JPH0327405B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はエンジンのマウント装置に関するも
のである。

エンジンと車体との間に介装されて、エンジン
の重量を支えるとともに、エンジンの振動が直接
車体に伝わらないように設けられるマウントラバ
ーは、軟質の場合、車体に対する振動絶縁性能が
すぐれた特性をもつているので、車体に対する振
動絶縁のみを確保するめには軟質のマウントラバ
ーを用いることが望ましい。しかしながら、軟質
のマウントラバーは上記の利点を有している反
面、エンジンの振れが大きくなる問題がある。

このようなエンジンの振れは、硬質のマウント
ラバーを用いることによつて抑制することができ
るけれども、硬質のマウントラバーを用いた場合
には車体に対する振動絶縁性能が低下する。すな
わち、マウントラバーは、軟質の場合、振動絶縁
性能が向上するけれども、エンジンの振れが大き
くなり、また硬質の場合にはエンジンの振れを小
さく抑制できるけれども、振動絶縁性能が低下す
る要因をもつている。

したがつて、車体に対する振動絶縁性能を確保
するために軟質のマウントラバーを使用するとエ
ンジンの振れが大きくなるから、この振れを規制
する目的でストツパを設けたものが、たとえば実
開昭55−87820号によつてすでに知られている。
しかし、この種のものはストツパとマウントラバ
ーとの対向距離が大きい。つまりエンジンの振れ
が大きいアイドリング時などにおいて、マウント
ラバーがストツパに衝突して振れが規制されるよ
うに設定されているため、マウントラバーがスト
ツパに衝突した場合の衝撃が大きくなり、この衝
撃による振動が車体に伝達される問題がある。

この発明は上記従来の問題に鑑みなされたもの
で、エンジンの振れが変化する運転状態を検出し
てストツパ部材をマウントラバーに近接もしくは
遠ざけるように構成し、車体に対する振動絶縁性
能を向上させるとともに、エンジンの振れを適確
に規制することができるエンジンのマウント装置
を提供することを目的とする。

以下、この発明の実施例を図面にしたがつて説
明する。

第１図において、１はエンジン、２Ａ，２Ｂは
エンジンマウントを示し、このエンジンマウント
２Ａ，２Ｂは、マウントラバー３の一側に取付板
４を、また他側に取付板５をそれぞれ焼き付け固
着して形成され、取付板４はブラケツト６を介し
てエンジン１に取り付けられ、取付板５はねじ７
によつて車体８に取り付けられている。９はスト
ツパ部材で、上記マウントラバー３よりも幾分硬
質のゴムからなるヘツド１０がエンジンマウント
２Ａのマウントラバー３に近接して設けられ、ア
クチユエータ１１を介して車体８に取り付けられ
ている。

上記アクチユエータ１１は、たとえば第２図で
示されるように車体８に固定されたシリンダ１１
ａと、このシリンダ１１ａ内に摺動自在に嵌合さ
れたピストン１１ｂとからなる油圧シリンダによ
つて構成され、そのピストンロツド１１ｃの先端
に上記のヘツド１０が取り付けられている。そし
て、シリンダ１１ａの内部は通路１２を介して油
圧源１３に連通し、該油圧源１３は制御装置１４
によつて制御駆動される。

制御装置１４はエンジン１の振れが大きくなる
運転状態を検出して、ストツパ部材９のヘツド１
０がエンジンマウント２Ａのマウントラバー３に
近づくようにアクチユエータ１１を作動させ、か
つ、エンジン１の振れが小さくなる運転状態を検
出して、ストツパ部材９のヘツド１０がエンジン
マウント２Ａのマウントラバー３から遠ざかるよ
うにアクチユエータ１１を作動させるためのもの
であつて、たとえば車速センサ１５、エンジンの
回転数センサ１６、ミツシヨンの変速位置センサ
１７などの１もしくは複数信号が入力される。図
中１８はスプリングである。

上記構成において、アイドル時などの低速運転
領域では、エンジン１の回転が不安定であるから
エンジン１の振れが大きくなるけれども、この運
転状態は上記のセンサ１５，１６，１７の１もし
くは複数で検出され、その信号が制御装置１４に
入力される。この場合、油圧源１３からアクチユ
エータ１１のシリンダ１１ａ内に導入されるオイ
ル圧が高くなり、スプリング１８のばね力に抗し
てピストン１１ｂおよびピストンロツド１１ｃを
前進させ、第３図のようにストツパ部材９のヘツ
ド１０をエンジンマウント２Ａのマウントラバー
３に近接させる。そのために、マウントラバー３
がストツパ部材９のヘツド１０に衝突する場合の
衝撃がきわめて小さくなり衝突時の振動が車体に
伝わらない。

一、高速運転領域では、エンジン１の回転が安
定しているから、エンジン１の振れが小さくな
る。この運転状態は上記と同様にセンサ１５，１
６，１７の１もしくは複数で検出され、その信号
が制御装置１４に入力される。この場合、油圧源
１３からアクチユエータ１１のシリンダ１１ａ内
に導入されるオイル圧が低くなり、スプリング１
８のばね力によつてピストン１１ｂおよびピスト
ンロツド１１ｃが後退して第２図のようにストツ
パ部材９のヘツド１０をエンジンマウント２Ａの
マウントラバー３から離間させる。そのため、多
少のエンジンの振れではストツパ部材９にエンジ
ンマウント２Ａが接触することがなく、十分に振
動絶縁を行える。なお、ストツパ部材９のヘツド
１０の位置は、上記第２図に示されている位置か
ら第３図に示されている位置にわたつて、運転状
態に応じて制御装置１４に入力される信号に応じ
て適宜変位して保持される。

上記実施例においては、アクチユエータ１１が
油圧シリンダによつて構成されている例で説明し
ているけれども、この発明は上記実施例にのみ限
定されるものではなく、エアシリンダによつて構
成しても、また所定の回転領域を境にON・OFF
制御させてヘツド１０をマウントラバー３に近接
もしくは離間させるように構成しても上記実施例
と同様の効果を奏する。

さらに、ストツパ部材９を一方のエンジンマウ
ント２Ａのマウントラバー３にのみ近接して設け
た例で説明しているけれども、ストツパ部材９を
エンジンマウント２Ａ，２Ｂの両者のマウントラ
バー３に近接して設けてもよい。

以上説明したように、この発明によればエンジ
ンの振れが大きくなる運転状態を検出してストツ
パ部材がマウントラバーに近づくようにアクチユ
エータを作動させ、また、エンジンの振れが小さ
くなる運転状態を検出してストツパ部材がマウン
トラバーから遠ざかるようにアクチユエータを作
動させ得るため、振動絶縁性能のよい軟質のマウ
ントラバーによつてエンジンマウントを構成する
ことができ、しかも、エンジンの振れが大きくな
る運転状態ではエンジンの振れによる衝撃を小さ
くできるので、車体に対する振動絶縁性能が向上
するとともにエンジンの振れが適確に規制される
利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係るエンジンのマウント装
置の一実施例を示す正面図、第２図はストツパ部
材がマウントラバーから遠ざかつている状態の正
面図、第３図はストツパ部材がマウントラバーに
近接した状態の正面図である。 １……エンジン、３……マウントラバー、８…
…車体、９……ストツパ部材、１１……アクチユ
エータ、１４……制御装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エンジンと車体との間に設けられ、エンジン
   の重量を受けるマウントラバーと、マウントラバ
   ーに近接して配置されているストツパ部材と、車
   体に取り付けられて上記ストツパ部材を動かすア
   クチユエータと、エンジンの振れが大きくなる運
   転状態を検出してストツパ部材がマウントラバー
   に近づくようにアクチユエータを作動させ、エン
   ジンの振れが小さくなる運転状態を検出してスト
   ツパ部材がマウントラバーから遠ざかるようにア
   クチユエータを作動させる制御装置とからなるこ
   とを特徴とするエンジンのマウント装置。 ２ アクチユエータが油圧シリンダである特許請
   求の範囲第１項記載のエンジンのマウント装置。 ３ アクチユエータがエアシリンダである特許請
   求の範囲第１項記載のエンジンのマウント装置。 ４ アクチユエータはON・OFF制御されるもの
   である特許請求の範囲第１項記載のエンジンのマ
   ウント装置。 ５ アクチユエータは検出量に応じて任意の位置
   に保持されるものである特許請求の範囲第１項記
   載のエンジンのマウント装置。