JPH0347436Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は一相通電されるデイスク型ブラシレス
モータに関する。

（技術背景） 一相（単相）通電されるブラシレスモータは、
通電切替点において、トルクが零となる、所謂
「死点」がある。そのために、モータ起動時のロ
ータ位置が、たまたま死点にあると、モータは自
起動できない欠点がある。

このため一相通電されるブラシレスモータにお
いては、電機子コイルと界磁マグネツト（ロータ
マグネツト）によつて生ずるトルクに加えて、コ
ギング発生用磁性体（鉄片が使用される）による
トルク（コギングトルク）を死点位置に付加する
ことにより、死点を解消し、自起動できるように
している。

例えば、コアレスモータにおいて、コギングト
ルクを付ける方法としては、第１図及び第２図に
示す方法によるものがある。第１図及び第２図に
おいて、１はロータヨーク、２はＮ極、Ｓ極の磁
極を交互に有する６極の界磁マグネツト、３は空
心型の電機子コイル、４はエアーギヤツプ、５は
ステータヨーク、６は鉄棒である。コアレスモー
タにおいてコギングトルクを付ける方法として、
第１図に示すようにエアーギヤツプ４に傾斜を付
ける方法が知られているが、この方法は、エアー
ギヤツプが大きくなるので、効率が低下する欠点
がある。

また第２図に示すように、均一なエアーギヤツ
プ４の一部に鉄棒６を挿入する方法がある。この
方法によると、第３図に示すように磁束７が発生
するため、界磁マグネツト２のＮ極又はＳ極の中
心と鉄棒６が対応する位置で、当該界磁マグネツ
ト２が停止するので、かかる停止位置において、
電機子コイル３を回転トルクが発生することがで
きる位置に配設してあれば自起動できるコアレス
モータが得られる。しかしながら、この第２図に
示す方法によると、確実に自起動できるようにす
る目的で、コギングトルクを大きくするために、
鉄棒６の太さを増すと、死点付近において第４図
に示すように磁束７が作用するため、かかる状態
で磁気的に釣り合つてしまつて自起動させるため
の死点付近のトルクが低下する現象が現われる欠
点がある。

理想的なトルク〜回転角曲線を得るには、第５
図に示すような合成トルク曲線８を得る必要があ
る。９は電機子コイルによる電機子コイルトルク
曲線で、１０はコギング発生用磁性体によるコギ
ングトルク曲線である。電機子コイルトルク曲線
９、コギングトルク曲線１０から明らかなように
コギングトルクは電機子トルクの２分の１の大き
さになるようにする必要がある。このようにする
ことで、回転角の全域に渡り、電機子コイルトル
クとコギングトルクとを合成したほぼ一様な回転
トルクとなつた合成トルク曲線８が得られる。

このような理想的な合成トルク曲線８を得るた
めには、コギング発生用磁性体の大きさ及び位置
を正しく設計しなければならない。

そこで、先に本考案者の一人が、実開昭60−
128481号で示すような構造の望ましい合成トルク
曲線を得て自起動できるような一相通電されるデ
イスク型ブラシレスモータを提供した。これは、
Ｎ極、Ｓ極の磁極を交互に2P（Ｐは２以上の整
数）個備えた回転子を構成する界磁マグネツト
と、該界磁マグネツトの一方の面と軸方向の空隙
を介して対向する固定側位置の同相位置に１以上
配設された空心型電機子コイルと、半径方向に延
びた端部間の開角を上記界磁マグネツトのほぼ一
磁極の幅に略等しく形成されたコギング発生用磁
性体を上記固定側の面に設けると共に１個の位置
検知素子を配設し、上記コギング発生用磁性体は
その半径方向の中心線が上記電機子コイルの発生
トルクに寄与する有効導体部から上記界磁マグネ
ツトの約４分の３磁極幅ほど回転子の回転方向と
反対方向に進んだ位置に配設した一相通電される
デイスク型ブラシレスモータとなつている。

このブラシレスモータでは、上記コギング発生
用磁性体が半径方向に延びる両端部が同じ長さに
形成されており、中心線を基準に２分した場合、
その両方の面積又は体積も同じになつているた
め、確実な自起動が期待できる反面、コギングト
ルクが大きくなり過ぎる欠点があつた。

コギングトルクが大きい方が、確実な自起動回
転ができて望ましいわけだが、コギングが余りに
大きすぎると、この種のコアレス構造のブラシレ
スモータは、手で持つている場合には、さほど感
じないし、また発生しない振動音並びに共鳴音
が、微妙であるが、たとえば、プラスチツク等の
筐体に取り付けた場合には、共鳴して発生するこ
とになる欠点を持つ。

（本考案の目的） 本考案は上記事情に基いてなされたコギングト
ルクを利用するコアレスタイプの一相通電される
デイスク型ブラシレスモータで、確実に自起動で
きるように十分な大きさで且つ理想的なトルク〜
回転角曲線を有するコギングトルクを得ることが
でき、低騒音且つ低振動になるように滑らかに回
転する一相通電されるデイスク型ブラシレスモー
タを提供することを目的とする。

（本考案の目的達成手段） 本考案の目的は、外側方向に延びた端部間の開
角が上記界磁マグネツトのほぼ一磁極幅に形成し
たコギング発生用磁性体をその半径方向の中心線
が上記電機子コイルの発生トルクに寄与する導体
部から上記界磁マグネツトの約４分の３磁極幅ほ
ど回転子の回転方向と反対方向に進んだ位置に配
設してなる一相通電されるデイスク型ブラシレス
モータにおいて、上記コギング発生用磁性体は少
なくともその一方の端部が半径方向に延びた端部
に形成し、しかも上記コギング発生用磁性体は少
なくともその一方の端部が周方向に至るに従つて
その体積若しくは面積を徐々に減じて形成するこ
とによつて達成される。

（本考案の第１実施例） 第６図は本考案の一相通電されるデイスク型ブ
ラシレスモータを適用した一相通電されるデイス
ク型ブラシレス軸流フアンモータ１１の平面図、
第７図は第６図の縦断面図、第８図は第７図の固
定子側を拡大した縦断面図、第９図はコアレスス
テータ電機子の平面図、第１０図は６極の界磁マ
グネツト２の下面図である。

１２は平面角型（第６図）で、断面カツプ型
（第７図）のデイスク型ブラシレスフアンモータ
１１のケーシングで、プラスチツクにより形成さ
れている。１３はケーシング１２の凹部で、この
凹部１３内に後記する構成の一相通電されるデイ
スク型ブラシレスモータ部１４が配設されてい
る。凹部１３の底部には、図示しないステーが形
成されていると共に、後記するフアン１５によつ
て生ずる風を通すための透孔１６が形成されてい
る。１７は回転子で、プラスチツクで形成された
カツプ型本体１８の外周にフアン（羽根）１５が
一体形成されている。カツプ型本体１８の内面に
はロータヨーク１９が固設され、ロータヨーク１
９の下面には、第１０図に示すようなＮ極、Ｓ極
の磁極を60度の着磁幅で交互に等しい着磁幅で着
磁された６極の界磁マグネツト２が固設されてい
る。回転軸２０は一端部が回転子１７に固設さ
れ、他端部はオイルレスメタル軸受２１によつて
回動自在に軸支されている。２２はケーシング１
２に係合させたプリント基板で、２３はプリント
基板２２の上に配設したステータヨークである。
ステータヨーク２３は、後記する条件のコギング
発生用磁性体２５とで一体形成されたものとなつ
ている。ステータヨーク２３は界磁マグネツト２
の磁路を閉じるためのものである。コギング発生
用磁性体２５を一体形成したステータヨーク２３
は、鉄粉等の磁性体粉を混入したプラスチツク粉
等の非磁性体粉で一体形成すると、当該性能の良
い一相通電されるデイスク型ブラシレスフアンモ
ータ１１を安価に量産できる。従つて、鉄粉等の
非磁性体粉を混入したプラスチツク粉等の非磁性
体粉で形成した特殊磁性体によつてステータヨー
ク２３及びコギング発生用磁性体２５を一体形成
すると、誠に都合よい。

特にこの特殊磁性材は加工が容易で、鉄材より
も透磁率は劣るが、それでも十分な透磁率を有し
ており、逆に鉄損をあまり生じさせないという利
点がある。もちろん、ステータヨーク２３とコギ
ング発生用磁性体２５とを別個に形成しても良
い。ステータヨーク２３は、その表面を絶縁処理
し、２個の空心型の電機子コイル４−１，４−２
を互いに同相位置となるように180度対称に、第
９図に示すようにステータヨーク２３上に単相配
置に固着している。電機子コイル４−１，４−２
は、発生トルクに寄与する半径方向の導体部４ａ
と４′ａとの開角が界磁マグネツト２の略一磁極
幅と等しい幅の扇枠状の空心型のものに形成され
たものとなつている。すなわち、界磁マグネツト
２として６極のものを用いたので、一磁極当りの
幅が60度であるため、電機子コイル４−１，４−
２は、発生トルクに寄与する導体部４ａと４′ａ
との開角幅が60度のものに形成されている。電機
子コイル４−１，４−２の周方向の導体部４ｂ，
４ｃは、発生トルクに寄与しない導体部である。
２４はホール素子、ホールIC、磁気抵抗素子等
の磁電変換素子からなる位置検知素子で、該位置
検知素子２４は電機子コイル４−１の発生トルク
に寄与する導体部４′ａから周方向に界磁マグネ
ツト２の一磁極当りの幅、すなわち60度ずれた位
置に配設されている。従つて、位置検知素子２４
は、電機子コイル４−１の発生トルクに寄与する
導体部４′ａと電機子コイル４−２の発生トルク
に寄与する導体部４ａとの中間位置に配設してい
る。

コギング発生用磁性体２５は、上記した材料に
よつてステータヨーク２３と一体形成され、ステ
ータヨーク２３の上面に一体的に突出形成されて
いる。コギング発生用磁性体２５は、半径方向に
長く延びて形成された端部２５ａと２５ｂ間の開
角幅が、界磁マグネツト２の一磁極幅と略等しい
幅、すなわち60度の開角幅の板状に形成されたも
のを、ステータヨーク２３の上面に一箇所形成し
ている。コギング発生用磁性体２５は、その半径
方向に延びた中心線２７が電機子コイル４−２の
発生トルクに寄与する導体部４′ａから界磁マグ
ネツト２の一磁極の約４分の３幅、すなわち約45
度ほど周方向に離れたステータヨーク２３上に固
設されている。

またこのコギング発生用磁性体２５は第１１図
に示すように回転子（界磁マグネツト２）の回転
方向（矢印Ａ方向）と反対方向に向かうに従つて
体積が徐々に少なくなるように、上記磁性体２５
の回転方向と反対方向の半径方向に延びた端部２
５ａにテーパ２８を形成している。

（本考案の第２実施例） 第１２図を参照して、前記の点線で示すコギン
グ発生用磁性体２５の端部２５ａ位置に至るに従
つてコギング発生用磁性体２５の体積及び面積と
も回転子の回転方向と反対方向に進んで徐々に少
なくなるように、切欠部を形成することで、符号
２５′で示したコギング発生用磁性体を形成して
いる。

あるいは第１２図に点線で示すようなコギング
発生用磁性体２５″のものとしてもよい。

尚、この例の磁体性２５′，２５″では第１実施
例のテーパ２８をつけなくても足りる。

（動作） 本考案のデイスク型ブラシレスフアンモータ１
１は、上記構成からなるため、電機子コイル４−
１，４−２、位置検知素子２４及びコギング発生
用磁性体２５と面対向して相対的回動を行なう界
磁マグネツト２が、モータ停止時、界磁マグネツ
ト２は、このＮ極又はＳ極がコギング発生用磁性
体２５に吸引されて自起動できる位置に停止す
る。

従つて、電源を投入すると、位置検知素子２４
が界磁マグネツト２のＮ極又はＳ極の磁極を確実
に検出しているので、上記位置検知素子２４から
の信号に基いて電機子コイル４−１，４−２には
所定方向の通電がなされ、所定方向の電機子コイ
ルトルクが発生し、界磁マグネツト２を有する回
転子１７が所定方向に回転し、フアン１５によつ
て風が透孔１６側へ送風される。

またコギング発生用磁性体２５があるので、コ
ギングトルクが発生し、死点をさけた位置に回転
するので、すぐに位置検知素子２４が１個でも、
界磁マグネツト２のＮ極又はＳ極の磁極を検出す
るようになるので、回転子１７は以後も連続回転
できる。また上記したような位置に上記したよう
な形状のコギング発生用磁性体２５を配設してい
るので、理想的な回転角位置に理想的なコギング
トルクが発生するので、回転角の全域に渡り、ほ
ぼ一様な回転トルクが得られる。しかも、この場
合、コギング発生用磁性体の一方の端部が面積及
び体積において滑らかな回転を行なうように形成
されているので、他方の端部によつて発生する大
きなコギングトルクを打ち消し、従つて、滑らか
且つ確実な自起動を行なうことができる。

尚、上記においては、電機子コイルを２個用い
た例を示したが、同相位置ならば仕様に応じて１
個でも３個以上用いても良い。

（効果） 以上から明らかなように、本考案のコアレスタ
イプの一相通電されるデイスク型ブラシレスモー
タは、位置検知素子が１個でも自起動でき、確実
に自起動できる十分な大きさのコギングトルクを
発生させることができ、しかも回転角全域に渡り
一様な回転トルクを発生させることができるの
で、また急激にコギングトルクが発生するのでな
く徐々にコギングトルクが発生し、電機子コイル
の有効導体部に近いところでは逆に必要となる大
きなコギングトルクが発生するようにしているた
め、確実に自起動でき、それでいて尚且つ静かな
回転音で滑らかに回転する低騒音且つ低振動の効
率の良い一相通電されるデイスク型ブラシレスモ
ータを安価に量産できるという実用上の効果甚大
なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は一相通電されるコアレスタ
イプのブラシレスモータにおいて従来のコギング
トルクを発生させる方法の説明図、第３図は第２
図の場合の停止位置の説明図、第４図は第２図の
場合の死点付近のコギングトルクの説明図、第５
図は理想的な合成トルク曲線の説明図、第６図は
本考案の一実施例として示すコアレスタイプの一
相通電されるデイスク型ブラシレスフアンモータ
の平面図、第７図は第６図の縦断面図、第８図は
第７図の固定子側を拡大した縦断面図、第９図は
コアレスステータ電機子の平面図、第１０図は６
極の界磁マグネツトの下面図、第１１図はコギン
グ発生用磁性体の拡大した説明図、第１２図は別
の実施例のコギング発生用磁性体の平面図であ
る。 ２……界磁マグネツト、４，４−１，４−２…
…空心型電機子コイル、２３……ステータヨー
ク、２４……位置検知素子、２５，２５′，２
５″……コギング発生用磁性体、２８……テーパ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 Ｎ極、Ｓ極の磁極を交互に2P（Ｐは２以上の整
   数）個備えた回転子を構成する界磁マグネツトを
   有し、該界磁マグネツトの一方の面と軸方向の空
   隙を介して対向する固定側位置の同相位置に１以
   上配設された空心型電機子コイルを有し、外側方
   向に延びた端部間の開角が上記界磁マグネツトの
   略々一磁極の幅に形成された分割されていないコ
   ギング発生用磁性体を上記空隙を介して対向する
   固定側に設けると共に１個の位置検知素子を配設
   し、上記コギング発生用磁性体はその半径方向の
   中心線が上記電機子コイルの発生トルクに寄与す
   る導体部から上記界磁マグネツトの４分の３磁極
   幅ほど回転子の回転方向と反対方向に進んだ位置
   に配設してなる一相通電されるデイスク型ブラシ
   レスモータにおいて下記構成要素及びを備え
   ていることを特徴とする一相通電されるデイスク
   型ブラシレスモータ。 外側方向に延びた端部間の開角が上記界磁マ
   グネツトの一磁極の幅に等しく形成された分割
   されていないコギング発生用磁性体は少なくと
   もその一方の端部が半径方向に延びて形成され
   ていること。 外側方向に延びた端部間の開角が上記界磁マ
   グネツトの一磁極の幅に等しく形成された分割
   されていないコギング発生用磁性体は少なくと
   もその一方の端部が周方向に至るに従つて上記
   界磁マグネツトと対向する体積若しくは面積を
   徐々に減じて形成していること。