JPH033266Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用シートの表層材の端末処理構造
に関し、例えば、フロントシートの車幅方向側部
に位置される表層材の端末のめくれを防ぐための
端末処理構造に関する。

一般に自動車のフロントシートにおいては第１
図、第３図に示すようにシートクツシヨン部１に
シートバツク部２がヒンジによつて前後方向へ移
動自在に取付けられる。シートクツシヨン部１と
シートバツク部２の間に配置されるヒンジのヒン
ジアーム３はシートバツク部２の緩衝材４とこの
緩衝材４に被せられる表層材５との間からシート
クツシヨン部１の側面側に突出し、このヒンジア
ーム３には美観を高める上でヒンジカバー６を被
せている。このためヒンジアーム３が位置される
表層材５の端末は前後方向へかけて封緘すること
ができず開口Ｐされた状態になつている。また、
フロントシートの周りには乗車時の安全性からシ
ートベルトが設けられるが、このシートベルトの
ベルトアンカー７は開口状態にある表層材５の端
末に向いつつ自動車のフロア周りの固定部にに架
設され、しかもこのベルトアンカー７は比較的硬
質になつているのでシートバツク部２が二点鎖線
位置から実線位置へ起立される際に、ベルトアン
カー７によつて表層材５の端末がめくれあがつて
美観を損ねていた。これに対処すべく第２図およ
び第３図に示すように表層材５の端末８をシート
フレーム９側すなわち内側に折り込んだりＳ、第
４図に示すように端末８を縫い糸１０で縫製して
いた。しかしながらこれらの処理でも端末がめく
りあがつたり見栄えが依然悪いという欠点があつ
た。

したがつて本考案の目的は従来の欠点を解消す
べくクリツプを表層材の端末に取付け、シートフ
レームの自由端よりシートクツシヨン部方向に延
長するヒンジアームに形成された位置決め孔にク
リツプを挿入して孔の内側縁部に係止するように
した車両用シートの表層材の端末処理構造を提供
することにある。

以下図面に示した実施例に基づいて本考案を詳
細に説明する。

第５図ないし第８図において、スプリング１１
を橋絡した逆Ｕ字状シートフレーム１２は図示し
ない緩衝材を保持する。シートフレーム１２の下
側自由端よりシートクツシヨン部方向に延長して
回動自在に枢着されるヒンジアーム１３にはヒン
ジアームの両内面間を橋絡する中空のパイプ１４
の開口部に対応する位置でパイプ１４の内径より
小径のパイプ位置決め孔１５が形成されている。
上記パイプ１４は、ヒンジアーム１３と一体とな
つたフレーム１２を補強するために設けられたも
ので、パイプ１４の開口部がヒンジアーム１３の
内面に溶接によつて固着される。この溶接時の位
置決めのために予めヒンジアーム１３に設けられ
るパイプ位置決め孔１５は、強度低下を防ぐため
孔の縁部から少し外側を溶接できるようにパイプ
１４の内径より小径に形成されており、パイプ位
置決め孔１５がパイプ１４の開口部のほぼ中央に
位置するように位置決めして溶接される。緩衝材
を被う表層材１６の端末１７を封緘するために使
用される本願のクリツプ１８は合成樹脂から成
る。クリツプ１８は表層材１６の端末１７を折り
返してヒンジアーム１３のパイプ位置決め孔１５
に対応して形成される袋状部１９に挿入される基
片２０と、この基片２０から袋状部１９の裏面側
に突出し上記パイプ位置決め孔１５に挿入される
先端が矢尻状の突起２１とを有する。突起２１は
基片２０のほぼ中央に設けられている。突起２１
の後端２２は、突起２１がパイプ位置決め孔１５
に挿入されたときにパイプ位置決め孔１５の内側
縁部２３に係止できるようになつている。表層材
１６の端末１７にはクリツプ１８の突起２１が挿
通される孔２４が形成されている。

端末処理するには表層材１６の端末１７の孔２
４にクリツプ１８の突起２１を裏側から挿通す
る。この端末１７を折り返して袋状部１９となる
ように縫い糸で縫製する。袋状部１９からヒンジ
アーム１３側に突出する突起２１をヒンジアーム
１３のパイプ位置決め孔１５からパイプ１４の開
口部に差し込み、突起２１の後端２２をパイプ位
置決め孔１５の内側縁部２３に係止する。表層材
１６の端末１７はクリツプ１８でヒンジアーム１
４側に引き寄せられ、端末１７は封緘された状態
になる。

以上説明したように本考案ではクリツプ１８を
表層材１６の端末１７に取付け、クリツプ１８の
突起２１をヒンジアーム１４に形成したパイプ位
置決め孔１５に挿入し、パイプ位置決め孔１５の
内側縁部２３に係止することによつて表層材１６
の端末１７を封緘することができる。したがつて
従来のようにシートベルトのベルトアンカー７等
によつて端末がめくれあがることなく美観を良好
にすることができるとともに、パイプ固着時の位
置決めのために設けられ以降は使用されないパイ
プ位置決め孔１５に着目し、これを有効に用いた
ので、クリツプ１８を係止するための新たな孔を
設けることなく、上記のような端末処理を簡単か
つ低コストで行なうことができる。また、端末１
７に該端末を折り返してヒンジアーム１３のパイ
プ位置決め孔１５に対応して形成される袋状部１
９を備えて、この袋状部１９内にクリツプ１８の
基片２０を挿入するようにしたので、基片２０が
露出せず、更に美感を良好にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はフロントシートを一部断面で示した側
面図であり、第２図はシートバツク部の側面の表
層材の端末処理構造を示す簡略図であり、第３図
は第２図の断面図であり、第４図はシートバツク
部の側面の表層材の端末処理構造の他の実施例を
示す簡略図であり、第５図は本考案によるシート
フレームの斜視図であり、第６図は基片２０近傍
の詳細図であり、第７図は本考案によるクリツプ
の斜視図であり、第８図は本考案により端末処理
された状態を示す断面図である。 １２……シートフレーム、１３……ヒンジアー
ム、１４……パイプ、１５……パイプ位置決め
孔、１６……表層材、１７……端末、１８……ク
リツプ、２０……基片、２１……突起、２２……
後端、２３……内側縁部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 逆Ｕ字状に成形され、緩衝材を保持するフレー
   ムと、上記緩衝材およびフレームを被う表層材
   と、上記フレームの下側自由端よりシートクツシ
   ヨン部方向に延長して回動自在に枢着されるヒン
   ジアームと、該ヒンジアームの両内面間を橋絡す
   る如く開口部がヒンジアーム内面に固着される補
   強用パイプと、上記パイプの開口部を固着すべき
   位置のヒンジアームに設けられ、上記パイプの内
   径より小径のパイプ位置決め孔とを備えた車両用
   シートにおいて、上記緩衝材の側壁部に対向する
   表層材の下側端末に、該端末を折り返してヒンジ
   アームのパイプ位置決め孔に対応して形成される
   袋状部を備えて、この袋状部内に挿入される基片
   と、この基片から袋状部の裏面側に突出し上記パ
   イプ位置決め孔に挿入されてその内側縁部に係止
   される先端が矢尻状の突起とから成るクリツプを
   設け、該クリツプを上記パイプ位置決め孔に係止
   したことを特徴とする車両用シートの表層材の端
   末処理構造。