JP4476461B2 - クリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パネル部材に取付けるクリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
クリップの従来例について図15及び図16を参照して説明する。ここでは、自動車用のアシストグリップの取付けに使用するクリップを例示する。図15は従来例を示す分解斜視図、図16はクリップの使用状態を示す正断面図である。図15ではアシストグリップの一端部のみが示されている。そのアシストグリップの他端部については一端部とほとんど同様の構成であるからその説明を省略する。
【0003】
図15に示すように、アシストグリップ40は、グリップ本体41を主体として構成されている。グリップ本体41は、樹脂製であり、ほぼ逆U字形状に形成されている。グリップ本体41には、金属製の帯板材からなる芯材42(図16参照)がインサート成形されている。前記芯材42の端部には、ほぼ四角形状のクリップ取り付け孔42a(図16参照)が形成されている。図16に示すように、クリップ取り付け孔42aには、後述するクリップの主体をなすクリップ本体10の凸条15が嵌合されている。なお図15に示すように、グリップ本体41の端部には、クリップ本体10(後述する)の上方を開口する開口部40aが形成されている。
【0004】
前記クリップ本体10は、樹脂製であり、図16に示すように、大別して、基枠部11と左右の各脚接続部12と左右の各脚片13と前側の脚片14(図15参照)と左右の各凸条15と左右の各係合片16とを備えている。
基枠部11は、断面ほぼ四角形状の四角形枠状に形成されている(図15参照)。基枠部11は、その枠内にピン部材20(後述する)を挿入可能とする空間部(図15に符号、10aを付す)を形成している。図15に示すように、基枠部11の上半部の外周面には、環状をなすフランジ部11aが突出されている。また、基枠部11の外周縁部の上面には、環状をなすリブ部11bが突出されている。
【0005】
また左右の各脚接続部12は、基枠部11の左右の両枠部における下半部の内側面(図16参照)に突出されている。また、各脚接続部12は、基枠部11において前枠部に連なっており、後枠部には連なっておらず、その後枠部と各脚接続部12との間にガイド孔部17が形成されている(図15参照)。
【0006】
また左右の各脚片13は、図16に示すように、前記各脚接続部12より下方に向かって左右対称状に突出されている。各脚片13は、ほぼ四角形板状に形成されており、各脚接続部12に対する各脚片13の接続部分(図16に符号、13bを付す)における厚さを薄肉状に形成することによって、各脚片13が弾性変形いわゆる撓み変形可能となっている。図16に示すように、脚片13の外側面には、車両パネル50(後述する)に設けられた取付け孔50aに対し係合可能なほぼ山形状の係合部13aが形成されている。なお、左右の各脚片13は本明細書でいう脚部に相当する。
【0007】
また前側の脚片14は、図15に示すように、前記基枠部11の前枠部より下方に向かって突出されている。その脚片14は、ほぼ四角形板状に形成されており、前記基枠部11に対する脚片14の接続部分(図15に符号、14bを付す)における厚さが薄肉状に形成されている。また、脚片13の外側面には、車両パネル50の取付け孔50a(図16参照)に対し係合可能な断面ほぼ四角形状の係合部14aが形成されている。なお、係合部14a及び接続部分14bを含む前側の脚片14は、クリップの抜け外れを防止する力いわゆる抜け防止力を高めるため、剛体として形成されている。また説明の都合上、前側の脚片14を剛性脚片と称し、左右の各脚片13を弾性脚片と称する。
【0008】
また左右の各凸条15は、図16に示すように、前記基枠部11の左右の両枠部における下面に対しほぼ長細板状に突出されている。各凸条15は、前記グリップ本体41の芯材42と成形天井52(後述する)との両方の厚みを合計した分にほぼ相当する突出高さを有している。
【0009】
また、左右の各係合片16は、図16に示すように、前記各弾性脚片13の上端部から上方へ向けてほぼ突片状に突出されている。各係合片16は、弾性変形いわゆる撓み変形可能に形成されている。相互に連続する各係合片16及び各脚片13の対向面は、ほぼ平行する平坦面に形成されている。しかして、各係合片16の上端部には、断面ほぼ円弧状をなす係合凸部16aが対向状に突出されている。
【0010】
また、図16に示すように、前記クリップ本体10の両凸条15は、前記アシストグリップ40(図15参照)における芯材42のクリップ取付け孔42aに嵌合されている。これにより、基枠部11に対し、芯材42のクリップ取付け孔42aの口縁部が当接されている。この状態で、芯材42及びクリップ本体10がインサート成形によって前記グリップ本体41(図15参照)に一体化されている。なお、芯材42のクリップ取付け孔42a(図16参照)上に位置するグリップ本体41(図15参照)の部分は、図示しないが、クリップ本体10の基枠部11の外周部をフランジ部11a(図16参照)とともに取り囲んでいる。
【0011】
次に、前記クリップ本体10の空間部10a(図15参照)に挿入されるピン部材20を説明する。図15及び図16において、ピン部材20は、樹脂製であり、大別して、係合ピン部21とガイド板部22と上板部23と連結部24とを備えている。なお、ピン部材20は本明細書でいう挿入部材に相当する。また、ピン部材20とクリップ本体10とにより本明細書でいうクリップが構成されている。
【0012】
係合ピン部21は、ピン部材20の主体をなすもので、ほぼ四角柱状に形成されている。係合ピン部21は、前記クリップ本体10の空間部10aに対し挿入可能に形成されている(図16参照)。係合ピン部21の左右の両側面の上端部とほぼ中央部には、左右一対をなす上下2段の係合凹部21a,21bが左右対称状に形成されている。係合凹部21a,21bは、前記クリップ本体10における左右の各係合片16の係合凸部16aに対し係合可能に形成されている。なお、前記ガイド板部22(後述する)を含む係合ピン部21の下端部21cは、先細り状をなすほぼ四角錐状に形成されている。また、係合ピン部21の前面には、縦長状をなす上下の凹所21dが形成されている。
【0013】
またガイド板部22は、図15に示すように、前記係合ピン部21の後側面に連設されている。ガイド板部22の左右の両側縁部は、係合ピン部21の左右の両側面より突出されている。ガイド板部22は、前記クリップ本体10のガイド孔部17(図15参照)に対し挿入可能に形成されている。なお、ガイド板部22は、前記剛性脚片14の接続部分14bに対する係合部14aの突出量とほぼ同じ厚さを有している。
【0014】
また上板部23は、図15に示すように、前記係合ピン部21の上面に形成されている。上板部23の左右の両側縁部は、前記ガイド板部22と同様に、係合ピン部21の左右の両側面より突出されている。板部2の後側縁は、前記ガイド板部22の上側縁と連続している。板部2の前端面は、前記係合ピン部21の前面とほぼ同一平面をなしている。
【0015】
また連結部24は、図15に示すように、前記上板部23の上面に対しほぼアーチ状に形成されている。連結部24には、カバー43が連結可能に形成されている。カバー43は、前記アシストグリップ40のグリップ本体41の開口部40aを嵌合によって塞ぐことができる。
【0016】
なお、アシストグリップ40が取付けられる自動車において、ルーフ(図示省略)を形成する車両パネル50(図16参照)には、ほぼ四角形状の取付け孔50aが形成されている。車両パネル50の取付け孔50aは、前記アシストグリップ40における芯材42のクリップ取付け孔42aとほぼ相似形をなし、そのクリップ取付け孔42aよりも小さい大きさで形成されている。なお、車両パネル50は本明細書でいうパネル部材に相当する。
【0017】
前記車両パネル50の室内側の面(図16において上面)には成形天井52が張り付けられる(図16参照)。成形天井52には、開口孔52aが形成されている。その開口孔52aは、車両パネル50の取付け孔50aとほぼ同形をなしかつほぼ同一軸線上に形成されている。
【0018】
次に、上記したクリップの組付け手順の一例を説明する。まず、ピン部材20を、グリップ本体41の開口部40a(図15参照)を通じてクリップ本体10の空間部10aに挿入する。そして、クリップ本体10の両係合片16の弾性変形を利用して、係合ピン部21における下段の係合凹部21bを両係合片16の係合凸部16aに係合する。この状態を、ピン部材20の仮止め状態という(図16中、二点鎖線20参照)。
【0019】
次に、前記ピン部材20の仮止め状態において、クリップ本体10の両凸条15を成形天井52の開口孔52aに嵌合した状態で、前記成形天井52を自動車のルーフの天井(図示省略)に張り付けるとともに、クリップ本体10の各脚片13,14を車両パネル50の取付け孔50aに挿入する(図16参照)。
【0020】
すると、車両パネル50の取付け孔50aの左右方向(図16において左右方向)に関しては、各弾性脚片13が弾性変形しながら車両パネル50の取付け孔50a内に挿入されていく。そして、各弾性脚片13の係合部13aが車両パネル50の取付け孔50aを乗り越えると同時に、各弾性脚片13が弾性復元することによって、その係合部13aが車両パネル50の取付け孔50aの口縁部に係合する(図16中、実線13参照)。このようにして、車両パネル50に対しクリップ本体10の各弾性脚片13が弾性変形を利用して係合される。
【0021】
また、車両パネル50の取付け孔50aの前後方向(図16において紙面表裏方向)に関しては、各弾性脚片13とともに剛性脚片14が撓むことなく、取付け孔50aに挿入される。そして、剛性脚片14の接続部分14b(図15参照)が取付け孔50aの口縁部に対応する。なお、このときのピン部材20は、取付け孔50aに対してガイド板部22の厚さ分、後方(図16において紙面裏方)にオフセットした位置にある。
【0022】
その後、前記仮止め状態にあるピン部材20を、クリップ本体10に対しさらに挿入する(図16参照)。すると、ガイド板部22(後述する)を含む係合ピン部21の下端部21cの後側面が、車両パネル50の取付け孔50aの当該口縁部に対し当接しながら摺動することにより、ピン部材20とともにクリップ本体10が前方(図16において紙面表方)へガイド板部22の厚さ分だけ移動される。これにより、剛性脚片14の係合部14aが車両パネル50の取付け孔50aの口縁部に係合される。なお、ガイド板部22の後面は取付け孔50aの当該内面に接触し、クリップ本体10が前後方向(図16において紙面表裏方向)に関し位置決めされる。
【0023】
そして、クリップ本体10の両係合片16の弾性変形を利用して、係合ピン部21における上段の係合凹部21aを両係合片16の係合凸部16aに係合する(図16参照)。これとともに、ピン部材20の上板部23がクリップ本体10の両係合片16に当接する。この状態を、ピン部材20の本止め状態という。なお、ピン部材20の本止め状態では、図15に示されるアシストグリップ40のグリップ本体41の開口部40aがカバー43(図15参照)によって塞がれる。
【0024】
上記のようにして、車両パネル50に対するアシストグリップ40の取り付けが完了する。この状態すなわちピン部材20の本止め状態においては、ピン部材20(詳しくは係合ピン部21)によって、クリップ本体10の各弾性脚片13の弾性変形いわゆる窄まり方向の撓み変形が規制される。したがって、各弾性脚片13の弾性変形に起因するクリップ本体10の抜け外れを防止することができる。また、剛体として形成された剛性脚片14が、車両パネル50の取付け孔50aの口縁部に係合することにより高い抜け防止力を発揮する。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したクリップにおけるクリップ本体10では、各弾性脚片13によって、クリップ本体10に加わる抜け方向(図16において上方)の荷重(抜け方向の荷重ともいう)が受止められる。
また、前に述べたように、前記クリップ本体10は樹脂製であり、各弾性脚片13を弾性変形させるために、各弾性脚片13(図15及び図16参照)の接続部分13bの厚さが薄肉状に形成されている。
【0026】
したがって、上記したクリップによると、アシストグリップ40ひいてはクリップに大きな抜け方向の荷重が作用したときには、剛性脚片14が剛体であるものの、各弾性脚片13(図15及び図16参照)の接続部分13bが容易に引き伸ばされることにより、各弾性脚片13の破損が生じやすかった。したがって、車両パネル50に対しクリップを強固に取付けることがむつかしかった。
【0027】
本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、パネル部材に対し強固に取付けることのできるクリップを提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する請求項1の発明は、
クリップ本体と挿入部材とを備え、
前記クリップ本体は、パネル部材の取付け孔に対する挿入によって該取付け孔の口縁部に弾性変形を利用して係合する弾性脚片と、剛体として形成されかつ前記取付け孔に対する径方向への移動によって該取付け孔の口縁部に係合する剛性脚片とを有し、
前記クリップ本体には、前記挿入部材を挿入可能な空間部が設けられ、
前記クリップ本体を前記パネル部材の取付け孔に挿入することにより、前記弾性脚片が弾性変形を利用して該取付け孔の口縁部に係合され、そのクリップ本体の空間部に前記挿入部材を挿入することにより、前記弾性脚片の弾性変形を規制するとともに、該挿入部材が前記取付け孔の口縁部に対して摺動することで前記剛性脚片が前記取付け孔の口縁部に係合するように前記クリップ本体が移動される構成としたクリップであって、
前記パネル部材に係合した前記弾性脚片に加わる抜け方向の荷重を受止め可能な補強部材を備え
前記補強部材は、前記パネル部材の取付け孔の口縁部に係合する係止部、及び/又は、前記クリップ本体の弾性脚片の先端部に係合する脚支持部を有している
ことを特徴とするクリップクリップである。
【0029】
このように構成したクリップにおいて、クリップ本体をパネル部材の取付け孔に挿入することにより、クリップ本体の弾性脚片が弾性変形を利用してパネル部材の取付け孔の口縁部に係合する。次に、クリップ本体の空間部に挿入部材を挿入する。このため、挿入部材によって前記弾性脚片の弾性変形が規制されるので、弾性脚片の弾性変形に起因するクリップ本体の抜け外れを防止することができる。これとともに、挿入部材が取付け孔の口縁部に対して摺動することで、クリップ本体が移動されることにより剛性脚片がパネル部材の取付け孔の口縁部に係合する。
また、パネル部材の取付け孔の口縁部に係合する補強部材の係止部、及び/又は、クリップ本体の弾性脚片の先端部に係合する補強部材の脚支持部によって、クリップ本体の弾性脚片に加わる抜け方向の荷重を受止めることができ、抜け方向の荷重による弾性脚片の破損を防止することができる。
したがって、上記のように構成されたクリップによると、弾性脚片の弾性変形に起因するクリップ本体の抜け外れを防止しながらも、抜け方向の荷重による弾性脚片の破損を防止することができるため、パネル部材に対し強固に取付けることができる。
【0032】
請求項の発明は、
請求項に記載のクリップであって、
前記補強部材は、前記クリップ本体の弾性脚片と前記挿入部材との間に支持可能に設けられていることを特徴とするクリップである。
このように構成すると、クリップ本体の弾性脚片と挿入部材との間に補強部材が支持されることにより、補強部材をコンパクトにかつ強固に組込むことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態1〜3を順に説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1について図面を参照して説明する。図1に本実施の形態を示す分解斜視図、図2にクリップの使用状態の正断面図、図3に図2のIII−III線断面図が示されている。図1〜図3に示すように、本実施の形態は、前に述べた従来例(図15及び図16参照)におけるクリップのクリップ本体10に左右一対の補強部材(符号、30を付す)が追加されたものであるから、その補強部材30について詳述することにし、その他の部位には同一部位に同一符号を付して重複する説明は省略する。なお、図4には補強部材30を備えるクリップ本体10の正面図、図5には同側面図、図6には同平面図、図7にはクリップ本体10と補強部材30との分解斜視図が示されている。
【0034】
図4〜図7に示すように、クリップ本体10には、左右一対の補強部材30が組付けられている。左右の補強部材30は、左右対称状をなすものであるから、以下、左側の補強部材30について説明し、右側の補強部材30については同一部位に同一符号を付すことにより重複する説明を省略する。なお、図8にはクリップ本体10の正断面図、図9には同側断面図、図10には補強部材30の正面図、図11には同側面図、図12には補強部材30の平面図が示されている。また図8及び図9において、補強部材30は二点鎖線30で示されている。
【0035】
図10〜図12に示すように、補強部材30は、金属製のばね板材からなる。補強部材30は、大別して、主板部31と前側のストッパ部32と後側のストッパ部33と係止部34と脚支持部35とを有している(図7参照)。
主板部31は、補強部材30の主体をなすもので、図11に示すように、縦長のほぼ長四角形状に形成されている(図11参照)。
【0036】
また前側のストッパ部32は、図11及び図12に示すように、前記主板部31の前側縁の上端部から前方(図11において右方)へ突出するほぼ突片状に形成されている。
また後側のストッパ部33は、図10及び図12に示すように、前記主板部31の後側縁の上端部から左方(図10において左方)へ突出するほぼ突片状に形成されている。
【0037】
また係止部34は、図10及び図12に示すように、前記主板部31の前側縁のほぼ中央部から側方(図10において左方)へ突出されている(図7参照)。係止部34は、図10に示すように、ほぼ山形状に形成されている。係止部34の頂部(図10において左端部)付近は、図8に示すように、前記弾性脚片13における係合部13aの外形形状にほぼ整合する形状で形成されている。しかして、係止部34の頂部付近を前記弾性脚片13の係合部13aよりも僅かに小さく形成することにより、車両パネル50の取付け孔50a(図2参照)との接触いわゆるメタルタッチが回避されている。
【0038】
また脚支持部35は、図10及び図12に示すように、主板部31の下端部から左上方(図10において左方)へ折り返し状に折り曲げられている(図7参照)。
【0039】
上記補強部材30は、前記クリップ本体10に対して次に述べるようにして組付けられている。すなわち、補強部材30は、図7に示される状態からクリップ本体10の空間部10aへ挿入される。そして、図8及び図9に示すように、補強部材30の前側のストッパ部32及び後側のストッパ部33がクリップ本体10の基枠部11に当接され、補強部材30の主板部31がクリップ本体10の弾性脚片13及び係合片16の内側面に面接触する状態におかれる。また、補強部材30の主板部31の上端部が、クリップ本体10の係合片16の係合凸部16aに対し係合される(図8参照)。また、補強部材30の脚支持部35の上端部が、クリップ本体10における弾性脚片13の下端部に対し係合される(図8参照)。また、補強部材30の係止部34が、クリップ本体10の弾性脚片13と剛性脚片14との間に介入される(図9参照)。このようにして、補強部材30がクリップ本体10に組付けられる。
【0040】
上記した補強部材30を備えるクリップ本体10は、従来例と同様、アシストグリップ40のグリップ本体41に組み付けられる(図1参照)。
そして、従来例と同様、ピン部材20をクリップ本体10に仮止めする(図2及び図3中、二点鎖線20参照)。このとき、ピン部材20の係合ピン部21の下部は、各補強部材30の主板部31の上部相互間に挿入される。
次に、前記ピン部材20の仮止め状態において、クリップ本体10の両凸条15を嵌合した成形天井52を自動車のルーフの天井(図示省略)に張り付けるとともに、車両パネル50に対しクリップ本体10の各弾性脚片13をその弾性変形を利用して係合させる(図2及び図3参照)。
【0041】
このとき、各補強部材30の主板部31がクリップ本体10の各弾性脚片13に追従して、弾性変形しながら車両パネル50の取付け孔50aに挿入される。そして、各補強部材30の係止部34が各弾性脚片13の係合部13aとともに車両パネル50の取付け孔50aを乗り越えると同時に、各補強部材30の主板部31が各弾性脚片13に追従して弾性復元する。これによって、各弾性脚片13の係合部13aとともに各補強部材30の係止部34が取付け孔50aの口縁部に係合する(図2参照)。
【0042】
上記のようにして、補強部材30を備えるクリップ本体10が車両パネル50の取付け孔50aの左右方向(図16において左右方向)に関して係合される。なお、車両パネル50の取付け孔50aの前後方向(図3において紙面左右方向)に関しては、従来例と同様、取付け孔50aに各弾性脚片13(図1参照)が挿入され、剛性脚片14の接続部分14b(図3参照)が取付け孔50aの口縁部に対応する。
【0043】
その後、従来例と同様、前記仮止め状態にあるピン部材20(図2及び図3中、二点鎖線20参照)を、クリップ本体10の空間部10aに対し本止め状態まで挿入する(図2及び図3中、実線参照)。すると、従来例と同様、係合ピン部21の下端部21cの後側面が車両パネル50の取付け孔50aの当該口縁部に対し当接しながら摺動することにより、ピン部材20とともにクリップ本体10が前方(図3において右方)へ移動されることにより、剛性脚片14の係合部14aが車両パネル50の取付け孔50aの口縁部に係合されるとともに、クリップ本体10が前後方向(図3において左右方向)に関し位置決めされる。また、従来例と同様、係合ピン部21の上段の係合凹部21aがクリップ本体10の両係合片16の係合凸部16aに係合するとともに、ピン部材20の上板部23がクリップ本体10の両係合片16に当接することにより、ピン部材20が本止め状態となる(図2参照)。
【0044】
また、ピン部材20の本止め状態においては、ピン部材20の係合ピン部21の大半が各補強部材30の主板部31の相互間に挿入される。このため、各補強部材30の主板部31は、クリップ本体10の各弾性脚片13と前記ピン部材20の係合ピン部21との間に支持される。
上記のようにして、車両パネル50に対するアシストグリップ40の取り付けが完了する。
【0045】
上記したクリップによれば、ピン部材20(詳しくは係合ピン部21)によってクリップ本体10の各弾性脚片13の弾性変形が規制されるので(図2参照)、各弾性脚片13の弾性変形に起因するクリップ本体10の抜け外れを防止することができる。
また、補強部材30の係止部34及び脚支持部35(図2参照)によって、クリップ本体10の各弾性脚片13に加わる抜け方向の荷重を受止めることにより、前記抜け方向の荷重による各弾性脚片13の破損を防止することができる。
したがって、各弾性脚片13の弾性変形に起因するクリップ本体10の抜け外れを防止しながらも、抜け方向の荷重による各弾性脚片13の破損を防止することができるため、車両パネル50に対し強固に取付けることができる。
【0046】
なお本実施の形態では、係止部34(図10参照)が、弾性脚片13の係合部13a(図8参照)よりも少し小さく形成されている。このため、係止部34と車両パネル50(図2参照)とのメタルタッチを回避することができ、ひいては車両パネル50の錆、塗膜の剥がれ、電食(漏洩電流による腐食)等の発生を防止することができる。したがって、クリップ本体10の弾性脚片13に加わる抜け方向の荷重を受止めるときには、係合部13aが少し変形した直後において、係止部34が車両パネル50の取付け孔50a(図2参照)に係合する。
【0047】
また、クリップ本体10の弾性脚片13に係合する補強部材30の脚支持部35(図2参照)によって、クリップ本体10の弾性脚片13に加わる抜け方向の荷重を受止めることにより、前記抜け方向の荷重による弾性脚片13の破損が防止される。
【0048】
また、クリップ本体10の各弾性脚片13とピン部材20との間に各補強部材30が支持されることにより(図2参照)、補強部材30をコンパクトにかつ強固に組込むことができる。
【0049】
また、本実施の形態の補強部材30(図7参照)によると、従来例(図15及び図16参照)のクリップのクリップ本体10及びピン部材20の形状をほとんど変えることなく使用することができる。
【0050】
[実施の形態2]
実施の形態2について図13を参照して説明する。実施の形態2は、実施の形態1の補強部材30に変更を加えたものであるからその変更部分について詳述し、重複する説明は省略する。図13は補強部材30の斜視図である。補強部材30は、実施の形態1における補強部材30から係止部34が排除されたものである。
【0051】
[実施の形態3]
実施の形態について図14を参照して説明する。実施の形態3は、実施の形態1の補強部材30に変更を加えたものであるからその変更部分について詳述し、重複する説明は省略する。図14は補強部材30の斜視図である。補強部材30は、実施の形態1における補強部材30から脚支持部35が排除されたものである。
【0052】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明のクリップは、アシストグリップ40に限定されるものではなく、その他の部品の取付けに幅広く適用することが可能である。また、左右の補強部材30を一部品として構成してもよい。また、左右の補強部材30のうち、どちらか一方の補強部材30は排除してもよい。また、クリップ本体10、ピン部材20、補強部材30の形状、材質等は変更することができる。また、補強部材30は、クリップ本体10に代えピン部材20に組付けても良い。
【0053】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のクリップによれば、弾性脚片の弾性変形に起因するクリップ本体の抜け外れを防止しながらも、抜け方向の荷重による弾性脚片の破損を防止するものであるから、パネル部材に対し強固に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1を示す分解斜視図である。
【図2】クリップの使用状態を示す正断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】補強部材を備えるクリップ本体の正面図である。
【図5】補強部材を備えるクリップ本体の側面図である。
【図6】補強部材を備えるクリップ本体の平面図である。
【図7】クリップ本体と補強部材との分解斜視図である。
【図8】クリップ本体の正断面図である。
【図9】クリップ本体の側断面図である。
【図10】補強部材の正面図である。
【図11】補強部材の側面図である。
【図12】補強部材の平面図である。
【図13】実施の形態2を示す補強部材の斜視図である。
【図14】実施の形態3を示す補強部材の斜視図である。
【図15】従来例を示す分解斜視図である。
【図16】クリップの使用状態を示す正断面図である。
【符号の説明】
10 クリップ本体
10a 空間部
13 弾性脚片(脚片)
20 ピン部材(挿入部材)
30 補強部材
34 係止部
35 脚支持部
50 車両パネル(パネル部材)

Claims (2)

  1. クリップ本体と挿入部材とを備え、
    前記クリップ本体は、パネル部材の取付け孔に対する挿入によって該取付け孔の口縁部に弾性変形を利用して係合する弾性脚片と、剛体として形成されかつ前記取付け孔に対する径方向への移動によって該取付け孔の口縁部に係合する剛性脚片とを有し、
    前記クリップ本体には、前記挿入部材を挿入可能な空間部が設けられ、
    前記クリップ本体を前記パネル部材の取付け孔に挿入することにより、前記弾性脚片が弾性変形を利用して該取付け孔の口縁部に係合され、そのクリップ本体の空間部に前記挿入部材を挿入することにより、前記弾性脚片の弾性変形を規制するとともに、該挿入部材が前記取付け孔の口縁部に対して摺動することで前記剛性脚片が前記取付け孔の口縁部に係合するように前記クリップ本体が移動される構成としたクリップであって、
    前記パネル部材に係合した前記弾性脚片に加わる抜け方向の荷重を受止め可能な補強部材を備え
    前記補強部材は、前記パネル部材の取付け孔の口縁部に係合する係止部、及び/又は、前記クリップ本体の弾性脚片の先端部に係合する脚支持部を有している
    ことを特徴とするクリップ。
  2. 請求項に記載のクリップであって、
    前記補強部材は、前記クリップ本体の弾性脚片と前記挿入部材との間に支持可能に設けられていることを特徴とするクリップ。
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