JPH0340517Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、チツプ側面の研削性、研削精度を高
めるための工夫を凝らしたスローアウエイチツプ
用のチヤツキング装置に関する。

〔従来の技術〕

スローアウエイ式切削工具の切刃として使用す
るスローアウエイチツプの中に、成形焼成後、カ
ム制御或いは数値制御方式の研削機を使つて焼結
肌の側面を研削し、切刃の寸法精度を高めるもの
がある。

このチツプは、従来、プリズムと呼ばれる第６
図に示す如き治具１にセツトして芯出しを行つた
後、上面及び底面の中心部を第７図に示すような
チヤツキング装置２の対向したクランプロツド２
ａ，２ｂでクランプし、第８図の状態下でスロー
アウエイチツプ３の側面４に研削砥石５を当てて
側面の研削代を除去している。クランプロツド２
ａ，２ｂは、一側面の研削後に所定角度回転し、
次に研削する側面を定位置にセツトする。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、上記の方法によると、チツプは側面
を基準にして芯出しされるので、研削前のチツプ
に寸法精度のバラツキや変形等がある場合にチヤ
ツキング装置２によるチツプの中心クランプに狂
いがでる。つまり、チツプのセンタを確実にチヤ
ツキングできない。このように、クランプ点が不
正確になると、チツプの側面研削はチヤツキング
点を基準にして行われるので各辺の側面研削量が
バラツキ、その結果、第９図及び第１０図に示す
ようにすくい面（上面６又は上面と底面７の双
方）に切刃８に沿つたチツプブレーカ９を備える
スローアウエイチツプでは、鎖線で示すように各
辺（切刃）に沿つたブレーカ９の巾ｌが変わり、
切屑処理能力が各辺によつて異なつてくると云う
不具合を生じる。

また、治具１へのチツプセツト時に第６図の鎖
線で示すようにチツプが若干傾くことがあるが、
このときには、第１１図に示すようにブレーカ９
の終端壁と切刃８とが平行にならず、切屑処理の
面で上記同様不具合を生じる。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、上述の不具合を解消することを目的
とし、その目的達成のために、チヤツキング装置
の一方のクランプロツドにロツド先端からロツド
軸方向に出没自在に位置決めピンを複数個設け
る。また、その位置決めピンは、研削対象のスロ
ーアウエイチツプがチヤツキング姿勢にあるとき
にチツプの上面又は底面の定点に設けてある位置
決め用の窪みに適合して嵌まる大きさ、配置と
し、このピンが対向クランプロツドによるチツプ
の挟着動作に先行して上記窪みに進入するように
したのである。

即ち、チヤツキング装置のクランプロツドに、
前記の窪みにほぼ適合して嵌まる位置決めピンを
ロツドの前面からロツド軸方向に出没するように
取付け、この位置決め部材をクランプロツドの前
面より突出させた状態にしてクランプロツド前進
時にロツドによるチツプのクランプに先行してチ
ツプの窪みに進入させれば、クランプロツドによ
つてチツプき動きが拘束される前に自動的な心出
しと姿勢修正が行われ、位置及び姿勢に狂いのな
いチツプを側面研削に供することができる。

〔実施例〕

第１図乃至第５図に、本考案の実施例を示す。

第１図は頂角35°の菱型チツプを示している。
このチツプ３のすくい面上には切刃８に沿つたブ
レーカ９が設けられ、また、このブレーカに囲ま
れるボス面即ち上面６には鋭角コーナを結ぶ対角
線上に位置して２個の円筒状窪み１０がチツプ中
心から等距離をおいて設けられている。さらに、
チツプ中心には、これも位置決め用窪みとして利
用されるチツプクランプ用の中心穴１１が設けら
れている。

このスローアウエイチツプは、好ましくは鈍角
コーナ部を上述した如きプリズムによつて仮保持
し、それを第２図に示す構成としたチヤツキング
装置、即ち、クランプロツド２ｂに対向させたク
ランプロツド２ａにチツプの貫通した穴１１に挿
入するピン２ｃをスライド自在に挿入し、さら
に、チツプの窪み１０に対応させてロツド２ａの
前面に穿孔した孔に先端が半球面の位置決めピン
２ｅをスライド自在に挿入してそのピンをスプリ
ング２ｄによりロツド先端の前面から突出するよ
うに付勢したチヤツキング装置でクランプする。
この装置を使えば、ピン２ｃと２ｅがロツド２ａ
に先行してチツプの窪みに挿入され、ピン２ｃに
よる心出し、ピン２ｅによる姿勢矯正が行われ
る。そして、その後に、第３図に示すように、対
向ロツド２ａ，２ｂ間に正しい位置及び姿勢とな
つたチツプが挟持される。従つて、砥石５（第２
図）による側面研削に狂いを生じない。

第４図は三角形チツプをチヤツキング対象とす
る例で、この場合の窪み１０は頂角の２等分線上
にチツプ中心から等距離をおいて設けてある。

第５図は四角形チツプをチヤツキング対象とす
る例で、４個の窪み１０が対角線上に中心から等
距離をおいて設けられている。

なお、本考案は第５図に示すように、中心穴の
ないチツプにも適用できる。要は、中心穴付きチ
ツプでは中心穴を含めて複数個の窪みを、一方、
中心穴の無いチツプでは窪み１０のみを複数個設
ければ、目的とする効果を得ることができる。

上記窪み１０は、直径１〜２mm、深さ0.5〜１
mmの円筒状の穴が望ましいが、半球状の窪みとし
ても同じ効果を得ることができる。

また、正方形のチツプの場合、第５図に示すよ
うに、２つの対角線上にそれぞれ２個宛計４個、
或いはいずれか一方の対角線上にのみ計２個をそ
れぞれチツプ中心から等距離をおいて設けるのが
望ましい。長方形チツプは１つの短辺と、それに
連なる長辺の一部をプリズムで拘束して仮保持す
ることがあるが、この場合にはチツプの中心を通
る長辺と平行な線上に設けるとよい。

〔効果〕

以上の通り、本考案のチヤツキング装置は、一
方のクランプロツドに出没自在に取付けたピンを
クランプロツドによるチツプのクランプに先行し
てチツプ側の対応した窪みに嵌めるようにしてあ
るので、側面研削時の心出し及び姿勢矯正が自動
的に行われ、チヤツキング中心点を基準点にした
正確な研削が可能になると云う効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、チヤツキング対象となるスローアウ
エイチツプの一例を示す斜視図、第２図及び第３
図は、この考案のチヤツキング装置によるチヤツ
キング工程を示す図、第４図及び第５図はチヤツ
キング対象となるスローアウエイチツプの他の例
を示す平面図、第６図乃至第８図は従来のスロー
アウエイチツプの側面研削工程を示す図、第９図
乃至第１１図は同上の方法において生じる問題点
を説明するための図である。 ３……スローアウエイチツプ、４……側面、６
……上面、７……底面、８……切刃、９……チツ
プブレーカ、１０……窪み、１１……中心穴、２
ａ，２ｂ……クランプロツド、２ｃ，２ｅ……位
置決めピン、２ｄ……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スローアウエイチツプの側面研削時に対向した
   クランプロツドで上面と底面を挟み着けてスロー
   アウエイチツプを研削位置に保持するチヤツキン
   グ装置であつて、一方のクランプロツドにロツド
   先端からロツド軸方向に出没自在の位置決めピン
   を複数個設け、その位置決めピンは、研削対象の
   スローアウエイチツプがチヤツキング姿勢にある
   ときにチツプの上面又は底面の定点に設けてある
   位置決め用の窪みに適合して嵌まる大きさ、配置
   とし、このピンが対向クランプロツドによるチツ
   プの挟着動作に先行して上記窪みに進入するよう
   にしてあるスローアウエイチツプのチヤツキング
   装置。