JP2004262131A - 発泡成形用モールド及び発泡成形方法 - Google Patents

発泡成形用モールド及び発泡成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スキン層に欠陥がなく、またボイドも無い高品質の発泡成形品を高歩留りにて成形する。
【解決手段】モールド10は、容器状の下型20と、この下型20に被さる上型30と、仕切板40とで構成され、該仕切壁40によりモールド10内に2個の小キャビティ11,12が形成される。上型30を取り外した状態にて仕切板40を下型20の縦溝23に装着する。板バネ50の付勢力により、仕切板40は浮いた状態となる。注液後、上型30を下型20に被せて型締めする。仕切板40は、この上型30に押されて下降し、主板部41の下端がキャビティ底面の最深部22に当接する。この状態で発泡が進行する。発泡体がキュア(硬化)した後、上型30を取り外し、成形品を脱型する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリウレタンフォーム等の発泡成形品の注型成形用モールドに係り、特に、小型の発泡成形品の注型成形に好適な発泡成形用モールドに関する。また、本発明は、この発泡成形用モールドを用いた発泡成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンフォームは、断熱材、衝撃吸収材、クッション材、吸湿材、吸音材等の様々な用途に用いられており、使用目的に応じて、スプレー発泡による直接吹き付けや注型発泡成形、ラミネート成形等で製造されている。
【0003】
このうち、注型発泡は、所定形状のキャビティを有するモールドを用い、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒、整泡剤及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッドで混合し、得られた発泡原料液(注入液)を、モールドのキャビティ内に注入し、モールド内で発泡成形する方法であり、パッド、自動車内装材、雑貨類等の比較的小型で異形形状の製品の製造に好適な方法である。
【0004】
通常、この注型発泡成形に用いられるモールドは、1モールド当り1個のキャビティが形成された容器状のものであり、小型の成形品を製造する場合には、このモールドをパレット上に複数個並べ、ミキシングヘッドから各モールドのキャビティ内に順次注入液を注入して発泡成形を行う。
【0005】
このような注型発泡成形により、小型の成形品を製造する場合、次のような問題点があった。
【0006】
▲1▼ 成形品重量は、ミキシングヘッドの最低吐出量に制限を受け、この最低吐出量よりも小さい成形品を製造することができない。
▲2▼ 成形品が小型化するにつれ、各モールド内への注入液の注入量誤差による成形品重量のバラツキが大きくなり、製造歩留りが悪くなる。
▲3▼ 成形品が小型であれば、小さいモールドをパレット上に多数個並べることで1パレット当りの成形品の数を多くすることが考えられるが、ミキシングヘッドからの注入時間に制限があるため、パレットに載置できるモールド数も制限されることから、多数の成形品を1度に成形することができない。 ▲4▼ パレット上に成形品と同数個のモールドを配列するため、デッドスペースとなる部分(モールド壁及びモールド間隔)が大きい。
このようなことから、従来の発泡成形用モールドでは、成形品の小型化に制限があり、しかも、小型の発泡成形品を歩留り良く、高い生産効率で製造することができなかった。
【0007】
特開2000−37739号には、このような問題点を解決し、小型の発泡成形品を歩留り良く、効率的に製造することができる発泡成形用モールドとして、図5に示す発泡成形用モールドが開示されている。
【0008】
図5(a)は、同号公報の発泡成形用モールドの長手方向の断面図、図5(b)は、図5(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0009】
この発泡成形用モールド1は、容器状の下型2と、この下型2に被さる上型3とで構成され、上型3の下面から突設された仕切壁4によりモールド1内に2個の小キャビティ1A,1Bが形成されるものである。
【0010】
この下型2のキャビティ底面2Aは、平滑面とされており、かつ、仕切壁4の下端と対面する部分2Bが最も深い部分となるように、キャビティ底面2Aはこの2B部に向う下り勾配の傾斜面となっている。この下型2内に発泡用原液5を供給した後、上型3を被せて型締めし、次いで発泡用原液5を発泡させる。発泡体がキュアした後、脱型する。
【0011】
この発泡成形用モールド1にあっては、下型2内に供給された原液5が仕切壁4で均等に分割され、小キャビティ1A,1B内の原液5の液面5Lが均等な高さとなるので、得られる各成形品は、小型であっても製品重量のバラツキがきわめて小さくなる。
【0012】
【特許文献】
特開2000−37739号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記図5の発泡成形用モールドを用いて発泡成形を行う場合において、発泡用原液が反応開始の早いものである場合、上型3を被せるときに既に発泡が開始しており、仕切壁4が発泡しつつある発泡体中に貫入するようになる。このような場合、発泡体表面に形成されたスキン層が仕切壁によって割断されたり、あるいは仕切壁4と共にスキン層が発泡体中に深く押し込まれて部分的に引き裂きが生じたりしてスキン層に欠陥が生じることがある。このようなスキン層の欠陥部は、発泡反応によって生じたガスをトラップし易く、欠陥部にガスが集まってボイドを形成するおそれがある。
【0014】
本発明は、反応開始の早い発泡用原液を用いた場合でも、スキン層に欠陥が生じることが防止され、ボイド発生も防止される発泡成形用モールドと、この発泡成形用モールドを用いた発泡成形方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の発泡成形用モールドは、容器状の下型と、この下型に被さる上型とを備えた発泡成形用モールドであって、上下方向に延在する仕切板によってキャビティ内が複数の小キャビティに分画されている発泡成形用モールドにおいて、該仕切板は上下方向に可動であり、該仕切板を上方に付勢する付勢部材が設けられており、該仕切板は、該上型を下型に型締めすると、該上型に押されて下方に移動することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の発泡成形品方法は、かかる本発明の発泡成形用モールドを用いて発泡成形品を成形する方法であって、該仕切板を備えた下型内に発泡用原液を供給する工程と、該下型に上型を被せて型締めする工程と、該発泡用原液を発泡させる工程と、型開きして発泡成形品を脱型する工程とを有することを特徴とするものである。
【0017】
かかる本発明の発泡成形用モールド及び発泡成形方法にあっては、仕切板を予め下型にセットしておいて発泡用原液を下型内に供給することにより、仕切板が発泡体中に貫入することが全く無いものとなる。このため、スキン層に欠陥が生じることが防止され、スキン層の欠陥に起因したボイド発生も防止される。
【0018】
本発明では、上型が仕切板から離反した状態にあっては、仕切板は付勢部材によって上方に押し上げられており、且つこの状態における仕切板の最下端とキャビティ底面との間隔は、発泡用原液が該間隔を通って流通し、隣接する小キャビティ同士の液面が等しくなる大きさであることが好ましい。具体的には、発泡用原液がウレタン原液であるときには、この間隔は3〜30mm程度が好ましい。
【0019】
本発明では、上型を下型に型締めしたときに、仕切板の下端がキャビティ底面に当接することが好ましい。これにより、完全に別体となった成形品を得ることが可能となる。
【0020】
本発明では、仕切板の上端部は、上方に向って尖った斜面となっていることが好ましい。具体的には、仕切板の厚み方向の縦断面における仕切板の頭頂角が10〜60°であることが好ましい。このように仕切板の上端部を斜面とすることにより、下型内に供給する原液が該仕切板上端部に掛っても、速やかに下型内に流れ落ちるようになる。
【0021】
本発明では、仕切板は、キャビティ周囲の下型上面の上側に張り出す張出部を備えており、該張出部の下側に付勢部材が設けられていることが好ましい。この張出部の下側は、発泡用原液の注型時に原液が掛りにくい。
【0022】
上記の付勢部材としては、発泡体のバリ等の付着物を除去し易いところから、バネ特に板バネが好ましい。
【0023】
本発明では、下型のキャビティ面には、仕切板が上下動するときの案内を行う縦溝が設けられていることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1(a)は実施の形態に係る発泡成形用モールドの長手方向の縦断面図、図1(b)は図1(a)のB−B線に沿う断面図、図1(c)は仕切板の斜視図である。図2(a)は図1(b)の拡大図、図2(b)は上型を下型から離反させた状態における図2(a)と同一部分の断面図、図3は下型の斜視図である。
【0025】
この発泡成形用モールド10は、容器状の下型20と、この下型20に被さる上型30と、仕切板40とで構成され、該仕切板40によりモールド10内に2個の小キャビティ11,12が形成されるものである。
【0026】
この下型20のキャビティ底面21は、平滑面とされており、かつ、仕切板40の下端と対面する部分22が最も深い部分となるように、キャビティ底面21はこの最深部22に向う下り勾配の傾斜面となっている。
【0027】
下型20のキャビティ最深部22に臨む側面には、仕切板40が係合する縦溝23が設けられている。下型20の上下方向の中間付近には、上型30が着座する段部24が設けられている。
【0028】
上型30は、下型20に対し上方から内嵌し、その底面がこの段部24に当接するように構成されている。この上型30の底面には、仕切板40の上部が係合する横溝31が設けられている。
【0029】
仕切板40は、キャビティ内を分画する主板部41と、仕切板40の上部から側方に張り出し、前記段部24の上側に配置される1対の張出部42と、仕切板40の上端面から突設された、上方に向って尖った尖頭部43とを有する。この張出部42の下側に付勢部材としての板バネ50が取り付けられている。この板バネ50は、基端側が張出部42に固着され、先端側ほど下位となるように傾斜している。図2(b)の状態では、この板バネ50の下端が段部24の上面に当接している。
【0030】
上記主板部41の両側辺は、前記下型20の縦溝23に係合しており、仕切板40は縦板23に沿って上下方向に移動自在となっている。
【0031】
上記尖頭部43は、この実施の形態では4面の傾斜面にて構成された寄棟屋根型形状のものである。仕切板40の厚み方向の縦断面における尖頭部43の頭頂角は、60°以下、特に10〜60°であることが好ましい。このように尖頭部43を急斜面とすることにより、注型時に該尖頭部43に掛った発泡用原液が速やかに流れ落ちるようになる。
【0032】
このように構成されたモールド10を用いた発泡成形方法について説明する。
【0033】
上型30を取り外した状態にて仕切板40を下型20に装着する。この際、主板部41が縦溝23に係合し、板バネ50の先端が段部24の上面に当接する。板バネ50の付勢力により、仕切板40は浮いた状態となっており、主板部41の下端と下型キャビティ底面(最深部22)との間には、図2(b)の如く、間隙Sがあいている。なお、この間隙Sは3〜30mm特に5〜20mm程度が好ましい。間隙Sが3mmよりも小さいと、小キャビティ11,12間で原液が流通しにくくなり、小キャビティ11,12間の原液量が不均等になるおそれがある。30mmよりも大きいと、上型30を型締めしたときに仕切板40がスキン層に欠陥を生じさせる可能性がある。
【0034】
このように仕切板40を装着した後、下型20内に発泡用原液をミキシングヘッド(図示略)等により供給する。前記間隙Sを通って原液5が流通することにより、小キャビティ11,12内に原液5が均等に配分され、各小キャビティ11,12内の液面5Lの高さが等しくなる。
【0035】
次に、上型30を下型20に被せて型締めする。仕切板40は、この上型30に押されて下降し、主板部41の下端がキャビティ底面の最深部22に当接する。また、仕切板40の張出部42が段部24に当接する。
【0036】
この状態で発泡が進行する。発泡体がキュア(硬化)した後、上型30を取り外し、成形品を脱型する。
【0037】
その後、必要に応じ、板バネ50に付着したバリ等を除去し、次サイクルの成形工程に移行する。
【0038】
この発泡成形方法にあっては、図2(b)の通り、3〜30mm程度の間隙Sが開いた状態にて仕切板40が下型20にセットされ、発泡用原液5が供給されるので、この発泡用原液が上型30の型締め前に発泡を開始したとしても、スキン層は仕切板40の主板部41の両板面に沿って成長する。そのため、その後に上型30が型締めされて仕切板40が下降したときに、仕切板40の発泡体中への貫入ストローク長は極く僅かであり、スキン層も殆ど引き伸ばされることがない。このため、仕切板40の下降に伴ってスキン層に欠陥が生じることがなく、ボイドの発生も防止される。
【0039】
上記実施の形態では、縦溝23は、下型20の底面部にまで達するように下型20の側面に縦長に設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、図4に示す通り、下型20Aの底面にまで達しないように図3よりも短い縦溝223Aとしてもよい。なお、図4の下型20Aのその他の構成は上記下型20と同様である。
【0040】
この発泡成形用モールドにあっても、間隙Sが開いた状態にて仕切板40が下型20Aにセットされ、発泡用原液5が供給されるので、この発泡用原液が上型30の型締め前に発泡を開始したとしても、スキン層は仕切板40の主板部41の両板面に沿って成長する。そのため、その後に上型30が型締めされて仕切板40が下降したときに、仕切板40の発泡体中への貫入ストローク長は極く僅かであり、スキン層も殆ど引き伸ばされることがない。このため、仕切板40の下降に伴ってスキン層に欠陥が生じることがなく、ボイドの発生も防止される。
【0041】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、仕切板40は2枚以上設けられてもよい。また、仕切板40の上下動を案内する縦溝23の代りに、下型20のキャビティ側面に突条を上下方向に延設し、仕切板40の両側端面に凹条を設け、これらの突条と凹条とを係合させてもよい。突条を平行に2条設けてその間をガイド溝とし、このガイド溝に仕切板主板部41の両側縁を係合させてもよい。
【0042】
本実施の形態では、注型時に仕切板40の上端部に掛った発泡用原液が速やかに流れ落ちるように、仕切板40の上端部を尖頭部43としているが、仕切板40の板厚を例えば8mm以下程度に薄くした場合には、仕切板40の上端部を平面としてもよい。この場合であっても、この平面に掛った発泡用原液が速やかに流れ落ちるようになる。また、尖頭部43を設ける代わりに、仕切板40の上端部を、上方に向い凸に湾曲した曲面としてもよい。
【0043】
図示はしないが、下型のキャビティ面に沿ってフィルムを配置し、脱型時には該フィルムとキャビティ面との間に空気を送り込んで成形品を押し出すよう構成してもよい。この場合、フィルムを傷つけないようにするために、仕切板の下端に丸みをつけるのが好ましい。
【0044】
板バネ50等のバネは、仕切板40ではなく下型20側に取り付けられてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、スキン層に欠陥がなく、またボイドも無い高品質の発泡成形品を高歩留りにて成形することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は実施の形態に掛る発泡成形用モールドの長手方向の縦断面図、図1(b)は図1(a)のB−B線に沿う断面図、図1(c)は仕切板の斜視図である。
【図2】図2(a)は図1(b)の拡大図、図2(b)は上型を下型から離反させた状態における図2(b)と同一部分の断面図である。
【図3】下型の斜視図である。
【図4】別の実施の形態に係る下型の斜視図である。
【図5】従来例の説明図である。
【符号の説明】
1,10 発泡成形用モールド
2,20,20A 下型
3,30 上型
40 仕切板
41 主板部
42 張出部
50 板バネ

Claims (11)

  1. 容器状の下型と、この下型に被さる上型とを備えた発泡成形用モールドであって、
    上下方向に延在する仕切板によってキャビティ内が複数の小キャビティに分画されている発泡成形用モールドにおいて、
    該仕切板は上下方向に可動であり、
    該仕切板を上方に付勢する付勢部材が設けられており、
    該仕切板は、該上型を下型に型締めすると、該上型に押されて下方に移動することを特徴とする発泡成形用モールド。
  2. 請求項1において、該上型が仕切板から離反した状態にあっては、前記仕切板は、前記付勢部材によって上方に押し上げられており、且つこの状態における仕切板の最下端とキャビティ底面との間隔は、発泡用原液が該間隔を通って流通し、隣接する小キャビティ同士の液面が等しくなる大きさであることを特徴とする発泡成形用モールド。
  3. 請求項2において、該発泡用原液はウレタン原液であり、該間隔は3〜30mmであることを特徴とする発泡成形用モールド。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記上型を下型に型締めしたときに、該仕切板の下端がキャビティ底面に当接することを特徴とする発泡成形用モールド。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、該仕切板の上端部は、上方に向って尖った斜面となっていることを特徴とする発泡成形用モールド。
  6. 請求項5において、仕切板の厚み方向の縦断面における仕切板の頭頂角が10〜60°であることを特徴とする発泡成形用モールド。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記仕切板は張出部を備えており、
    該張出部の下側に前記付勢部材が設けられていることを特徴とする発泡成形用モールド。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記付勢部材はバネであることを特徴とする発泡成形用モールド。
  9. 請求項8において、該バネは板バネであることを特徴とする発泡成形用モールド。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、下型のキャビティ面には、該仕切板が上下動するときの案内を行う縦溝が設けられていることを特徴とする発泡成形用モールド。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の発泡成形用モールドを用いて発泡成形品を成形する方法であって、
    該仕切板を備えた下型内に発泡用原液を供給する工程と、
    該下型に上型を被せて型締めする工程と、
    該発泡用原液を発泡させる工程と、
    型開きして発泡成形品を脱型する工程と
    を有することを特徴とする発泡成形方法。
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