JPH0333955Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、基本的には二個のギヤを選択的に駆
動させるための制御装置に関するものである。

（従来技術） 例えばカセツトテープの録音・再生装置（以下
「テープデツキ」と称する）において各種機能を
なすギヤの回転及び停止の制御は一般に吸引ある
いは吸着ソレノイドを利用して行つている。従つ
て通常では各ギヤについて個々に吸着ソレノイド
を備える必要があり、製品コストが高くなるとと
もに、各ソレノイドを切換えるためのタイミング
設定が重要となる。この結果、例えば各ソレノイ
ドの作動タイミングに時間的な誤差などが生じる
と、ギヤの駆動制御は適正になされない。

（考案の目的） 本考案の目的は、単一の吸着ソレノイドのオ
ン、オフによつて基本的には二個のギヤを選択的
に回転駆動させることができ、しかも両ギヤの回
転をロツクした状態でのソレノイドのオン、オフ
によつてさらに別の機構（例えば第３のギヤ）の
回転駆動を制御することができるギヤの駆動制御
装置を提供することである。

（実施例） 以下、本考案の構成を図面で示す実施例に従つ
て説明する。

車載用テープデツキの主要部を平面で表した第
１図においてエジエクトプレート２はシヤーシ１
に対し、この第１図の状態から上方向へスライド
することでカセツトテープ（図示しない）のエジ
エクトが可能である。また、モードプレート３は
第１図で示す位置から下方向へスライドさせるこ
とによつてプレイ、フアーストフオワード、リワ
インド（以下、これらを総称して「モード状態」
という）を選定するに際しての基本動作が得られ
るのである。なお、このモードプレート３にはこ
れを常に第１図で示す位置へ引き戻す方向のスプ
リング力が作用している。

第１図の下面側に位置する部材を平面で表した
第２図において、リバースプレート４はこれをシ
ヤーシ１に対して第２図の状態から上方へスライ
ドさせることにより、テープデツキを例えばフオ
ワードプレイからリバースプレイに切換え得るも
のである。

第１図の左側断面を表した第３図及び第１図の
主要部材を表した第５図から明らかなように上記
のシヤーシ１にはエジエクトギヤ５とモードギヤ
１５とがそれぞれの主軸６，１６に対して回転可
能に組みつけられている。これら両ギヤ５，１５
はそれぞれの駆動ギヤ１２，２３とのかみ合いに
よつて個々に回転力を受けるのであるが、エジエ
クトギヤ５はその駆動ギヤ１２とのかみ合いが解
除される一つの欠歯部８を有し、モードギヤ１５
は同じくその駆動ギヤ２３とのかみ合いが解除さ
れる二つの欠歯部１９，２０を有する。

上記エジエクトギヤ５の上面には、このギヤ５
の回転によつて前記のエジエクトプレート２にエ
ジエクト方向のスライド動作を与えるためのロー
ラ７が備えつけられている。また、エジエクトギ
ヤ５の上面には真円のカム９が形成されていて、
このカム９の円周上の一部には凹部１０が形成さ
れている。

一方、上記モードギヤ１５の上面にはモードカ
ム１７が形成されていて、このカム１７の外周面
には前記モードプレート３のローラ１８が接触し
ている。さらに、このモードギヤ１５の上面には
真円のカム２１が形成されていて、これの円周上
の一部には凹部２２が形成されているとともに、
このギヤ１５の下面には第５図で示すように係止
凹部２８が形成されている。この係止凹部２８に
は軸３２を回動支点とするタイミングアーム２９
のピン２９ａが係止可能であり、このアーム２９
にはそのピン２９ａが係止凹部２８から離れる方
向にスプリング３０の力が作用している。

上記のエジエクトギヤ５とモードギヤ１５との
間にわたつて配設されたセレクトアーム３３は、
両ギヤ５，１５のほぼ中間部位においてシヤーシ
１に立てた軸３６に対し、回動可能に組みつけら
れている。このセレクトアーム３３の両端部には
上記の両ギヤ５，１５のカム９，２１に追従し得
る従動子３４，３５がそれぞれ設けられている。

また、上記のセレクトアーム３３の軸３６には
作動アーム３９が、このセレクトアーム３３と同
様に回動自在に取りつけられており、この作動ア
ーム３９の一端には電磁軟鋼等よりなる吸着片４
０が取りつけられている。そして、シヤーシ１の
一部には第１図で示すようにそのオン、オフ制御
によつて作動アーム３９の吸着片４０を吸着ある
いはその解除をなし得る吸着ソレノイド３８が設
けられている。なお、この作動アーム３９はスプ
リング４１によつてその吸着片４０を吸着ソレノ
イド３８のコアに接触させる方向の回転力を受け
ており、かつこの回転方向（第１図及び第５図で
反時計回り方向）の作動アーム３９の動きは前記
セレクトアーム３３をも拘束するようになつてい
る。

第２図及び第３図から明らかなように前記エジ
エクトギヤ５の主軸６上にはリバースギヤ４３が
回転可能に支持されている。このリバースギヤ４
３はエジエクトギヤ５の駆動ギヤ１２と同じ軸１
１上に配設された別の駆動ギヤ２４とのかみ合い
によつて回転力を受けるのであるが、このリバー
スギヤ４３には駆動ギヤ２４とのかみ合いが解除
される二個の欠歯部４６，４７が形成されてい
る。このリバースギヤ４３の下面には前記リバー
スプレート４の長孔４ａに嵌合したローラ４４が
備えつけられており、同じくこの下面には一対の
係止部４５が形成されている。

上述した各ギヤ５，１５，４３の駆動ギヤ１
２，２３，２４について図面（特に第３図）では
便宜上それぞれ独立した状態で表しているが、実
際は一つのモータ（図示しない）の回転力によ
り、各種中間ギヤを通じて上記駆動ギヤ１２，２
３，２４を共に回転させるように構成されるので
ある。

上記リバースギヤ４３の近くにはロツクプレー
ト４８がシヤーシ１に対してその軸４９まわりに
回動し得るように配設されている。このプレート
４８の一部にはロツク爪５０が形成されていて、
この爪５０は上記リバースギヤ４３の各係止部４
５に係止可能である。そして、このロツクプレー
ト４８にはその爪５０をリバースギヤ４３の係止
部４５から引き離す方向にスプリング５２の力が
作用している。

なお、前記のエジエクトギヤ５及びモードギヤ
１５を基本的駆動機構の第１ギヤ、第２ギヤとみ
た場合、上記リバースギヤ４３は付加的な機構と
しての第３ギヤとみることができる。

以上の構成において、主として基本的駆動の制
御について順次説明する。いま、テープデツキは
停止状態にあつて、前記の各駆動ギヤ１２，２
３，２４に回転力を与えるモータの電源もオフの
状態にある。このとき、エジエクトギヤ５及びモ
ードギヤ１５は第５図で示す状態にあつて共に停
止しているのであるが、エジエクトギヤ５はその
欠歯部８が駆動ギヤ１２と対応しており、モード
ギヤ１５はその駆動ギヤ２３とかみ合つている。
また、セレクトアーム３３の両従動子３４，３５
はエジエクトギヤ５のカム９に対しては凹部１０
に位置し、モードギヤ１５のカム２１に対しては
その凹部２２以外のカム面上に位置している。一
方、このときのモードプレート３はそのスプリン
グ力によつて第１図で示す復帰状態にあり、その
ローラ１８はモードギヤ１５のモードカム１７に
対して第５図で示す位置に当接している。

なお、この第５図で示す停止状態において、上
記エジエクトギヤ５のローラ７には、第４図で示
すように始動アーム１３の先端がスプリング１４
の力をもつて当接しており、これによつてエジエ
クトギヤ５はその回転方向（時計回り方向）への
始動力を受けている。しかしながら、上述したよ
うにエジエクトギヤ５のカム９に対してはその凹
部１０にセレクトアーム３３の従動子３４が位置
しており、しかもこのセレクトアーム３３はその
各従動子３４，３５がそれぞれのカム９，２１の
凹部１０，２２に対して択一的にのみ係合し得る
ように設定されているため、エジエクトギヤ５は
上記の始動力を受けているにもかかわらず、セレ
クトアームの従動子３４によつて回転がロツクさ
れた状態に保たれている。

上記の停止状態からモード状態あるいはエジエ
クトのための操作がなされるとモータの始動によ
つて各駆動ギヤ１２，２３（リバース用の駆動ギ
ヤ２４も含む）はそれぞれ回転を始める。このと
き、モードギヤ１５は第５図で示すように既に駆
動ギヤ２３とかみ合つているため、この駆動ギヤ
２３の始動と同時に第６図で示すように反時計ま
わり方向へ回転する。

さて、この第６図は第１図に至る前の状態を示
しており、ここで前記吸着ソレノイド３８をオ
ン、オフ制御することでモード状態あるいはエジ
エクトが得られるのである。つまり、このときの
セレクトアーム３３の両従動子３４，３５は両ギ
ヤ５，１５のカム９，２１の凹部１０，２２に対
して共に対応位置している。従つて前記停止状態
からの操作が仮にエジエクト操作であつた場合、
前記吸着ソレノイド３８はオフに制御され、エジ
エクトギヤ５はカム９の凹部１０に係合している
従動子３４をこの凹部１０の斜面１０ａに沿つて
押し上げつつ、前記始動力によつて回転し、その
駆動ギヤ１２とかみ合う。一方、上記の従動子３
４がエジエクトギヤ５のカム９上に押し上げられ
ると同時にセレクトアーム３３の他方の従動子３
５はモードギヤ１５のカム凹部２２に係合し、や
がてモードギヤ１５は第７図で示すようにその欠
歯部１９が駆動ギヤ２３と対応して相互のかみ合
いが解除される。このときモードカム１７に対し
てはモードプレート３のローラ１８がこのモード
プレート３に作用しているスプリング力に基づい
て圧接しており、モードギヤ１５にはその回転方
向への始動力が働いているのであるが、上述した
ようにそのカム凹部２２にセレクトアーム３３の
従動子３５が係合しているため、このギヤ１５は
ロツク状態に保持される（第７図参照）。

上記エジエクトギヤ５が回転を続け、そのロー
ラ７によつてエジエクトプレート２を第１図の上
方へスライドさせることで、カセツトテープのエ
ジエクトが完了する。この状態を第８図で示して
おり、エジエクト完了と同時にモータの電源がオ
フとなつて各駆動ギヤ１２，２３（リバース用駆
動ギヤ２４も含む）は停止する。

第８図の状態から再びカセツトテープが挿入さ
れると、エジエクトギヤ５はその駆動ギヤ１２の
始動を同時に再び回転を始め、やがてセレクトア
ーム３３の従動子３４はカム９の凹部１０に位置
する。セレクトアーム３３には先に述べたように
作動アーム３９を通じてそのスプリング４１の力
が作用しているため、エジエクトギヤ５側の従動
子３４は第９図で示すように上記凹部１０に係合
し、これと同時に他方の従動子３５はモードギヤ
１５のカム凹部２２から外れる。この結果、後述
するモード状態の操作がなされた場合と同様にモ
ードギヤ１５が回転を始めてモード状態が得られ
るのである。

さて、第６図で示す状態からの操作がモード状
態を得るための操作であつた場合、吸着ソレノイ
ド３８はオンに制御され、セレクトレバー３３は
その一方の従動子３４がエジエクトギヤ５のカム
凹部１０に係合したままの状態に保持される。こ
のため、エジエクトギヤ５はその回転がロツクさ
れたままとなり、他方モードギヤ１５は前述した
始動力によつて反時計回り方向への回転を開始
し、その駆動ギヤ２３とかみ合つて回転を続け
る。モードギヤ１５の回転により、前記モードプ
レート３のローラ１８がモードカム１７によつて
第１０図で示すように移動させられ、結果的にモ
ードプレート３は第１図の下方へそのスプリング
力に抗してスライドさせられることとなる。これ
によつてモード選定のための基本動作が完了し、
その後は図示しない別の機構によつて前記の操作
に対応した所定のモード（例えばプレイモード）
が選定され、モードプレート３はそのスライド位
置にロツクされる。

この後もモードギヤ１５は反時計回り方向の回
転を続け、やがて第１１図で示すように第２の欠
歯部２０が駆動ギヤ２３と対応し、相互のかみ合
いが解除される。しかしながら、この状態におけ
るセレクトアーム３３のモードギヤ１５側の従動
子３５は未だカム凹部２２と対応しておらず、従
つてこのセレクトアーム３３は吸着ソレノイド３
８のオン、オフにかかわらず第１１図で示す状態
に保持される。

なお、この第１１図で示すモード状態では図示
しないヘツドプレートの動作に伴い、そのヘツド
プレートピン３１が例えば第１０図で示す位置か
ら第１１図で示す位置へ移動する。これによつて
前記タイミングアーム２９がそのスプリング３０
の力に抗して回動させられ、そのピン２９ａがモ
ードギヤ１５下面の係止凹部２８に係合する。こ
の結果、モードギヤ１５は第１１図で示す状態で
確実にロツクされたこととなる。

さて、第１１図で示すモード状態（例えばプレ
イ状態）では、第２図で示すリバースギヤ４３の
ロツクプレート４８に対し、それまで第２図の仮
想線で示す位置にあつたモードプレート３の一部
３′は前記のスライド動作によつて実線で示す位
置に移動している。このためロツクプレート４８
はそのスプリング５２の力によつて軸４９まわり
に時計回り方向へ回転可能である。しかしなが
ら、上記の吸着ソレノイド３８がオンであれば、
このソレノイド３８に吸着保持されている作動ア
ーム３９により、ロツクプレート４８の当接端部
５１が第１図及び第２図で示す位置に拘束され、
そのロツク爪５０はリバースギヤ４３のいずれか
の係止部４５に対する係止状態が保たれる。

そこで、例えばプレイ状態からリバースの切換
え操作によつて上記吸着ソレノイド３８がオフに
なると、作動アーム３９に対する吸着作用が解除
されて前記ロツクプレート４８の当接端部５１に
対する拘束も解除される。この結果、ロツクプレ
ート４８はスプリング５２の力によつて（作動ア
ーム３９のスプリング５１の力に打ち勝つて）時
計回り方向へ回動し、もつてそのロツク爪５０が
リバースギヤ４３の係止部４５から外れる。

リバースギヤ４３はそのローラ４４に対して前
記リバースプレート４側から所定の手段によつて
始動力を受けているため、第２図の状態から時計
回り方向への回転を開始し、駆動ギヤ２４とかみ
合つて連続的な回転がなされる。これに伴い、上
記ローラ４４によつてリバースプレート４は第２
図の状態であれば上方へスライド操作され、もつ
てこれに基づく周知の機能によつてリバースへの
切換えがなされる。この後、リバースギヤ４３は
両欠歯部４６，４７のうちの一つが駆動ギヤ２４
と対応し、相互のかみ合いが解除される。

なお、上記リバースギヤ４３の回転途中におい
て前記係止部４５の一つがロツクプレート４８の
突出片５３に当接し、このロツクプレート４８を
スプリング５２に抗して元の状態（第２図の状
態）に回転させる。そして、このときの吸着ソレ
ノイド３８がオンであれば、ロツクプレート４８
のロツク爪５０はリバースギヤ４３の係止部４５
の一つに係止し、このギヤ４３はロツク状態とな
る。

このように第１１図で示すモード状態にあつて
は吸着ソレノイド３８のオン、オフ制御によつて
第１、第２ギヤであるエジエクトギヤ５及びモー
ドギヤとは全く別の第３ギヤ（リバースギヤ４
３）の駆動、停止を制御することができる。

（考案の効果） 以上のように本考案は、それぞれの回転によつ
て個々に所定の機能を果す第１、第２ギヤの回転
開始の選択を単一のソレノイドのオン、オフ制御
によつてなし得るので、構造の簡素化はもちろん
のこと、この選択のタイミング設定が正確かつ簡
便となる。

しかも、第１、第２ギヤを一定の作動状態にお
いて吸着ソレノイドのオン、オフとは無関係に回
転停止状態に保持し得るので、この状態では吸着
ソレノイドのオン、オフによつて全く別の機構
（例えば第３ギヤ）の作動を制御することができ、
多目的の制御装置として利用することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はテープ
デツキの要部を表した平面図、第２図は第１図の
下面に配置された部材を表した平面図、第３図は
第１図の左側断面図、第４図はエジエクトギヤと
始動アームとの関連のみを表した平面図、第５図
〜第１１図は主としてエジエクトギヤ（第１ギ
ヤ）とモードギヤ（第２ギヤ）との関連動作にお
ける各種態様を略示したそれぞれの平面図であ
る。 ５……第１ギヤ（エジエクトギヤ）、８……欠
歯部、９……カム、１０……カムの凹部、１２…
…駆動ギヤ、１５……第２ギヤ（モードギヤ）、
１９，２０……欠歯部、２１……カム、２２……
カムの凹部、２３……駆動ギヤ、３３……セレク
トアーム、３４，３５……従動子、３８……吸着
ソレノイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動ギヤとのかみ合いに基づく回転によつて
   個々に所定の作用を果す第１ギヤ及び第２ギヤ
   は、この駆動ギヤとのかみ合いが解除される欠歯
   部をそれぞれ有し、しかもこれら両ギヤには円周
   の一部に凹部をもつカムをそれぞれ一体的に設け
   る一方、両ギヤの間にわたつて配設したセレクト
   アームには両ギヤのカムに接して追従する従動子
   を設け、このセレクトアームはその従動子がいず
   れか一方のカムの凹部に係合しているとき、他方
   のカムの凹部から従動子が離脱した状態となるよ
   うに両カムとの位置関係を設定するとともに、こ
   のセレクトアームは吸着ソレノイドの吸着力に基
   づいて第１ギヤのカムの凹部に従動子を押しつけ
   る方向の力を受けるように構成し、さらにそれぞ
   れのギヤはそのカムの凹部にセレクトアームの従
   動子が係合しているときに欠歯部が駆動ギヤと対
   応するように各ギヤとそのカムとの位相を決定
   し、また第２ギヤはそのカムの凹部以外の個所と
   従動子とが対応している状態でその駆動ギヤとの
   かみ合いが解除される前記とは別の欠歯部を備え
   ていることを特徴としたギヤの駆動制御装置。