JPH033561Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

産業上の利用分野 本考案は接合シート、さらに詳しくは、大面積
の熱可塑性合成樹脂シートやエンドレスの熱可塑
性合成樹脂シートを必要とする分野に有用なシー
ト、ことに、少なくとも片面が熱融着性を有さな
い被膜で覆われている熱融着性の熱可塑性合成樹
脂シートの接合体に関する。 従来の技術および考案が解消しようとする欠点 大面積のシートやエンドレスのシートを必要と
する場合には、比較的小さなシートを複数枚接合
したり、長尺のシートの両端部を接合することが
よく行なわれている。熱融着性の熱可塑性合成樹
脂シートの場合、このような接合は、シートの接
合すべき端部同士を重ね合せ、熱融着させること
が作業性をはじめ、種々の観点から望ましい。 ところが、熱融着性の熱可塑性合成樹脂シート
であつても、熱融着性を有さない被膜で覆われた
大面積のシートやエンドレスのシートを得る場合
には、該被膜を介する熱融着が不可能であり、前
記のごとく、単に接合すべき端部同士を重ね合せ
て熱融着することができず、従来、主として接着
剤を用いて接合が行なわれている。しかしなが
ら、接着剤を用いる接合は手間がかかり、作業性
が悪いという欠点がある。 熱融着性を有さない被膜が接合すべきシートの
片面だけにある場合は、被膜面を表にして接合す
べき端部同士をつき合せ、つき合せ部分の該被膜
のない裏面に、別途、熱融着性熱可塑性合成樹脂
シート片をあて、該シート片と、つき合せ部分の
熱可塑性合成樹脂面同士を熱融着させて接合する
ことも行なわれている。しかし、これでは、別途
シート片をあてなければならず、また、正確につ
なぎ合わすのが困難で、精度が出ないという欠点
がある。しかも、この方法はシート両面に被膜が
ある場合には適用できない。 本考案はこれらの欠点を解消した、熱融着性を
有さない被膜を有する熱融着性熱可塑性合成樹脂
シートであるにもかかわらず、接合すべき端部同
士を重ね合せて熱融着するだけで充分な強度に接
合された接合シートを提供するものである。 欠点を解消するための手段 本考案の接合シートは、少なくとも片面が熱融
着性を有さず、かつ、超音波ウエルダーで破壊さ
れ得る被膜で覆われている熱融着性熱可塑性合成
樹脂シートの接合体であつて、接合される一端の
該被膜面の反対面と他端の該被膜面とが接する接
合端部同士の重なり合いにより接合部が形成さ
れ、該接合部が複数の不連続な加熱加圧融着部を
有し、かつ、該加熱加圧融着部における接合端部
同士の重なり合いの間に介在する被膜が加熱加圧
により破壊されてなることを特徴とする。 本考案の接合シートにおける熱融着性熱可塑性
合成樹脂シートとしては、ポリエステルシート、
ポリ塩化ビニルシート、ポリオレフインシート、
ポリアミドシート、ポリカーボネートシートなど
が挙げられ、特に限定するものではないが、厚さ
30〜500μ程度のものが好ましい。また、熱融着
性を有さず、かつ、超音波ウエルダーで破壊され
得る被膜面としては、紫外線硬化型塗料、電子線
硬化型塗料などの塗膜が挙げられ、特に限定する
ものではないが、厚さ50μ以下、好ましくは、
30μ以下が望ましい。 該接合シートは、接合端の一端の該被膜面の反
対面と、他端の該被膜面が接するように接合端同
士を重ね合せ、適宜の形状を有するローレツトの
ごとき加熱加圧部材を有する超音波ウエルダーで
重ね合せ部分を部分的に加熱加圧し、複数の不連
続な、かつ端部同士の重なり合いの間に介在する
被膜が破壊されている加熱加圧融着部を有する接
合部を形成させることにより製造できる。本考案
においては、接合部の強度の点から、個々の融着
部の面積の合計が端部同士の重なり合つている接
合部の全面積の15〜40％を占めることが好まし
く、また、個々の融着部の面積が0.3〜５mm²であ
ることが好ましい。また、接合部の強度をさらに
向上させるために、接合部を粘着テープ等で裏打
ちしてもよい。 作 用 本考案の接合シートにおいては、加熱加圧され
た部分の、接合端部同士の重なり合いの間に介在
する熱融着性を有しない被膜が破壊され、その破
片の一部はその部分にとどまるが、大部分は周囲
の非加熱加圧部に移動し、そのため、該加熱加圧
部分で各端部の熱融着性熱可塑性合成樹脂同士が
直接、接することができるようになり、それら
が、熱融着して強固な接合が生じるものと傾考え
られる。一方、全面に融着を起こそうとして接合
部全面を加熱、加圧した場合、たとえ、介在する
非熱融着性の被膜が破壊しても、その破片の逃げ
場がないため、熱融着性熱可塑性合成樹脂同士の
接触が起こらず、熱融着はできない。したがつ
て、本考案のシートは、接合部全体が加熱加圧融
着されているのではなく、強度との関係から、複
数の不連続な加熱加圧融着部が点在した接合部を
有するものである。 実施例 つぎに添付の図面を用いて本考案をさらに詳し
く説明する。 幅１ｍ、厚さ125μのポリエステルフイルムに
電子線硬化塗料を厚さ25μとなるように塗工し、
電子線を照射して、片面が電子線硬化塗膜で覆わ
れたポリエステルシートを得る。このシートか
ら、幅１ｍ、長さ３ｍの長方形シートを切り取
り、第１図のシート１の接合端部の重ね合せ状態
の一具体例を示す模式的側面図および第２図のそ
の重ね合せ部の拡大側面図に示すごとく、接合端
Ａの塗膜被膜面２の反対側と、他端Ｂの塗膜被膜
面２を、幅4.7mmで重ね合わせて接合部３を形成
させる。接合部を、ミシン型超音波ウエルダー機
を用い、第３図の接合拡大平面図に示す加熱加圧
融着部４に対応する形状のローレツトで加熱加圧
し、幅0.3mm、長さ２mmの長方形の長尺方向の間
隔0.6mm、幅方向の間隔0.9mmで、２列に複数個、
不連続にならんだ融着部４を形成させ、エンドレ
スベルト状の所望の接合シートとする。この接合
シートにおける各融着部４の面積は0.6mm²であり、
接合部全体に対する総面積は22％である。該接合
部３は、第３図の−線に沿つて取つた断面の
部分断面端面図である第４図に示すごとく、加熱
加圧融着部４は、端ＡおよびＢの間に介在する塗
膜が破壊され、非加熱加圧部へ移動し、非加熱加
圧部が隆起し、融着部４ではＡおよびＢ両端部の
熱融着性熱可塑性合成樹脂同士が直接、熱融着し
て強固な接合を生じている。第５図は、加熱加圧
融着部４のパターンの他の具体例を示す接合拡大
部平面図である。以上の例では、エンドレスベル
ト状の接合シートを示したが、同様にして複数枚
のシートを平面的に接合して大面積のシートを得
ることができる。 実施例で得られた接合シートおよび融着部の形
状のみを変えて得られた接合シート（比較例１お
よび２）の接着強さを比較した。結果を第１表に
示す。

【表】

【表】 ＊ 引張りせん断接着強さの測定はインスト
ロン型引張り試験機をつぎの条件で使用。
試片幅 15mm 引張り速度 100mm／分 つかみ間隔 100mm 考案の効果 前記のごとく、従来、熱融着性を有さない被膜
で覆われた熱融着性熱可塑性合成樹脂シートの接
合は、接着剤を用いるか、第６図の側面図に示す
ごとく、端部ＣおよびＤ同士をつき合せ、裏面に
別途シート片５をあて、熱融着を行つており、作
業性が悪い欠点がある。本考案によれば、このよ
うな欠点なしに、単に、シート端部を重ね合わ
せ、加熱加圧して融着させるというきわめて簡単
な操作で接合シートが得られ、大面積のシートや
エンドレスのシートが必要ないずれの分野、例え
ば、巻取り可能な筆記板、食品用のコンベアベル
ト等に利用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一具体例のエンドレスベルト
状接合シートにおける接合端部の重ね合せ状態を
示す模式的側面図、第２図は第１図における重ね
合せ部分の拡大側面図、第３図は接合部拡大平面
図、第４図は第３図−線に沿つて取つた部分
断面図、第５図は他の具体例の接合部拡大平面
図、第６図は従来のつき合せ法における接合端部
の重ね合せ部分の拡大側面図である。 図面中の主な符号はつぎのものを意味する。
１：シート、２：熱融着性を有しない被膜、３：
接合部、４：加熱加圧融着部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 少なくとも片面が熱融着性を有さず、かつ、
   超音波ウエルダーで破壊され得る被膜で覆われ
   ている熱融着性熱可塑性合成樹脂シートの接合
   体であつて、接合される一端の該被膜面の反対
   面と他端の該被膜面とが接する接合端部同士の
   重なり合いにより接合部が形成され、該接合部
   が複数の不連続な加熱加圧融着部を有し、か
   つ、該加熱加圧融着部における接合端部同士の
   重なり合いの間に介在する被膜が加熱加圧によ
   り破壊されてなることを特徴とする接合シー
   ト。 (2) 加熱加圧融着部の面積の合計が接合部の面積
   の15〜40％を占める前記第(1)項の接合シート。 (3) 各加熱加圧融着部の面積が0.3〜５mm²である
   前記第(1)項または第(2)項の接合シート。 (4) 熱融着性熱可塑性合成樹脂シートがポリエス
   テルシートである前記第(1)項〜第(3)項いずれか
   １つの接合シート。