JPH032026Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はドラムブレーキの回転ドラムとブレー
キシユーとの間の間隙（以下、シユー間隙とい
う）を自動的に調節するドラムブレーキ用シユー
間隙自動調節装置に関するものである。

従来技術 従来より、互いに接近離隔させられる一対のブ
レーキシユーが両ブレーキシユーのシユーウエブ
間に架け渡されたストラツトによつて内周側から
支えられる形式のドラムブレーキが提供されてい
る。かかるドラムブレーキの一種に、先端に係合
歯を有し、ブレーキシユーの一方のシユーウエブ
に回動可能に取り付けられ且つ前記ストラツトの
一端と係合させられたアジヤストレバーと、前記
一方のブレーキシユーのシユーウエブに設けられ
た嵌合穴内に一端が遊嵌されて抜止めが施された
ピンと、先端に掛止歯を有してそのピンの他端側
において回動可能に取り付けられ、前記アジヤス
トレバーの係合歯と該掛止歯との係合によりアジ
ヤストレバーのシユー間隙拡大方向の回動は阻止
するがシユー間隙縮小方向の回動は許容するアジ
ヤストラツチと、コイル部とその両端から互いに
所定角度を成して延びる一対の係合部とを有し、
そのコイル部において前記ピンの他端側先端に取
り付けられるとともに係合部の一方が前記アジヤ
ストラツチと係合させられ且つ係合部の他方が前
記ブレーキシユーと係合させられることによりア
ジヤストラツチを前記アジヤストレバーと係合す
る回転方向へ常時付勢するトーシヨンスプリング
とを備え、シユー間隙を自動調節するシユー間隙
自動調節装置が設けられたものがある。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、かかるシユー間隙自動調節装置
においては、前記ピンがシユーウエブの嵌合穴内
に遊嵌状態で取り付けられていることに起因し
て、ストラツトを介してアジヤストレバーに作用
させられたシユー間隙拡大方向の力がアジヤスト
ラツチにより受け止められたとき、前記ピンに倒
れが生じてアジヤストラツチの掛止歯側が前記シ
ユーウエブから離隔させられ、これにより、アジ
ヤストレバーの係合歯とアジヤストラツチの掛止
歯との噛合い面積が充分に得られなくなる場合が
あつた。このような場合には、それら係合歯およ
び掛止歯の強度が損なわれる場合があつた。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であり、その要旨とするところは、前記のような
ドラムブレーキ用シユー間隙自動調節装置であつ
て、前記トーシヨンスプリングの他方の係合部と
前記一方のブレーキシユーとの係合位置を、前記
アジヤストラツチの掛止歯側を一方のブレーキシ
ユーのシユーウエブに接近する方向へ付勢する付
勢力が発生する位置に設定したことにある。

作用および考案の効果 このようにすれば、トーシヨンスプリングに発
生させられた前記付勢力によりアジヤストラツチ
の掛止歯側が一方のブレーキシユーのシユーウエ
ブに接近する方向へ付勢されるので、アジヤスト
ラツチの掛止歯側が前記シユーウエブから離隔さ
れるのを抑制し得る。この結果、アジヤストレバ
ーの係合歯とアジヤストラツチの掛止歯との噛合
い面積を従来に比べて一層確実に確保し得、それ
ら係合歯および掛止歯の強度を維持し得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づい詳
細に説明する。

第２図は本考案が適用されたシユー間隙自動調
節装置を備えたドラムブレーキの要部を示す図で
あつて、バツキングプレート１０上には一対のブ
レーキシユー１２，１４がシユーホルドダウン装
置１６，１８により互いに拡開可能に配設されて
いる。ブレーキシユー１２，１４の互いに近接す
る各一端部はバツキングプレート１０上に固定さ
れたアンカ２０の両側面とそれぞれ当接させられ
ているとともに、ブレーキシユー１２，１４の各
他端部はバツキングプレート１０上に固定された
ホイールシリンダ２２の両端部とそれぞれ係合さ
せられている。ブレーキシユー１２，１４のシユ
ーウエブ２４，２６間にはそれらを互いに接近す
る方向へ常時付勢するリターンスプリング２７が
張設されている。

ブレーキシユー１２のシユーウエブ２４には、
パーキングブレーキレバー２８がその一端部にお
いてピン３０により回動可能に取り付けられてお
り、パーキングブレーキレバー２８の他端部には
パーキングケーブル３２が連結されている。一
方、ブレーキシユー１４のシユーウエブ２６に
は、長手板状を成し、先端部に係合歯３４を有す
るアジヤストレバー３６がピン３８により回動可
能に取り付けられているとともに、掛止歯４０を
有するアジヤストラツチ４２がピン４４により回
動可能に取り付けられており、そのアジヤストラ
ツチ４２はトーシヨンスプリング４６により掛止
歯４０が前記係合歯３４と係合する回転方向（第
２図において右回り方向）へ常時付勢されてい
る。これにより、係合歯３４と掛止歯４０との係
合によりアジヤストレバー３６はシユー間隙拡大
方向（第２図中左まわり）の回動は阻止されてい
るがシユー間隙縮小方向（第２図中右まわり）の
回動は許容されている。アジヤストラツチ４２の
取付位置、係合歯３４および掛止歯４０の形状等
が予めそのように決定されているのである。

ブレーキシユー１２，１４の各シユーウエブ２
４，２６間には、第２図および第３図に示すよう
に、ストラツト４８が架け渡されており、このス
トラツト４８とシユーウエブ２４との間にはスト
ラツト４８をブレーキシユー１２側へ常時付勢す
るスプリング４９が張設されている。このため、
ホイールシリンダ２２によりブレーキ１２，１４
が拡開されるときには、ストラツト４８はブレー
キシユー１２と共にブレーキシユー１４から離隔
する方向へ移動させられる。ストラツト４８の両
端部には、第３図に示すように、一対の切欠５
０，５２がそれぞれ形成されており、切欠５０の
内部にはシユーウエブ２４およびパーキングブレ
ーキレバー２８が嵌め入れられているとともに、
切欠５２の内部にはシユーウエブ２６およびアジ
ヤストレバー３６が嵌め入れられている。アジヤ
ストレバー３６の中間部には係合穴５４が形成さ
れており、その係合穴５４内にストラツト４４の
一端に突設された係合突起５６が所定の遊びを有
して係合させられている。

以上のように構成されたドラムブレーキの非制
動時においては、シユーウエブ２４およびアジヤ
ストレバー３６の互いに略対向する各側壁と前記
切欠５０および５２の各底面５５および５７との
当接により、リターンスプリング２７の付勢力に
基づくブレーキシユー１２，１４の縮径が阻止さ
れているため、アジヤストラツチ４２には、アジ
ヤストレバー３６を介してリターンスプリング２
７の付勢力に対応し且つ第２図中右方に向かう力
が作用させられている。一方、パーキングブレー
キ操作時においては、ストラツト４８の切欠５２
の底面５７によりアジヤストレバー３６を第２図
において右方へ押圧しつつブレーキシユー１４が
リターンスプリング２７の付勢力に抗して外周側
へ押し出されることとなるため、アジヤストラツ
チ４２には、アジヤストレバー３６を介してパー
キングブレーキ操作力に対応し且つ第２図中右方
に向かう比較的大きな力が作用させられることと
なる。なお、本考案の理解に必ずしも必要でない
ため、上記ドラムブレーキの作動およびシユー間
隙自動調節装置の作動についての詳細な説明は省
略する。

ここで、上記ピン４４は、第１図に示すよう
に、その一端部がシユーウエブ２６に設けられた
嵌合穴５８内に所定の遊びを有して嵌合されてお
り、止め輪６０および皿ばね６２により抜止めが
施された状態でピン４４の他端側にアジヤストラ
ツチ４２が取り付けられている。前記トーシヨン
スプリング４６は、コイル部６４と、そのコイル
部６４の両端部から互いに所定角度を成して延び
る一対の係合部６６，６８とを有しており、コイ
ル部６４においてピン４４の他端側先端部に取り
付けられているとともに、一方の係合部６６はア
ジヤストラツチ４２と係合させられており且つ他
方の係合部６８はブレーキシユー１４のシユーリ
ム７０の幅方向一端部に形成された切欠７２と係
合させられている。これにより、トーシヨンスプ
リング４６には、アジヤストラツチ４２をアジヤ
ストレバー３６と係合させる回転方向に付勢する
付勢力が発生させられているとともに、アジヤス
トラツチ４２の掛止歯４０側をシユーウエブ２６
に接近させる方向（第１図においてＡ方向）へ付
勢する所定量の付勢力が発生させられている。こ
の所定量の付勢力は、ドラムブレーキの非制動時
およびパーキングブレーキ操作時においてアジヤ
ストレバー３６からアジヤストラツチ４２に第２
図中右方への力が作用したとき、ピン４４の第２
図中右方への倒れ、すなわちアジヤストラツチ４
２の掛止歯４０側端部がシユーウエブ２６から離
隔する方向のアジヤストラツチ４２の傾きを必要
かつ充分に抑制し得る付勢力であつて、係合部６
８を前記切欠７２に係合させたときそのような付
勢力が得られるように、切欠７２の深さ寸法、ト
ーシヨンスプリング４６の形状および線径等が予
め決定されている。

このように本実施例によれば、トーシヨンスプ
リング４６の係合部６８とブレーキシユー１４と
の係合位置が、アジヤストラツチ４２の掛止歯４
０側をシユーウエブ２６に接近する方向へ付勢す
る付勢力が発生する位置に設定されているので、
パーキングブレーキ操作時等においてアジヤスト
レバー３６のシユー間隙拡大方向の比較的大きな
回動力がアジヤストラツチ４２に作用させられた
場合においても、トーシヨンスプリング４６の前
記付勢力によりアジヤストラツチ４２の掛止歯４
０側がシユーウエブ２６から離隔させられること
が効果的に抑制される。この結果、アジヤストレ
バー３６の係合歯３４とアジヤストラツチ４２の
掛止歯４０との噛合い面積が従来に比べて一層確
実に確保され、それら係合歯３４および掛止歯４
０の強度が維持される。

また、本実施例によれば、従来と略同様のトー
シヨンスプリング４６の係合部６８を単にシユー
リム７０に設けられた切欠７２と係合させるだけ
で、部品点数および作業工数を増大させることな
く上述の効果が得られる利点がある。

なお、前述の実施例においてシユーリム７０の
切欠７２は必ずしも必要なものではなく、トーシ
ヨンスプリング４６の係合部６８をシユーリム７
０の幅方向側端面と直接係合させても良い。

また、前述の実施例においては、トーシヨンス
プリング４６の係合部６８はシユーリム７０と係
合させられているが、必ずしもその必要はなく、
たとえば第１図において一点鎖線で示すように、
係合部７４をシユーウエブ２６の側面と当接させ
ることにより、トーシヨンスプリング４６に前記
Ａ方向の付勢力を生じさせるようにしても良い。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図の−視断面の要部を示す図
である。第２図は本考案が適用されたシユー間隙
自動調節装置を備えたドラムブレーキの要部を示
す正面図である。第３図は第２図の−視断面
の要部を示す図である。 １２，１４……ブレーキシユー、２６……シユ
ーウエブ、３４……係合歯、３６……アジヤスト
レバー、４０……掛止歯、４２……アジヤストラ
ツチ、４４……ピン、４６……トーシヨンスプリ
ング、４８……ストラツト、５８……嵌合穴、６
４……コイル部、６６，６８，７４……係合部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 互いに接近離隔させられる一対のブレーキシユ
   ーが該ブレーキシユーのシユーウエブ間に架け渡
   されたストラツトによつて内周側から支えられる
   形式のドラムブレーキにおいて、先端に係合歯を
   有し、該ブレーキシユーの一方のシユーウエブに
   回動可能に取り付けられ且つ前記ストラツトの一
   端と係合させられたアジヤストレバーと、前記一
   方のブレーキシユーのシユーウエブに設けられた
   嵌合穴内に一端が遊嵌されて抜止めが施されたピ
   ンと、先端に掛止歯を有して該ピンの他端側にお
   いて回動可能に取り付けられ、前記アジヤストレ
   バーの係合歯と該掛止歯との係合により該アジヤ
   ストレバーのシユー間隙拡大方向の回動は阻止す
   るがシユー間隙縮小方向の回動は許容するアジヤ
   ストラツチと、コイル部とその両端から互いに所
   定角度を成して延びる一対の係合部とを有し、該
   コイル部において前記ピンの他端側先端に取り付
   けられるとともに該係合部の一方が前記アジヤス
   トラツチと係合させられ且つ該係合部の他方が前
   記ブレーキシユーと係合させられることにより該
   アジヤストラツチを前記アジヤストレバーと係合
   する回転方向へ常時付勢するトーシヨンスプリン
   グとを備え、シユー間隙を自動調節するシユー間
   隙自動調節装置であつて、 前記トーシヨンスプリングの他方の係合部と前
   記一方のブレーキシユーとの係合位置を、前記ア
   ジヤストラツチの掛止歯側を該一方のブレーキシ
   ユーのシユーウエブに接近する方向へ付勢する付
   勢力が発生する位置に設定したことを特徴とする
   ドラムブレーキ用シユー間隙自動調節装置。