JPH0330208Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の配線・配管類（例えば、ブ
レーキパイプ等）を保持する保持クリツプの構造
に関するものである。

（従来技術） 管状部材（例えば、配線・配管類）を保持する
ための保持クリツプとしては、一端側をヒンジ結
合され、他端側を互いに係合可能に構成された一
対の保持部材からなるものが既によく知られてい
る（例えば、実開昭55−38009号公報参照）。

（考案が解決しようとする問題点） 上記公知の保持クリツプ構造の場合、管状部材
を保持すべく構成された保持部材は、互いに相係
合し得るようになつているだけなので、保持クリ
ツプを合成樹脂で製作したような場合、熱変形等
に起因して保持部材同士の係合部が外れ、保持さ
れている管状部材が脱落するおそれがあつた。ま
た、保持クリツプを合成樹脂以外の材料で製作し
た場合にも、外力の作用等による変形で、前記同
様に係合部が外れるおそれがやはりあつた。

本考案は、上記の点に鑑みてなされたもので、
保持クリツプが少々変形を来しても係合部が外れ
るおそれがなく、長期に亘つて確実に配線・配管
類の管状部材を保持し得るようにすることを目的
とするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案では、上記問題点を解決するための手段
として、車体適所の被取付部材に固定され、配
線・配管類を保持すべく構成された第１保持部を
備えた基部と、該基部に一端がヒンジ結合され且
つ他端に前記基部に形成された係合部に係止され
る係止部を備え且つ外面側に配線・配管類を保持
する第２保持部を有する蓋部とによつて構成され
た自動車の配線・配管類の保持クリツプにおい
て、前記第１保持部を、前記蓋部を閉めた際に該
蓋部に対して開き方向の付勢力を作用すべく構成
された弾性体により構成するとともに、前記第２
保持部に保持される配線・配管類を、車体の被取
付部材に対して複数個所で固定せしめている。

（作用） 本考案では、上記手段によつて次のような作用
が得られる。

即ち、基部側に形成された第１保持部に、配
線・配管類を保持した状態で、蓋部を閉めると、
前記第１保持部の弾性力により蓋部が開き方向に
付勢されて蓋部と基部との係合に緩みが出るおそ
れがなくなるとともに、この基部に係止された蓋
部外面側の第２保持部に、前記配線・配管類とは
異なる配線・配管類を保持すると、第２保持部に
保持された配線・配管類によつて蓋部が基部側に
押し付けられることとなり、蓋部が基部から離脱
しようとする動きが抑制される結果、基部あるい
は蓋部が少々変形したとしても、両者の係合が容
易に外外れるということはなくなる。

（実施例） 以下、添付の図面を参照して、本考案の好適な
実施例を説明する。

本実施例の保持クリツプは、第３図図示の如
く、自動車の車体１前部においてエンジンルーム
２の後端に位置するカウル部３に３本のブレーキ
パイプ５，５，５を保持するクリツプ６として使
用されるものである。なお、これらのブレーキパ
イプ５，５，５は、前記クリツプ６以外の複数個
所において前記カウル部３に固定されている。従
つて、本実施例においては、カウル部３が実用新
案登録請求の範囲における被取付部材を構成し、
ブレーキパイプ５が実用新案登録請求の範囲にお
ける配線・配管類を構成している。第３図におい
て符号４は真空倍力装置、７はブレーキパイプ５
のジヨイント部を保持するクリツプである。

前記クリツプ６は、第１図図示の如く、前記カ
ウル部３を構成するカウルパネル１７に脚部１８
を介して取付けられるものであり、該脚部１８を
保有する略断面コ字状の基部８と、該基部８に対
して一端側をヒンジ１０を介して結合された略断
面コ字状の蓋部９とをポリプロピレンで一体成形
して構成されている。前記ヒンジ１０は、ポリプ
ロピレンの薄肉部として与えられる。

前記基部８内には、２本のブレーキパイプ５，
５保持すべく構成されたラバーマウント１１が嵌
着されている。該ラバーマウント１１は、ブレー
キパイプ５，５を保持する第１保持部として作用
するものであり、該ラバーマウント１１には、ブ
レーキパイプ５，５を嵌挿するための一対の切欠
穴１４，１４が形成されている。該各切欠穴１４
は、第２図図示の如く、蓋部９側に開口部１４ａ
を有している。

また、前記基部８において反ヒンジ側には、後
述する蓋部９の係止部１６が係止される切欠状の
係合部１２が形成されている。該係合部１２の開
口端部には、前記係止部１６の抜け止めを行うた
めの爪１２ａ，１２ａが形成されている。

さらに、前記基部８の口縁部には、ヒンジ１０
側および係合部１２側に相対向する内向き突起２
２，２２が一体に突設されている。該内向き突起
２２，２２は、前記ラバーマウント１１両側の凹
部２３，２３と係合して、該ラバーマウント１１
の脱落を防止するように作用する。なお、前記基
部８の内面中央部には、前記ラバーマウント１１
の中央部に形成された嵌合穴１３に嵌合される支
柱２１が一体に突設されている。

一方、前記蓋部９において反ヒンジ側には、基
部８側の係合部１２に係止される鏃状の係止部１
６が一体に突設されている。該係止部１６の先端
部には、係合部１２側の爪部１２ａ，１２ａと係
合する爪部１６ａ，１６ａが形成されている。

また、前記蓋部９の外面側には、基部８側のラ
バーマウント１１に保持されたブレーキパイプ
５，５とは別のブレーキパイプ５を保持するため
の第２保持部１５が形成されている。該第２保持
部１５は、ブレーキパイプ５を嵌合すべき略半円
形状の凹部１５ａと、該凹部１５ａの開口端から
斜め上方に延びる外向きの突片１５ｂと、前記蓋
部９外面において前記凹部１５ａの下方から横向
きに突設された突部２４の先端から前記凹部１５
ｂに向つて斜め内向きに延びる弾性変形可能な突
片１５ｃとからなつており、両突片１５ｂ，１５
ｂがブレーキパイプ嵌合時に該ブレーキパイプ５
を凹部１５ａへ案内する如く作用し、且つ一方の
突片１５ｃは、その自由端を凹部１５ａに嵌合さ
れたブレーキパイプ５に当接せしめることによつ
て、該ブレーキパイプ５の不用意な脱落を防止す
るように作用する。

さらに、前記蓋部９の内面中央部には、該蓋部
９を基部８に対して係合状態となした時（換言す
れば、蓋部閉塞時）、基部８内のラバーマウント
１１の中央部に押圧力を作用させる突隆部２５が
一体に形成されている。そして、該突隆部２５の
押圧力により、前記ラバーマウント１１が圧縮さ
れる時に生じる応力をブレーキパイプ５の嵌合部
に集中させ、ブレーキパイプ５，５の位置を安定
させる作用をなすようにするとともに、前記押圧
力に対するラバーマウント１１の弾性反発力によ
り、蓋部９に対して開き方向の付勢力が作用せし
められて蓋部９と基部８との係合の緩みを防止す
る如くなすようにしている。

前記ラバーマウント１１は、クリツプ６（換言
すれば、基部８と蓋部９と）が形成する空間より
若干おおきめの外形を有し、且つその外周面は、
圧縮時の応力がブレーキパイプ嵌合部に集中し得
るように、多くの凹凸が連続した形状とされてい
る。そして、ヒンジ１０側のラバーマウント１１
側面には、第２図図示の如く、蓋部９を閉塞する
時、該蓋部９と干渉する凸部２６が一体に形成さ
れる一方、係合部１２側のラバーマウント１１側
面には、蓋部９内面との間に隙間Ｓができるよう
に構成されており、かくすることによつて、蓋部
開閉時において、前記隙間Ｓの介在により係止部
１６がラバーマウント１１に干渉して開閉動作を
阻害するのを防止するとともに、前記凸部２６の
圧縮変形によつて、蓋部閉塞時にラバーマウント
１１外周に隙間ができるだけ生じないようにし
て、ブレーキパイプ５の固定を良好ならしめてい
る。

なお、図面中符号１９はダツシユアツパパネ
ル、２０はダツシユロアパネル、２７はシールパ
ツキンである。

次いで、図示の自動車の配線・配管類の保持ク
リツプの作用を説明する。

まず、第２図図示の如く、クリツプ６の蓋部９
を開放状態として、ラバーマウント１１の切欠穴
１４，１４にブレーキパイプ５，５をそれぞれ嵌
合せしめる。その後、蓋部９の係止部１６を基部
８の係合部１２に係止せしめて蓋部９を閉塞状態
とすると、第１保持部としてのラバーマウント１
１にブレーキパイプ５，５が、第１図図示の如く
保持される。この時、蓋部９の突隆部２５の押圧
力によりラバーマウント１１が圧縮され、該圧縮
により生じた応力がブレーキパイプ５，５の嵌合
部に集中されるところから、ブレーキパイプ５，
５の保持が極めて確実となるとともに、前記押圧
力に対するラバーマウント１１の弾性反発力によ
り、蓋部９に対して開き方向の付勢力が作用せし
められて蓋部９と基部８との係合の緩みが防止さ
れる。しかる後、蓋部９の第２保持部１５にもう
１本のブレーキパイプ５を嵌合保持するのであ
る。すると、この第２保持部１５に保持されたブ
レーキパイプ５は、蓋部９を閉塞方向に押圧する
ため、蓋部９が基部８から離脱する方向に動くの
を阻止することとなり、クリツプ６の熱変形等に
起因して蓋部９と基部８との係合が外れ易くなつ
たとしても、十分に外れを防止することができ
る。

上記の如く、ブレーキパイプ５，５を第１保持
部として作用するラバーマウント１１を介して保
持すると、アンチスキツドブレーキにおいて、ブ
レーキ作動時におけるブレーキ液の脈動に起因し
てブレーキパイプ５に振動が生じる場合に、該振
動をラバーマウント１１によつて吸収することが
できる。

なお、本実施例では、クリツプ６をポリプロピ
レンで一体成形したもについて説明したが、クリ
ツプ６の材質は、これに限定されるものではな
く、他の適当な材料を使用しても差し支えないこ
とは勿論である。

また、本実施例では、ブレーキパイプ５の保持
用としてのクリツプ６について説明しているが、
クリツプ６に保持される部材としては、他の配管
は勿論、ハーネス等の配線であつてもよい。

さらに、本考案の保持クリツプは、図示の実施
例に限定されるものではなく、考案の要旨を逸脱
しない範囲において適宜設計変更可なことも勿論
である。

（考案の効果） 叙上の如く、本考案によれば、車体適所の被取
付部材に固定され、配線・配管類を保持すべく構
成された第１保持部を備えた基部と、該基部に一
端がヒンジ結合され且つ他端に前記基部に形成さ
れた係合部に係止される係止部を備え且つ外面側
に配線・配管類を保持する第２保持部を有する蓋
部とによつて構成された自動車の配線・配管類の
保持クリツプにおいて、前記第１保持部を、前記
蓋部を閉めた際に該蓋部に対して開き方向の付勢
力を作用すべく構成された弾性体により構成する
ようにしたので、蓋部を閉めた際に第１保持部の
弾性力により蓋部が開き方向に付勢されることと
なり、蓋部と基部との係合が緩むことがなくなる
という実用的な効果がある。

また、前記第２保持部に保持される配線・配管
類を、車体の被取付部材に対して複数個所で固定
せしめるようにして、蓋部を基部側に押し付け得
るようにしたので、蓋部が基部から離脱しようと
する動きが抑制されることとなり、振動等により
蓋部と基部との係合が解除されようとする場合、
あるいは基部または蓋部が熱変形等により少々変
形した場合にも両者の係合が容易に外れるという
ことはなくなつて、配線・配管類の保持を長期に
亘つて確実に行い得るという効果をある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例にかかる自動車の配
線・配管類の保持クリツプの取付構造を示す縦断
面図、第２図は、第１図図示の保持クリツプを開
放した状態を示す縦断面図、第３図は、第１図図
示の保持クリツプの使用例を示すための車体前部
の斜視図である。 １……車体、５……配線・配管類（ブレーキパ
イプ）、６……クリツプ、８……基部、９……蓋
部、１０……ヒンジ、１１……第１保持部（ラバ
ーマウント）、１２……係合部、１５……第２保
持部、１６……係止部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体適所の被取付部材に固定され、配線・配管
   類を保持すべく構成された第１保持部を備えた基
   部と、該基部に一端がヒンジ結合され且つ他端に
   前記基部に形成された係合部に係止される係止部
   を備え且つ外面側に配線・配管類を保持する第２
   保持部を有する蓋部とによつて構成されており、
   前記第１保持部は、前記蓋部を閉めた際に該蓋部
   に対して開き方向の付勢力を作用すべく構成され
   た弾性体からなり、前記第２保持部に保持される
   配線・配管類は、車体の被取付部材に対して複数
   個所で固定されていることを特徴とする自動車の
   配線・配管類の保持クリツプ。