JPS628658Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用ドラムブレーキに関するもので
ある。

バツクプレートに設けたホイールシリンダとア
ンカーとに一対のブレーキシユーの夫々のシユー
ウエブ端部を当接してホイールシリンダによつて
両シユーを拡開し、車輪と一体回転しているブレ
ーキドラムにライニングを摺接せしめることによ
り制動を行なうドラムブレーキにおいて、ブレー
キシユーに対するホイールシリンダの作動力が解
除されたときは、リターンスプリングによつて拡
開しているブレーキシユーを復帰させてライニン
グをブレーキドラムから引き離している。

このリターンスプリングは安価でかつセツト荷
重が設定しやすいため、一般にはコイルスプリン
グが用いられているが、小型のドラムブレーキに
おいては、オートアジヤスタ装置やパーキング装
置等のセツテイングの関係からコイルスプリング
を縮設するスペースがないため、比較的高価でセ
ツト荷重の設定のむずかしいＵ字型のリターンス
プリングが用いられている。

しかし、このＵ字型のリターンスプリングは、
両端をＬ字型に屈曲して、シユーウエブに形成し
た係合孔に係合するため、両先端がバツクプレー
トに突当ることがある。そこでこの両端に曲げ加
工を施すか、あるいは切削加工を施して、折曲部
あるいは切欠きをシユーウエブに係合してバツク
プレートとの干渉を防止しているが、曲げ加工の
場合には両端に折曲部を形成することが比較的容
易でなく、かつシユーウエブに確実に係止できる
ように形成することが困難であり、又切削加工の
場合には、Ｕ字型リターンスプリングを所定形状
に形成することと、両端に切欠きを形成すること
とを別工程で行なう必要があり、かつ切欠き部に
おけるスプリングの強度が問題となる等の欠点が
ある。

本考案は、上記の点に鑑み考案されたもので、
Ｕ字型のリターンスプリングの両端をバツクプレ
ート方向に折曲し、該端部にスプリング径より大
径の大径部を一体形成するとともに、シユーウエ
ブに前記リターンスプリングの大径部を挿通する
大径孔と該大径孔に連続してシユー内方にそれよ
り小径の小径孔を夫々形成し、かつシユーリムよ
り小径孔と設定間隙をおいて対向する折曲片を折
曲形成して、前記リターンスプリングを該折曲片
の側縁に当接せしめ、Ｕ字型のリターンスプリン
グの両端加工を簡単にするとともに、該リターン
スプリングの位置規制を行ない、もつて他部品、
例えばアジヤストレバー、シユーホールドスプリ
ング、パーキングレバー及びバツクプレート等と
の干渉を回避したことにある。

以下、図示の実施例について説明する。

先ず第１図乃至第３図に示す一実施例について
説明すると、１はバツクプレートで、第１図にお
いて上方位置にホイールシリンダ２が固設される
とともに下方位置にアンカーブロツク３とアンカ
ーブラケツト４からなるアンカー５がリベツト６
にて固定されている。

７，８は一対のブレーキシユーで、バツクプレ
ート１に植設したシユーホールドピン９，１０に
両シユー７，８のシユーウエブ７ａ，８ａをシユ
ーホールドスプリング１１，１２を介して弾持
し、両シユー７，８を摺動可能に設け、シユーウ
エブ７ａ，８ａの一端をホイールシリンダ２のピ
ストン１３，１４に夫々当接し、他端をアンカー
ブロツク３の左右端に夫々当接し、アンカーブラ
ケツト４の両翼によつてこの他端の浮上りを防止
し、ピストン１３，１４を作動させることにより
両シユー７，８を拡開して夫々のシユー７，８の
シユーリム７ｂ，８ｂに夫々固着したライニング
１５，１６をブレーキドラム（図示せず）に摺接
させる。

１７はアンカースプリングである。

１８は両端をシユーウエブ７ａ，８ａに夫々当
接したストラツト、１９はストラツト１８に設け
たアジヤストギヤ、２０は先端をアジヤストギヤ
１９に係合して該ギヤ１９を回転させ制動間隙を
調整するアジヤストレバーで、シユーウエブ７ａ
に回動自在に設けられ、一端をシユーウエブ７ａ
に係止したアジヤストレバースプリング２１の他
端を係止している。２２は一端をシユーウエブ８
ａに回動自在に設けたパーキングレバーで、他端
に設けたパーキングケーブル（図示せず）を引張
ることによつてストラツト１８を押動し、一対の
ブレーキシユー７，８を拡開してパーキングブレ
ーキをかける。

２３はＵ字型のリターンスプリングで、シユー
ウエブ７ａ，８ａに夫々形成した係合孔２４に両
先端を係合している。このリターンスプリング２
３の両先端は潰されて第２図に示される如く大径
部２３ａが形成されており、一方係合孔２４は第
３図に示す如く、前記大径部２３ａが挿通される
大径孔２４ａとこれよりも小径でリターンスプリ
ング２３の軸部が挿通される小径孔２４ｂとから
形成され、Ｕ型のリターンスプリング２３をやゝ
拡げて大径部２３ａを係合孔２４の大径孔２４ａ
に挿通させ、該スプリングの拡開を閉じて該スプ
リング２３の軸部を小径孔２４ｂに係合し、大径
部２３ａが小径孔２４の周縁に当接して、リター
ンスプリング２３のシユーウエブ７ａ，８ａから
脱落を防止している。２５はＵ字型のリターンス
プリング２３の略中央部を係止する係合片で、ア
ンカーブラケツト４に掛止されている。

２６，２７はシユーリム７ｂ，８ｂの一部をド
ラム内方向に突出形成した折曲片で、シユーウエ
ブ７ａ，８ａの係合孔２４，２４にリターンスプ
リング２３の両端を係合したときに、該スプリン
グ２３の下側が該折曲片の上側縁に当接する如
く、シユーウエブ７ａ，８ａ上に夫々突出させ
る。

従つてリターンスプリング２３のバツクプレー
ト１方向への動きは該折曲片２６，２７によつて
規制され、又反対方向への動きはリターンスプリ
ング２３の先端大径部２３ａによつて規制され
る。

本考案は以上のように、Ｕ字型のリターンスプ
リングのバツクプレート方向に折曲した両端に、
係止部となる大径部を一体形成しただけであるか
ら、該リターンスプリングの両端加工が簡単とな
り、製造コストも低減できるとともに、この大径
部を挿通する大径孔とこれに連続する小径孔をシ
ユーウエブに形成し、一方、シユーリムに小径孔
と設定間隙をおいて対向する折曲片を形成してリ
ターンスプリングを折曲片の側縁に当接せしめた
から、Ｕ字型のリターンスプリングのバツクプレ
ート方向及びそれと反対方向への動きが規制さ
れ、もつてバツクプレート、アジヤストレバー、
シユーホールドスプリング及びパーキングレバー
等の他部品との干渉を回避でき、更にこの折曲片
にバツクプレート方向の弾力性を持たすことによ
り、リターンスプリングの係止部（両先端及び略
中央部）のがたつきを確実に防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示すも
ので、第１図はドラムブレーキの正面図、第２図
は第１図−断面図、第３図はブレーキシユー
に形成された折曲片の斜視図である。 １はバツクプレート、７，８はブレーキシユ
ー、７ａ，８ａはシユーウエブ、７ｂ，８ｂはシ
ユーリム、２３はＵ字型のリターンスプリング、
２４は係合孔、２６，２７は折曲片である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端をバツクプレートに固設したホイールシリ
   ンダに当接し、他端をバツクプレートに固設した
   アンカーに当接してバツクプレートに摺動可能に
   支持された一対のブレーキシユーに、Ｕ字型のリ
   ターンスプリングの両端を夫々ホイールシリンダ
   側に係止して縮設し、その略中央部をアンカーに
   保持したドラムブレーキにおいて、前記リターン
   スプリングの両端をバツクプレート方向に折曲
   し、該端部にスプリング径より大径の大径部を一
   体形成するとともに、シユーウエブに前記リター
   ンスプリングの大径部を挿通する大径孔と該大径
   孔に連続してシユー内方にそれより小径の小径孔
   を夫々形成し、かつシユーリムより小径孔と設定
   間隙をおいて対向する折曲片を折曲形成して、前
   記リターンスプリングを該折曲片の側縁に当接せ
   しめたことを特徴とする車両用ドラムブレーキ。