JPH0343336B2 - - Google Patents

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JPH0343336B2
JPH0343336B2 JP59265178A JP26517884A JPH0343336B2 JP H0343336 B2 JPH0343336 B2 JP H0343336B2 JP 59265178 A JP59265178 A JP 59265178A JP 26517884 A JP26517884 A JP 26517884A JP H0343336 B2 JPH0343336 B2 JP H0343336B2
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iron
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Masao Iguchi
Isao Ito
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Kawasaki Steel Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) この発明は、飽和磁気モーメントが極めて高い
磁性材料に関し、とくに含けい素鋼中にFe16N2
鉄窒化物相を効果的に析出させることによつて、
飽和磁化ひいては飽和磁気モーメントの有利な改
善を図ろうとするものである。 (従来の技術) 近年の電子工業の飛躍的発展は、磁性材料の開
発研究に負うところが極めて大きいが、とくに最
近では、鉄芯、磁気録音、電子機器の小型化およ
び情報の高密度化などのため飽和磁気モーメント
が高い良好な磁性材料が求められている。 従来、磁気モーメントの高い材料を得るために
は、鉄を合金化することによつてその飽和磁化を
増大させようとする試みが主になされてきたが、
かような合金化添加元素はCo,Pt,Pdなど高価
な元素ばかりであるため工業的に利用されるまで
には至つていない。 1972年に高橋らは、{高橋実:固体物理, Vol.7(1972),483},{T.K.Kim and M.
Takahashi:Appl.Phys.Lett.,Vol.20(1972),
492}および{高橋実:学術月報,Vol.24(1972),
719}において、2×10-4〜2×10-3Torrの窒素
雰囲気中で蒸着した鉄薄膜の飽和磁化の値は
26400〜29000Gaussであり、純鉄薄膜の飽和磁化
の値21500Gaussに比較してはるかに高いという
きわめて興味深い実験結果を示した。そしてこの
高い飽和磁化は、鉄薄膜中に優先形成した
Fe16N2の鉄窒化物に由来することを電子回析に
よる結晶構造解析から明らかにした。その後光岡
らおよび近角は、{光岡勝也,宮島英紀,近角聡
信:第2日本回応用磁気学会学術講演概要集,
(1978)P.176}{および近角聡信:応用物理,53
(1984),291}において、Fe16N2鉄窒化物はB.C.
T.(Body Centered Tetragonal)構造であるた
めN原子の侵入による格子の伸びによつて磁化が
増加することを示された。 また上記の技術とは別に発明者らは、{Y.
Inokuti,N.Nishida and N.Ohashi:Met.
Trans.6A(1975),773}および{井口征夫:日本
金属学会会報,15(1975),101}において、{100}
面方位純鉄単結晶を、450℃から500℃の温度範囲
においてアンモニアと水素ガスとの窒化雰囲気中
で処理すると、単結晶試料表面近傍に0.5〜3μm
程度のFe16N2が優先析出すること、またFe16N2
と地鉄マトリツクスとの整合関係は{001}
Fe16N2{001}α,<100>Fe16N2<100>α
を満足することを示した。 以上Fe16N2に関する最近の一連の研究につい
て要約したが、このFe16N2の析出物が観察され
る温度は200〜250℃の比較的低温であること、ま
たこのFe16N2だけを抽出しようとしても、現在
の化学的溶媒ではFe16N2の鉄窒化物が先にとけ
てしまい抽出はほとんど不可能であることが明ら
かにされている。 (この発明が解決しようとする問題点) この発明は、地鉄マトリツクス中における
Fe16N2の挙動を解明し、磁気特性とくに飽和磁
気モーメントに秀でた磁性材料を提案することを
目的とする。 (問題点を解決するための手段) このような状況下で発明者らは、上記の
Fe16N2の鉄窒化物をより高温側でマトリツクス
中に安定して析出させることが磁気特性の改善に
とつて必須条件であるとの認識に立つて、数多く
の試行実験を開始した。その結果、Fe16N2は、
10%以下でけい素を含有するけい素鋼薄帯、薄膜
あるいは粉末中に安定して析出すること、そして
かかるFe16N2析出相の存在により飽和磁気モー
メントの極めて高い材料が得られることを見出
し、この発明を完成させるに至つたものである。 すなわちこの発明は、C:0.02wt%(以下単に
%で示す)以下、Si:0.5〜10.0%およびMn:
0.01〜1.0%を含み、残部はFeおよび不可避的不
純物の組成になる厚み:0.1mm以下の薄帯もしく
は薄膜または粒径:150μm以下の粉末であつて、
内部にFe16N2の析出相を0.5〜70Vol%そなえる
ことからなる飽和磁気モーメントが高い磁性材料
である。 以下この発明を由来するに至つた実験結果に基
づき、この発明を具体的に説明する。 純鉄(電解鉄)中に0〜15%の種々の範囲にお
いてけい素を含有させた種々の鋼塊を、1250℃に
加熱後分塊圧延してシートバーとしたのち、熱間
圧延により1.8mm厚の熱延板とした。その後300〜
500℃の温間圧延を施しながら1.0mm,0.8mm,0.5
mm,0.30mm及び0.10mmの種々の厚みの冷延板を作
成した。またこれらの試料の冷延途中には、L方
向(熱延時と同じ圧延方向)とC方向(熱延時の
方向と直角な方向)の冷間圧延をくりかえし行な
つた。ついで冷延板の表面を脱脂して表面を清浄
にしたあと、水素中で800℃、3分間の焼鈍を施
して{100}面方位の強い1次再結晶組織を発達
させた後、550℃のNH3(5%)とH2(95%)ガス
との窒化雰囲気中で30〜60分間の窒化処理を行な
つたのち急冷処理した。その後100℃から400℃の
温度範囲で時効処理を行なつたのち、透過電子顕
微鏡(加速電圧200KV)によりFe16N2の鉄窒化
物の析出状態を観察した。 1.0〜0.10mmの種々の板厚のうちで、Fe16N2
板厚方向にわたつて均一に析出していたのは、板
厚の薄い0.10mm厚の試料であつた。この点、板厚
の厚い1.0や0.8mmの試料では、表面近傍のみしか
窒化されてなく、その後拡散析出処理を施しても
表面近傍にFe3NあるいはFe4Nなどの鉄窒化物が
形成され、またFe16N2とFe4Nとが同時に析出し
ている状態も観察された。 上記の実験結果から、Fe16N2の析出現像の追
跡には板厚の薄い0.1mm厚が最適であることが判
明したが、第1図にかかる板厚0.1mmの試料を用
いて析出状況とSi含有量との関係について調べた
結果を示す。 第1図から明らかなように、Fe16N2の安定析
出Si濃度は10%以下より好ましくは6%以下であ
つて、この範囲においてマトリツクス中に数多く
のFe16N2が析出すると共に、析出温度も350〜
400℃の高温側に移行することが判明した。 以上の実験から、Fe16N2の最適析出条件は、 Si含有量が0〜10%以下(特にSiが3〜6%
において350℃の高温領域で析出)の範囲で Fe16N2が高温において安定析出すること、 板厚:0.1mm以下の薄い試料においてFe16N2
が均一に析出すること が新たに見出されたが、かような新現象に加えて
上述したようにFe16N2とマトリツクスとの整合
関係が優先する集合組織、すなわち{100}面が
鋼板面と平行に強くなる集合組織を発達させるこ
ともFe16N2の安定析出に重要な因子であると考
えられる。というのは第2図に示すFe16N2の結
晶構造から明らかなように、N原子(図中でに丸
で示す)はZ軸の侵入格子間位置を専有したB.C.
T.構造であり、従つてZ軸方向にとりわけ著し
く歪みの多い状態となつている。このため
Fe16N2の安定析出を図るためには、鋼板を薄く
することによつてFe16N2の歪を緩和する{100}
面を有する集合組織の優先形態を図ることが重要
と考えられるわけである。次に極薄膜作成の有効
な手段であるスパツタ蒸着法(イオンビーム法)
によりFe16N2相を含む薄膜を作成した。第3図
に、スパツタ蒸着要領を模式で示すが、ターゲツ
ト材料として (A) 3.0%Si,0.03%Mn,0.003%Cを主成分とす
るけい素鋼と (B) 3.0%Si,0.03%Mn,0.005%C,0.05%Nを
主成分とするけい素鋼の2種を用いて薄膜試料
を作成した。またFe16N2の安定析出を図るた
め基板の温度は250℃〜300℃に保定した。 このようにして作成した(A),(B),(A),(B)交互の
合金層(各合金層厚は10〜50Åで合金層の厚みは
10000〜5000Åからなる薄膜試料の飽和磁化を、
トルク法によつて測定した結果、27000Gaussと
極めて高い値を示した。 次に第1表に番号〜で示した種類の鉄およ
び鉄合金の粉末試料を、500℃のNH3(5%)と
H2(95%)との混合ガス中で窒化処理を施したの
ち常温まで急冷処理した。その後250℃で1時間
の焼鈍処理を施して得た後粉末試料の粒径ならび
にトルク法による飽和磁化の測定結果を第1表に
併せて示す。
【表】 第1表から明らかなように、の試料では飽和
磁化が25800Gaussと他の試料21000〜
22500Gaussにくらべて高いことが注目される。 この試料の飽和磁化が高い理由は、粉末中に
3.25%のけい素を含有していること、しかも試料
粉末の粒径が150μmと極めて小さいことによる
ものと考えられる。ちなみにの試料の飽和磁化
は、22500Gaussとの試料に比べるときわめて
低いが、この理由は試料粉末中に3.31%のけい素
を含有しているものの、粉末の粒径が1000〜
300μmと大きいため、粉末中に均一な窒化が行
なわれず、しかも、Fe16N2の歪(Fe16N2の構造
はX,Y方向に歪が存在しなく、Z軸方向にのみ
大きな歪が存在する)を充分に解放できる状態で
析出することが極めて困難なためと考えられる。 上述したところから明らかなように、飽和磁気
モーメントの高いFe16N2の鉄窒化物の安定析出
を図るには、 素材中に10%以下の範囲でけい素を含有させ
ること、 Fe16N2とマトリツクスとの整合関係が良好
な{100}面の強い集合組織を発達させること、 Fe16N2の歪み解放に役立つように薄帯、薄
膜あるいは細粒の粉末を用いることが必要であ
ることが新たに究明されたのである。 なお、ここで述べる薄帯および薄膜とは、厚み
が0.1mm以下のものを、また粉末とは粒径が150μ
m以下のものを意味する。 (作用) 次に素材成分の限定理由について述べる。 Siは、前掲第1図から明らかなように0.5〜10
%望ましくは0.5〜6%の範囲においてFe16N2
安定して大量に析出するので、Si含有量は0.5〜
10%の範囲に限定した。 Mnは、0.01%未満では加工性およびFe16N2
析出制御が困難となり、一方1.0%を越えると
Fe16N2の優先析出が困難となり、また高価でも
あるので、Mnは0.01〜1.0%の範囲に限定した。 Cは、磁気特性に有害な元素であるためできる
限り低い方が望ましいが、0.02%以下の範囲で許
容できる。 その他通常のけい素鋼中に不純物として不可避
に混入する元素、たとえばAl,Ti,V,Cr,
Nb,Cu,B,SnおよびPなどを少量含有しても
何んらさしつかえない。 さらにこれらのけい素の鋼薄帯、薄膜および粉
末中に析出させたFe16N2の鉄窒化物は、通常、
薄帯および薄膜については電子顕微鏡観察による
Fe16N2の析出物とマトリツクスとの比で決定さ
れ、また粉末においてはX線回析によるFe16N2
の主要回析ピーク高さから決定される。 ここに磁気特性の改善のためには、Fe16N2
析出量は0.5vol%以上とする必要がある。一方こ
の発明の組成範囲ではFe16N2は、N元素の固溶
限による制約から、析出限界が70vol%であるた
め、70vol%を上限とした。 (実施例) 実施例 1 C:0.003%,Si:3.30%,Mn:0.06%,S:
0.0008%,P:0.008%,N:0.002%および
o0.0015%を含有する鋼塊を、1250℃に加熱後分
塊圧延を施してシートバーとしたのち、熱間圧延
により1.5mm厚の熱延板とした。その後表面を酸
洗したのち冷間圧延を施した。この試料の冷間圧
延途中にはL方向とC方向の冷間圧延をくりかえ
し行ない0.05mm厚の冷延薄帯を作成した。ついで
薄帯表面を脱脂したのち、水素中で800℃5分間
の焼鈍を施した。その後500℃のNH3(5%)と
H2(95%)ガスとの窒化雰囲気中で窒化処理後、
室温へ急冷したのち、300℃で1時間の時効焼鈍
を行なつた、 かくして得られた試料の電子顕微鏡観察による
Fe16N2の析出量は約1〜2vol%であり、またト
ルク法により測定した飽和磁化は、24000Gauss
というきわめて高い値を示した。 実施例 2 (A) C:0.002%,Si:3.6%,Mn:0.03%,P:
0.008%,S:0.009%,N:0.002%およびO:
0.0015%, (B) C:0.003%,Si:3.3%,Mn:0.085%,
P:0.007%,S:0.006%,N:0.040%および
O:0.0013%, の組成になる2種の鋼種をターゲツト材料として
用い、前掲第3図に模式で示すようなスパツタ蒸
着法により薄膜0.01mm厚を作成した。この薄膜試
料の化学成分はC:0.003%,Si:3.4%,Mn:
0.091%,S:0.008%,N:0.025%,O:0.002
%であつた。またことときの基板の温度は270℃
に保定した。 かくして得られた薄膜の電顕観察による
Fe16N2の析出量は約70vol%であり、またトルク
法により測定した飽和磁化は、27300Gaussとき
わめて高い値を示した。 実施例 3 C:0.005%,Si:3.38%,Mn:0.06%,P:
0.008%,S:0.009%,N:0.002%およびO0.009
%を含有する微細粉末(粒径100μm以下)を500
℃のNH3(5%)とH2(95%)の窒化雰囲気中で
30分間窒化処理したのち室温に急冷した。その後
250℃で1時間の時効焼鈍を施した。 かくして得られた試料の飽和磁化をトルク法に
よつて測定した結果26200Gaussときわめて高い
値を示した。またこの粉末のX線回折による
Fe16N2の析出量は約30vol%であつた。 実施例 4 表2に示す成分組成になる薄膜試料(0.08mm
厚)の表面を化学研磨して0.06〜0.05mm厚とした
のち、480℃の窒化雰囲気(10%NH3+90%H2
中で窒化処理後、室温まで急冷したのち、270℃
で2時間の時効焼鈍を施した。 かくして得られた試料の電顕観察による
Fe16N2析出量および飽和磁化について調べた結
果を表2に併せて示す。
【表】 比較例 1 C:0.003%,Si:3.30%,Mn:0.06%,S:
0.0008%,P:0.008%,N:0.002%およびO:
0.0015%を含有する鋼塊を、1250℃に加熱後、分
塊圧延を施してシートバーとしたのち、熱間圧延
により、1.5mm厚の熱延板とした。その後表面を
酸洗したのち、冷間圧延を施して0.05mm厚の冷延
板とした。ついでこの冷延板の表面を脱脂したの
ち、水素中にて800℃、5分間の焼鈍を施した。 かくして得られた試料には、Fe16N2の析出は
観察されず、その飽和磁化は20300Gaussにすぎ
なかつた。 比較例 2 C:0.002%,Si:3.6%,Mn:0.03%,P:
0.008%,S:0.009%,N:0.002%およびO:
0.0015%を含有する鋼を用い、エレクトロンビー
ムを使用した蒸着法で0.01mmの薄膜を作成した。 かくして得られた薄膜試料の飽和磁化は
20500Gaussであり、また電顕観察によつても
Fe16N2の析出は観察されなかつた。 比較例 3 C:0.005%,Si:3.38%,Mn:0.06%,P:
0.008%,S:0.009%,N:0.002%およびO:
0.009%を含有する微細粉末(粒径100μm以下)
の飽和磁化は20100Gaussにすぎず、またこの粉
末のX線回折結果はFeピークと若干のFeO,
Fe3O4のピークのみで、Fe16N2のピークは検出さ
れなかつた。 (発明の効果) かくしてこの発明によれば、鉄マトリツクス中
にFe16N2相を効果的に析出させることにより、
飽和磁化ひいては飽和磁気モーメントが極めて高
い磁性材料を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はFe16N2の析出状況を時効処理温度と
Si含有量との関係で示した図、第2図はFe16N2
の結晶構造を示した模式図、第3図はスパツタ蒸
着法による薄膜の作成要領を示した模式図であ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 C:0.02wt%以下 Si:0.5〜10.0wt%および Mn:0.01〜1.0wt% を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成
    になる厚み:0.1mm以下の薄帯もしくは薄膜また
    は粒径:150μm以下の粉末であつて、内部に
    Fe16N2の析出相を0.5〜70vol%そなえることを特
    徴とする飽和磁気モーメントが高い磁性材料。
JP59265178A 1984-12-18 1984-12-18 飽和磁気モ−メントが高い磁性材料 Granted JPS61143557A (ja)

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