JPH0129296Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、特に自転車などの二輪車用のユニサ
ーボ式ドラムブレーキにおいて、ブレーキを作動
させない時のライニングとドラムの間隙を最適の
状態に調整するための調整装置に関する。

第１図は従来のユニサーボ式ドラムブレーキの
要部を示す。１は基板、２は第１シユーを押し拡
げるためのカムであり、カム２はその軸３が基板
１に回転自在に取りつけられ、図示しないブレー
キワイヤーに連動するクランクにより図矢印Ｘ方
向に回動する。

４は外面にライニング層５を設けた第１シユ
ー、６は外面にライニング層７を設けた第２シユ
ーであり、第１シユー４の一端はカム２の平面部
２ａに当接し、第２シユーの一端はカムの軸３に
当接し、シユー４，６の他端は凹面状の当接面８
と凸面状の当接面９とが相互に嵌合している。

１０は第１シユー４と第２シユー６とに、両者
を引き合うように張設したばねで、第１シユー４
の一端をカム２の平面部２ａに、また第２シユー
６の一端をカムの軸３にそれぞれ当接させるもの
である。１１は基板１より切り起こした突片１２
と第２シユー６とに張設したばねで、第２シユー
６の他端側を第１シユー側へ付勢するものであ
る。

１３はライニング層とその外側に配される図示
しないブレーキドラムとの間隙を調整するための
当てカムで、その軸１４は基板１に回転自在に取
りつけられ、カム面には第２シユーに取りつけた
当てピン１５が当接している。

ライニング層とドラムとの間隙を調整するに
は、当てカム１３の軸１４を基板１の外側から回
転させることにより、当てピン１５に当接するカ
ムの位置を変化させ、第２シユー６の当接位置を
調整することによつて行われる。

このような構成の従来例では、次のような欠点
があつた。

１ ばね１１によつて第２シユー６に与えられた
付勢力を、当てカム１３によつて直接第２シユ
ーの一部で固定する結果、第１シユー４と第２
シユー６の当接面８，９における接触圧は、ば
ね１０の引張力のみによつて発生するため、き
わめて弱いものとなる。このために振動によつ
て第１シユーと第２シユーが当接、離反を繰り
返し、不快音を発生する原因となる。

２ 第２シユー６に当てピン１５を設けねばなら
ず、部品の増加をきたし、またピンのかしめ等
の加工工数の増大となる。

３ カム１３を使用するため、カムの加工が困難
であり、カム軸によりカムの回転角度を調整し
ようとする時、カム軸がドラムの中央に近く、
ドラム軸の方向と平行であるため、工具が入り
にくく、きわめて操作がやりにくい。

４ カム１３による当たりのため、当たりの反力
によつて、カムが逆方向に回転させられ、調整
位置がくるうことがある。

本考案は、以上のような従来の不都合を解消す
るもので、第１シユーの端部における第２シユー
との当接面に基板外へ突出する当たり部を一体に
連設するとともに、基板の一部に前記当たり部と
平行なねじ支持部を形成し、この支持部に装着し
たねじを前記当たり部に当接させるものである。

本考案によれば、基板外からの前記ねじの進退
操作によつて容易にライニング間隙を調整するこ
とができるとともに、第１シユー、第２シユー端
部の当接面は常にばねによつて当接しているの
で、ブレーキの非作動時においても両シユーが振
動によつてぶつかり合うことがなく、不快音を発
生することもない。

以下、本考案を第２〜３図に示す実施例により
さらに詳しく説明する。

第２図において、第１図と同じ符号は同一の要
素を表している。すなわち、ばね１０は第１シユ
ー４と第２シユー６を相互に引き合い、双方の一
端面をカム２の平面部２ａと軸３に圧接する役割
を負うている。カム２はカム軸３を中心に回転可
能で、このカム軸３はレバー（図示せず）によつ
てブレーキ体の外部より操作される。カムは平面
部２ａを有するため、回転することにより第１シ
ユー４を押し開げる。第１シユー４はカム２によ
り押された力を、他端において第２シユー６に伝
えるが、両シユーの接触部は作動時にきわめて大
きな圧力が発生するため、できるだけ広い面積で
接した方が良く、このため、第１シユー４には凹
面状の当接面８を、第２シユー６には凸面状の当
接面９を設けてある。第１シユー４及び第２シユ
ー６は共に板金で製作されるため、前記当接面８
及び９は絞り加工及び曲げ加工にて容易に製作が
可能である。

さてライニングとドラムの間隙の調整に関して
は先ず、第２シユー６をばね１１によつて第１シ
ユー４側へ引張り、第２ライニング７とドラム
（図示せず）の間隙を確保すべく付勢している。

ばね１１の一端は第２シユー６に設けた穴に引
掛けられ、他端は基板に設けた切り起こし１２に
係止されている。

ばね１１による付勢力によつて第２シユー６は
第１シユー４を押すため、第１ライニング５とド
ラムとの間隙は小さくなつてしまう。このため第
１シユー４の当接面８の部材をさらに延長し、基
板１よりブレーキ体の外部へ突出させて当たり部
１６を形成し、さらに基板１より曲げ起こし、当
たり部１６と平行にねじの支持部１７を設け、こ
のねじの支持部１７にねじ１８を通し、ねじ１８
の先端を前記当たり部１６に当接させることによ
り、前述の第２シユー６の付勢力を受け止めるの
である。

ねじ１８を締め込むと、当たり部１６にねじ１
８の先端が早く当たるため第１ライニング５とド
ラムの隙間は広くなる。また反対にねじ１８をも
どすと、第１ライニング５とドラムの隙間は狭く
なり第２ライニング７とドラムの隙間は広くな
る。１９はロツクナツトで、ねじの回転を固定す
るためのものである。

このように、本考案によれば容易に左右のライ
ニングの隙間を調整することができる。

また、ばね１１で第２シユーを付勢し、この付
勢力を直接第２シユーに当てるのでなく、第１シ
ユーにおいて当てるため、第１シユーの当接面８
と第２シユーの当接面９において強い押圧力が作
用し、ブレーキの非作動時においても、両シユー
が振動によつてぶつかり合うことが無く、不快音
を発生する恐れが無い。

当たり部１６を第１シユーを形成する板金の一
部を利用し、かつ第２シユーとの接触のための直
角の立上りの当接面８を少し延長するだけですむ
ため、別体を取付けるのに比して製作容易にして
安価である。

さらに当たり部１６を、シユーの回転中心であ
るカム軸３から最も遠い場所に設置するため、微
調整が可能である。そして、調整ねじの中心軸が
ドラムの中心軸とは直角方向、すなわちブレーキ
体の外周方向を向いているため、工具にて操作す
る場合好都合である。すなわち、自動車の場合、
ブレーキ体は車輪の中に埋め込まれ、ブレーキの
外周方向にはスペースが無く、ドラムの軸方向に
調整部を有する方が操作をしやすいが、自転車の
場合、ドラムブレーキは車輪の外にあり、しかも
フレームと車輪にはさみ込まれるようにして取り
つけられるため、外周方向のスペースはあるが、
ドラム軸方向にはほとんどスペースは無く、従つ
て、本考案によれば操作が容易となる。

以上のように、本考案はきわめて簡単な構造に
より、大なる効果を生み出すものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示すドラムブレーキの要部の
側面図、第２図は本考案によるドラムブレーキの
実施例を示す要部の側面図、第３図は第２図−
′線断面図である。 １……基板、２……カム、４……第１シユー、
６……第２シユー、５，７……ライニング、８，
９……当接面、１０，１１……ばね、１６……当
たり部、１７……ねじの支持部、１８……ねじ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブレーキ体を支持する基板と、基板に回転可能
   に軸支され第１シユーを押し開くためのカムと、
   一端をこのカムに接し、他端を曲げ起した当接面
   を第２シユーに当接させた第１シユーと、一端を
   前記カムのカム軸に係止し、他端を曲げ起した当
   接面を第１シユーに当接させた第２シユーと、第
   ２シユーを第１シユー側に付勢するばねとを有
   し、第１シユーの前記当接面に基板より外方へ突
   出させた当たり部を連設するとともに、基板の一
   部に前記当たり部と平行なねじの支持部を形成
   し、この支持部に保持されたねじを前記当たり部
   の第１シユーと第２シユーとの当接面に対して裏
   面側に当接させたドラム式ブレーキのライニング
   間隙調整装置。