JPH0143355Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） この考案はキヤリパーブレーキ、詳しくは１対
のアームを拡開方向に付勢するリターンばねをも
つたサイドブル式、センタブル式及びカンテイレ
バー式のキヤリパーブレーキに関する。

（従来技術） 従来この種キヤリパーブレーキは、例えば実公
昭51−25416号公報に記載されている如く、先端
にブレーキシユーをもつ１対のアームを支持ボル
ト上に相対回転可能に支持させると共に、前記各
アームにばね受けを突設し、該各ばね受けに前記
ボルト上に支持されたリターンばねの各先端部を
係止させて、このばねにより前記各アームを拡開
方向に付勢させる一方、前記各アームに操作ワイ
ヤを連結して、該ワイヤを前記ばねに抗して牽引
操作することにより前記各アームを介して前記各
シユーを車輪に接触させて、自転車の制動を行な
うごとくしている。

しかして前記ばね受けは、合成樹脂製の筒体と
軸杆とから形成され、該軸杆を前記筒体の外方か
ら前記アームに圧入又はカシメ止めすることによ
り、前記筒体を前記アームに取付け、この筒体の
周面一部にリターンばねを係止させるごとくして
いる。

ところが前記ばね受けでは、前記ばねの張力に
より前記筒体が外れたり、また前記ばねが筒体の
軸方向に移動して、該筒体から前記ばねが離脱し
たりして、確実な制動ができなくなる場合があ
り、しかも前記筒体の軸杆による取付け時に、該
軸杆が変形したりして、前記筒体の取付位置が変
動し、前記ばねによる各アームの付勢力が変動し
て、正確な制動ができなくなることもあつた。

また、従来ではばね受けの一部を切欠いて、フ
ラツトな係止面を形成すると共に、リターンばね
の先端に前記係止面に対し面接触する杆体を取付
け、該杆体を前記係止面に面接触させて係止させ
ることにより、前記ばね受けに対する前記ばねの
移動を阻止して、正確な制動を行なうごとくした
ものが提案されたのであつて、斯くのごときばね
受けでは、全体構造が大きくなつて外観が悪く、
しかも前記各アームの間隔を変えて、シユー間隔
を調整するようなとき、前記杆体の係止面に対す
る係止位置が変動し、この係止面の端縁などに前
記杆体が点接触状態で係止されることがあり、前
記杆体つまりリターンばねの勝手な移動を招き、
正確な制動ができなくなる場合があつたのであ
る。

（考案の目的） 本考案は以上のごとき問題に鑑みて考案したも
ので、その目的はばね受けのアームに対する取付
強度を強化し、かつ前記ばね受けにリターンばね
を、勝手な移動を許したりすることなく確実に係
止させることにより、正確な制動ができるキヤリ
パーブレーキを提供することにある。

（考案の構成） しかして本考案の構成は、前記アームに、ばね
受け本体を一体に突設して、このばね受け本体
に、該本体の突出端面で開口する嵌入孔を形成す
ると共に、合成樹脂などの低摩擦材料から成る接
触体を形成して、該接触体を前記嵌入孔に嵌合に
より取付ける一方、前記ばね受け本体の一側に、
前記接触体の周面一側が露出する切欠部を形成し
て、前記リターンばねにおける端部のばね力を前
記接触体の露出周面で受け止め可能に成したこと
を特徴とするものである。

（実施例） 以下本考案にかゝるキヤリパーブレーキを図面
の実施例によつて説明する。

図面に示したものは、サイドブル式キヤリパー
ブレーキであつて、図面において１は自転車フレ
ームに固定される支持ボルトで、該ボルト１上に
先端にブレーキシユーＳをもつ１対の第１及び第
２アーム２，３を相対回転可能に支持すると共
に、前記ボルト１に前記各アーム２，３に沿つて
延びるリターンばね４を支持させる一方、前記各
アーム２，３にばね受け５，５を設け、該各ばね
受け５に前記ばね４の各先端部をそれぞれ係止さ
せることにより、前記各アーム２，３を拡開方向
に付勢させるごとくしている。

また前記第１アーム２の先端と、第２アーム３
の中間に前記第１アーム２の先端部と対向状に設
ける枝杆３１とに、操作ワイヤＷを連結し、該ワ
イヤＷを牽引操作することにより、前記各アーム
２，３を前記ばね４に抗して内方側に揺動させ、
前記各アーム２，３の各シユーＳ，Ｓを車輪Ｈに
接触させて、自転車の制動を行なう如くしてい
る。

しかして前記ばね受け５を、次のごとく形成す
るのである。

即ち、第２及び第３図に詳しく示すごとく前記
ばね受け５をばね受け本体５１と接触体５２とか
ら形成する。

前記本体５１は、内部に嵌入孔５３を設け、該
嵌入孔５３を突出外端で開放させて筒状に形成す
ると共に、長さ方向中間部で周壁に前記嵌入孔５
３を外方に開放する切欠部５４を設けて構成す
る。

また前記本体１は、鍛造手段により前記アーム
２又は３と一体に形成するのであり、斯くして前
記アームに対する前記本体１の支持強度を強化す
るのである。

前記接触体５２は、合成樹脂、黄銅などの低摩
擦材料、及び表面にテフロンなどの低摩擦材料を
コーテイングしたもので、円柱状に形成するもの
であり、この接触体５２を前記本体５１の嵌入孔
５３に嵌入させ、この本体５１の前記切欠部５４
から前記接触体５２の周面一部を外部に露出させ
る。

そして前記ばね４を前記本体５１の切欠部５４
に介入させ、該切欠部５４から露出する前記接触
体５２に前記ばね４を長さ方向に移動可能に係止
させると共に、前記切欠部５４で前記ばね４を横
方向移動不能に保持させるのである。

前記本体５１に嵌入される接触体５２には、前
記ばね４によるばね力が常に作用されるため、前
記接触体５２が本体５１から離脱することはな
く、しかも前記ばね４が前記本体５１の切欠部５
４で位置規制されるため、前記ばね４の前記本体
５１からの離脱が阻止されるのであり、従つて前
記ばね４は常に所定位置に保持されて、正確な制
動が行なわれるものである。

前記接触体５２は、第４図は示すごとく前記本
体５１の切欠部５４と対応する周壁一部に周溝５
２ａを形成してもよく、斯くするときには前記周
溝５２ａに前記ばね４を嵌合係止させることによ
り、該ばね４の位置規制を一層確実に行ない得る
のである。

また前記本体５１は、第５図に示すごとく形成
することも可能であり、即ち前記フレーム２，３
を断面Ｌ形状に形成し、該フレーム２，３の縦壁
Ａ一部を横壁Ｂ上に膨出させて前記本体５１を一
体形成すると共に、該本体５１に前記横壁Ｂ内に
至る嵌入孔５３を設けて、前記接触体５２を嵌入
させる一方、前記本体５１の横壁Ｂ側を切欠いて
切欠部５４を形成し、この切欠部５４から前記接
触体５２を外方に露出させるごとくしてもよい。

本考案のキヤリパーブレーキは以上のごとく構
成したもので、車輪Ｈの非制動時には、第１及び
第２アーム２，３がリターンばね４により拡開方
向に付勢され、前記各アーム２，３のブレーキシ
ユーＳ，Ｓがそれぞれ車輪Ｈに対し離間位置に保
持されるのであり、また制動時には操作ワイヤＷ
の牽引操作により、前記各アーム２，３が前記ば
ね４に抗して内方側に揺動され、前記各アーム
２，３のシユーＳ，Ｓが車輪Ｈに接触されて、該
車輪Ｈの制動が行なわれるのである。

しかして前記車輪Ｈの制動及び非制動時には、
前記各アーム２，３の揺動に伴ない前記ばね４
が、前記各アーム２，３に設けるばね受け５に対
しばね長さ方向に移動されるのであるが、このと
き前記ばね受け５は前記各アーム２，３に一体に
突出形成される筒状本体５１に嵌入孔５３を設
け、該嵌入孔５３に接触体５２を嵌入させると共
に、前記本体５１に切欠部５４を形成して、前記
接触体５２の外周一部を外方に露出させ、前記切
欠部５４に前記ばね４を介入させて前記接触体５
２に係止させるごとくしており、従つて前記ばね
４は前記切欠部５４で横方向移動が阻止され、ば
ね４の長さ方向への移動のみが許され、つまり前
記ばね４は脱落したりすることなく、常に所定位
置に保持されて前記各アーム２，３にばね作用を
及ぼすのである。

尚、以上の説明は、サイドブル式キヤリパーブ
レーキに適用した場合であるが、センターブル式
及びカンテイレバー式のものにも適用し得ること
は云う迄もない。

（考案の効果） 以上説明したごとく本考案のキヤリパーブレー
キでは、ばね受けをばね受け本体と接触体とで形
成し、前記本体をアームに一体に突出形成すると
共に、この本体の嵌入孔に前記接触体を嵌入させ
る一方、前記本体に切欠部を設けて、該切欠部か
ら前記接触体の周面一部を外方に露出させ、前記
切欠部にリターンばねを介入させて、該ばねを前
記接触体に係止させるごとくしたから、前記ばね
が勝手に移動してばね受けから脱落したりするの
を阻止できるのであり、また前記本体をアームと
一体形成したことにより、前記本体がアームから
外れたりすることなく、その取付強度を強化でき
るのであり、従つて前記ばねの作用を確実に発揮
させ得て、正確な制動ができるに至つたのであ
る。

しかも本考案では、前記本体のアームに対する
取付強度を強化できることから、前記本体及び該
本体に嵌入する接触体を小形化でき、ひいてはば
ね受けの全体をコンパクトとなし得るに至つたの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかゝるキヤリパーブレーキの
背面図、第２図は同要部の平面図、第３図は同分
解斜面図、第４図は接触体の他実施例を示す図
面、第５図はばね受けの他実施例を示す図面であ
る。 ２，３……アーム、４……リターンばね、５１
……ばね受け本体、５２……接触体、５３……嵌
入孔、５４……切欠部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １対のアームを拡開方向に付勢するリターンば
   ねをもつたキヤリパーブレーキであつて、前記ア
   ームに、ばね受け本体を一体に突設して、このば
   ね受け本体に、該本体の突出端面で開口する嵌入
   孔を形成すると共に、合成樹脂などの低摩擦材料
   から成る接触体を形成して、該接触体を前記嵌入
   孔に嵌合により取付ける一方、前記ばね受け本体
   の一側に、前記接触体の周面一側が露出する切欠
   部を形成して、前記リターンばねにおける端部の
   ばね力を前記接触体の露出周面で受け止め可能に
   成したことを特徴とするキヤリパーブレーキ。