JP4124107B2 - インサート成形方法 - Google Patents
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Description
つまり、キャビティにインサート部品としての多孔質体をインサートし、この多孔質体に連なるように溶融樹脂を射出するインサート成形を行うことにより、前記複合多孔質体であるインサート成形品を製造したいという要望がある(例えば特許文献1参照)。
また、インサート部品としての多孔質体はその構造上表面粗さが粗いため、型締めする際に前記金型面が多孔質体の表面に一様に当接せず、したがって、前記金型面により多孔質体の表面を圧縮して固定する過程において、多孔質体の位置ずれが発生し易く、高精度な複合多孔質体を製造することが困難であるという問題があった。
請求項1に係る発明は、型締め状態で金型面間に形成されるキャビティにインサート部品としての多孔質体をインサートし、この多孔質体に連なるように溶融樹脂を射出するインサート成形を行うことにより、多孔質体と樹脂部とが一体に形成されてなる複合多孔質体を製造するため、前記金型面に配置される前記多孔質体の縁部に接し、当該金型面に沿った方向に前記多孔質体を位置決めする位置決め手段が設けられたインサート成形用金型装置を用いたインサート成形方法であって、前記位置決め手段を前記金型面に配置された前記多孔質体の縁部に接触させ、該多孔質体を前記金型面に沿った方向に位置決めしながら型締めし、前記金型面によりこの多孔質体を型開閉方向に圧縮して固定するとともに、キャビティを形成した後に、前記位置決め手段による前記多孔質体の縁部の接触を解除し、その後、前記多孔質体に連なるように溶融樹脂を前記キャビティに射出することを特徴とする。
この複合多孔質体10は、例えば金属からなる薄板状をなす多孔質体11と、この多孔質体11のそれぞれの外周縁部から多孔質体11の面方向に延びる樹脂部12とが一体に形成されたものであり、全体として矩形薄板状をなしている。
一方、樹脂部12は、多孔質体11と略同じ厚さを有する枠形薄板状をなし、図6(b)に示すように、多孔質体11の外周縁部に対して段差なく連ねられている。
なお、多孔質体11と樹脂部12とが一体になった矩形薄板状をなす複合多孔質体10は、その樹脂部12が固定あるいは狭持されるなどして各種装置に取り付けられることにより、例えば、フィルタ・ガス拡散部材・放熱部材・吸水部材などに用いられる。また、多孔質体11は、これを用いて製造する複合多孔質体10に要求される特性に応じて適宜選択されるものであり、金属不織布であってもよく、また金属製に限らず、結晶性の黒鉛や、結晶性でない無定形炭素を含むものとしての炭素質であってもよい。
図5に、ドクターブレード法によってスラリーを薄く成形するためのグリーンシート製造装置を示す。
スラリーSは、例えばSUS316L等の金属粉末、有機バインダ(メチルセルロース)、溶媒(水)を混合したものであり、必要に応じて、加熱処理により気化する発泡剤(ヘキサン)や消泡剤(エタノール)等が添加される。
グリーンシート製造装置30において、まず、スラリーSが貯蔵されたホッパ31から、ローラ32によって搬送されるキャリアシート33上にスラリーSが供給されると、キャリアシート33上のスラリーSが、移動するキャリアシート33とドクターブレード34との間で延ばされ、所定の厚さに成形される。
最後に、このグリーンシートGは、キャリアシート33から取り外された後、図示しない真空炉にて脱脂・焼成されることにより、有機バインダが取り除かれ、金属粉末同士が焼結した多孔質体11となる。
まず、1つ目は、前記駆動部によりピン部材を可動金型面4aに進出移動した後に、多孔質体11をピン部材の内側に位置する可動金型面4a上に配置する。これにより、多孔質体11の外周縁部が4本のピン部材のうち少なくとも一つに接することによって、図1に示すように、多孔質体11が金型面3a,4aの表面に沿った方向に位置決めされる。
次に、2つ目は、多孔質体11を可動金型面4a上に配置した後に、前記駆動部によりピン部材を可動金型面4aに進出移動する。この際、4本のピン部材のうち少なくとも一つが多孔質体11の外周縁部に接することにより、図1に示すように、多孔質体11の前記位置決めがなされる。
まず、多孔質体11を可動金型面4a上に前述したように位置決め状態で配置する(図1参照)。
また、金型面3a,4aにより多孔質体11を型開閉方向に圧縮して固定するとともに、これらの金型面3a,4a間にキャビティ2を形成する過程において、位置決め手段8を多孔質体11の縁部に接触させておくことが可能になるので、この過程における多孔質体11の金型面3a,4aに沿った方向の位置ずれ発生を抑制することができる。
以上により、高精度な複合多孔質体10を低工数かつ低コストで製造することが可能になる。
逆に、多孔質体11の気孔径や気孔率が大きすぎても、多孔質体11自体の強度が不足して、樹脂成形圧及び樹脂硬化時の圧縮に耐えられなくなって変形の生じるおそれや、溶融樹脂7が多孔質体11の気孔内の奥深くまで浸透しすぎてしまって、所望の形状を維持することができなくなるおそれがある。
それゆえ、多孔質体11については、気孔径が10μm〜2mm程度、気孔率が40〜98%程度に設定されていることが好ましい。
また、この樹脂部12は、図6(b)に示すように平坦であってもよいが、ねじ挿通孔用の穴や、装置に対する嵌合用の溝形状、強度向上のためのリブ形状、ボスなどを樹脂成形時に設けておいてもよい。
さらに、ピン部材として、図1(b)に示すように、断面視が円形状の構成を採用したが、これに限らず、例えば矩形状でも、楕円形状などであってもよく、また、4本のピン部材を配設したが、この本数は、多孔質体11の寸法や形状等により適宜変更してもよい。
すなわち、この構成では、次のような製造方法が実現される。可動金型4が前進移動して型締めする過程において、固定金型3に配設された前記ピン部材が多孔質体11の外周縁部に接することにより、徐々に多孔質体11が金型面3a,4aに沿った方向に位置決めされ、型締めが完了した際に、この位置決めが完了するとともに、多孔質体11が金型面3a,4aにより型開閉方向に圧縮されて固定されることになる。その後、前記実施形態と同様にして、位置決め手段8のピン部材を、前記駆動部により、これらのピン部材の先端面が固定金型面3aと面一になるまで後退移動した後に、金型面3a,4a間における多孔質体11の前記固定状態を維持した状態で、ランナ5からゲート6を通じて射出した溶融樹脂7をキャビティ2内に充填する。
さらにこの構成では、複合多孔質体10を形成した後に、可動金型4を固定金型3から離間するように後退移動させ、その後、再度ピン部材を固定金型面3a上に進出移動すると、可動金型4が固定金型3から後退移動した際に、複合多孔質体10が固定金型面3a上に取られる不具合、いわゆる「キャビ取られ」の発生が抑制される。
2 キャビティ
3 固定金型
4 可動金型
3a 固定金型面
4a 可動金型面
7 溶融樹脂
8 位置決め手段
10 複合多孔質体
11 多孔質体
12 樹脂部
Claims (2)
- 型締め状態で金型面間に形成されるキャビティにインサート部品としての多孔質体をインサートし、この多孔質体に連なるように溶融樹脂を射出するインサート成形を行うことにより、多孔質体と樹脂部とが一体に形成されてなる複合多孔質体を製造するため、前記金型面に配置される前記多孔質体の縁部に接し、当該金型面に沿った方向に前記多孔質体を位置決めする位置決め手段が設けられたインサート成形用金型装置を用いたインサート成形方法であって、
前記位置決め手段を前記金型面に配置された前記多孔質体の縁部に接触させ、該多孔質体を前記金型面に沿った方向に位置決めしながら型締めし、前記金型面によりこの多孔質体を型開閉方向に圧縮して固定するとともに、キャビティを形成した後に、
前記位置決め手段による前記多孔質体の縁部の接触を解除し、
その後、前記多孔質体に連なるように溶融樹脂を前記キャビティに射出することを特徴とするインサート成形方法。 - 型締め状態で金型面間に形成されるキャビティにインサート部品としての多孔質体をインサートし、この多孔質体に連なるように溶融樹脂を射出するインサート成形を行うことにより、多孔質体と樹脂部とが一体に形成されてなる複合多孔質体を製造するため、前記金型面に配置される前記多孔質体の縁部に接し、当該金型面に沿った方向に前記多孔質体を位置決めする位置決め手段が設けられたインサート成形用金型装置を用いたインサート成形方法であって、
前記位置決め手段を前記金型面に配置された前記多孔質体の縁部に接触させ、該多孔質体を前記金型面に沿った方向に位置決めした後に、
前記接触を維持した状態で型締めし、前記金型面によりこの多孔質体を型開閉方向に圧縮して固定するとともに、キャビティを形成し、
その後、前記位置決め手段による前記多孔質体の縁部の接触を解除し、
そして、前記多孔質体に連なるように溶融樹脂を前記キャビティに射出することを特徴とするインサート成形方法。
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