接着剤７は、内層組織９の外面１１か
ら、該組織９の厚さＴの半ばにまで浸透し、内層
組織９の堰板２の外表面５に強固に接着させてい
る。

このためシート６の外層組織８と結合組織１０
とが、接着剤７に阻害されることのない糸条間
隙、繊維間隙を保有することになる。

上述のシート６の端部は第２図に示されるよう
に、堰板２の端部に巻き込まれ、リベツト４によ
つて型板３の開口端に固定される。

上述の型枠１が工事現場に設置され、コンクリ
ートが打設されると、コンクリートはシート６の
外層組織に直接接触し、余剰水分とコンクリート
中に含有されていた気泡の空気とは、外層組織８
の組織間隙、糸条間隙、繊維間隙を通つてシート
６内に吸収され、水分は外層組織８と結合組織１
０との、組織間隙、糸条間隙、繊維間隙を通つて
流下し、あるいは、毛細管現象で上方へ流動し、
蒸発し、排除される。空気も同じく組織間隙、糸
条間隙、繊維間隙を通つて外層組織８と結合組織
１０から上方へ脱気される。

この結果、型枠１の堰板２の外表面５に接する
コンクリートの部分の水・セメント比が低くな
り、コンクリートの硬化速度が早くなり、初期強
度が増大する。

合成繊維製のシート６は、硬化したコンクリー
トから容易に剥離し、格別の離型剤の塗布を要す
ることなく型枠の脱型ができ、コンクリート面に
はシート６が組織目が転写され、しかも既述のよ
うにシート６を通して脱気が図られるので、気泡
痕の発生もなく、外観の良好なコンクリート面が
形成される。

なお、第１図に示す実施例では、シート６が織
布として示されているが、強度があれば、経メリ
ヤス地でもよいことは勿論である。

効 果 本発明は、以上説明した構成、作用のものであ
つて、シートが、粗な組織密度の内層組織の厚さ
の半ばにまで浸透した接着剤で、堰板の外表面に
接着されているので、その接着強度が強く、シー
ト６の平坦な接着状態を長期に亘つて維持しうる
効果がある。

またコンクリートに接触するシート６の外層組
織が、水分や空気は透過させるもののセメント粒
子等の固形分は透過させない組織密度とされてい
るので、コンクリート中の余剰水や気泡の空気が
シートを通して排除されるので堰板に接する部分
のコンクリートの硬化速度が早くなり、初期強度
が増大し、型枠の早期脱型が可能となつて型枠の
使用回転数の増加、施工スピードのアツプを図り
うる効果を奏する。

また良好な脱気によつて気泡痕の発生を防止で
き、シートの組織目の転写とあいまち、外観の良
好なコンクリート面を形成できる効果もある。

またシートが断熱材として作用しうるので冬
期、夏期において、保温材、断熱材として良好な
コンクリート形成に役立ちうる効果もあり、また
高地、山間地等の昼、夜あるいは晴、雨の温度差
の激しい地域での温度差によるコンクリート面の
クラツク発生を防止しうる効果も有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施の一例の堰板外表面部分の模型的
拡大縦断面図、第２図は第１図に示すものの型枠
全体の一部省略縦断面図である。 １：型枠、２：堰板、５：外表面、６：シー
ト、７：接着剤、８：外層組織、９：内層組織、
１１：外面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水分や空気は透過させるもののセメント粒子
   等の固形分は透過させない密な組織密度の外層組
   織と、合成樹脂製接着剤の浸透しやすい粗な組織
   密度の内層組織との２重組織よりなるシートが、
   内層組織の外面からその厚さの半ばにまで浸透し
   ている合成樹脂製接着剤により、堰板の外表面に
   接着されているコンクリート工事用型枠。