JPH032740Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はドラムブレーキに用いられるシユーホ
ルドダウン装置に関するものである。

従来技術 バツキングプレート上に配設され、円弧状を成
して長手方向中間部に内周側に向かつて開口する
切欠が形成されたシユーウエブをそれぞれ有する
一対のブレーキシユーを備えたドラムブレーキが
知られている。かかるドラムブレーキには、通
常、前記切欠の幅より僅かに小さい径を有する軸
部と、その軸部の一端に設けられてその軸部から
軸心と直角な方向へ突き出す頭部とを有し、その
軸部の他端側においてバツキングプレートに揺動
可能に取り付けられるとともに前記軸部の中間部
が前記シユーウエブの切欠内を挿通させられるシ
ユーホルドダウンピンと、そのシユーホルドダウ
ンピンの軸部がそれぞれ挿通する状態で前記頭部
と前記シユーウエブとの間に配設され、その頭部
側に位置する第一カツプおよびシユーウエブ側に
位置する第二カツプと、それら両カツプ間に所定
の予荷重が付与された状態で介装されたコイルス
プリングとを備えたシユーホルドダウン装置が設
けられており、このシユーホルドダウン装置によ
り前記ブレーキシユーが互いに拡開可能な状態で
前記バツキングプレート上に支持されるようにな
つている。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、かかるドラムブレーキにおい
て、シユーホルドダウンピンがシユーウエブ内周
側に向かつて傾斜させられつつシユーホルドダウ
ン装置がシユーウエブと相対移動させられた場合
に、両カツプおよびコイルスプリングが比較的大
きくシユーウエブ内周縁から飛び出してしまう場
合がある。この場合において、シユーホルドダウ
ンピンの前記傾斜に伴つて、その頭部により第一
カツプがシユーウエブ内周側に向かう程第二カツ
プと接近する方向へ傾斜させられることにより、
前記第二カツプのシユーウエブ内周縁から大きく
飛び出した部分に対するコイルスプリングの押圧
力が大幅に増大する場合がある。このような場合
には、第二カツプにシユーウエブ内周縁を支点と
する比較的大きな回動力が作用させられることに
より、シユーホルドダウンピンが前記切欠の開口
から飛び出していないにも拘らず第二カツプが大
きく傾斜させられて、両カツプおよびコイルスプ
リングがシユーウエブ上から脱落してしまう場合
があつた。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であつて、その要旨とするところは、前記のよう
なドラムブレーキ用シユーホルドダウン装置であ
つて、前記シユーホルドダウンピンの軸部に、そ
の軸部の中間部にＵ字状に曲成することにより軸
心に対して直角方向へ突き出し、前記切欠の幅方
向両内壁面との当接に基づいてシユーホルドダウ
ンピンの軸心まわりの回転を阻止する突出部を一
体に設けるとともに、前記シユーホルドダウンピ
ンの頭部を、偏平な板状であつて且つその板面方
向が前記突出部の突出し方向と略直角となるよう
に形成したことにある。

作用および考案の効果 このようにすれば、シユーホルドダウンピンの
頭部が偏平な板状とされているとともに、シユー
ホルドダウンピンの前記突出部がシユーウエブの
切欠内に位置させられることによりシユーホルド
ダウンピンの頭部はその板面方向がシユーウエブ
周方向に常時位置させられるので、たとえ、シユ
ーホルドダウンピンがシユーウエブ内周側に向か
つて傾斜させられつつシユーホルドダウン装置が
シユーウエブと比較的大きく相対移動させられた
としても、その頭部により第一カツプがシユーウ
エブ内周側に向かう程第二カツプと接近する方向
へ傾斜させられるのを効果的に抑制し得、第二カ
ツプに対するコイルスプリングの付勢力を略均一
に維持し得る。この結果、従来のようにシユーホ
ルドダウンピンが前記切欠の開口から飛び出して
いないにも拘らず第二カツプがシユーウエブ内周
縁を支点として大きく傾斜（回動）させられるの
を効果的に防止し得、これにより、両カツプおよ
びコイルスプリングのシユーウエブ上からの脱落
を従来に比べて一層確実に防止し得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第４図は本考案が適用されたシユーホルドダウ
ン装置を備えたドラムブレーキの一例を示す図で
あつて、バツキングプレート１０上にはシユーウ
エブ１２，１４をそれぞれ有して全体として円弧
状を成す一対のブレーキシユー１６，１８がシユ
ーホルドダウン装置２０，２２により互いに拡開
可能に支持されている。シユーウエブ１２，１４
の互いに近接する各一端部はバツキングプレート
１０上に固定されたアンカピン２４の側面とそれ
ぞれ当接させられるようになつているとともに、
シユーウエブ１２，１４の各他端部はアジヤスト
ホイール２６の回転に伴つて伸長させられること
によりブレーキシユー１６，１８をそれぞれ外周
側へ押し出してシユー間隙を調節する連結部材２
８の両端部と図示しないスプリングの付勢力に従
つてそれぞれ係合させられている。

一方のブレーキシユー１６のシユーウエブ１２
のバツキングプレート１０側には、アンカピン２
４側の端部近傍において、一端部にパーキングケ
ーブル３０が連結されたパーキングブレーキレバ
ー３２がその他端部においてピン３４により回動
可能に取り付けられている。パーキングブレーキ
レバー３２の中間部とブレーキシユー１８のシユ
ーウエブ１４との間にはストラツト３６が架け渡
されている。ブレーキシユー１６，１８の外周側
には所定の間隙を有して回転ドラム（図示せず）
が配設されており、パーキングケーブル３０が引
き込まれてパーキングブレーキレバー３２が第３
図において左まわりに回動させられると、ストラ
ツト３６およびピン３４により両ブレーキシユー
１６，１８が互いに拡開されて前記回転ドラムの
内周面に押し付けられることにより制動が行われ
る。なお、かかるパーキングブレーキ作動は良く
知られたものであるとともに、本考案の理解に必
ずしも必要ではないため、その詳細な説明は省略
する。また、３８，４０は、両ブレーキシユー１
６，１８の連結部材２８と反対側の各端部をアン
カピン２４の側面とそれぞれ当接する方向へ常時
付勢することにより、それらブレーキシユー１
６，１８を縮径させるリターンスプリングであ
る。

次に、上記シユーホルドダウン装置２０，２２
について詳細に説明する。なお、各シユーホルド
ダウン装置２０，２２は同様に構成されているた
め、以下の説明は一方のシユーホルドダウン装置
２０についてのみ行うこととする。

シユーホルドダウン装置２０は、第１図に示す
ように、シユーホルドダウンピン４２と、全体と
して円板状を成す一対のカツプ４４，４６と、コ
イルスプリング４８とから成る。シユーホルドダ
ウンピン４２は、第１図および第２図に示すよう
に、中間部が略Ｕ字状に曲成されることにより軸
心に対して直角な方向へ突き出す突出部５０が一
体に設けられた軸部５２と、その軸部５２の一端
が軸心と直角な方向から押し潰されることにより
軸部５２に一体に形成され、板面方向Ｘが前記突
出部５０の突出し方向Ｙと略直角な状態で軸部５
２から所定距離突き出す半円形状かつ偏平な板状
の頭部５４とを有し、その頭部５４と反対側の端
部においてバツキングプレート１０に形成された
貫通穴５６に抜けが阻止された状態で揺動可能に
取り付けられているとともに、前記軸部５２の径
より僅かに大きい幅寸法を有してシユーウエブ１
２の長手方向中央部に内周側に向かつて開口する
ように形成された切欠５８内に、前記突出部５０
がその突出し方向がシユーウエブ１２内周方向に
位置する状態で挿通させられている。これによ
り、シユーホルドダウンピン４２は突出部５０と
切欠５８の幅方向両内壁面との当接に基づいて軸
心まわりの回転が阻止されて頭部５４の板面方向
がシユーウエブ１２周方向に常時位置させられて
いるとともに、突出部５０の存在によつてパーキ
ングレバー３２の第１図中右方向への回動時にパ
ーキングレバー３２によりシユーホルドダウンピ
ン４２がシユーウエブ１２内周方向へ押動される
ことが回避される。

上記カツプ４４，４６の中央部には前記軸部５
２がそれぞれ挿通させられているとともに、これ
らカツプ４４，４６間には、前記コイルスプリン
グ４８が、カツプ４４，４６との軸心と直角な方
向の相対移動がそれぞれ殆ど阻止された状態で且
つシユーホルドダウンピン４２の軸部５２が内部
を挿通する状態で、所定の予荷重が付与されて介
装されている。これにより、カツプ４４はシユー
ウエブ１２周方向に略位置する中心線上において
シユーホルドダウンピン４２の頭部５４と当接さ
せられることにより抜けが阻止された状態で装着
されているとともに、カツプ４６はシユーウエブ
１２と当接させられた状態で装着されている。し
たがつて、本実施例においては、カツプ４４が第
一カツプに、カツプ４６が第二カツプにそれぞれ
相当する。なお、上記カツプ４４のシユーウエブ
１２周方向の中心線上に位置する部分には図示し
ない凹所が形成されており、この凹所内に前記頭
部５４が嵌め入れられることにより、シユーホル
ドダウンピン４２とカツプ４４との軸心まわりの
相対回転が阻止されている。

シユーウエブ１２の前記切欠５８より外周側で
あつて且つ僅かに連結部材２８側の位置には矩形
状の係合穴６０が形成されている。一方、カツプ
４６には、その外周縁部から外周方向に延びた先
端においてカツプ４６の軸心と略平行な方向であ
つて且つバツキングプレート１０に向かつて突き
出す係合爪６２が形成されており、この係合爪６
２が前記係合穴６０内に挿入されている。これに
より、係合爪６２と係合穴６０の内周側との当接
に基づいてシユーホルドダウン装置２０のシユー
ウエブ１２内周方向への一定限度以上の相対移動
が阻止されるようになつている。

このように、本実施例によれば、シユーホルド
ダウンピン４２の頭部５４が偏平な板状とされて
いるとともに、その板面方向がシユーウエブ１２
周方向に常時位置させられることにより、カツプ
４４はシユーウエブ１２周方向に略位置する中心
線上において頭部５４と当接させられる。このた
め、前記係合爪６２と係合穴６０との係合により
シユーホルドダウン装置２０のシユーウエブ１２
内周方向への一定限度以上の相対移動が阻止され
ているにも拘らず、ドラムブレーキの種類等の如
何により、たとえ第３図に示すように、シユーホ
ルドダウンピン４２がシユーウエブ１２内周側に
向かつて傾斜させられつつシユーホルドダウン装
置２０がシユーウエブ１２と比較的大きく相対移
動させられたとしても、その頭部５４によりカツ
プ４４がシユーウエブ１２内周側に向かう程カツ
プ４６と接近する方向へ傾斜させられることが効
果的に抑制されて、カツプ４６に対するコイルス
プリング４８の付勢力が略均一に維持される。こ
の結果、シユーホルドダウンピン４２が前記切欠
５８の開口から飛び出していないにも拘らずカツ
プ４６がシユーウエブ１２内周縁を支点として大
きく傾斜（回動）させられることが効果的に防止
され、これにより、両カツプ４４，４６およびコ
イルスプリング４８のシユーウエブ１２上からの
脱落が従来に比べて一層確実に防止される。

また、本実施例によれば、頭部５４の板面方向
Ｘを単に突出部５０の突出し方向Ｙと直角に形成
するだけで良いため、部品点数および作業工数を
増大させることなく上記効果が得られる。

なお、前述の実施例においては、カツプ４６は
係合爪６２を有して構成されているが、かかる係
合爪６２が設けられていない場合においても、本
考案の効果が得られることは勿論である。

また、前述の実施例においては、パーキングブ
レーキ機構のみを備えたデユオサーボ型ドラムブ
レーキのシユーホルドダウン装置に本考案が適用
された場合について説明したが、必ずしもその必
要はなく、シユーウエブに内周側に向かつて開口
する切欠を有し、その切欠内にシユーホルドダウ
ンピンが挿通させられた状態で装着されるシユー
ホルドダウン装置を備えたドラムブレーキであれ
ば、本考案の効果を得ることが可能である。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第４図の−視断面の要部拡大図で
ある。第２図は第１図のシユーホルドダウンピン
の要部斜視図である。第３図は第１図のシユーホ
ルドダウン装置がシユーウエブ内周方向へ相対移
動させられた状態を示す図であつて、要部を示す
拡大図である。第４図は本考案が適用されたシユ
ーホルドダウン装置を備えたドラムブレーキの一
例を示す正面図である。 １０：バツキングプレート、１２，１４：シユ
ーウエブ、１６，１８：ブレーキシユー、２０，
２２：シユーホルドダウン装置、４２：シユーホ
ルドダウンピン、４４，４６：カツプ、４８：コ
イルスプリング、５０：突出部、５２：軸部、５
４：頭部、５８：切欠。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 バツキングプレート上に配設され、円弧状を成
   して長手方向中間部に内周側に向かつて開口する
   切欠が形成されたシユーウエブをそれぞれ有する
   一対のブレーキシユーを備えたドラムブレーキに
   おいて、 前記切欠の幅より僅かに小さい径を有する軸部
   と、該軸部の一端に設けられて該軸部から軸心と
   直角な方向へ突き出す頭部とを有し、該軸部の他
   端側において前記バツキングプレートに揺動可能
   に取り付けられるとともに前記軸部の中間部が前
   記シユーウエブの切欠内を挿通させられるシユー
   ホルドダウンピンと、 該シユーホルドダウンピンの軸部がそれぞれ挿
   通する状態で前記頭部と前記シユーウエブとの間
   に配設され、該頭部側に位置する第一カツプおよ
   び該シユーウエブ側に位置する第二カツプと、 該両カツプ間に所定の予荷重が付与された状態
   で介装されたコイルスプリングと を備え、前記ブレーキシユーを互いに拡開可能
   な状態で前記バツキングプレート上に支持するシ
   ユーホルドダウン装置であつて、 前記シユーホルドダウンピンの軸部に、該軸部
   の中間部をＵ字状に曲成することにより軸心に対
   して直角方向へ突き出し、前記切欠の幅方向両内
   壁面との当接に基づいて該シユーホルドダウンピ
   ンの軸心まわりの回転を阻止する突出部を一体に
   設けるとともに、前記シユーホルドダウンピンの
   頭部を、偏平な板状であつて且つその板面方向が
   前記突出部の突出し方向と略直角となるように形
   成したことを特徴とするドラムブレーキ用シユー
   ホルドダウン装置。