JPH0343930Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、田植機、播種機、施肥機等の水田作
業機におけるトランスミツシヨンケース構造に関
するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 従来、この種の水田作業機においては、機体に
搭載されるエンジンの後方にトランスミツシヨン
ケースを配していたので、エンジンからトランス
ミツシヨンケースまでの前後長さがどうしても長
くならざるを得ず、このため、これが機体全長を
短くするための妨げの一因となつている。また、
トランスミツシヨンケースが後方にあるため、該
トランスミツシヨンケースに設ける油圧ポンプも
後方に位置してしまい、このため、機体の重心が
後方寄りになり前後バランスも悪くなるなどの欠
点もあり問題になつている。

［問題を解決するための手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点
を一掃することができる水田作業機におけるトラ
ンスミツシヨンケース構造を提供することを目的
として創案されたものであつて、機体前方に搭載
されるエンジンの後方に配されるトランスミツシ
ヨンケースを、前端部がエンジン下方に入り込む
ようにして構成し、該入り込んだ部位を油圧ポン
プの取付け部としたことを特徴とするものであ
る。

そして本考案は、この構成によつて、エンジン
からトランスミツシヨンケースまでの前後長さを
可及的に短くし得るうえに、油圧ポンプをエンジ
ン下方に配することができ機体の前後バランスの
向上を図り、走行安定性が優れるようにしたもの
である。

［実施例］ 次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。図面において、１は一輪歩行型の田植機であ
つて、後述するエンジン２、並びにトランスミツ
シヨンケース３、さらに前低後高型の苗載台４を
有した植付部５、ハンドル６、左右のサイドフロ
ート７、走行車輪８、走行車輪８の左側に配され
たチエンケース９等の各部材によつて構成されて
いるものである。一方、１０は機体前方のエンジ
ン部側と後方の作業部５側とを結ぶ機体フレーム
であつて、該機体フレーム内には植付部５へのチ
エン伝動機構が内装されている。さらに１１はエ
ンジン部、走行車輪８、植付部５の駆動機構を左
右から挟むようにして配された左右のサイドフレ
ームである。

前記左右のサイドフレーム１１の前端部には支
持フレーム１２がそれぞれ一体的に溶着される
が、この支持板１２，１２間には上下の前部フレ
ーム１２ａ，１２ｂがそれぞれ一体的に固着され
ている。しかも上下の前部フレーム１２ａ，１２
ｂ間には、エンジンベース２ａ取付け用のベース
ステー２ｂの前端部が一体的に固定されている。
そして、前記エンジンベース２ａはこのエンジン
ベース２ａに取付けられるものであるが、トラン
スミツシヨンケース３は、前部がこのエンジン２
の下方に入り込むように構成されており、このト
ランスミツシヨンケース３のエンジン下方に入り
込んだ部位は油圧ポンプ１３の取付け部となつて
いる。また、エンジン２の出力プーリ２ｃは、ト
ランスミツシヨンケース３のエンジン後方部に位
置する入力プーリ１３ａ、並びに油圧ポンプ１３
の入力プーリ３ａと伝動ベルト１４を介して連動
連結されており、エンジン２の駆動によつてそれ
ぞれに動力伝動が成されるようになつている。
尚、ここで１６はトランスミツシヨンケース３に
内装された油フイルタである。

一方、１７は機体の前方中央部に位置してエン
ジン２の下方に配される感知フロート１７であつ
て、該感知フロート１７は、後端中央部がトラン
スミツシヨンケース３の下部に支軸１７ａによつ
て上下揺動自在に枢支され、また前部は連結リン
ク１７を介して揺動腕１７ａの先端部に揺動自在
に枢着されている。この揺動腕１７ａの基端部
は、前記前部フレーム１２ａ，１２ｂ側に固着し
たプレート１７ｂ，１７ｃに回動自在に軸承せし
めた支軸１７ｄに一体的に固定されている。さら
に揺動腕１７ａには感知ロツド１５の下端部が枢
着されている。

また１８は油圧シリンダであつて、該油圧シリ
ンダ１８は、サイドフレーム１１の上方にブラケ
ツト１８ｂ並びにプレート１７ｃによつて取付け
られているが、そのシリンダロド１８ａは前記チ
エンケース９に連動連結され、後述するように油
圧シリンダ１８の伸縮作動に連繋してチエンケー
ス９の上下揺動を行なわしめ、これによつて機体
に対する走行車輪８の相対的な高さ調節を行うよ
うになつている。さらにこの油圧シリンダ１８
は、前部に油圧バルブ１９を設けたバルブ直結型
のものであるが、該油圧バルブ１９にはバルブロ
ツド１９ａが右側方に突出されており、その先端
には作動板２０が一体的に固定されている。そし
てこの作動板２０に前記感知ロツド１５の上端部
が揺動自在に軸着されている。さらに油圧バルブ
１９には、前記油圧ポンプ１３からの圧油が送ら
れる送りパイプ１９ｂと、油圧シリンダ１８から
の戻り油をトランスミツシヨンケース３に戻す戻
しパイプ１９ｃとがそれぞれ設けられていて、油
路を構成している。

而して、機体の田面走行の伴い、感知フロート
１７は、田面から受ける接地抵抗によつて後側支
軸１７ａを支点として前部が上下方向の感知作動
をすることになるが、今耕盤が低くなつたため、
深植え状態になつた場合には、感知フロート１７
は通常の場合よりも大きな接地抵抗を受けて上動
し、この結果感知ロツド１５も上動して作動板２
０を矢印Ａ方向に変位せしめ、これによつて油圧
バルブ１９が油圧シリンダ１８を伸長させる側に
切変わり、油圧シリンダ１８が伸長して機体を上
昇せしめることになり、この様にして深植えの是
正を行うようになつている。一方、浅植えの場合
には、前記とは逆に接地抵抗が小さくなつて感知
フロート１７は下動し、これによつて油圧バルブ
１９が切換つて油圧シリンダ１８が縮小し、機体
を下降せしめて浅植えの是正を行うようになつて
おり、この様にして、感知フロート１７を用いた
植付深さの自動油圧感知制御が成されるようにな
つている。尚、作動板２０には、さらに連結ロツ
ド２１が連結されているが、この連結ロツド２１
はハンドル６側に設けた油圧レバー２２に連動連
結されている。そして、この油圧レバー２２を操
作することによつて、油圧バルブ１９は、前記感
知フロート１７による油圧感知制御に先行して、
手動によるバルブ切換えが成されるようになつて
いる。

叙述の如く構成された本考案の実施例におい
て、機体の走行速度にタイミングを合せた植付爪
５ａの植付苗の掻取り植付作動によつて、苗の植
付作業が行われることになる。

この様な苗の植付作業を行う田植機において、
トランスミツシヨンケース３は、前方がエンジン
２の下方に入り込んだ構成になつている。このた
めトランスミツシヨンケース３は、エンジン２と
相対向する前方部位が上下に重複した構造とな
り、従つて、その分、エンジン２とトランスミツ
シヨンケース３との前後長さを短くすることがで
きる。従つて、従来どうしても長くならざるを得
ないエンジン２からトランスミツシヨンケース３
までの長さを短く出来て、機体全長を短くするこ
とに大いに寄与できることになり、しかもこのこ
とと、入り込んだ部分によるトランスミツシヨン
ケース３の低重心化により、機体のバランスを大
いに改善できることになつて、著しい走行安定性
の向上を計ることができる。

しかもこのトランスミツシヨンケース３のエン
ジン２下方に入り込んだ部位は、油圧ポンプ１３
の取付け部となつているので、その配置構成に無
理がなく、油圧ポンプ１３の取付けで機体の前後
バランスの一層の向上が図れる。また、トランス
ミツシヨンケース３内でのオイル潤滑と、油圧フ
イルタ１６を介した油圧ポンプ１３への油の吸入
とが自然な流れとなり、さらに油圧シリンダ１８
をエンジン２の側方に配して、トランスミツシヨ
ンケース３と共に各部材のエンジン部回りへの集
中化を計つたたとしても、油圧シリンダ１８まで
へのパイプ長さが長くなつてしまうことがなく短
いものとすることができる。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成したも
のであるから、トランスミツシヨンケースは、前
部がエンジンの下方に入り込んだ重複構造になつ
ているので、エンジンからトランスミツシヨンケ
ースまでを短くすることができ、従つて、機体全
長を短くすることに大いに寄与できることにな
る。しかも、この入り込んだ部位は油圧ポンプが
取付けられており、このため、トランスミツシヨ
ンケースでの油圧ポンプの配置構成が自然なもの
となり、かつ機体バランスを大いに向上し得て、
走行安定性の極めて優れたものにできる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る水田作業機におけるトラン
スミツシヨンケース構造の一実施例を示すもので
あつて、第１図は田植機の全体側面図、第２図は
同上全体平面図、第３図はエンジン部の正面図、
第４図は同上側面図、第５図は要部正面図、第６
図は要部側面図、第７図はエンジンとトランスミ
ツシヨンケースとの配置構成を示す要部側面図、
第８図は同上正面図、第９図は油圧配線図、第１
０図は要部斜視図である。 図中、２はエンジン、３はトランスミツシヨン
ケース、１３は油圧ポンプである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体前方に搭載されるエンジンの後方に配され
   るトランスミツシヨンケースを、前端部がエンジ
   ン下方に入り込むようにして構成し、該入り込ん
   だ部位を油圧ポンプの取付け部としたことを特徴
   とする水田作業機におけるトランスミツシヨンケ
   ース構造。