JPH0219634Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はドラムブレーキの回転ドラムとブレー
キシユーとの間の間隙（シユー間隙）を自動的に
調節するために用いられるドラムブレーキ用シユ
ー間隙自動調節装置の改良に関するものである。

従来技術 従来より、互いに接近離隔させられる一対のブ
レーキシユーがそれらの間に位置するストラツト
によつて内周側から支えられる形式のドラムブレ
ーキにおいて、それらブレーキシユーの一方に回
動可能に取り付けられ、回動中心を中心とする第
１円弧に略沿つて複数の係合歯が形成され且つ前
記ストラツトの一端と係合させられたアジヤスト
レバーと、前記一方のブレーキシユーに回動可能
に取り付けられ、前記第１円弧と略同等の曲率半
径を有し且つその第１円弧と同一側へ湾曲する第
２円弧に略沿つて複数の係合歯が形成されるとと
もに、その係合歯と前記アジヤストレバーの係合
歯との係合に基づいてそのアジヤストレバーのシ
ユー間隙拡大方向の回動は阻止するがシユー間隙
縮小方向の回動は許容するアジヤストラツチとを
備え、パーキングブレーキ操作時に前記ストラツ
トにより前記アジヤストレバーが回動の阻止され
たシユー間隙拡大方向へ押圧される一方、油圧に
よるブレーキ操作時にそのストラツトによりアジ
ヤストレバーがシユー間隙縮小方向へ回動させら
れることにより前記ブレーキシユーのシユー間隙
を自動調節するシユー間隙自動調節装置が知られ
ている。本出願人が先に出願して公開された実開
昭61−122431号公報に記載されたもの等がそれで
ある。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、斯かる形式のドラムブレーキ用
シユー間隙自動調節装置においては、パーキング
ブレーキ非操作時にはアジヤストレバーの係合歯
とアジヤストラツチの係合歯との噛合い点が充分
に得られていても、パーキングブレーキ操作時に
はその噛合い点が減少させられてしまう場合があ
る。すなわち、たとえば、アジヤストレバーの回
動ピンとそれが嵌合されているブレーキシユーの
嵌合穴との間の遊びや、アジヤストラツチの回動
ピンとそれが嵌合されているアジヤストラツチの
嵌合穴およびブレーキシユーの嵌合穴との間の遊
び等に起因して、パーキングブレーキ操作時にス
トラツトによりアジヤストレバーが回動の阻止さ
れたシユー間隙拡大方向へ押圧されたときに、そ
れらアジヤストレバーおよびアジヤストラツチが
ストラツトの移動方向と略同一の方向へ移動させ
られつつ互いに相対移動させられることにより、
両者の相対位置関係が設計位置と異なつてパーキ
ングブレーキ操作時におけるアジヤストレバーお
よびアジヤストラツチの係合歯の噛合い点が充分
に得られなくなるのである。そして、このような
場合には、その少ない噛合い点にパーキングブレ
ーキ操作力が集中して過大な力が加えられること
により、アジヤストレバーおよびアジヤストラツ
チの係合歯につぶれ等が生じて所望のアジヤスト
精度が得られなくなる等の問題があつた。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であつて、その目的とするところは、アジヤスト
レバーおよびアジヤストラツチの取付け時におけ
る遊び等の存在に拘わらず、パーキングブレーキ
操作時におけるアジヤストレバーおよびアジヤス
トラツチの係合歯の噛合い点を充分に確保し得る
ドラムブレーキ用シユー間隙自動調節装置を提供
することにある。斯かる目的を達成するために、
本考案の要旨とするところは、前記のような形式
のドラムブレーキ用シユー間隙自動調節装置であ
つて、ストラツトを介してアジヤストレバーにパ
ーキングブレーキ操作力が加えられていないと
き、アジヤストラツチの係合歯の前記第２円弧の
周方向一端であつて且つそのアジヤストレバーの
シユー間隙縮小方向の前進側に位置する部分とア
ジヤストレバーの係合歯との間に所定の隙間を形
成したことにある。

作用および考案の効果 このようにすれば、ストラツトを介してアジヤ
ストレバーにパーキングブレーキ操作力が加えら
れていないとき、アジヤストラツチの係合歯の第
２円弧の周方向一端であつて且つそのアジヤスト
レバーのシユー間隙縮小方向の前進側に位置する
部分とアジヤストレバーの係合歯との間に所定の
隙間が形成されているので、ストラツトを介して
アジヤストレバーにパーキングブレーキ操作力が
加えられたときには、アジヤストレバーおよびア
ジヤストラツチの取付け時における遊び等の存在
に起因してアジヤストレバーおよびアジヤストラ
ツチがストラツトの移動方向と略同一の方向へ移
動させられつつ互いに相対移動させられるに伴つ
て、アジヤストレバーの係合歯とアジヤストラツ
チの係合歯との間の前記隙間を解消し得て、それ
ら係合歯の噛合い点を充分に確保し得る。この結
果、パーキングブレーキ操作時にその噛合い点に
過大な力が加えられるのを好適に防止し得るた
め、パーキングブレーキ操作時におけるアジヤス
トレバーおよびアジヤストラツチの係合歯のつぶ
れ等を効果的に防止し得てアジヤスト精度を従来
に比べて一層良好に維持し得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第２図は本考案が適用されたドラムブレーキ用
シユー間隙自動調節装置の要部を示す図であつ
て、バツキングプレート１０上には一対のブレー
キシユー１２，１４がシユーホルドダウン装置１
６，１８により互いに拡開可能に取り付けられて
いる。ブレーキシユー１２，１４の各一端部はバ
ツキングプレート１０上に固定されたアンカ２０
の両側端面にそれぞれ当接させられているととも
に、ブレーキシユー１２，１４の各他端部はバツ
キングプレート１０上に固定されたホイールシリ
ンダ２２の両端部とそれぞれ係合させられてい
る。また、ブレーキシユー１２，１４の間にはそ
れ等を互いに接近する方向へ常時付勢するリター
ンスプリング２４が張設されている。そして、ホ
イールシリンダ２２によつて一対のブレーキシユ
ー１２，１４がリターンスプリング２４の付勢力
に抗して互いに外周側へ拡開されて回転ドラム
（図示せず）に押し付けられることにより、その
回転ドラムの回転が抑制されるようになつてい
る。

ブレーキシユー１２には、パーキングレバー２
６がその一端部においてピン２８により回動可能
に取り付けられており、パーキングレバー２６の
他端部にはパーキングケーブル３０が連結されて
いる。一方、ブレーキシユー１４には、長手板状
を成し、その一端部に係合歯３２を有するアジヤ
ストレバー３４がその他端部においてピン３６に
より回動可能に取り付けられているとともに、係
合歯３８を有するアジヤストラツチ４０がピン４
２により回動可能に取り付けられている。前記ピ
ン３６は、通常、アジヤストレバー３４に突設さ
れており、そのピン３６の突出側がブレーキシユ
ー１４に形成された図示しない嵌合穴に所定の遊
びを有して嵌合されているとともに、前記ピン４
２は、通常、アジヤストラツチ４０に形成された
嵌合穴（図示せず）およびブレーキシユー１４に
形成された嵌合穴（図示せず）にそれぞれ所定の
遊びを有して嵌合されている。アジヤストラツチ
４０はトーシヨンスプリング４４によつて係合歯
３８がアジヤストレバー３４の係合歯３２と係合
する方向（第２図中右まわり）へ常時付勢されて
おり、係合歯３２および３８の係合によりアジヤ
ストレバー３４はシユー間隙拡大方向（図中左ま
わり）の回動は阻止されているがシユー間隙縮小
方向（図中右まわり）の回動は許容されている。
そのように、アジヤストラツチ４０の取付位置等
が予め決定されているのである。

ブレーキシユー１２，１４の間には、第２図お
よび第３図に示すように、ストラツト４６が架け
渡されており、そのストラツト４６とブレーキシ
ユー１２との間にはストラツト４６をブレーキシ
ユー１２の側へ常時付勢するスプリング４８が張
設されている。このため、ホイールシリンダ２２
によりブレーキシユー１２，１４が拡開させられ
るときには、ストラツト４６はブレーキシユー１
２と共に移動し、ブレーキシユー１４とは反対方
向へ相対移動させられる。ストラツト４６の両端
部には一対の切欠５０，５２がそれぞれ形成され
ており、切欠５０と切欠５２の内部にはブレーキ
シユー１２およびパーキングレバー２６のピン２
８側へ各一部とブレーキシユー１４の一部および
アジヤストラツチ３４の中間部分とがそれぞれ嵌
め入れられている。また、アジヤストレバー３４
の長手方向略中央部には係合穴５４が形成されて
おり、その係合穴５４にストラツト４６の一端に
突設された突起５６が所定の遊びを有して係合さ
せられている。係合穴５４のブレーキシユー１２
に近い側の内側面と突起５６との間の間隙Ａは、
一対のブレーキシユー１２および１４と回転ドラ
ムとの間の適正なシユー間隙の不限値をそれぞれ
合わせた量に対応する寸法とされている。そして
ブレーキシユー１２，１４が摩耗してホイールシ
リンダ２２によるブレーキ１２，１４の拡開量が
大きくなると、それに伴つてストラツト４６のブ
レーキシユー１４に対する第２図中左方向への相
対移動距離も大きくなり、ストラツト４６の突起
５６が係合穴５４の前記内側面に当接しつつアジ
ヤストレバー３４がシユー間隙縮小方向（第２図
中右まわり））へ回動させられる。そして、実際
にシユー間隙が予め定められたシユー間隙を超え
たときには、アジヤストレバー３４の係合歯３２
がアジヤストラツチ４０の係合歯３８を乗り越え
て、アジヤストレバー３４の戻り位置がシユー間
隙縮小方向へ変更されることにより、シユー間隙
が自動的に調節される。

このように構成されたシユー間隙自動調節装置
を備えたドラムブレーキのパーキングブレーキ操
作時においては、パーキングケーブル３０が引き
込まれてパーキングレバー２６がストラツト４６
との当接点を中心として第２図中左まわりに回動
させられると、ブレーキシユー１２が外周側へ拡
開される一方、ストラツト４６を介してアジヤス
トレバー３４にパーキングブレーキ操作力が伝達
され、これにより、ブレーキシユー１４が外周側
へ拡開される。このとき、アジヤストレバー３４
はストラツト４６を介して伝達された操作力を受
けるが、アジヤストラツチ４０との係合に基づい
てシユー間隙拡大方向（図中左まわり）の回動が
阻止されており、アジヤストレバー３４の係合歯
３２およびアジヤストラツチ４０の係合歯３８の
噛合い点には比較的大きいパーキングブレーキ操
作力が作用させられている。

ここで、本実施例においては、第１図に示すよ
うに、アジヤストレバー３４の係合歯３２はピン
３６の軸心を中心Ｏ１とし、曲率半径Ｒ１を有す
る円弧Ｂ（第１円弧）に略沿つて複数形成されて
いる一方、アジヤストラツチ４０の係合歯３８も
前記円弧Ｂと同一の曲率半径Ｒ１を有する円弧Ｄ
（第２円弧）に略沿つて形成されている。更に、
ストラツト４６を通じて最大入力が加えられてア
ジヤストレバー３４およびアジヤストラツチ４０
の取付け時における前記遊び等の存在に起因して
それらアジヤストレバー３４およびアジヤストラ
ツチ４０がストラツト４６の移動方向と略同一の
方向へ移動させられつつ互いに相対移動させられ
たときに、円弧Ｂの中心Ｏ１と円弧Ｄの中心Ｏ２
とが一致するように、パーキングブレーキ非操作
時において円弧Ｄの中心Ｏ２が円弧Ｂの中心Ｏ１
よりも僅かな距離δ（図においては理解を容易と
するために大きく示されている）だけブレーキシ
ユー１２側へずらした点に位置させられている。
これにより、ストラツト４６を介してアジヤスト
レバー３４にパーキングブレーキ操作力が加えら
れていないときには、第１図に示すように、アジ
ヤストラツチ４０の係合歯３８の前記円弧Ｄの周
方向の一端であつて且つアジヤストレバー３４の
シユー間隙縮小方向の前進側（パーキングレバー
２６側）に位置する部分とアジヤストレバー３４
の係合歯３２との間に所定の隙間が形成されてい
るが、ストラツト４６を介してアジヤストレバー
３４にパーキングブレーキ操作力が加えられる
と、その隙間が無くなつてアジヤストレバー３４
の係合歯３２とアジヤストラツチ４０の係合歯３
８との噛合い点が充分に得られるようになつてい
る。この結果、パーキングブレーキ操作時におい
て各係合歯３２，３８に過大な力が加えられるこ
とが抑制されるので、各係合歯３２，３８のつぶ
れ等が一層効果的に解消され、アジヤスト精度が
従来に比べて良好に維持されることとなる。

なお、前述の実施例においては、アジヤストレ
バー３４の係合歯３２が形成されている円弧Ｂの
曲率半径およびアジヤストラツチ４０の係合歯３
８が形成されている円弧Ｄの曲率半径が共に同一
の曲率半径Ｒ１にて構成されているが、必ずしも
その必要はなく、たとえば第４図に示すように、
アジヤストラツチ５８の係合歯６０を円弧Ｂの曲
率半径Ｒ１より僅かに大きい曲率半径Ｒ２を有す
る円弧Ｅに沿つて形成しても良い。この場合にお
いては、ストラツト４６を通じてアジヤストレバ
ー３４に最大入力が加えられたときに（第４図は
この状態を示している）円弧Ｂの中心Ｏ１と円弧
Ｅの中心Ｏ３とを結ぶ直線Ｍがアジヤストラツチ
５８の係合歯６０を通過するように、望ましくは
係合歯６０の中央部分を通過するように、パーキ
ングブレーキ非操作時における円弧Ｅの中心Ｏ３
の位置が決定される。これにより、ストラツト４
６を介してアジヤストレバー３４にパーキングブ
レーキ操作力が加えられていないときには、アジ
ヤストラツチ５８の係合歯６０の前記円弧Ｅの周
方向の一端であつて且つアジヤストレバー３４の
シユー間隙縮小方向の前進側に位置する部分とア
ジヤストレバー３４の係合歯３２との間に所定の
隙間が形成されているが、ストラツト４６を介し
てアジヤストレバー３４にパーキングブレーキ操
作力が加えられると、たとえば第４図に示すよう
に、その隙間が無くなつて係合歯３２および係合
歯３８の噛合い点が充分に得られることとなる。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図の要部拡大図であつて、パーキ
ングブレーキ操作力が加えられていない状態を示
す図である。第２図は本考案が適用されたシユー
間隙自動調節装置を備えたドラムブレーキの要部
を示す正面図である。第３図は第２図における
−視断面の要部を示す図である。第４図は本考
案の他の例を示す第１図に相当する図であつて、
パーキングブレーキ操作力が加えられた状態を示
す図である。 １２，１４：ブレーキシユー、３２：係合歯、
３４：アジヤストレバー、３８，６０：係合歯、
４０，５８：アジヤストラツチ、４６：ストラツ
ト、Ｂ：円弧（第１円弧）、Ｄ，Ｅ：円弧（第２
円弧）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 互いに接近離隔させられる一対のブレーキシユ
   ーがそれらの間に位置するストラツトによつて内
   周側から支えられる形式のドラムブレーキにおい
   て、該ブレーキシユーの一方に回動可能に取り付
   けられ、回動中心を中心とする第１円弧に略沿つ
   て複数の係合歯が形成され且つ前記ストラツトの
   一端と係合させられたアジヤストレバーと、前記
   一方のブレーキシユーに回動可能に取り付けら
   れ、前記第１円弧と略同等の曲率半径を有し且つ
   該第１円弧と同一側へ湾曲する第２円弧に略沿つ
   て複数の係合歯が形成されるとともに、該係合歯
   と前記アジヤストレバーの係合歯との係合に基づ
   いて該アジヤストレバーのシユー間隙拡大方向の
   回動は阻止するがシユー間隙縮小方向の回動は許
   容するアジヤストラツチとを備え、パーキングブ
   レーキ操作時に前記ストラツトにより前記アジヤ
   ストレバーが回動の阻止されたシユー間隙拡大方
   向へ押圧される一方、油圧によるブレーキ操作時
   に該ストラツトにより該アジヤストレバーがシユ
   ー間隙縮小方向へ回動させられることにより前記
   ブレーキシユーのシユー間隙を自動調整するシユ
   ー間隙自動調節装置であつて、 前記ストラツトを介して前記アジヤストレバー
   にパーキングブレーキ操作力が加えられていない
   とき、前記アジヤストラツチの係合歯の前記第２
   円弧の周方向一端であつて且つ該アジヤストレバ
   ーのシユー間隙縮小方向の前進側に位置する部分
   と前記アジヤストレバーの係合歯との間に所定の
   隙間を形成したことを特徴とするドラムブレーキ
   用シユー間隙自動調節装置。