JPH033778B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は、基礎上に床パネルを載置し、壁パネ
ルを立設する建物の接合構造に係り、更に詳しく
は床パネルを基礎上に載置し、その端部には胴部
及び上片と下片とにより断面Ｚ状に形成された接
合金物を配設したことを特徴とする建物の接合構
造に関する。

（従来技術） 従来、建物を構成するに主要な構造材はほぼ同
質材が用いられるものである。例えば、木質パネ
ル構造の建物は木質系のパネル体が主要の構造材
となつており、又壁式PC構造等においてはプレ
キヤストコンクリートパネルがその主要構造材を
為している。すなわち建物としてはその主要構造
材は同質材を用いられるのが通常であり、木質パ
ネル体とプレキヤストコンクリートパネルを混成
して建物を構成することは殆どなかつた。

この様に、異種の構成材を混成して一つの建物
を形成し得なかつたのは、これ等異種の構成材相
互を接合するのに適切な接合手段がなかつたこ
と、及びその接合部分の剛性が十分に確保出来な
かつたからである。

特に壁面に加わる荷重を床面に伝達して分散さ
せる接合構造が簡易に得られなかつたため、建物
の鉛直荷重及び水平荷重をバランス良く地盤上に
伝達させることが出来ず、異種構成材の混成利用
は消極的であつた。

（発明の目的と概要） そこで本発明は、上記の点に鑑み異種構成材の
積極利用を図る為、特にプレキヤストコンクリー
トパネルを建物の構造体外周壁として用い、一方
木質パネルを構造体の床パネルとして用いて、両
異種構成材を断面Ｚ状に形成した接合金物を用い
て基礎上に固定する接合構造を提供するものであ
る。この接合構造によつて外壁パネルにかかる鉛
直及び水平荷重をバランス良く床パネル全体に伝
達させ、基礎を介して最終的には地盤に伝達する
ものである。

（実施例） 以下図面により本発明の建物の接合構造を詳細
に説明する。

第１図は本発明の接合構造に用いられる接合金
物１の斜視図である。

接合金物１は、胴部１１の上端を胴部１１に対
し直角方向に延出して上片１２と成し、又下端を
上片１２と反対側直角方向に延出して下片１３と
成して側面を略〓状に形成したものである。胴部
１１の高さは後述する様に床パネルの厚さとほぼ
等しい。又上片１２のほぼ中央にはアンカー挿入
孔１４が穿孔され、胴部１１の表面には形状の
補強リブ１５が設けられている。更に胴部１１及
び上片１２にはそれぞれの所要位置に釘孔１６
…，１７…が穿孔されている。

第２図は接合構造の主要構成を分解斜視図とし
て示したものである。

この主要構成は、布基礎２とその天端上面に載
置された台輪２１、更に布基礎２上に植設された
アンカーボルト３、そして台輪２１上に載置され
る床パネル４と、この床パネル４の端部上面に立
設される壁パネル５からなるものである。

布基礎２は建物の外周壁直下に設けられる基礎
構造物で、図示はしないがその下部には荷重を地
盤に伝達する為のフーチン部が設けられている。

この布基礎２の上面は建物の水平を確保する為
天端均しが施され、この天端均しされた上面に長
尺平板状の台輪２１が載置されている。

また布基礎２の上面所要位置には上記台輪２１
を貫通してアンカーボルト３，３…が植設されて
いる。一方床パネル４は略矩形状にパネル枠材４
１を組み、その上面に面材４２を貼設したもの
で、必要に応じて内部に補強桟が配設されてい
る。しかもアンカーボルト３が当接する側端面４
３にはアンカーボルトを嵌め込むための切欠部４
４，４４…が設けられている。

又壁パネル５は、略矩形状に組まれたアングル
枠材５１にメツシユ筋５２を貼設して骨体とな
し、この骨体に軽量気泡コンクリート５３を打設
したものである。しかも壁パネル５の下端所要位
置にはブロツク材５４を介して箱状の金物５５
（以下箱金物という）がボルト５６により固設さ
れている。箱金物５５は壁パネル４の室内側の一
側面を開口し、この開口にスパナ等を入れて後述
する様にアンカーボルト３の定着用ナツトを螺合
する。

次に第３図の接合断面図により本発明の接合構
造をその施工手順とともに説明する。

先ず、布基礎２上に床パネル４を載置する。こ
の時床パネル４には予め切欠部４４，４４…を設
けておき、この切欠部４４，４４…内にアンカー
ボルト３，３が嵌め込まれる状態に載置する。そ
して接合金物１のアンカー挿入孔１４にアンカー
ボルト３の先端を挿入し、その上片１２の裏面側
を床パネル４の端部上面すなわちパネル枠材４１
側の面材４２上に載置するとともに、下片１３を
布基礎２上に載置し、胴部１１を床パネル４の側
端面４３に当接させてそれぞれを釘着する。尚施
工は上記手順に限定されず、例えばあらかじめ床
パネル４のパネル枠材４１側の面材４２上及び側
端面４３に接合金物１の上片１２及び胴部１１を
載置、当接し、釘着した状態で下片１３を布基礎
２上に載置するものであつてもよい。

斯かる状態において胴部１１の釘孔１６，１６
…と上片１２の釘孔１７，１７…に所要の釘を打
ち込み接合金物１と床パネル４を一体的に固定す
る。次いで壁パネル５を吊り下し、箱金物５５の
下片に設けられたボルト孔にアンカーボルト３の
先端を挿入して接合金物１の上片１２の表面側に
載置する。そして室内面の開口からワツシヤー３
１を介して定着ナツトをアンカーボルト３の先端
に設けた螺子部に螺着し、床パネル４上に壁パネ
ル５を定着させる。これにより床パネル４は、接
合金物１の上片１２で挾持された状態で基礎２上
に定着され、かつ壁パネル５は接合金物１の上片
１２に固定されかつ胴部１１により支持される。

よつて壁パネル５にかかる外力（水平力、鉛直
力）は接合金物１に分散して伝達されることにな
る。

尚接合金物１の胴部１１に形状の補強リブ１
５を固設しておけば、壁パネル５から外部負荷に
より接合金物１が、変形、座屈等することなく、
しかもアンカーボルト３に定着ナツト３２を十分
なトルクで螺着することができる。

第４図は床パネル４ａと４ｂとを突き合せた状
態で壁パネル５と接合する主要構成を示した分解
斜視図である。

この接合構造は、第２図で説明した接合構造と
は異なり、床パネル４ａ，４ｂの突き合せ部では
基礎に固定せずに、床パネル４ａ，４ｂと壁パネ
ル５相互のみを接合させるものである。

先ず布基礎２上の所要位置に床パネル４ａ及び
４ｂを突き合わせて載置する。そして両床パネル
４ａ，４ｂに架け渡す様にして接合金物１の上片
１２の裏面側を載置し、胴部１１を両床パネルの
側端面４３ａ，４３ｂに当接する。すると胴部１
１の高さが床パネル４ａ，４ｂの厚さに略等しい
ので、下片１３は布基礎２上に載置される。そし
て上記胴部１１、上片１２を夫々床パネル４ａと
４ｂ間に亘つて釘着される。

斯かる状態において、壁パネル５を接合金物１
の上片１２の表面側へ吊り下し、該上片１２に設
けられたアンカー挿入孔１４と箱金物５５の下片
に設けられたボルト孔を整合させ、上片１２の裏
面に溶着された固定ナツト１８に固定ボルト５７
を螺着させる。

尚、床パネル４ａ，４ｂの突き合せ部における
出隅上部を面取りしておけば、上片１２の裏面に
溶着された固定ナツト１８がこれら両面取り部
Ｓ，Ｓが形成する凹部Ｏ（第５図参照）に嵌め込
まれて接合金物１が円滑に載置されることにな
る。

よつて第５図の接合断面図で示す様に、床パネ
ルの突き合せ部においても両床パネル４ａと４ｂ
とは接合金物１の上片１２で接続され、かつ両床
パネル４ａ，４ｂは何れも当該上片１２によつて
挟持された状態で布基礎上に定着される。又壁パ
ネル５においては、箱金物５５を介して上記上片
１２に固定されかつ胴部１１によつて支持され
る。これにより当該壁パネル５が受ける外力は床
パネル４ａ，４ｂに等しく分散、伝達されること
になる。

（発明の効果） 以上説明した様に、床パネル４と壁パネル５
は、接合金物１を介して強固一体的に固定される
こととなり、またアンカーボルトにより床パネル
及び壁パネルそれぞれが一体となつて基礎上に定
着される。更に床パネル相互の突合せ部において
も接合金物１を用いれば床パネル４，４相互のみ
ならず壁パネル５との接合も強固に得られる。

よつて本発明の接合構造を用いた建物において
は、プレキヤストコンクリートからなる壁パネル
の外部応力が木質パネルからなる床パネルに円滑
に伝達される。

特に壁パネルからの剪断力が床パネル全体に分
散されることになり極めて良好な応力の伝達が発
揮される。しかも接合金物自体の形状が極めて簡
潔なものにもかかわらず補強リブにより強靭に形
成され、かつ接合施工も簡易であり又施工全体に
かかるコストも極めて低廉なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に用いられる接合金物の斜視
図、第２図は、本発明に係る接合構造の主要構成
を説明する分解斜視図、第３図は、接合状態を説
明する断面概略図、第４図は、床パネル相互を突
き合せて壁パネルと接合させる分解斜視図、第５
図は、第４図における接合状態を説明する接合断
面図である。 １…接合金物、１１…胴部、１２…上片、１３
…下片、１４…アンカー挿入孔、１５…補強リ
ブ、２…布基礎、３…アンカーボルト、４…床パ
ネル、４１，４１…パネル枠材、４２…面材、４
３…側端面、４４…切欠部、５…壁パネル、５５
…箱金物。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 布基礎上に載置した木質製床パネルと該床パ
   ネル上に立設したコンクリート製壁パネルとを、
   該床パネルに釘着した接合金物と、該壁パネルの
   下端位置に固設した箱金物と、該布基礎上に植設
   したアンカーボルトを介して接合する構造におい
   て、 前記接合金物は、前記床パネルの厚さに略等し
   い高さの胴部と、その上端の上片と、同下端の下
   片とにより側面略〓状に形成され、 前記上片の裏面側を前記床パネルの端部上面に
   載置して前記アンカーボルトを該上片のアンカー
   挿入孔から突出させて同下片を前記布基礎上に載
   置するとともに、前記上片と前記胴部を前記床パ
   ネルに釘着したものから成り、 前記箱金物は、前記壁パネルの室内側一面が開
   口され、該箱金物の下片が前記接合金物の上片の
   表面側に載置されるとともに、該箱金物内には前
   記アンカーボルトの先端が突出したものから成
   り、 前記箱金物内に突出した前記アンカーボルトの
   先端の螺子部に、前記開口から定着ナツトを螺合
   することで前記接合金物と前記箱金物とを固定し
   たことを特徴とする建物の接合構造。