JPH0736190Y2

JPH0736190Y2 - ドラムブレーキ

Info

Publication number: JPH0736190Y2
Application number: JP1989146723U
Authority: JP
Inventors: 金蔵小林; 慎一泉
Original assignee: トキコ株式会社
Priority date: 1989-12-20
Filing date: 1989-12-20
Publication date: 1995-08-16
Anticipated expiration: 2004-12-20
Also published as: US5096027A; JPH0384437U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、車両のブレーキ装置として使用されるドラム
ブレーキに関する。

（従来の技術）ドラムブレーキには、車両のアクスルハウジング等の非
回転部に取付けられた裏板と、裏板にシューホールドダ
ウン装置により互いに拡開可能に設けられ、拡開時に車
両のシャフト等の回転部に取付けられたドラムに圧接す
る一対のブレーキシューと、各ブレーキシューの下端側
を連結する連結部と、各ブレーキシューのそれぞれの上
端側が当接するアンカと、から構成され、前進・後退の
いずれ方向の回転に対しても自己サーボ作用が発生して
大きな制動力が得られる、いわゆる、デュオ・サーボ型
ドラムブレーキがある。

このデュオ・サーボ型ドラムブレーキでは、シューホー
ルドダウン装置が各ブレーキシューを単に裏板側に付勢
しているだけで、ブレーキシューを連結している下側は
フローティング状態であるため、制動時に発生する制動
トルク（ブレーキシューとドラムが圧接したときに発生
する制動力）はブレーキシューから全てアンカに加わる
ことになる。そのため、アンカを強固に取付ける必要が
ある。

そこで、従来、第７図ないし第12図に示すようなアンカ
の取付け構造があった。

まず、第７図および第８図に示すものは、アンカ１の固
定部1aを、ドラムブレーキをアクスルハウジング等の車
両の非回転部に固定するために使用される４箇所のブレ
ーキ取付け用ボルト2,2aのうち、上方側の２つのボルト
2aの配置箇所まで延設し、裏板３のアンカ１と反対側の
面に固定部1aとほぼ同一形状の第１の補強板４を設け、
アンカ１の固定部1aと第１の補強板４とで裏板３を挟持
してリベット５で固定し、その際、リベット５の部分の
強度を上げるために第２の補強板６を介装させたもので
ある。この構造により、アンカ１にブレーキシュー7,8
から加わった制動トルクは、裏板３とアンカ１の固定部
1aと第1,第２の補強板4,6とからなる補強部分を介して
ブレーキ取付用ボルト2aから車両の非回転部に伝えられ
る。

また、第９図および第10図に示すものは、比較的ブレー
キ取付用ボルト２の位置がアンカ１に近いため、前記第
２の補強板６を用いる代りに第１の補強板４の板厚を厚
くしてリベット５により固定したものであり、アンカ１
にブレーキシュー7,8から加わった制動トルクは、裏板
３とアンカ１の固定部1aと第１の補強板４とからなる補
強部分を介してブレーキ取付用ボルト2aから車両の非回
転部に伝えられる。

第11図および第12図に示すものは、裏板３のアンカ１側
に補強板９を溶接で固定し、アンカ１をその補強板９に
溶接で固定し、さらに、補強板９を１つのブレーキ取付
用ボルト2aの位置まで延設したものである。先に述べた
２つのアンカ取付構造は、リベット５を用いて固定する
ものであるため、裏板３を両側から挟み込む構造により
強度を向上させているが、このように溶接により固定す
るものでは、裏板３を比較的厚くして片側に補強板９を
設けるだけとしている。なお、この構造のものでは、ア
ンカ１にブレーキシュー7,8から加わった制動トルク
は、裏板３と補強板９とからなる補強部分を介してブレ
ーキ取付用ボルト2aから車両の非回転部に伝えられる。

（考案が解決しようとする課題）しかしながら、上記従来のアンカの固定構造では次のよ
うな問題点があった。

上記各固定構造ともアンカが受けた制動トルクを裏板を
介してブレーキ取付用ボルトから非回転部に伝えたり、
アンカのトルク受け部と取付用ボルトとが離れているた
め、制動トルクを伝えるアンカや裏板の部分に補強板を
必要とし、補強板をリベットまたは溶接を用いて固定し
なければならない。そのため、部品点数が多くコスト高
となるとともに、重量の増加を招くという問題点があっ
た。

本考案は、以上の問題点に鑑みてなされたもので、その
目的とするところは、補強部材を用いずに強固にアンカ
を固定することのできるドラムブレーキを提供すること
にある。

（課題を解決するための手段）本考案は、複数のブレーキ取付用ボルトにより車両の非
回転部に取付けられ、シャフトを挿通させるシャフト孔
を中央に有する裏板と、該裏板に相互に拡開可能に設け
られ、拡開時に車両の回転部に取付けたドラムに圧接す
る一対のブレーキシューと、前記ブレーキシューのそれ
ぞれの一端側を連結する連結手段と、前記裏板上に配置
され、前記ブレーキシューのそれぞれの他端側が当接す
る柱状の当接部、および該当接部の基端から相反する方
向へ延長した固定部を有するアンカとを備えてなるドラ
ムブレーキにおいて、前記ブレーキ取付け用ボルトは、
その２つが前記シャフト孔の接線より外側で相互に近接
して配置され、前記アンカは、前記各固定部に前記２つ
のブレーキ取付け用ボルトのそれぞれを挿通させること
により車両の非回転部に直接固定されるなることを特徴
とするものである。

（作用）以上の構成とすると、裏板はアンカと車両の非回転部の
間に挟まっているだけで、アンカがブレーキ取付用ボル
トによって車両の非回転部に固定されることとなるた
め、アンカに加わった制動トルクは裏板に加わることな
く直接車両の非回転部に伝えることができ、補強板等に
よる裏板の補強部分が必要なくなる。また、ブレーキ取
付け用ボルトの２つをシャフト孔の接線より外側で相互
に近接して配置したため、アンカを小さくすることがで
きるとともに、アンカの補強も不要とすることができ
る。

（実施例）つぎに、本考案の実施例を第１図ないし第６図に基づき
説明する。

裏板10には、シューホールドダウン装置11により一対の
ブレーキシュー（プライマリシュー12とセンカンダリシ
ュー13）が拡開可能に取付けられている。ブレーキシュ
ー12,13は、外周にライニング材14,15がそれぞれ貼着さ
れ、内側にはウェブ12a,13aが一体に張り出した構成と
なっている。シューホールドダウン装置11は、裏板10に
立設されて、ブレーキシュー12,13のウェブを貫通する
ピン16と、ピン16の先端に取付けられたブラケット17
と、ブラケット17とブレーキシュー12,13のウェブ12a,1
3aの間に介装されたシューホールドスプリング18とから
なり、ブレーキシュー12,13は常時シューホールドスプ
リング18によって裏板10側に付勢されている。また、裏
板10にはブレーキシュー12,13に部分的に摺接して、ブ
レーキシュー12,13の拡開方向のガイドをするシューレ
ッジ10aが一体に形成されている。

ブレーキシュー12,13の下端側はアジャスティング・シ
リンダ19とスプリング20とからなる連結部（連結手段）
23により連結されており、ブレーキシュー12,13の上端
側はそれぞれ後述するアンカ24に当接している。また、
ブレーキシュー12,13の上側とアンカ24との間には、一
端がウェブ12a,13aに係止され、他端がアンカ24に係止
されて、ブレーキシュー12,13をアンカ24側に付勢する
リターンスプリング25,26が配置されている。

ブレーキシュー13のウェブ13aにはピン27によってパー
キングレバー28の一端側が回動自在に取付けられてお
り、パーキングレバー28の他端側には、車両の室内に設
けられている図示しないブレーキレバーに接続されたケ
ーブル29が取付けられている。また、パーキングレバー
28とプライマリシュー12との間にはストラット30が掛け
渡されている。

裏板10の中央には、車両の回転部であるシャフトＳが貫
通するシャフト孔10bが形成されており、シャフト孔10b
を貫通したシャフトＳの先端側には図示しないブレーキ
ドラムが取付けられている。そして、ブレーキドラムの
内周面がブレーキシュー12,13の外周に対向している。

なお、図中34は、裏板10に固定されたバッフルプレート
である。

上記構成によれば、ブレーキレバーが引かれケーブル29
によってパーキングレバー28が第１図中右まわりに回転
すると、パーキングレバー28とストラット30によって各
ブレーキシュー12,13が拡開してブレーキドラムの内周
面に圧接する。この際、シャフトＳが第１図中左回りに
回転使用とすると、プライマリシュー12とブレーキドラ
ムとの圧接により発生する制動トルクが連結部23を介し
てセカンダリシュー13の下側を押すこととなり、両方の
ブレーキシュー12,13の各々に自己サーボ作用が働くた
め、大きな制動力を得ることができる。また、逆方向に
シャフトＳが回転しようとする場合にも同様に両方のブ
レーキシュー12,13の各々に自己サーボ作用が働く。

つづいて、本考案の要部であるアンカ24の取付構造につ
いて説明する。

まず、裏板10を車両の非回転部に固定するためのブレー
キ取付用ボルト31,31aは４個所の位置に設けられている
が、そのうち上部の２個所のブレーキ取付用ボルト31a
をシャフト孔10bの接線より上方位置に相互に近接して
配置している。

アンカ24は、ブレーキシュー12,13が当接する円柱状の
当接部24aと、基端に形成された固定部24bとからなり、
先端側には、ブレーキシュー12,13が裏板10から離れる
方向への移動を規制してブレーキシュー12,13が外れる
のを防止するための止め板32が取付けられている。ここ
で、固定部24bは、その中心が当接部24aに強度上必要な
大きさをとり、かつブレーキシュー12,13との干渉を避
けるため、当接部24aの中心とほぼ同一径上に位置する
ように配置されるため、当接部24aから斜め下方に向か
って延びている。

アンカ24は、裏板10に小径のリベット33で固定されてお
り、このリベット33は、車両の非回転部に裏板10を固定
するまでにアンカ24が脱落しないように仮止めするため
のものである。

また、上方に配置されるブレーキ取付用ボルトの取付位
置に合せてアンカ24の固定部24bにブレーキ取付用ボル
ト31aが圧入されている。そして、このブレーキ取付用
ボルト31,31aを車両の非回転部に形成されている図示し
ない孔に挿通させて反対側からナット等を締付けること
によりアンカ24および裏板10が固定される。

以上の構成によれば、裏板10はアンカ24と車両の非回転
部の間に挟まっているだけで、アンカ24は直接車両の非
回転部にブレーキ固定用ボルト31aによって強固に固定
されることになる。さらに、ブレーキ取付用ボルト31a
をアンカ24の左右に近接させて設けたため、アンカ24を
小型化することもできる。

なお、本実施例では、本発明をデュオ・サーボ型ドラム
ブレーキを駐車ブレーキに使用した場合を例として説明
したが、これに限定されるものではなく、車両の走行時
の制動を行なうためのデュオ・サーボ型ドラムブレーキ
に適用してもよい。

（考案の効果）以上詳細に説明したように本考案は、ブレーキ取付用ボ
ルトによりアンカを車両の非回転部に直接固定するよう
にしたため、アンカに加わった制動トルクは裏板に加わ
ることなく車両の非回転部に伝えることができ、また、
ブレーキ固定用ボルトを裏板のシャフト孔の接線より上
方位置に相互に近接して設けたため、アンカを小型化す
ることができる。

そのため、従来のように裏金を補強するための補強板や
リベットが必要なく、また、補強板を固定するためのリ
ベット止め作業や溶接作業が必要なくなり、さらに、ア
ンカを小型化することができて、ドラムブレーキのコス
トの低減および軽量化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例のドラムブレーキの正面図、第２図は、第１図のII-II線断面図、第３図は、第１図のIII-III線断面図、第４図は、第１図に示すドラムブレーキにおける裏板と
アンカの組付状態を示す正面図、第５図は、第４図のＶ−Ｖ線断面図、第６図は、第４図のVI-VI線断面図、第７図は、従来のドラムブレーキの要部正面図、第８図は、第７図のVIII-VIII線断面図、第９図は、他の従来のドラムブレーキの要部正面図、第10図は、第９図のＸ−Ｘ線断面図、第11図は、他の従来のドラムブレーキの要部正面図、第12図は、第11図のXII-XII線断面図である。 10……裏板、10b……シャフト孔 12,13……ブレーキシュー 23……連結部、24……アンカ 31a……ブレーキ取付用ボルト

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】複数のブレーキ取付用ボルトにより車両の
非回転部に取付けられ、シャフトを挿通させるシャフト
孔を中央に有する裏板と、該裏板に相互に拡開可能に設
けられ、拡開時に車両の回転部に取付けたドラムに圧接
する一対のブレーキシューと、前記ブレーキシューのそ
れぞれの一端側を連結する連結手段と、前記裏板上に配
置され、前記ブレーキシューのそれぞれの他端側が当接
する柱状の当接部、および該当接部の基端から左右方向
へ延長した固定部を有するアンカとを備えてなるドラム
ブレーキにおいて、前記ブレーキ取付け用ボルトは、そ
の２つが前記シャフト孔の接線より外側で相互に近接し
て配置され、前記アンカは、前記各固定部に前記２つの
ブレーキ取付け用ボルトのそれぞれを挿通させることに
より車両の非回転部に直接固定されることを特徴とする
ドラムブレーキ。