JPH0336008B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、例えばヘツドレストの如きカバー部
材の内部にフオーム材でパツト部を一体に発泡成
形する一体発泡成形品の製造方法に関するもので
ある。

背景技術 従来、例えばヘツドレスト等を製造するにあた
つては、パリソンからヘツドレストカバーをブロ
ー成形し、そのブロー成形時に予めステーの軸上
端側をパリソン内に挿置して置き、ブロー成形後
にヘツドレストカバー内に充填するフオーム材の
発泡硬化でパツト部を成形してパツト部でステー
の軸上端を固着することにより、ヘツドレストカ
バーとパツト部とを一体にしてステーを突出させ
たヘツドレストを成形することが行われている。
然し、そのヘツドレストではフオーム材が発泡で
体積を増大する際にカバー内の隅角部付近で発泡
により押込まれてカバー内に存在していた空気と
発泡時にフオーム材に補足されなかつた発泡ガス
を滞留させて硬化してしまい、パツト部の存在し
ない空洞部分が生じ、またガスを排出するべくカ
バーの各隅角部に針を用いて孔明けしたものにあ
つては同時に発泡ウレタン等のフオーム材が該孔
より染み出し表皮を汚すなど商品価値を著しく損
なう事態を招き易い。

発明の開示 本発明は、上述した空洞部分を発生させること
なくフオーム材を発泡成形可能な一体発泡成形品
の製造方法を提供すること、を目的とする。

即ち、本発明に係る一体発泡成形品の製造方法
においては、ステー等の軸線部材で板面に切り溝
を付けた邪魔板を支持し、その邪魔板でカバー部
材の金型成形後にカバー部材内で発泡するフオー
ムの樹脂流れをカバー部材の隅角部個所に移動案
内することにより、確実に隅角部にもフオーム材
の発泡硬化層を一体成形し得るようにされてい
る。

実施例 以下、図面を参照して詳細に説明すれば、次の
通りである。

図示実施例では、一体発泡成形品として例えば
中央部分に空隙部を有する略馬蹄形のヘツドレス
トを製造する場合が示されている。このヘツドレ
ストにおいては、カバー部材１よりステー２を突
出する立上り部３の方形をした端面近く隅角部３
ａでパツト部４の存在しない空隙部分４′を生じ
易いため、その立上り部３では横断面形状に応じ
た方形の邪魔板５をステー２の軸線上に軸受け配
置し、その邪魔板５で後述する如くフオーム材の
発泡流れを隅角部方向に強制的に移動案内するこ
とにより空隙部分４′が生じないようにされてい
る（第１，２図参照）。茲で、邪魔板５としては
硬質、半硬質の樹脂プレートや金属板等を用いる
ことができ、その表裏面並びに周側面には、切り
溝５ａ…，５ｂ…が設けられている（第３図ａ参
照）。またこの、邪魔板５としては側面に段差５
ｃ設けたものを用いることもでき（第３図ｂ参
照）、立上り部３の平面積より０〜10mm程度狭幅
なもの或いは略同面積のものを用いてもよい。

ヘツドレストの成形にあたつては、ブロー成形
を適用することができる。そのブロー成形金型６
を左右に割型６ａ，６ｂを備え、また各割型６
ａ，６ｂを対向設置する基台６ｃを持つものであ
る。基台６ｃには中央に圧縮空気を吐出するバル
ブ７ａを備え、その左右にヘツドレストフレーム
２ａと一体のステー２を植立配置するブラケツト
７ｂ，７ｃが設けられている（第４図参照）。

この金型６を用いては、まずその軸線上に邪魔
板５を軸受したステー２をブラケツト７ｂ，７ｃ
で立付け支持し、次にカバー部材１を形成するパ
リソンをダイヘツドから下端側を開放した筒状に
して押出し、その内側にヘツドレストフレーム２
ａ並びにステー２を受入れるようにして基台６ｃ
上に配置する。その後に、パリソンを割型６ａ，
６ｂで挾持するよう型締め固定する。この型締め
時、パリソンが引張されて邪魔板５に接触するこ
とにより損傷するのを避けるため、邪魔板５はス
テー２の軸線上でパリソンの広幅個所に位置する
よう摺動退却させて置くことができる。その退却
動はスライドピン７ｄ，７ｅでヘツドレストフレ
ーム２ａの近くまで突上げ、パリソンのブロー成
形まで支持するようにすればよい。金型６の型締
め固定後、基台６ｃのバルブ７ａからパリソン内
に圧縮空気を供給して所望の立体形状を有すカバ
ー部材１を形成する。しかる後、立体形状に成形
されたカバー部材１を金型６から外して内部にフ
オーム材８を充填する。そのフオーム材８を充填
した状態ではステー２が上方に突出するようカバ
ー部材１を反転させてフオーム材８がカバー部材
１の天部内側に滞留するようにし（第５図参照）、
フオーム材８を発泡させる。この発泡に伴つて、
フオーム材８は体積を徐々に増大して上昇し、邪
魔板５の近くまで上昇すると、邪魔板５が退却位
置する場合には押上げて、樹脂流れは邪魔板５の
裏面に穿設した切り溝５ａ…から周側面に穿設し
た切り溝５ｂ…を通つて邪魔板５を表面に穿設し
た切り溝５ａ…に導びかれつつ上昇移動し、立上
り部３の底部３ｂとの間の狭間内で隅角部３ａ方
向に急速移動する（第６図ａ参照）。また、段差
５ｃを設けた邪魔板５では段差５ｃに多量の発泡
樹脂が溜つて隅角部３ａを充填するようになる
（第６図ｂ参照）。その際、発泡ガスは立上り部３
の底部３ｂに形成したガス抜き孔３ｃから排出す
るようにでき、そのガス抜き孔３ｃとしてはブロ
ー成形時にガス抜きパイプを一体成形し或いは目
打ちなどで単なる開孔として形成したものであつ
てもよい。

なお、上述した実施例では邪魔板５をカバー部
材１の成形時に予め挿置したが、カバー部材１の
成形後にステー２等の軸線部材に装着してもよ
い。また、この実施例では左右のステーに対応し
て立上り部３を持つヘツドレストを示したが、通
常の略台形を有するヘツドレストの成形にも適用
できる。その場合には一枚の邪魔板を各々ステー
間に装着配置し、四角の各隅角部にフオーム材の
発泡流れを移動案内することができる。更に、ヘ
ツドレストを製造する場合に限らずに各種の発泡
成形品の製造に適用できるものであり、邪魔板５
を装着配置する部材としてはステーの如くカバー
部材１から突出するもののみならずフオーム材に
埋込み配置するフレームであつても用いることが
できる。

このようにしてフオーム材の発泡流れを邪魔板
５の切り溝５ａ…，５ｂ…を通じて強制的に立上
り部３の隅角部方向に移動すれば、滞留し易い発
泡ガスを押圧移動して適宜のガス抜き個所より排
出できるため、欠損部のないパツト部４を形成す
ることができる。また、邪魔板５はその切り溝内
にフオーム材を滞留させて最終的にパツト部と一
体硬化することができる。

発明の効果 本発明に係る一体発泡成形品の製造方法に依れ
ば、フオーム材の発泡流れを邪魔板に付形した切
り溝を通じて急速に上昇させて狭間部分に移動案
内することにより、滞留し易い発泡ガスを強制的
に押圧して隅角部でもフオーム材を充填できるた
めパツト部に欠損を生じさせないようにでき、し
かもヘツドレストの如き製品を製造する場合には
邪魔板を支持板としてステー等の支抽部材をパツ
ト部と強固に一体固着することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明で製造する一体発泡成形品の一
例としてヘツドレストを示す斜視図、第２図は同
ヘツドレストの製造で問題点を示す説明図、第３
図ａは本発明に係る方法で用いる邪魔板の一実施
例の斜視図、第３図ｂは同方法で用いる邪魔板の
別の実施例の斜視図、第４図は同方法で用いる金
型の説明図、第５及び６図ａ，ｂはフオーム材の
発泡流れを示す一部拡大側面図である。 １：カバー部材、２：ステー等の軸線部材、３
ａ：隅角部、５：邪魔板、５ａ，５ｂ：切り溝、
６：金型、８：フオーム材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 板面に切り溝を付けた邪魔板を金型成形する
   カバー部材内に挿置するステー等の軸線部材で支
   持し、その邪魔板の切り溝でカバー部材の金型成
   形後にカバー部材内で発泡するフオーム材の樹脂
   流れをカバー部材の隅角部個所に移動案内するよ
   うにしたことを特徴とする一体発泡成形品の製造
   方法。 ２ 邪魔板をステー等の軸線上で摺動可能に遊嵌
   支持したところの特許請求の範囲第１項記載の一
   体発泡成形品の製造方法。