JPH0327445Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は歩行中足がはきものの中底面上をすべ
つて前進し、指先部を圧迫することを防止するは
きものの足固定用すべり止めに関する。

この種のすべり止めとしては、従来より足の指
下面の凹部に嵌入する突出部よりなるものが知ら
れている。しかしこのすべり止めでは、歩行中に
足が容易に突出部を乗り越えてしまい、十分なす
べり止め効果は得られない。

そこでこの突出部を、第１指および第５指の部
分を欠落させた形状にすることにより、足の乗り
越えを防止したすべり止めが新たに案出された
（特願昭58−247798号参照）。これは歩行中の足の
蹴り出し時に、第１指、第５指の指根元関節はは
きものの中底面上をころがるようにして前進し、
第２指〜第４指の指根元関節は前方へ滑動するの
で、突出部の第１指、第５指部分を欠落させてお
くと足が突出部に乗り上げにくくなるという現象
を利用したものである。

本考案のすべり止めは、この深たなすべり止め
の作用をより一層確実にすることを目的とするも
のであつて、上記の第１指、第５指部分を欠落さ
せた突出部のほかに、さらに歩行中にころがり運
動により前進しようとする第１指、第５指の指根
元関節が容易に空転するように、これらの関節の
下面を滑面により形成し、前方に滑動しようとす
る第２指〜第４指の指根元関節の下面を滑べりに
くい難滑面により形成するよう構成したものであ
る。

以下本考案を図示する実施例により具体的に説
明する。

第１図、第２図は第１実施例のすべり止めを示
す。このすべり止めは靴１０の皮製中底面１２に
突出部材１４を貼付することにより構成されてい
る。この突出部材１４はウレタンフオーム等の弾
性材の表面を布で被つてなり、前部は第２〜第４
指の指下面の凹部に嵌入し、指根元関節の前端に
当接する突出部１６となり、この後方は幅が狭く
なり、足の土踏まず近くまで伸びている。すなわ
ちこのすべり止めでは、第１指、第５指の指根元
関節の下面位置１８ａ，１８ｅには、足との摩擦
の小さい皮製中底面１２自体よりなる滑面２０が
あり、第２指〜第４指の指根元関節の下面位置１
８ｂ，１８ｃ，１８ｄには、足との摩擦の大きい
布よりなる難滑面２２があるようになつている。
なおこの難滑面２２は滑面２０よりやや高くなつ
ている。

したがつてこのすべり止めでは、歩行中の足の
蹴り出し時に、第１指、第５指の指根元関節はこ
ろがるようにして、第２指〜第４指の指根元関節
はすべるようにして前進しようとするが、足は突
出部１６により係止され、さらに第２指〜第４指
の指根元関節の下面は難滑面２２の摩擦力で滑動
が防止され、第１指、第５指の指根元関節の下面
は滑面２０で滑つて空転するので、極めて良好に
足の前進が防止される。

第３図、第４図は第２実施例のすべり止めを示
す。このすべり止めは靴３０の皮製中底面３２に
中敷３４を貼布することにより構成されている。
この中敷３４は全体が布製であり、前端部の下面
のみには前記突出部材１４と同様にウレタンフオ
ームの弾性材３６が設けられ、突出部３８が形成
されている。またこの突出部３８の幅も前記と同
様に第２指〜第４指にわたるものであり、第１
指、第５指の指根元関節下面位置４０ａ，４０ｅ
は皮製中底面３２による滑面４２、第２指〜第４
指の指根元関節下面位置４０ｂ，４０ｃ，４０ｄ
は中敷３４の布による難滑面４４となつている。
しかしこの難滑面４４の幅は前記難滑面２２より
やや広く、第１指、第５指の指根元関節の中心の
下部近くまで達し、この部分の外形は美しい弧状
となつている。なお、この中敷３４下面の弾性材
３６の幅は前記突出部１４のものと同様に狭い幅
のものである。

このすべり止めも前記第１実施例と同様の作用
効果を持つことはいうまでもない。なおこのすべ
り止めでは、難滑面４４の幅が広いため、第１
指、第５指を空転させる効果はわずかに第１実施
例より低下する。しかし難滑面４４の外形がなめ
らかな曲線となり美観が向上し、商品価値は高く
なる。

以上の各例では、突出部は、第２指〜第４指の
すべての指の根元関節に当接するものであつた
が、これらの指の一部のみについて設けただけで
あつてもよい。また滑面は、皮によつて形成する
だけでなく、人工皮革、ビニル等の足との摩擦の
小さいものであれば他のものを用いてもよい。難
滑面についても、布を用いるだけでなく、ゴム、
ウレタンフオーム等の足との摩擦の大きいもので
あればよい。なお難滑面は、上記各実施例のよう
に滑面よりやや高くするとより効果的であるが、
必ずしも高くする必要はない。

上述のように、本考案のすべり止めは、突出部
に加え、滑面および難滑面を設けたものであるの
で、歩行中に足がはきもの内を前進することを極
めて良好に防止することができる。このためこの
すべり止めを用いると、足先部が圧迫される等の
不快感は解消され、また大きめな靴に使用し、歩
行中に脱げなくなる効果、すなわち大きめの靴を
足に合わせるサイズ調節効果をも得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は第１実施例を示し、第１図は
平面図、第２図は正断面図である。第３図、第４
図は第２実施例を示し、第３図は平面図、第４図
は正断面図である。 １６，３８……突出部、１８ａ〜１８ｅ，４０
ａ〜４０ｅ……第１指〜第５指の指根元関節の下
面位置、２０，４２……滑面、２２，４４……難
滑面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 第１指および第５指を除く、他の足の指の一部
   または全部の指下面の凹部に嵌入し、指根元関節
   の前端に当接する突出部と、第１指および第５指
   の指根元関節の下面に位置し、足との摩擦の小さ
   い滑面と、第２指〜第４指の指根元関節の下面に
   位置し、足との摩擦の大きい難滑面とを有するこ
   とを特徴とするはきものの足固定用すべり止め。