JPH066295Y2 - デュオサ−ボ型ドラムブレ−キのケ−ブルガイド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はデュオサーボ型ドラムブレーキに関するもので
ある。

従来技術 バッキングプレート上に互いに拡開可能に配設された一
対のブレーキシューと、それらブレーキシューの相対向
する各一端部を連結する連結機構と、前記バッキングプ
レート上に固定され、前記ブレーキシューの他端部が当
接させられることによりそれらブレーキシューに伝達さ
れた制動トルクを受け止めるアンカ部材と、前記バッキ
ングプレートに設けられた貫通穴を通して導入され、一
端が前記ブレーキシューの一方に設けられたパーキング
ブレーキレバーに接続されたパーキングケーブルと、前
記バッキングプレートの内周部と前記一方または他方の
ブレーキシューとの間に張設されることによりその一方
または他方のブレーキシューを他方または一方のブレー
キシューに向かって付勢する引張りコイルスプリングと
を備えたデュオサーボ型ドラムブレーキが知られてい
る。

前記バッキングプレートの内周部には、そのバッキング
プレートから所定距離離れた位置において前記パーキン
グケーブルを前記パーキングブレーキレバーと前記貫通
穴との間において案内するケーブルガイドが固定されて
いる。そして、このケーブルガイドには、通常、パーキ
ングケーブルの軸心と直角な方向において両側に位置す
る部分にバッキングプレートから離隔する方向へそれぞ
れ突き出す脱落防止部が設けられており、これら脱落防
止部によりパーキングケーブルのケーブルガイド上から
の脱落が防止されるようになっている。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、かかるデュオサーボ型ドラムブレーキに
おいては、通常、バッキングプレートの内周部に引張り
コイルスプリングの一端を引っ掛けるための掛止部材を
溶接等により固定する必要があった。このため、部品点
数およびデュオサーボ型ドラムブレーキの製造工数を比
較的多く要するとともに、それに伴ってデュオサーボ型
ドラムブレーキの重量および製造コストを充分に低減し
得ないなどの問題があったのである。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景として為されたものであっ
て、その目的とするところは、従来の掛止部材の機能を
兼ね備えることにより部品点数等を低減し得るケーブル
ガイドを提供することにある。かかる目的を達成するた
めに、本考案は、前記のようなデュオサーボ型ドラムブ
レーキにおいて、前記バッキングプレートの内周部に固
定され、そのバッキングプレートから所定距離離れた位
置において前記パーキングケーブルを前記パーキングブ
レーキレバーと貫通穴との間において案内するととも
に、そのパーキングケーブルの軸心と直角な方向におい
て両側に位置する部分にバッキングプレートから離隔す
る方向へそれぞれ突き出してパーキングケーブルの脱落
を防止する脱落防止部が設けられたケーブルガイドであ
って、そのケーブルガイドの前記両側のうち一方の側に
位置する脱落防止部に、前記引張りコイルスプリングの
一端を引っ掛けるための掛止部を設けたことを特徴とす
る。

作用および考案の効果 このようにすれば、ケーブルガイドの前記両側に設けら
れた脱落防止部のうち一方の側に位置する脱落防止部に
掛止部が設けられており、この掛止部に引張りコイルス
プリングの一端が引っ掛けられるので、従来のような掛
止部材をケーブルガイドとは別個にバッキングプレート
上に設ける必要がなくなる。これにより、従来に比べて
部品点数およびデュオサーボ型ドラムブレーキの製造工
数を低減し得るとともに、それに伴ってデュオサーボ型
ドラムブレーキの重量および製造コストを比較的低減し
得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて詳細に説
明する。

第３図において、バッキングプレート１０上には一対の
ブレーキシュー１２，１４がシューホルドダウン装置１
６，１８により所定の押圧力でバッキングプレート１０
に向かって押圧された状態で互いに拡開可能に支持され
ている。ブレーキシュー１２，１４の相対向する各一端
部は、アジャスタ２０の両端部とそれぞれ係合させられ
ているとともに、図示しないスプリングにより互いに接
近する方向へ付勢されている。このアジャスタ２０は、
その軸心方向長さが可変な状態で両ブレーキシュー１
２，１４の各一端部間を連結するものであって、本実施
例における連結機構を構成している。一方のブレーキシ
ュー１２，１４の各他端部は、バッキングプレート１０
上に固定されたアンカピン２２の側面にそれぞれ当接さ
せられるようになっているとともに、そのアンカピン２
２と両ブレーキシュー１２，１４との間にそれぞれ張設
されたリターンスプリング２４，２６により互いに接近
する方向へ常時付勢されている。このアンカピン２２が
本実施例におけるアンカ部材を構成している。一方のブ
レーキシュー１２の他端部側（アンカピン２２側）に
は、パーキングブレーキレバー２８がその一端部におい
て回動可能に取り付けられており、このパーキングブレ
ーキレバー２８の他端部にはバッキングプレート１０に
設けられた貫通穴３０を通して導入されたパーキングケ
ーブル３２の一端が接続されている。そして、一方のブ
レーキシュー１２およびパーキングブレーキレバー２８
と他方のブレーキシュー１４との間にはストラット３４
が架け渡されている。

バッキングプレート１０の内周部であってパーキングブ
レーキレバー２８の前記他端部と前記貫通穴３０との間
にはケーブルガイド３６が固定されている。ケーブルガ
イド３６は、一枚の板材から曲成されたものであって、
第１図および第２図に示すように、バッキングプレート
１０に溶接等によりそれぞれ固着される一対の固定部３
８，４０と、固定部３８，４０の相対向する各一端から
バッキングプレート１０から離隔する方向へそれぞれ延
びる一対の延出部４２，４４と、それら延出部４２，４
４の各先端をバッキングプレート１０と略平行な状態で
連結する連結部４６と、連結部４６のバッキングプレー
ト１０内周側に位置する側面からバッキングプレート１
０から離隔する方向へ所定距離突き出す内側突出部４８
と、固定部４０のバッキングプレート１０外周側に位置
する側面からバッキングプレート１０から離隔する方向
へ所定距離突き出す外側突出部５０とを備えて構成され
ており、パーキングケーブル３２はバッキングプレート
１０から所定距離離れた連結部４６上において前記内側
突出部４８と外側突出部５０とによりその連結部４６上
からの脱落が防止された状態でパーキングブレーキレバ
ー２８の他端部と貫通穴３０との間において案内される
ようになっている。したがって、上記内側突出部４８お
よび外側突出部５０が本実施例の脱落防止部を構成して
いる。

上記内側突出部４８の先端部には板厚方向に貫通する掛
止穴５２が形成されており、この掛止穴５２およびブレ
ーキシュー１２のアジャスタ２０側の端部近傍に設けら
れた掛止穴５４に引張りコイルスプリング５６の両端が
それぞれ引っ掛けられている。この引張りコイルスプリ
ング５６により一方のブレーキシュー１２が他方のブレ
ーキシュー１４側に向かって付勢されている。したがっ
て、本実施例においては、上記掛止穴５２が掛止部に相
当する。

以上のように構成されたドラムブレーキアッセンブリ
は、そのバッキングプレート１０の内周部において車両
の非回転部材に固定されるとともに、有底円筒状を成す
回転ドラム（図示せず）がその内周面がブレーキシュー
１２，１４の外周面と僅かな間隙を隔てて対向する状態
で前記非回転部材に回転可能に設けられることにより、
デュオサーボ型ドラムブレーキが組み立てられることと
なる。なお、第３図において、Ａは前記回転ドラムの車
両前進時における回転方向を示しており、引張りコイル
スプリング５６により一方のブレーキシュー１２（セカ
ンダリーシュー）が他方のブレーキシュー１４（プライ
マリーシュー）側に向かって付勢されることに基づい
て、前記Ａ方向への回転時における非制動時においてブ
レーキの引きずりが効果的に防止されるようになってい
る。また、かかるデュオサーボ型ドラムブレーキの作動
は本考案の理解に必ずしも必要ではないとともに良く知
られたものであるため、その詳細な説明は省略する。

このように本実施例によれば、ケーブルガイド３６の脱
落防止部の一つである内側突出部４８に掛止穴５２が設
けられており、この掛止穴５２に引張りコイルスプリン
グ５６の一端が掛止されるようになっているので、従来
のように引張りコイルスプリングの一端を引っ掛けるた
めの掛止部材をケーブルガイドとは別にバッキングプレ
ート１０上に設ける必要がないのである。これにより、
従来に比べて部品点数およびデュオサーボ型ドラムブレ
ーキの製造工数が低減されるとともに、それに伴ってデ
ュオサーボ型ドラムブレーキの重量および製造コストが
比較的低減される。

また、本実施例によれば、前記掛止穴５２は、ケーブル
ガイド３６を成形するに際して一枚の板材から曲成前の
中間品をプレス加工により打ち抜く際に同時に形成され
るため、ケーブルガイド３６の成形工数を増大させるこ
とがない利点がある。

なお、前述の実施例において、掛止部は掛止穴５２にて
構成されているが、脱落防止部に他方のブレーキシュー
に向かって開口するように設けられた切欠等であっても
良い。

また、前述の実施例において、内側突出部４８は連結部
４６に、外側突出部５０は固定部４０にそれぞれ設けら
れているが、必ずしもその必要はなく、固定部３８，４
０および連結部４６等の何れの位置に設けられても良
い。要するに、脱落防止部はケーブルガイドのパーキン
グケーブル軸心と直角な方向において両側に位置する部
分に少なくとも各一個づつ設けられておれば良いのであ
る。

また、前述の実施例において、内側突出部４８および外
側突出部５０は連結部４６および固定部５０にそれぞれ
一体に設けられているが、一体的に固着されていても良
い。

また、前述の実施例において、引張りコイルスプリング
５６はブレーキシュー１２をブレーキシュー１４側に向
かって付勢するように設けられているが、ブレーキシュ
ー１２がプライマリーシューであり且つブレーキシュー
１４がセカンダリーシューである場合には、ブレーキシ
ュー１４をブレーキシュー１２側に向かって付勢するよ
うに設けられることとなる。

また、前述の実施例においては、パーキングブレーキ機
構のみを備えたデュオサーボ型ドラムブレーキに本考案
が適用された場合について説明したが、必ずしもその必
要はなく、パーキングブレーキ機構およびサービスブレ
ーキ機構を備えたデュオサーボ型ドラムブレーキにおい
ても本考案を適用し得ることは勿論である。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲において種
々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第３図のＩ−Ｉ視断面の要部を拡大して示す図
である。第２図は第３図のII−II視断面の要部を拡大し
て示す図である。第３図は本考案が適用されたデュオサ
ーボ型ドラムブレーキの要部を示す正面図である。 １０：バッキングプレート １２，１４：ブレーキシュー ２０：アジャスタ（連結機構） ２２：アンカピン（アンカ部材） ２８：パーキングブレーキレバー ３０：貫通穴 ３２：パーキングケーブル ３６：ケーブルガイド ４８：内側突出部（脱落防止部） ５０：外側突出部（脱落防止部） ５２：掛止穴（掛止部） ５６：引張りコイルスプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】バッキングプレート上に互いに拡開可能に
   配設された一対のブレーキシューと、該ブレーキシュー
   の相対向する各一端部を連結する連結機構と、前記バッ
   キングプレート上に固定され、前記ブレーキシューの他
   端部が当接させられることにより該ブレーキシューに伝
   達された制動トルクを受け止めるアンカ部材と、前記バ
   ッキングプレートに設けられた貫通穴を通して導入さ
   れ、一端が前記ブレーキシューの一方に設けられたパー
   キングブレーキレバーに接続されたパーキングケーブル
   と、前記バッキングプレートの内周部と前記一方または
   他方のブレーキシューとの間に張設されることにより該
   一方または他方のブレーキシューを他方または一方のブ
   レーキシューに向かって付勢する引張りコイルスプリン
   グとを備えたデュオサーボ型ドラムブレーキにおいて、
   前記バッキングプレートの内周部に固定され、該バッキ
   ングプレートから所定距離離れた位置において前記パー
   キングケーブルを前記パーキングブレーキレバーと前記
   貫通穴との間において案内するとともに、該パーキング
   ケーブルの軸心と直角な方向において両側に位置する部
   分に該バッキングプレートから離隔する方向へそれぞれ
   突き出して該パーキングケーブルの脱落を防止する脱落
   防止部が設けられたケーブルガイドであって、 該ケーブルガイドの前記両側のうち一方の側に位置する
   脱落防止部に、前記引張りコイルスプリングの一端を引
   っ掛けるための掛止部を設けたことを特徴とするデュオ
   サーボ型ドラムブレーキのケーブルガイド。