JP3755864B2 - 積層成形体の成形方法並びに成形装置 - Google Patents

積層成形体の成形方法並びに成形装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用内装部品に好適な積層成形体の成形方法並びに成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の車体パネルに内装される自動車用内装部品の一例として、図12にラゲージルームの側面に装着されるラゲージサイドトリム1の構成を例示して説明する。ラゲージサイドトリム1は、保形性並びに車体パネルへの取付剛性を備えた樹脂芯材1aと、この樹脂芯材1aの表面側に積層一体化され、クッション性を備える表皮材1bとの積層成形体から構成されている。
【0003】
そして、ラゲージサイドトリム1の成形工法としては、モールドプレス成形工法、コールドプレス成形工法等が適用できるが、モールドプレス成形工法を適用した場合について図13,図14を基に説明すると、モールドプレス成形装置2としては、プレス上型3、プレス下型4、並びにプレス下型4に接続されている射出成形機5とから構成されており、射出成形機5から樹脂芯材1aの素材である溶融樹脂Mをプレス下型4の型面上に供給するとともに、予めプレス上型3にセットされている表皮材1bをプレス上下型3,4の型締めにより樹脂芯材1aと一体成形している。
【0004】
ところで、ラゲージサイドトリム1のように、型抜き方向でパーティングラインの高低差(図12中aで示す寸法)がある場合には、プレス成形時に表皮材1bは引き伸ばされ、シート切れ、樹脂漏れ、シワ発生等の不良が発生しやすいため、図13に示すように、表皮材1bの保持機構として、固定枠6と可動枠7とを併用して、この可動枠7をエアシリンダ8により上下動作させることにより対応している。
【0005】
すなわち、表皮材1bのセット時には、エアシリンダ8が伸長状態であり、固定枠6と可動枠7とはほぼ同一平面上に位置し、表皮投入機から表皮材1bのセットが円滑に行なわれ、その後、図14に示すように、モールドプレス成形時には、プレス上型3が下降動作するのに連れて、エアシリンダ8が収縮して、可動枠7が上昇し、プレス上下型3,4のパーティングラインに追随するように表皮材1bのセット高さを調整でき、表皮切れ、樹脂漏れ、シワの発生等の成形不良をなくすようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来では、ラゲージサイドトリム1のように、成形型のパーティングラインに高低差がある部品においては、エアシリンダ8を動作させて対応していたため、エアシリンダ8を設定するためのスペース、並びにエアシリンダ8を動作させるための回路やそれを支持するための補強構造を必要とし、コストアップを招来するとともに、動作回路や支持機構等の付加設備を多く必要とするという不具合が指摘されている。
【0007】
更に、エアシリンダ8を動作させる時間だけ成形サイクルが長期化するとともに、成形時には表皮材1bからエアシリンダ8のピストンロッドにスラスト方向に応力が加わり、エアシリンダ8の円滑な動作が長期に亘り保証できず、メンテナンス上の問題があるとともに、表皮材1bのセットは、プレス上型3側にしかできず、プレス下型4への表皮材1bのセット作業が不可能であり、表皮材1bのセット作業においても大きな制約を受けているのが実情である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、成形型におけるパーティングラインの高低差を有する積層成形体の成形方法であって、金型設備、成形コストを低減化できるとともに、表皮材のセットを上下型いずれの側にも適用でき、しかも、成形サイクルも短縮化できる積層成形体の成形方法並びに成形装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願に係る請求項1に記載の発明は、パーティングラインを立体形状に設定してなるプレス上下型により、樹脂芯材と表皮材とを所要形状にプレス一体化してなる積層成形体の成形方法において、プレス上下型のキャビティ外周に沿って設けられた上部枠と下部枠がそれぞれ上下動可能で対向する側に向けてバネ付勢されており、表皮材を上部枠、下部枠のいずれか一方側にフラット状にセットした後、プレス上型の下降によりフラット状の表皮材の周縁を上部枠、下部枠とで上下から挟持するとともに、プレス上型の下降動作により、プレス上下型の型締め時、上部枠と下部枠との双方のスプリングの平衡作用により、表皮材をパーティングラインに追随させて、樹脂芯材と表皮材とのプレス一体化を行なうことを特徴とする。
【0010】
更に、本願に係る請求項2記載に記載の発明は、パーティングラインを立体形状に設定してなるプレス上下型により、樹脂芯材と表皮材とを所要形状にプレス一体化してなる積層成形体の成形装置において、前記プレス上型は、キャビティ部の外周に沿って表皮材の周縁部の上面を保持する上部枠が設けられており、この上部枠は、プレス上型とプレス下型のパーティング面の上下位置により、パーティングラインが高位置にあるものにおいて、スプリングにより常に下方にバネ付勢された状態で上下動可能であるとともに、プレス下型のコア部外周には、表皮材の周縁下面を保持する下部枠が設けられており、この下部枠は、上下動可能に構成されるとともに、スプリングにより常時上方に付勢され、上記上部枠を下方に付勢するスプリングのバネ力に対して下部枠を上方に付勢するスプリングのバネ力が大きく設定されていることを特徴とする。
【0011】
ここで、成形工法としては、モールド成形工法、コールドプレス成形工法等が適用でき、モールドプレス成形工法では、射出成形機から供給される溶融樹脂がプレス下型のホットランナ、ゲートを通じてプレス下型の型面に供給される。また、コールドプレス成形工法においては、樹脂芯材の原反である複合樹脂板、あるいは樹脂板等を加熱軟化処理後、プレス下型の型面上に載置する。
【0012】
そして、いずれの成形工法においても、プレス上型は、昇降用シリンダの駆動により所定ストローク上下動可能であり、キャビティ部を備えているとともに、プレス下型はプレス上型のキャビティ部に対応するコア部を備えており、モールドプレス成形装置に適用する場合には、このプレス下型にホットランナ、ゲートが内装される。
【0013】
更に、プレス上下型に設けられる表皮保持機構として、プレス上型のキャビティ部外周に沿って上部枠が設けられ、プレス下型にはコア部外周に沿って上部枠と対応する下部枠が設けられている。
【0014】
そして、上部枠は、全長に沿って複数ブロックに区画されており、パーティングラインの高低差に応じて固定側上部枠と可動側上部枠とがそれぞれ設定され、可動側上部枠は上下動でき、かつ下方に向けて付勢するスプリングが介装されている。
【0015】
例えば、可動側上部枠としては、上部枠を支持ロッドで支持し、この支持ロッドがプレス上型の型内に没入することにより、上部枠が上下動可能であり、プレス上型の型面と上部枠との間にスプリングを介装することにより、上部枠は常に下方にバネ付勢されることになる。
【0016】
一方、プレス下型の下部枠は、支持ロッドにより支持され、この支持ロッドがプレス下型の挿通孔内に上下動可能に収容され、プレス下型の型面と下部枠との間にスプリングが介装されることにより、下部枠は常に上方にバネ付勢されることになる。
【0017】
ここで、上部枠のスプリングと下部枠のスプリングのスプリング力について、所定の機能を発揮させるためには、下部枠のスプリングのスプリング力を上部枠のスプリングのスプリング力に対して大きく設定することが必要である。
【0018】
また、上部枠と下部枠との間で表皮材の周縁部分を挟持状態で保持するが、例えば、上部枠の下面にセットピンを所定ピッチで突設して、このセットピンが表皮材を貫通し、かつ下部枠の差込み孔内に差し込まれることにより、表皮材を保持しても良いが、上部枠のフラット状下面と下部枠のフラット状上面との間で表皮材の周縁部分を挟持しても良く、更に、上部枠と下部枠のうち、いずれかの一方側の対向面に表皮材の引込み方向に沿って湾曲状となる湾曲面を形成しておけば、型内への表皮材の滑り込みが期待できる。
【0019】
更に、成形完了後は、プレス上型の上昇と同時に下部枠がスプリングのバネ力により上方に付勢されれば、プレス下型上の積層成形体周縁の表皮材に剥離方向に外力が加わることになるが、型締め時、下部枠が下降した状態で保持できるようにボールプランジャ等のロック機構を設けることが好ましく、このボールプランジャ等によるロック機構は成形品のエジェクタ機構による突上げ時にエジェクタプレートにより下部枠の支持ロッドが上方に突き上げられてロックを解除させるようにすれば良い。
【0020】
以上の構成から明らかなように、表皮材の周縁部分を上部枠と下部枠との間で保持した状態でプレス上型を下降操作すれば、上部枠のスプリング力と下部枠のスプリング力との差異により上部枠側スプリングが収縮して、表皮材はプレス上型のパーティングラインに追随した状態で樹脂芯材と表皮材の一体成形が行なわれるため、表皮切れ、シワ等が生じることなく、樹脂芯材と表皮材とを良好に一体成形できる。従って、従来のエアシリンダを廃止することができ、スプリングを利用した簡易型構造となる。
【0021】
また、表皮材を上部枠と下部枠との間で挟み込んで支持するため、表皮材のセット作業はプレス上型の上部枠でもプレス下型の下部枠でもいずれにセットすることも可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層成形体の成形方法並びに成形装置の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1,図2はラゲージサイドトリムを示す正面図並びに断面図、図3は本発明に係る成形装置の一実施形態の構成を示す概要図、図4,図5は表皮保持機構の構成を示す各説明図、図6乃至図10は本発明方法の各工程を示す説明図、図11は表皮保持機構の別実施形態の構成を示す説明図である。
【0024】
図1,図2において、本発明に係る積層成形体の一実施例であるラゲージサイドトリム10は、自動車の後部荷物室両側の車体パネルに装着される内装部品であり、所望の曲面形状に成形された樹脂芯材11と、この樹脂芯材11の表面に一体貼着された表皮材12とから大略構成されている。
【0025】
更に詳しくは、樹脂芯材11としては、ポリプロピレン樹脂90重量部に対してタルクを10重量部混入した複合樹脂材料を使用し、後述するモールドプレス成形工法により図示する曲面形状に成形され、この樹脂芯材11のモールドプレス成形時にTPO(サーモプラスチックオレフィン)シート、塩ビシート等のトップ層12a裏面にポリエチレンフォーム等の発泡層12bを積層した表皮材12が一体化されている。
【0026】
更に、ラゲージサイドトリム10は、その周縁端末13が同一平面上に位置するものではなく、一般部端末13aに対して突出部端末13bが車室内側に突出しており、図2中hに示す距離だけ突出部端末13bが一般部端末13aに対して手前側に位置している。このように、ラゲージサイドトリム10に代表される積層成形体は、製品の周縁形状が二次元ではなく三次元形状に設定されている。
【0027】
次いで、上記ラゲージサイドトリム10をモールドプレス成形する際に使用する成形装置20の構成について、その全体構成を図3、表皮保持機構の構成について図4,図5を基に説明する。
【0028】
図3において、成形装置20は、プレス上型30、プレス下型40、並びにプレス下型40に隣接して付設される射出成形機50とから大略構成されている。
【0029】
更に詳しくは、プレス上型30は、昇降用シリンダ31により所定ストローク上下動可能であり、プレス下型40は、射出成形機50から供給される溶融樹脂の通路であるホットランナ41、並びにゲート42が設けられている。そして、プレス上下型30,40は、ラゲージサイドトリム10の周縁端末13が三次元形状に設定されていることから、プレス上型30のキャビティ部30a並びにプレス下型40のコア部40aについては、上下方向にその端末部分に高低差が設定されている。
【0030】
ところで、本発明は、ラゲージサイドトリム10のように、プレス上下型30,40におけるパーティングラインに高低差を有する積層成形体において、表皮材12を簡単かつ確実に一体化できるように、独自の表皮保持機構が設けられている。
【0031】
すなわち、表皮材12の周縁部分を上下から挟み込むことができるように、プレス上型30に設けられる表皮保持機構として、表皮材12の周縁部に対応して上部枠32が設けられており、この上部枠32の下面には、所定ピッチ間隔で先端が鋭利なセットピン33が配設されている。
【0032】
そして、上部枠32は、パーティグラインの高低差によって固定側上部枠32aと可動側上部枠32bが2種類設定され、各上部枠32a,32bはブロック毎に分割して設けられており、特に可動側上部枠32bは、支持ロッド34がプレス上型30内に挿通され、スプリング35が可動側上部枠32bの上面とプレス上型30の型面との間に介装されている。
【0033】
一方、プレス下型40における表皮保持機構は、コア部40aの外周に沿ってこれも表皮材12の周縁部に対応して下部枠43がブロック毎に分割状に設けられ、支持ロッド44が下部枠43の下面に所定ピッチ間隔で取り付けられており、この支持ロッド44はプレス下型40の挿通孔44a内に挿通されている。スプリング45が下部枠43の下面とプレス下型40の上面との間に介装されており、下部枠43は上下動可能であるとともに、スプリング45のバネ力により、常時上方にバネ付勢されている。尚、下部枠43は、便宣上、固定側上部枠32a、可動側上部枠32bに対して、それぞれ対応する下部枠43を43a,43bと符号化する。
【0034】
また、本発明においては、上部枠32を下方向に付勢するスプリング35のスプリング力と、下部枠43を上方に付勢するスプリング45のスプリング力との関係は、下部枠43のスプリング45のスプリング力が上部枠32のスプリング35のスプリング力に対して強く設定されている。
【0035】
成形装置20の全体構成は図3に示す通りであり、表皮材12の表皮保持機構として更に詳細部分を説明すると、図4(a)に示すように、上部枠32の下面にセットピン33がキャップスクリュー33aを締め付けることにより取り付けられており、このセットピン33に対応して下部枠43の中央には、差込み孔33bが開設されている。
【0036】
従って、表皮材12の周縁部分を保持するには、図4(b)に示すように、表皮材12の周縁部分がセットピン33の鋭利な先端部分で貫通され、下部枠43の差込み孔33b内に収容されることにより、表皮材12の周縁部分は、上部枠32と下部枠43との間で挟持され、かつセットピン33が表皮材12を上下に貫通していることにより強固に保持される。
【0037】
次に、図5に示すように、下部枠43を支持する支持ロッド44は、成形が完了してプレス上型30が上昇した際、ラゲージサイドトリム10のエジェクタ操作前にスプリング45のバネ力により上方に突出することがないように、ボールプランジャ機構によりロックされている。すなわち、2つのボールがプレス下型40の上面に支持ロッド44を左右から挟持する状態で設けられており、このボール46は付勢スプリング46aにより支持ロッド44の周面に当接する方向に押圧されている。このボールプランジャ機構と対応するようにプレス上型30が下死点まで下降した際、支持ロッド44が下方に押圧された位置で上記ボール46と合致する位置の支持ロッド44の周面に窪み44bが形成されている。
【0038】
また、図3に示すように、この支持ロッド44は、積層成形体10がエジェクタプレート47のエジェクタピン47aによりエジェクタ操作される際にエジェクタプレート47と連動して支持ロッド44が上方に突き上げられ、ボールプランジャ機構によるロック機構が解除され、スプリング45のバネ力により下部枠43が上方に位置することになる。
【0039】
次いで、上述した構成の成形装置20を使用して、樹脂芯材11と表皮材12とからなるラゲージサイドトリム10の成形工程について説明する。図6は成形装置20におけるプレス上下型30,40の型開き状態を示しており、この状態では、上部枠32並びに下部枠43は、表皮材12のセットがやりやすいように、それぞれ同一水平面上に位置している。
【0040】
更に、表皮投入機60がプレス上下型30,40の型内に投入され、表皮投入機60の内蔵シリンダの上下動作により、表皮投入機60上にセットされている表皮材12は、上部枠32に対して押し上げられ、表皮材12は、セットピン33に貫通され、表皮材12はその周縁部分に沿って上部枠32の下面に保持される。
【0041】
そして、表皮材12のセット作業が完了すれば、プレス上型30は、昇降用シリンダ31の動作により、所定ストローク下降して、表皮保持機構は、図4(b)並びに図7に示すように、まず、表皮材12の周縁部は、上部枠32と下部枠43とにより挟持されるとともに、セットピン33に貫通され、強固に保持される。
【0042】
その後、継続して昇降用シリンダ31の動作によりプレス上型30が下降動作を継続し、プレス上型30のキャビティ部30aの型面とプレス下型40のコア部40aの型面との間の型間距離が10〜30mmに到達した際、図8に示すように、射出成形機50、ホットランナ41、ゲート42を通じてプレス下型40のコア部40aの型面に溶融樹脂Mが供給される。
【0043】
このとき、表皮材12は、固定側上部枠32aと対応する下部枠43aは下方向に押圧される一方、可動側上部枠32bはスプリング35が収縮するが対応する下部枠43bのスプリング45はほとんど収縮していないため、可動側上部枠32bはプレス上型30のパーティング面に近接する。このことは、双方のスプリング35,45のスプリング力に強弱を設定したことによる。
【0044】
そして、プレス上型30が下死点まで降下して、樹脂芯材11と表皮材12の成形が行なわれるときには、図9に示すように、固定側上部枠32aに対応する下部枠43aはスプリング45がほとんど収縮した状態にあり、それと対称的に可動側上部枠32bのスプリング35は収縮が大きく、かつこれに対応する下部枠43bのスプリング45は若干収縮した状態である。
【0045】
従って、表皮材12の周縁部分はプレス上型30のキャビティ部30aの外周のパーティング面に追随する形となり、表皮材12に過度のテンションが加わることがないため、表皮切れやそれに付随して樹脂漏れ、あるいはシワ発生等の成形不良が生じることがなく、樹脂芯材11と表皮材12が良好にプレス一体化される。
【0046】
そして、ラゲージサイドトリム10の成形が完了すれば、図10(a)に示すように、プレス上型30が上昇動作するが、プレス下型40に設けられている下部枠43は、スプリング45のバネ力が作用しても、ボールプランジャ機構により、ロックされているため、表皮材12の周縁部分が上方に持ち上がることがなく、表皮材12の剥離という不具合が生じることがない。
【0047】
また、図10(b)に示すように、エジェクタプレート47の動作により、エジェクタピン47aが突き上がり、ラゲージサイドトリム10を突き上げする際に、このエジェクタプレート47により、支持ロッド44が上方に突き上げられ、ボール46が支持ロッド44の窪み44bから外れれば、スプリング45の付勢力が作用して、下部枠43は図7に示す上方に位置することになり、連続して表皮材12のセット作業を円滑に行なうことができる。
【0048】
このように、上記成形装置20を使用してラゲージサイドトリム10を成形する工法に適用すれば、成形装置20は、表皮保持機構として、従来のエアシリンダの替わりに上部枠32と下部枠43にそれぞれスプリング35,45を配置して、双方のスプリング35,45のスプリング力に差異をもたせるという簡単な構成で表皮材12の成形不良を確実に防止できるというものであるから、エアシリンダを廃止することにより、金型設備の簡素化、並びにエアシリンダの成形サイクル廃止によるサイクルの短縮化とを図ることができ、しかも、表皮材12は上部枠、下部枠のいずれにセットすることもできるため、セット作業における制約も排除できる有利さがある。
【0049】
次に、図11は表皮保持機構の改良例であり、セットピン33を廃止した改良例を示す。
【0050】
図11(a)は、上部枠32のフラット状下面と、下部枠43のフラット状上面の間で表皮材12の周縁部分を挟持するというもので、スプリング35,45のスプリング力を調整することにより、表皮材12の保持力も適宜可変でき、また、複雑な曲面状に成形する場合、型内に表皮材12を多く引き込むことが可能となり、深絞り形状の一体成形に効果がある。
【0051】
また、図11(b)に示すように、下部枠43の上面に湾曲状当接部48を設けることにより、表皮材12の周縁部分は、上部枠32のフラット状下面と下部枠43上面に設けた湾曲状当接部48により、表皮材12の下側は線接触状態となり、表皮材12成形時に型内への表皮材12の引込み量を多く確保できるため、深絞り成形により適している。
【0052】
以上はモールドプレス成形工法に適用した成形装置20を使用してラゲージサイドトリム10を成形するという実施形態について説明したが、複合樹脂板、樹脂板等を加熱軟化処理後、プレス下型40にセットして、樹脂芯材11と表皮材12とのプレス一体成形を行なうコールドプレス成形に適用することも可能であり、また、パーティングライン形状に高低差がある製品であれば、ラゲージサイドトリム10以外の部品に適用することも可能であるなど、本発明は実用的価値が高い。
【0053】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る積層成形体の成形方法並びに成形装置によれば、プレス上下型に上部枠、下部枠をそれぞれ設け、各上部枠、下部枠にスプリングを介装し、各スプリングのスプリング力に強弱を設けることにより、表皮材をパーティングラインに追随させるというものであるから、従来のエアシリンダを廃止することにより、金型設備が簡素化でき、設備コストの低減化、成形サイクルの短縮化、スペースの簡素化が図れるとともに、表皮材をプレス上型、プレス下型のいずれにもセットでき、表皮材のセット作業の制約を緩和でき、セット作業のバリエーションを高めることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用して製作したラゲージサイドトリムを示す正面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】本発明に係る成形装置の一実施形態の構成を示す概要図である。
【図4】図3に示す成形装置における表皮保持機構の構成を示す説明図である。
【図5】図3に示す成形装置における下部枠のロック状態を示す説明図である。
【図6】本発明方法における表皮材のセット工程を示す説明図である。
【図7】本発明方法における表皮材の上部枠、下部枠による挟持状態を示す説明図である。
【図8】本発明方法における溶融樹脂の供給工程を示す説明図である。
【図9】本発明方法におけるモールドプレス成形工程を示す説明図である。
【図10】本発明方法における成形後の下部枠の(a)ロック状態、(b)ロック解除状態をそれぞれ示す説明図である。
【図11】本発明に係る成形装置における表皮保持機構の変形態様を示す各説明図である。
【図12】従来のラゲージサイドトリムの構成を示す断面図である。
【図13】従来のラゲージサイドトリムの成形方法における表皮材のセット工程を示す説明図である。
【図14】従来のラゲージサイドトリムの成形工法における表皮材の追随状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ラゲージサイドトリム
11 樹脂芯材
12 表皮材
20 成形装置
30 プレス上型
30a キャビティ部
31 昇降用シリンダ
32 上部枠
32a 固定側上部枠
32b 可動側上部枠
33 セットピン
34 支持ロッド
35 スプリング
40 プレス下型
40a コア部
41 ホットランナ
42 ゲート
43 下部枠
44 支持ロッド
44a 挿通孔
44b 窪み
45 スプリング
46 ボール
47 エジェクタプレート
47a エジェクタピン
48 湾曲状当接部
50 射出成形機

Claims (6)

  1. パーティングラインを立体形状に設定してなるプレス上下型(30,40)により、樹脂芯材(11)と表皮材(12)とを所要形状にプレス一体化してなる積層成形体の成形方法において、
    プレス上下型(30,40)のキャビティ外周に沿って設けられた上部枠(32)と下部枠(43)がそれぞれ上下動可能で対向する側に向けてバネ付勢されており、表皮材(12)を上部枠(32)、下部枠(43)のいずれか一方側にフラット状にセットした後、プレス上型(30)の下降によりフラット状の表皮材(12)の周縁を上部枠(32)、下部枠(43)とで上下から挟持するとともに、プレス上型(30)の下降動作により、プレス上下型(30,40)の型締め時、上部枠(32)と下部枠(43)との双方のスプリングの平衡作用により、表皮材(12)をパーティングラインに追随させて、樹脂芯材(11)と表皮材(12)とのプレス一体化を行なうことを特徴とする積層成形体の成形方法。
  2. パーティングラインを立体形状に設定してなるプレス上下型(30,40)により、樹脂芯材(11)と表皮材(12)とを所要形状にプレス一体化してなる積層成形体の成形装置において、
    前記プレス上型(30)は、キャビティ部(30a)の外周に沿って表皮材の周縁部の上面を保持する上部枠(32)が設けられており、この上部枠(32)は、プレス上型(30)とプレス下型(40)のパーティング面の上下位置により、パーティングラインが高位置にあるものにおいて、スプリング(35)により常に下方にバネ付勢された状態で上下動可能であるとともに、プレス下型(40)のコア部(40a)外周には、表皮材(12)の周縁下面を保持する下部枠(43)が設けられており、この下部枠(43)は、上下動可能に構成されるとともに、スプリング(45)により常時上方に付勢され、上記上部枠(32)を下方に付勢するスプリング(35)のバネ力に対して下部枠(43)を上方に付勢するスプリング(45)のバネ力が大きく設定されていることを特徴とする積層成形体の成形装置。
  3. プレス上型(30)に設けられる上部枠(32)の下面に、所定ピッチ間隔でセットピン(33)が設けられており、このセットピン(33)は、表皮材(12)を貫通して、プレス下型(40)の下部枠(43)に設けられている差込み孔(33b)内に収容されて、上部枠(32)と下部枠(43)との間で表皮材(12)の周縁部を保持することを特徴とする請求項2に記載の積層成形体の成形装置。
  4. プレス上型(30)における上部枠(32)のフラット状下面と、プレス下型(40)における下部枠(43)のフラット状上面との間で、表皮材(12)の周縁部分を挟持することを特徴とする請求項2に記載の積層成形体の成形装置。
  5. 上部枠(32)、下部枠(43)のいずれか一方側の対向面に湾曲状当接部(48)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の積層成形体の成形装置。
  6. プレス下型(40)のコア部外周に沿って設けられている表皮材(12)の下側を保持する下部枠(43)は、支持ロッド(44)により支持されており、この支持ロッド(44)は、ポールプランジャ機構により下方位置でロック可能であり、エジェクタ機構(47)と連動して、ポールプランジャ機構による支持ロッド(44)のロック状態が解除されることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の積層成形体の成形装置。
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