JPH0346006Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はケーブルの角折れ緩衝装置に係わ
り、更に詳しくは、止水性並びに外力に対する抵
抗力を高めることができるケーブルの角折れ緩衝
装置に関するものである。

〔従来技術〕

一般に斜張橋ケーブルには、活荷重載荷による
桁または塔の弾性変形，ケーブルのサグ変化，振
動等によるケーブル定着部の角度変化によりケー
ブルのソケツト端部に曲げモーメントが生じるこ
とが知られている。

ところで、従来ワイヤロープの端末部を保護す
る手段として、例えば特開昭59−144689号公報に
開示されているように、ワイヤロープの端末部加
工付近に、弾性材等からなる密着摺動可能な保護
筒を設けたものが提案されている。

然し乍ら、このようなワイヤロープの保護筒の
場合、ワイヤロープの定着部の角度変化によりそ
の端末部に作用する集中曲げモーメントを有効に
低減させることはできず、またワイヤロープの太
さが異なる毎に、それに対応した形状寸法の保護
筒を作成する必要があり、コストアツプになると
共に交換作業に多大な手間と時間を要すると言う
問題があつた。

〔考案の目的〕

この考案は、かかる従来の問題点に着目して案
出されたもので、その目的とするところは斜張橋
ケーブルの定着部に於ける角折れを緩和し、ケー
ブルのソケツト端部に曲げモーメントが集中しな
いように構成し、更にケーブルと橋の塔や桁との
接合部を完全に止水し、雨水の定着部への侵入を
有効に防止すると共に、緩衝材の剥離を防止して
緩衝性能の低下を有効に防止したケーブルの角折
れ緩衝装置を提供するものである。

〔考案の構成〕

この考案は、上記目的を達成するためケーブル
のソケツト端部から所定の位置に、ケーブルの外
周面を覆い、かつケーブル外面と所定の間隔を保
つて筒状に形成したケーシング外管を設け、この
ケーシング外管とケーブルとの間隙部に、内管と
外管及びこれらの間に充填された緩衝材より構成
される２分割構造の内筒本体を嵌合し、前記ケー
シング外管の内周面と内筒の外周面との間隙部、
及び内筒の内周面とケーブルの外周面との間隙部
に夫々充填材を充填硬化して相互を一体的固定し
たことを要旨とするものである。

〔考案の実施例〕

以下添附図面に基づいて、この考案の実施例を
説明する。

第１図はこの考案を実施した角折れ緩衝装置１
を設置した斜張橋ケーブル２の定着構造の断面図
であつて、ケーブル２の端部にソケツト３が設け
られ、定着部材４にてケーブル２に所定の張力を
与えた状態で支持している。また角折れ緩衝装置
１は、ケーブル２の桁又は塔への入部に固定し、
支材５によつて支持されるものである。

次に、第２図は上記第１図の−矢視断面図
であつて、ケーブル２に設置された角折れ緩衝装
置１の構成は、ケーブル２のソケツト３の端部か
ら所定の位置に、ケーブル２の外周面を覆い、か
つケーブル外面と所定の間隔を保つて筒状に形成
したケーシング外管６を設け、ケーシング外管６
には支材５に当接して固定するためのフランジ６
ａと、リブ６ｂが溶接されており、ボルト６ｃに
よつて支材５とケーシング外管６を固定するもの
である。

そして、上記ケーブル２とケーシング外管６と
の間隙部に、２分割した内筒本体７を嵌合する。
この内筒本体７は、２分割された外管８と内管９
とこれらの間に充填されたゴム状弾性を有する緩
衝材１０（緩衝ゴム）とを一体成形して加硫接着
等により強固に一体化して形成されている。また
ケーシング外管６の内周面１６と内筒本体７の外
周面７ｂとの間隙部Ｘ１、及び内筒本体７の内周
面７ｂとケーブル２の外周面２ａの間隙部Ｘ２に
は、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の常温硬化形
の液状合成樹脂材や、モルタル，ラテツクスモル
タル等の注入性を有する充填材１１を注入充填
し、これを硬化させて相互を一体固定するもので
ある。

なお、充填材１１は緩衝材１０に比例し、弾性
係数の大きい材料を使用し、外力作用時の圧縮変
形量を緩衝材１０よりも少ないものとする。

前記緩衝材料である内筒本体７の外周面７ａと
充填材１１を介して密着して設けられたケーシン
グ外管６は、ケーブル２からの外力を内筒本体７
の略全長にわたつて支持し、これを支材５に伝達
する働きをしている。

なお、ケーシング外管６も内筒本体７と同様に
長手方向に接合面を有する２分割構造にしてある
ので、ケーブル２の展張後にケーブル２に装着す
ることが出来る。

また２分割した内筒本体７の接合面のズレを防
止するために、緩衝材１０の互いに接する面を単
に突合平面とせずに、雄，雌のキー状の接合構造
とすれば良い。また第１図で示したように、支材
５のケーブル挿入のために設けた切欠部の穴の径
を、内筒本体７の外径よりも小さくしておくこと
により、内筒本体７をケーシング外管６に挿入し
た時に支材５がストツパとなり、ケーブル軸線方
向の内筒位置を固定出来る。

なお、充填材１１を所定の間隙部に充填する時
の漏洩を防止するために、各間隙部Ｘ１，Ｘ２の
端部にバツクアツプ材を詰め込んだり、シーリン
グテープを巻付けておくと良い。

〔考案の効果〕

この考案は、上記のようにケーブルのソケツト
端部から所定の位置に、ケーブルの外周面を覆
い、かつケーブル外面と所定の間隔を保つて筒状
に形成したケーシング外管を設け、このケーシン
グ外管とケーブルとの間隙部に、内管と外管及び
これらの間に充填された緩衝材より構成される２
分割構造の内筒本体を嵌合し、前記ケーシング外
管の内周面と内筒の外周面との間隙部、及び内筒
の内周面とケーブルの外周面との間隙部に夫々充
填材を充填硬化して相互を一体的固定したため、
以下のような優れた効果を奏するものである。

(1) 緩衝材は、内管及び外管に一体成形してあ
り、工場生産が可能であることから品質管理を
徹底することが出来、品質精度を向上させるこ
とが出来る。

(2) ケーブルからケーシング外管までの各構成部
材を相互に強固に接着出来るので、共用時のケ
ーブルの軸直角方向に作用する外力を受けるて
緩衝材が弾性変形する時、接着面が剥離して緩
衝性能を低下するのを防止出来る。

(3) 従つて、必要な性能（バネ定数）を得るため
に必要な角折れ緩衝装置の全体寸法を小型化す
ることが出来、角折れ緩衝装置の水密性を向上
させることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を実施した角折れ緩衝装置を
設置した斜張橋ケーブルの定着構造の断面図、第
２図は第１図の−矢視断面図である。 １……緩衝装置、２……ケーブル、３……ソケ
ツト、５……支材、６……ケーシング外管、７…
…内筒本体、７ａ……内筒本体の外周面、７ｂ…
…内筒本体の内周面、８……外管、９……内管、
１０……緩衝材、１１……充填材、Ｘ１，Ｘ２…
…間隙部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーブルのソケツト端部から所定の位置に、ケ
   ーブルの外周面を覆い、かつケーブル外面と所定
   の間隔を保つて筒状に形成したケーシング外管を
   設け、このケーシング外管とケーブルとの間隙部
   に、内管と外管及びこれらの間に充填された緩衝
   材より構成される２分割構造の内筒本体を嵌合
   し、前記ケーシング外管の内周面と内筒の外周面
   との間隙部、及び内筒の内周面とケーブルの外周
   面との間隙部に夫々充填材を充填硬化して相互を
   一体的固定したことを特徴とするケーブルの角折
   れ緩衝装置。