JPH0139945Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はデユオサーボ型ドラムブレーキの改良
に関するものである。

従来技術 デユオサーボ型ドラムブレーキの一種に、ブレ
ーキシユーに伝達された制動トルクがそのブレー
キシユーの当接端部に当接するアンカーピンによ
つて受けられるとともに、該アンカーピンの先端
部には該ブレーキシユーの当接端部の外れを阻止
するフランジ状のブレーキシユーガイドが設けら
れ、かつ該ブレーキシユーの当接端部がスプリン
グによりアンカーピンに向かつて付勢されている
形式のものがある。

かかる形式のデユオサーボ型ドラムブレーキに
おいては、通常、アンカーピンの先端部側におい
てその略軸線上にボルトが螺合されることにより
円板状のブレーキシユーガイドが固定されるとと
もに、そのボルトの頭部に突設された係合部とブ
レーキシユーとの間に前記スプリングが張設され
るようになつていた。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、かかるデユオサーボ型ドラムブ
レーキにおいては、前記係合部はいずれもアンカ
ーピンの軸線に略沿つて設けられているので、ド
ラムブレーキの設計時等において、スプリングの
一端部の係合位置は殆ど固定されてしまうことに
なる。したがつて、一対のスプリングが互いに成
す角度はブレーキシユーにおける各スプリングの
他端部の係合位置のみによつて殆ど決定され、そ
の角度の選択範囲は比較的制限されることとな
る。このため、ブレーキシユーのバランスを設定
するに際して、スプリングの付勢力に基づくブレ
ーキシユーのアンカーピンに対する押圧力等の選
択範囲が比較的狭くなるという問題があつたので
ある。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であり、その要旨とするところは、前記のような
形式のデユオサーボ型ドラムブレーキにおいて、
前記ブレーキシユーガイドを前記アンカーピンの
先端部外周に嵌合状態でかしめ着けるとともに、
前記スプリングを該ブレーキシユーガイドと前記
ブレーキシユーとの間に張設したことにある。

作用および考案の効果 このようにすれば、ブレーキシユーガイドがア
ンカーピンの先端部外周に嵌合状態でかしめ着け
られるとともに、そのブレーキシユーガイドとブ
レーキシユーとの間にスプリングが張設されてい
るので、アンカーピンの軸線から所定距離離れた
ブレーキシユーガイドの所望の部分にスプリング
の一端部を係合し得、ドラムブレーキの設計時等
においてブレーキシユーのバランスを設定するに
際して、一対のスプリングの成す角度の選択範
囲、ひいてはブレーキシユーのアンカーピンに対
する押圧力等の選択範囲を従来に比較して一層拡
大することができる。

また、ブレーキシユーガイドがアンカーピンの
先端部外周に嵌合状態でかしめ着けられるととも
に、そのブレーキシユーガイドとブレーキシユー
との間にスプリングが張設されているので、従来
のような、ブレーキシユーガイドを固定しかつス
プリングの一端を掛け止める係合部を有するボル
ト等が不要となるので、ドラムブレーキが全体と
してより安価に提供される。

また、スプリングがアンカーピンの先端部外周
に固定されたブレーキシユーガイドとブレーキシ
ユーとの間に張設されているので、アンカーピン
の軸線に略沿つて設けられた係合部とブレーキシ
ユーとの間にスプリングが張設される従来の場合
に比べてスプリングの長さを比較的短くし得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第２図において、バツキングプレート１０上に
は一対のブレーキシユー１２，１４がシユーホル
ドダウン装置１６，１８により拡開可能に取り付
けられている。ブレーキシユー１２，１４の各一
端部はアジヤスタ２０の両端部とそれぞれ係合さ
せられているとともに、図示しないスプリングの
付勢力により互いに接近する方向へそれぞれ付勢
されている。一方、ブレーキシユー１２，１４の
各他端部は一対のスプリング２２，２４の付勢力
により互いに接近する方向へそれぞれ付勢されて
おり、バツキングプレート１０上に固定されたア
ンカーピン２６にそれぞれ当接させられている。
ブレーキシユー１２のアンカーピン２６側には、
パーキングブレーキレバー２８がその一端部にお
いてピン３０により回動可能に取り付けられてい
るとともに、パーキングブレーキレバー２８の他
端部にはパーキングブレーキ操作に伴つて作動さ
せられるケーブル３２の一端部が連結されてい
る。また、ブレーキシユー１２およびパーキング
ブレーキレバー２８とブレーキシユー１４との間
にはストラツト３４が架け渡されている。

かかるデユオサーボ型ドラムブレーキにおい
て、ブレーキドラム３５を回転させる力が加えら
れた状態でケーブル３２が引つ張られると、パー
キングブレーキレバー２８の図中左回りの回動に
伴つて一対のブレーキシユー１２，１４がストラ
ツト３４を介してスプリング２２，２４の付勢力
に抗して互いに拡開させられて、各ブレーキシユ
ー１２，１４の外周面がブレーキドラム３５（第
１図参照）の内周面にそれぞれ押し付けられる。
このとき、ブレーキシユー１２，１４に伝達され
た制動トルクは、ブレーキドラム３５の回転方向
に対応してアジヤスタ２０を介してブレーキシユ
ー１２，１４のいずれか一方の当接端部とアンカ
ーピン２６との当接に基づいてアンカーピン２６
の外周面にて受けられる。これにより、ブレーキ
ドラム３５の回転が抑制される。

前記アンカーピン２６は、第１図に示すよう
に、全体として略円筒状に形成されており、その
先端部側の外周面にブレーキシユー１２，１４が
当接させられているとともに、その先端部にはア
ンカーピン２６の軸心と平行な方向に延び出す薄
肉部３６が形成されている。薄肉部３６の外周側
には薄肉部３６の外周径と略同様の径を有する貫
通穴が形成された全体として円形かつ板状のブレ
ーキシユーガイド３８が嵌合されているととも
に、薄肉部３６の突出端が径方向外側に向かつて
曲成されることにより、ブレーキシユーガイド３
８がその内周側においてアンカーピン２６の先端
部にかしめ着けられている。ブレーキシユーガイ
ド３８にはその外周側であつてかつ互いに所定角
度Ａ（第２図参照）を隔てた位置において一対の
係合突起４０，４２が軸心と平行な方向にそれぞ
れ突設されている。そして、ブレーキシユーガイ
ド３８は係合突起４０，４２が一対のブレーキシ
ユー１２，１４の対称軸ａに対して略対称となる
状態で配設されており、係合突起４０，４２とブ
レーキシユー１２，１４のアンカーピン２６側の
端部近傍にそれぞれ形成された穴４４，４６との
間にスプリング２２，２４がそれぞれ張設されて
いる。なお、本実施例においては、ブレーキ非作
動状態においてスプリング２２，２４の軸線がア
ンカーピン２６の軸線Ｏと略交差するようにスプ
リング２２，２４がそれぞれ張設されるようにな
つている。しかし、スプリング２２，２４は必ず
しもそのように張設される必要はない。

このように構成されたデユオサーボ型ドラムブ
レーキにおいては、ブレーキシユーガイド３８が
アンカーピン２６の薄肉部３６に嵌合状態でかし
め着けられるとともに、そのブレーキシユーガイ
ド３８の外周側に突設された係合突起４０，４２
とブレーキシユー１２，１４の穴４４，４６との
間にスプリング２２，２４が張設されているの
で、ブレーキシユーガイド３８の周方向の所望の
位置に係合突起４０，４２を形成することによつ
て前記角度Ａの選択範囲を従来に比べて一層大き
く確保し得、ドラムブレーキの設計時等において
ブレーキシユー１２，１４のバランスを設定する
に際して、一対のスプリング２２，２４の成す角
度Ａの選択範囲、ひいてはブレーキシユー１２，
１４のアンカーピン２６に対する押圧力等の選択
範囲を従来に比較して一層拡大することができ
る。

また、前述の実施例によれば、ブレーキシユー
ガイド３８がアンカーピン２６の薄肉部３６に嵌
合状態でかしめ着けられるとともに、そのブレー
キシユーガイド３８の外周側に突設された係合突
起４０，４２とブレーキシユー１２，１４の穴４
４，４６との間にスプリング２２，２４が張設さ
れているので、従来のような、ブレーキシユーガ
イドを固定しかつスプリングの一端を掛け止める
ための係合部を有するボルト等が不要となつて、
ドラムブレーキが全体としてより安価に提供され
る。なお、従来の場合の係合部を有するボルトに
は、通常、錆防止等の目的で所定のメツキが施さ
れており、このため、このようなボルトは比較的
コストの高いものとなつていた。したがつて、ボ
ルトが不要となることによつて、ドラムブレーキ
のコスト低減が一層有効に行われることになる。

また、前述の実施例によれば、スプリング２
２，２４がブレーキシユーガイド３８の外周側に
突設された係合突起４０，４２とブレーキシユー
１２，１４の穴４４，４６との間に張設されてい
るので、アンカーピンの軸線に略沿つて設けられ
た係合部とブレーキシユー１２，１４との間にス
プリングが張設される従来の場合に比べてスプリ
ング２２，２４の長さを比較的短くし得るという
利点がある。

また、前述の実施例によれば、アンカーピン２
６は円筒状に形成されているので、たとえば、ブ
レーキドラムの回転を検知するためのABS（アン
チロツク・ブレーキ・システム）センサ等をアン
カーピン２６の内部の空間に設置することが可能
となる。

なお、前述の実施例においてアンカーピン２６
は必ずしも円筒状の部材である必要はなく、中実
の部材であつても良い。要するに、少なくともア
ンカーピンの先端部においてブレーキシユーガイ
ド３８を嵌合状態でかしめ着け得るものであれば
良い。

また、前述の実施例において係合突起４０，４
２はブレーキシユーガイド３８の軸心と平行な方
向において突設されているが、所定角度傾斜した
状態で突設されていても良いし、あるいはブレー
キシユーガイド３８と同一平面内において突設さ
れていても良い。

また、前記係合突起４０，４２は必ずしも必要
なものではなく、ブレーキシユーガイド３８の所
定部分に貫通穴を形成し、その貫通穴にスプリン
グ２２，２４の一端部が係合させられる場合には
省略しても差し支えない。要するに、ブレーキシ
ユーガイドとブレーキシユー１２，１４との間に
スプリング２２，２４が張設されておれば良いの
である。

また、前述の実施例においては、本考案がパー
キングブレーキレバー２８のみを備えたデユオサ
ーボ型ドラムブレーキに適用された場合について
説明したが、本考案はホイールシリンダを備えた
デユオサーボ型ドラムブレーキ、あるいはパーキ
ングブレーキレバーおよびホイールシリンダを備
えたデユオサーボ型ドラムブレーキにおいても適
用し得ることは勿論である。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図における−視断面の要部を
拡大して示す図である。第２図は本考案が適用さ
れたデユオサーボ型ドラムブレーキの要部を示す
正面図である。 １２，１４：ブレーキシユー、２２，２４：ス
プリング、２６：アンカーピン、３８：ブレーキ
シユーガイド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ブレーキシユーに伝達された制動トルクがその
   ブレーキシユーの当接端部に当接するアンカーピ
   ンによつて受けられるとともに、該アンカーピン
   の先端部には該ブレーキシユーの当接端部の外れ
   を阻止するフランジ状のブレーキシユーガイドが
   設けられ、かつ該ブレーキシユーの当接端部がス
   プリングによりアンカーピンに向かつて付勢され
   ている形式のデユオサーボ型ドラムブレーキにお
   いて、 前記ブレーキシユーガイドを前記アンカーピン
   の先端部外周に嵌合状態でかしめ着けるととも
   に、前記スプリングを該ブレーキシユーガイドと
   前記ブレーキシユーとの間に張設したことを特徴
   とするデユオサーボ型ドラムブレーキ。